ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
254 / 2,518

第254話 どっち?

しおりを挟む
 三十一階に侵攻すると、予想通り敵はオークジェネラルだった。この調子で行くと、三十六階からはオークジェネラルなんちゃらが出てくるんだろうか?

 それにしても何でこのダンジョンには雄しかいないんだろう? 召喚する際に一応雌も指定できるのにな。そもそもダンジョン内で自然繁殖させるのは、良くないってことか? それともできないのか?

 ともかくダンジョン三日目、気を引き締めていこう!鬼人達がだけどな!

 今度の敵さんはどうやら三十五階にいました。

 下に行けば行くほど敵のレベルが上がっている上に、ダンジョン深くにもぐる人間としての覚悟が違うのだ。戦闘に携わる者としてどんどん強くなっているのは必然であろう。

 レベルが高く警戒心が高くなっているのだ強くて当たり前だろう。むしろ今まで捕まえたやつらが、ダンジョンに潜る人間としての心構えが無さ過ぎたのだ。

 冒険者として同レベルまで育ったものと戦えば、十中八九冒険者が勝つだろう。普通の冒険者たちは回復役がいないのが普通なのだ。警戒心が高くなって当たり前だろう。養殖に近いここでの戦闘では質が違うのも当然か。

 俺たちも養殖であることは否定できないが、戦闘訓練をしっかり行ってからのレベル上げだったので自分の強さを錯覚することは無かった。それに強くなったと思ってた時にフェンリルと遭遇して、上には上がいる事も理解できたのが一番大きいだろう。

 奴隷兵は自力でレベル三〇〇を突破しただけあって強かったもんな。ステータスだけ見れば俺たちの方が強かったけどそれを埋めるだけの技術というのだろうか? 考えさせられるものはあったんだよな。

 それに俺が切り札をきらなくても時間をかければ何とかなったかもしれないが、みんなを守るためにきった切り札だからきにしてないがな。

 なんて考えているうちに敵がドンドン連れてこられている。今回は仮想敵国の兵士(仮想でもなく敵国なのだが)とみたてて、見つかった際の訓練にあてたようだ。

 敵も初めはこのダンジョンにいるはずのない鬼人たち(見て簡単にわかる物じゃないけど)を見つけて問いただそうとしたが、そのまえに来た道を引き返して逃げたのだ。敵に追いつけるか追いつけないかのスピードを維持して。

 敵に見つかった鬼人たち四人は、一目散に来た道へと引き返す。その後をリーダーに指示をされた十二人の敵が追いかけてきた。

 この段階で四人であることを疑問に思わせないためにすぐに逃走に走ったが、本来なら敵は本当に四人で来たのか疑問に思うべきだったのだ。もっと大人数でダンジョンに入ったのか、本当に四人で入ってきたのかを。

 もし大人数なら伏兵がいる事を、四人なら自分たちより強者である事を考えるべきだったのだ。まぁ考えた所で、俺たちの方がはるかに大人数で、しかも個人でも圧倒的に強いのだから意味はないんだけどな!

 どういう風に戦うか報告を聞いていると、まずは追ってきている敵を分断させることから始めるそうだ。

 追われている四人を二つに分けてるようだ。十二人で追いかけていた敵兵はこっちの思惑通り、六人ずつに分かれて追いかけてきた。仲間の待っている部屋に片方の二人が飛び込み振り返ると、やっと逃げるのをやめたか!みたいなフラグを立てていた。

 入口側の壁に張り付いていた鬼人たちに気付かずに、ここまで言えばその後何が起こったか火を見るより明らかだった。何もできないままに意識を刈り取られ、奴隷の首輪をつけられた。次の六人も全く同じセリフを吐いて無力化された。一瞬リプレイかと思うような内容にあきれてしまったくらいだ。

 残った四人をどうやって倒すか気になっていたが、これは本当に真正面からたたき伏せるとの事だった。

 四対四で戦って今の階にいる敵の強さを測ってみるらしい。そこまでする必要があるのかはわからないけど、リュウにはリュウの考えがあるのだろう。

 四対四といったものの、パワーとスピードで勝る鬼人たちは、互いにターゲットを決めており力任せに仲間たちから引き離したのだ。その後は特に説明をすることも無く終わってしまった。弱すぎる!

 三十六階に到着して、ちょっとげんなりした。予想通りオークジェネラルなんちゃらって名前なんだもん! このダンジョン作ったマスターって、何を考えてこんな風にしたんだろうな。ゴブリンやオークフェチだったのだろうか?

 ファンタジーのゴブリンやオークといえば、どんな雌とでも子をなせる醜悪なものが多かったが、いわゆるそっち系の男優として女性を汁まみれにさせたかったとかそういう事だろうか?

 それにしてもジェネラルの強化種だけあって、本当に強くなっているのがわかるな。それにジェネラルだから頭がいいんだろうな、戦い方がうまくなっているんだよ。

 魔物にも知能があるんだろう、魔石の大きさで意外に頭の良さが決まったりして……ん? まてよ、魔石にクリエイトゴーレムで書ける命令って、大きさに依存してるけど、そういう事なのか?

 考えごとをしながら歩いていたら、危ないとピーチに叱られてしまった。ちょっとした段差に躓いて盛大に転んだからな。何とか顔面からは避けたけど、慌てて手をついてしまったので捻挫をしてしまったのだ。優しく回復してくれたけど、次には怒られてしまった。なんかしょんぼりだぜ。

 四十階に到着したので、中継点を作ってさらに下を目指す。今のスピードで進めれば四十五階に夕食前に到着できそうだからな。このダンジョン下に行けば行くほど広くなっているようだ。だから一階毎にかかる時間が増えいるのだ。

 俺たち程強ければサクサク降りてこれるけど、敵たちのレベルじゃここまで降りてくるのも、結構大変なはずなんだよね。荷物をどうしているのか気になったので確認してみたら、収納の鞄を持っていたのだ。

 容量は俺たちの収納の腕輪より若干大きい程度だが、それでも普通の人たちから見たら喉から手が出るほどうらやましい物なのだ。全部で五つ鹵獲できたので、俺の商会で使ってもらおう。俺たちのには使用者制限がかかっているが、この鞄には無かったのでちょうどよかった。

 さて四十一階には何が出てくるのかな? キングあたりが出てくるのか? そして四十一階に来て最初の部屋に到着する。

「へぇ?」

 あほっぽい声が出てしまった。でもねしょうがないと思うんだ。

 オーク程デカいゴブリンに、ゴブリンみたいに小さいオークはまだいい、オークの体にゴブリンの顔やゴブリンの体にオークの顔、オークサイズのゴブリンにゴブリンサイズのオークってなんだよ! なんかもう、カオスとしか言いようのない部屋なんだよ!

 そして気になるお名前は、オークゴブリン。

「どっちかはっきりしろやボケ!」

 って突っ込んだ俺は間違ってない! でもね、みんなは……俺の妻だよね? そんな冷たい目で見ないで! 俺にそっち系の趣味はないんだよ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

処理中です...