ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第221話 冒険者ギルドの緊張状態

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 捕らえた兵士達から話を聞いた。両軍で参戦したのは九七八人だったようだ。近隣から来た兵士だと思っていたら、八割近くが中央に近く、少し爵位の高い伯爵二人に派兵するように言われて来たそうだ。しかも貴族の子弟で固められたいわゆる、お飾り騎士団的なところの人間だそうだ。

 いらない貴族の子弟、三男以降の人間で固められていたようだ。色々そそのかされて出兵してきたんだろうな。貴族の子弟の中でも、金でレベルを上げたやつらなんだろうな。取り調べの態度見てれば、うんざりするほどよくわかる。しっかりと訓練していたであろう人間は、一人もいないようだ。

 お決まり通り、○○の街の領主の息子だぞ! こんなことをしていいのか? とか今なら罪に問わないから解放しろ! とか面白い事を言ってくれるもんだ。

「残念ながらお前たちに選択権はない、治療が間に合わなくて死んだ三十四人の方がもしかしたらよかったかもしれないな。のこのことここまで来たことを後悔して、残りの人生は犯罪奴隷として生きろ!」

 絶句してから汚い罵声を浴びせてくるが、そのたびに奴隷の首輪が反応して苦しんでいる。暫く経ってから絶望的な状況だとわかって、死んだような眼をしていた。

 話を聞くと騎士爵の最下層の貴族の三男以降の人間も多かった。こっちは親が伯爵に子供を売ったそうだ。食い扶持減らしか、だからと言って慈悲はないけどな。

 問題は冒険者三人だ。全員女獣人の奴隷だった。正確にはシングル冒険者だったが、冒険者ギルドの契約の隙をつかれて奴隷にされたらしい。

 強制依頼を発して達成できずに違約金として、莫大な借金を背負わせて奴隷落ちにさせられたらしい。ジャルジャンの冒険者ギルドで確認すると、四ヵ月前ほどにシングル冒険者が三名強制依頼失敗で奴隷になったことが確認が取れた。そのやり方がえげつなかった。

 夕食会に誘われて、一週間の内にある薬草を持ってきてほしいとの事だった。

 ある人物の生命にかかわる薬草だから絶対に取ってくるようにと。内容的にはBランクでも問題なくこなせる内容であったが、絶対に確保してほしいとの事で報酬をあげて、失敗した際の違約金を高くしたようだ。

 強制依頼なのに違約金って……人の生命がかかっているという事で、依頼を受けて食事を楽しんでいたら不意に意識を失ったそうだ。そう、毒を盛られたのである。

 それから気付いたら一週間たっており、依頼失敗で奴隷にされたらしい。しかも守るべきギルドマスターが伯爵と組んでおり、そのせいで助けも求められず。犯罪も犯していないのに犯罪奴隷として、過ごしてきたそうだ。

 見た目がいい三人だったため、兵士たちの欲望の捌け口にも使われていたらしい。あ~胸糞悪い! だがここで真実が露見して冒険者ギルドに知られたので、企んだ伯爵とギルドマスターは、親族全員排除される事となった。

 ジャルジャンの冒険者ギルドから、王国中央冒険者ギルドに通信魔道具で連絡が行き、真実が伝えられ王都にいたダブルの冒険者が三人と、王国騎士団団長率いる精鋭五〇〇人の騎士が動員されて、制圧に向かったのだ。

 中央に伝わってから出陣までにわずか五十七分……一時間足らずで出発したらしい。冒険者ギルドの本気を感じ取り、王国が配慮した結果だろうな。

 そうなると冒険者の扱いが変わってくるんだよな。ジャルジャンの冒険者ギルドで引き取るという話になった。だけど救ってくれた俺たちに対する報酬が現時点で払えないのに、引き取ると言われさすがにそれは了承できなかった。

 その際にフレデリクで起こった件を迂闊にも話してしまい、扉壊しを行ない殺人を犯したシュウであることがばれてしまった。そして、

「もしやと思っていたけど、ギルドマスターとして君たちを拘束せねばならなくなった。都市の生命線とも呼べる扉を壊し、住人を何人も殺した大罪人として王国から手配されているからな。ギルドとしては扉壊しの冒険者を野放しにはできないんだ。おとなしく捕まってくれ」

「冒険者ギルドは敵に回っていたか。一応あの扉壊しの真実を伝えておく、それで判断してもらおうか。それでも捕まえるか、それとも方針を変えるか……敵対するなら容赦はしないけどな」

 王国からの強制依頼で崩落した鉱山に行き殺されかけた事、そして鉱山を壊した罪に問われ国家反逆罪にされ、フレデリクの街に帰ってから国王直属の奴隷兵に暗殺されかけ、その際に扉を壊して脱出した事。

 その際に俺たちは住人の誰も殺していない事、住人に死亡者がいたならその奴隷兵が殺したであろう事を細かく説明する。そして最後に真実の目による犯罪の称号が全くない事を伝えた。

「冒険者ギルドは俺たちを一切守ってくれなかったぞ、死にかけたのに保障もなし。フェンリル討伐の際だって女の多い俺たちが断れないのに、品位のない冒険者までパーティーにいれ、何をされてもできればBランクのパーティーだから殺さないでほしいって言われたよ。

 でも指揮を執っていたシングルの冒険者が任務失敗の可能性があるって排除してくれたから助かったけどね」

 すこし話を盛ってフレデリクで起きた内容を語った。

「ちょっと待ってくれ、それは本当に事実なのか? さすがにそれはあり得ないだろう」

 俺の話したことに理解が追いついていないようだ。混乱しているわけではないが、さすがに冒険者ギルドでそんなことは無いと思っているらしいため、起きたことが理解不能なのだろう。

「信じるも信じないもあなたの自由だ。ただこのまま捕縛対象として見るのであれば、俺たちも覚悟を決めるさ。一応言っておくけど、俺は追っかけられるのが嫌でディストピアという街を作ったんだぜ」

 今すぐに判断できないと言われた。もし俺たちを敵対視するならしょうがないがジャルジャン側の砦は潰すしかないよな。今の話の流れで俺たちと敵対しても、ディストピアとの取引が続けられると思っているのならおめでたい話だよな。

 その前に奪取すればいいとか思われてたりしたら面倒だな。一応フェピーに話しておくか。何が変わるか知らないけどな。

 ここに残っていてもいざ何かがあったら困るので、砦の人間に伝言をするように頼んで出ていく。ギルドマスターにシングルの冒険者を置いていけだの、引き留められたが今すぐ判断できないのに残れ、というのは了承できないと突っぱねて帰ってきた。

 この獣人の冒険者たちをどうしようか? ツィード君に奴隷の首輪の制限を緩くしたものを準備してもらって付け直した。男の俺がかかわっても精神的な負担にしかならないので、すべて娘たちに任せることにした。同じ獣人の娘もいるので少しは安心してくれるだろう。俺の屋敷でのんびり過ごしてもらおう。

 しばらくは俺とレイリーは、うかつに屋敷を歩けないな。という事で、レイリーにはリリーがついて、俺には三幼女がついて注意しながらの移動になりそうだな。

 連絡や相談なら無線で何とでもなるし、この街を色々考えてくれるグリエルとダリア、老ドワーフたちの会議室は、俺の家からディストピアの中心となる庁舎に移動しているので、この家には俺とレイリー以外に男はいないのだ。

 しばらく三幼女と遊び倒そうかな? ゲームでもいいしダンジョン農園のビーチに遊び行ってもいいし、自由に過ごすか。
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