ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
219 / 2,518

第219話 ダンマススキルの拡張

しおりを挟む
 ディストピアの砦とヴローツマイン・グレッグ・ジャルジャンの砦が開通してから一ヶ月が過ぎた。まだディストピアの人間以外は使うことがないが、回数は少ないが各砦の兵士たちの練習にはなっているのではないだろうか?

 一応細かい事も決まってきているが、実際に俺たち以外の人間が利用してみないと、そこら辺の欠点はわからないだろう。住民の方の協力でいくつかの問題点が発見された。

 一番の問題は毒物の持ち込みだった。もし致死性の毒が持ち込まれた場合どうにもならないだろう。これの規制については当初方法が無いと考えられていたが、リンドが解決方法を出してくれた。

 この世界でも毒は問題になっており発見の魔道具は開発されていないが、人体に害のある物を通さない結界の魔道具は開発されたようだ。そっちの方が難しくないか? と思わなくないがあるという事なので使う事は決定した。

 そうなると次に問題が出てくるのが、毒物を調合できる人物の規制だ。そこは真実の目の拡張機能で特定のスキル持ちがわかるシステムを組み込んだ。

 とはいえ錬金術師や薬師も自分で現物を見たいと思うので、スキル持ちに関しては完全許可制にして、もし毒物を作成したり持ち込んだ場合は、問答無用で奴隷落ちもしくは処刑にする決まりを作った。

 二番目の問題として、商人や御者、登録された以外の人間や生物の持ち込みだ。いわゆる、奴隷などやましい事があって見えない位置に隠しての密入した場合の対処だ。

 奴隷自体はきちんと申請すれば問題ないのだが、奴隷に命令をして悪さをする輩がいないとも限らないため頭を悩ませたが、これに関してはことが起こってから対処以外今の所方法が浮かんでいなかった。

 人間以外の生物は馬車を引く馬以外は一切禁止という形にした。従魔はどうするかという話になったが、それは個別的に許可を出すかを決めることにした。

 もちろん密入しようとしたものや、させようとしたものはその時点で奴隷か処刑という事にした。

 最後に奴隷の首輪をどうするかという話が出たが、俺たちが全部を管理することは不可能だという結論になったので、ディストピアの住人のみを保護対象として、他の都市から来た人間が犯罪に巻き込まれても判明しない限りは、ノータッチで行くことになった。

 こっちの住人に関しては全員登録してあり、ディストピアの住人という称号が付くようにしている。他の街でも、登録制にしている町ではそういった称号が付くのだが、手間がかかるのでやっていないようだ。だけど、登録している人が奴隷にされると元○○の住人となるので、簡単に見つけられることが判明した。

 ただ、ディストピアの住人だけでなく、他の都市の人を無理やり奴隷にすれば、犯罪の称号が付くので出入り禁止になるのだけどな。

 ディストピアの住人に協力してもらったが、よくここまで色々考えることができるものだ。ただその考えが何処から来たか聞くと、ちょっと笑えてしまった。住人への娯楽のために作っていた図書館にある、フィクション系やファンタジー系の本だという事だった。

 この時ばかりは趣味部屋だけじゃなく、図書館にも本を置いてよかったと思っている。ちなみ図書館を作ったのはヴローツマインのダンジョンを攻略してからすぐだ。

 ダンジョンマスターとしての格が上がったためか、この世界のものでも元の世界の物でもカスタム機能で言語の変更ができるようになったからだ。しかも俺の自動翻訳のスキルと同レベルの性能なので、違和感なく読めるようだ。

 ダンマスが敵対ダンジョンを攻略してコアの制御を奪取した際、恩恵が予想以上に大きい気がするな。

 制御を奪ったコアのランクで経験値が決まっているとしても、敵対というか俺以外のダンマスが作ったダンジョンを制圧するのは悪くなさそうだな。いろんなところにダンジョンがあるのは知っているので、正確な情報を集めて近くに行くことがあったら乗っ取っておこう。

 ミリーからもたらされた情報で、王国で確認されているダンジョンの七割は、誰かによって一度は攻略されているとの事だ。コアは持ち帰れば高いが、冒険者ギルドを敵に回す行為なので誰もしないとの事だった。

 俺も知らなかったけど、ダンジョン攻略とは最下層のBOSSを倒すことを指すようで、ギルドから依頼されるか、ギルドに登録されているダンジョンのコアを持ち帰った場合は、シングル以上の冒険者であっても、同業者のシングル以上の冒険者を差し向けられるらしい、知らなかった。

 相手の能力もある程度は知られているので、相性のいい人間と過剰戦力と思われる人材が派遣されるんだろうな。俺も冒険者ギルドにシングル以上の戦力が送り込まれるのだろうか? フェンリルの際に来たシングルであれば、一ダースくらいなら倒せなくても撃退することは可能だろう。

 問題はダブル以上の冒険者かな? まぁ今のところ冒険者ギルドに刺客を送り込まれることはしてないし……街の扉を壊したのってギルドは関係ないよな?

 今更ながらに胃が痛くなる思いがした。不意に考えてしまったので、怖くなってしまった。スプリガンのメンバーを増やして各大国を監視するメンバーも増やそう。レベル二〇〇以上の者をマーキングしておこう。

 この機能もヴローツマインのダンジョンを攻略して手に入れた機能の一つだ。特定の人物や魔物を個別に光点の色を変更できるようになった。ただ、複数に適応できないのがめんどくさい。例えばバリス教の司祭とか選択して表示しても、1つ1つ光点をつけて行かなくてはいけないのでめんどくさかった。

 複数のタブレットを大きい液晶に映し出すことで対応している状況だ。新しく増えた際も対応がめんどくさいな。とりあえず遭遇しないように、外国へ行く際には密に連絡を入れてもらうようにしておこう。

 さて、不毛な事を考えてもしょうがないだろう。そろそろ他の街からの商人などの受け入れもしていかないといけないからな。通行料は決まったので、これから大変になっていくだろう。

 ディストピアで売り出す予定の物は、調味料や加工品、後はダンジョン産の繊維を使った生地に穀物あたりが中心になる予定だ。和紙は販売するつもりは今の所一切ない。後は塩や甘味のダンジョン産のハチミツ、やっと安定生産ができるようになった黒糖等だろうか?

 鉱山ダンジョンから産出される金属は今の所全部がドワーフたちによって加工されている。なんか鉄鉱石がいつの間にか鋼の武器に変わってたり、ミスリル鉱石が屑鉄になってたりしてる。

 きちんと金を払って買ってるから文句はないけど、その大量の不良在庫の武器どうすんだ? ドワーフって商売苦手なのか? 作ったら作りっぱなしなんだよな。これも個数限定で販売に出すか? 冒険者や護衛には売れるだろうな。

 ディストピア側の砦に人を受け入れ始めて二ヶ月ほどすると、ヴローツマイン経由で聖国側の中立都市ミューズから、なんでうちには地下道が来ていないんだ! とクレームの外交特使が来た。

 だってお前らの都市の隣って聖国じゃん、面倒事になるのはわかってるもん。まぁその内聖国をつぶすつもりなので。そろそろ地下道ひいておくか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...