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第169話 ディストピアの名産
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ヴローツマインの移住から約二ヶ月が過ぎた。獣人の子供たちは、ノーマンとガルドの訓練を終えダンジョンでの実地訓練に入っている。これについていく先輩たちは、年長組・年中組・ミリーと従魔たちの三組だ。
最終的に戦闘に耐えれると判断された六十人の子供と、戦奴二十四人の合計八十四人がダンジョンに入るメンバーとなった。残りの子は、年齢が一桁でさすがに無理やり戦闘に出すのは気が引けた。この子たちは、親がいたので一緒に生産系の活動の手伝いでもしてもらおう。
農奴と親たちは、塩の実験生産をしてもらっている。もちろん俺も一緒だ。ドワーフたちにはまず、釜炊き製塩する建物と製塩した塩を乾燥させる建物と棚、籠などを作成してもらった。
ライムとアリスの製塩魔道具も300個設置する。釜を70℃程でずっと炊き上げることのできる魔道具だ。釜炊き製塩の本には海水から炊き続けると釜が傷みやすいと書いてあったので、万能のアダマンタイトコーティング先生に頑張ってもらった。
数と大きさのせいもあったので、全部に施すのに十日程かかった。MPポーションと呼ばれる回復薬は不味いので緊急時以外は飲みたくない!
製塩に協力してくれるのは、ジャルジャンからの二十八人の親とヴローツマインからの農奴を含めた大人一二五人、リンド、俺、ブラウニーで新しく召喚した三十人、シルキーの四人、合計一八九人で試みる。
製塩のためには丸三日は炊き続けないといけないらしい。実験できる釜が一日あたりで一〇〇釜分あるので色々試してみよう。水を汲んで運ぶのは大変なのはわかっていたので、ポンプ式の魔道具も開発してもらっていた。
アリスとライムが万能すぎる。原理は簡単なんだけどね。湖の深海二〇〇m程の深層水をくみ上げるために、パイプを召喚して端からアダマンタイトコーティングを施して沈め、くみ取る場所にはマイクのような網網を付けてある。
くみ上げる魔道具は複雑なシステムではなく、パイプの中でスクリューを回して流れを作ってくみ上げた海水をホースを通して釜に運ぶ感じだ。釜に注ぐ前に布で簡単に濾していく。
二十四時間ついていないといけないので六時間ずつの四交代で持ち回りで見てもらうことにする。俺は自由に動く感じで、しっかりと製塩について学んだシルキーたちに監督してもらう予定だ。釜に熱を入れて、海水を注いでいく……二時間もすると蒸し風呂みたいになってしまった。
さすがにこの環境で六時間耐久は厳しいな。換気がしやすいつくりにはしてもらったがこれは拙いな。
常に近くに全員いなきゃいけないわけじゃないから、足湯ならぬ足を水につけられる場所と、水分補給できるようにウォーターサーバー的なものを用意しよう。汗をかいた後だから塩分を補給できるように工夫したものや果実水だ! もちろん飲み放題!
一日目は特に釜の中に灰汁のようなものが浮いてきたので綺麗に排除していく。
二日目の昼頃になると鍋の底に結晶のようなものが出来てきた。それを見た時に全員で喜んでしまった。暑いくらいで大して苦労はしてないが、塩ができるのはうれしかった。ただ、ここからはしっかりと塩の状態を確認しないと、こげてしまうことがあるらしい。
三日目の夕方になると、かなりの量の塩の結晶が鍋の底にできていた。みんなで少しずつなめてみたが、天日干しなどの工程をしてない上に、ニガリが結構な量ついたまま舐めたため苦い塩だった。
四日目の朝、釜炊きを始めて七十時間が超えたところで塩の釜揚げをする。そのまま天日干しにするとニガリの部分も一緒に乾かしてしまい美味くない塩ができてしまうので、これから一週間くらいはニガリ切りのために、脱水機で寝かせる。
十日目になり、寝かせておいた塩を天日干しする過程に入る。屋根は光を通しやすいようにガラスをはめた天井だ。そこの棚に所狭しと塩を広げる乾燥作業に入る。
十四日目、やっと塩が完成する。二〇〇リットル入りの窯一〇〇個を稼働させ作った、塩の量約二〇〇キログラム程だった。理論上一リットルの海水から二十五グラム近くの塩を精製できるのだが、今回は一リットルあたり十グラム程しか精製できなかった事になる。
あくまで理論上なのでそう上手くいくものではない。理論上の四十パーセントでも釜が大量にあるので、製塩に関しては問題ないと思われる。釜炊きの方は六日間稼働させて、全部の窯を二回使っている。アダマンタイトコーティングされた釜は、掃除も簡単だったのはありがたい誤算だった。
初めて製塩した塩を使って味の確認をしよう。
という事で今日はバーベキュー大会じゃ! ディストピアにいる住人全員で試食会をすることにした。酒もジュースも大量に準備してだ。もちろんダンジョン農園から野菜や肉、魚介類も放出する!
やっぱり塩を楽しむなら、焼き鳥が簡単かな? バーベキューに使う炭火は俺たちが製塩しているときに、ドワーフたちが窯を作り焼いてくれていたのだ。鍛冶にも使うらしく大量にあった木材を使い用意してくれていた炭を使ってバーベキューが開始される。
トップバッターはもちろん焼き鳥の塩味だ。みんなで作った塩の味を料理で確認するのだ。ちなみに鳥は肉ダンジョンの魔物の物だ。それをシルキーたちが指揮して調理をしてくれたのだ。
みんなで焼かれた焼き鳥を「いただきます」の合図で一斉に食する。
うん、ただただ塩化ナトリウムだけを抽出しただけの塩より確実に上手い! どんなものでも多少雑味がある方が美味しく感じるのだ。お米もただうま味だけを追求したお米より、多少苦味などがあるお米のほうが後味が美味しく感じるらしい。なんかのテレビで見た知識だけどな!
塩を一緒に作ったメンバーは、塩を食べて涙ぐんでいる。自分で作ったものを食べるっておいしいよね。
「塩を作ってくれたみんな本当にお疲れ様。今日はこの街で初めて作った塩の試食会だ。今までの塩と多分味が違うと思うけどわかるかな? 今まで海水から作っていた塩が美味しくないって言われてたけど、きちんと手順を踏んで作るとここまでおいしくなるんだ。
この街の名産の一つにするつもりだから、大変な作業だけど頑張ってほしい。住人の数が増えてくればまた違うこともできるけどしばらくは、現状維持になると思う。みんなで頑張っていこう」
焼き鳥の試食会が終わり、本格的なバーベキュー大会になった。
今回の味付けは、塩コショウが中心だがみんなに不満はなさそうだった。特に今回は初めて作ったビールもふるまっている。ドワーフにも他の大人にも人気だった。
これも名産にできるかもな。確か植物ダンジョンに大麦が自生エリアがあったり、大麦をドロップする魔物もいるので、安定供給が可能になったらビールをヴローツマインに輸出するか。
夜中までみんなで騒ぎ、初めて作った塩をみんなで堪能した。明日は、みんな休日にしてのびのびしてもらおうか。最近バタバタしてたからな。これで塩の精製の流れは問題ないので、ブラウニーの何人かに監督してもらいしばらくは様子を見てみよう。
派遣するメンバーを増やさないと新人組が可哀そうだから、早めに育成計画を立てないと。
そろそろヴローツマインの奴隷商に行ってみるかな? ジャルジャンにも顔出さないと、フェピーに文句言われそうだな。色々押し付けた後放置してたもんな。付き合いが増えるとめんどくさいけどしっかりやらないとな。
最終的に戦闘に耐えれると判断された六十人の子供と、戦奴二十四人の合計八十四人がダンジョンに入るメンバーとなった。残りの子は、年齢が一桁でさすがに無理やり戦闘に出すのは気が引けた。この子たちは、親がいたので一緒に生産系の活動の手伝いでもしてもらおう。
農奴と親たちは、塩の実験生産をしてもらっている。もちろん俺も一緒だ。ドワーフたちにはまず、釜炊き製塩する建物と製塩した塩を乾燥させる建物と棚、籠などを作成してもらった。
ライムとアリスの製塩魔道具も300個設置する。釜を70℃程でずっと炊き上げることのできる魔道具だ。釜炊き製塩の本には海水から炊き続けると釜が傷みやすいと書いてあったので、万能のアダマンタイトコーティング先生に頑張ってもらった。
数と大きさのせいもあったので、全部に施すのに十日程かかった。MPポーションと呼ばれる回復薬は不味いので緊急時以外は飲みたくない!
製塩に協力してくれるのは、ジャルジャンからの二十八人の親とヴローツマインからの農奴を含めた大人一二五人、リンド、俺、ブラウニーで新しく召喚した三十人、シルキーの四人、合計一八九人で試みる。
製塩のためには丸三日は炊き続けないといけないらしい。実験できる釜が一日あたりで一〇〇釜分あるので色々試してみよう。水を汲んで運ぶのは大変なのはわかっていたので、ポンプ式の魔道具も開発してもらっていた。
アリスとライムが万能すぎる。原理は簡単なんだけどね。湖の深海二〇〇m程の深層水をくみ上げるために、パイプを召喚して端からアダマンタイトコーティングを施して沈め、くみ取る場所にはマイクのような網網を付けてある。
くみ上げる魔道具は複雑なシステムではなく、パイプの中でスクリューを回して流れを作ってくみ上げた海水をホースを通して釜に運ぶ感じだ。釜に注ぐ前に布で簡単に濾していく。
二十四時間ついていないといけないので六時間ずつの四交代で持ち回りで見てもらうことにする。俺は自由に動く感じで、しっかりと製塩について学んだシルキーたちに監督してもらう予定だ。釜に熱を入れて、海水を注いでいく……二時間もすると蒸し風呂みたいになってしまった。
さすがにこの環境で六時間耐久は厳しいな。換気がしやすいつくりにはしてもらったがこれは拙いな。
常に近くに全員いなきゃいけないわけじゃないから、足湯ならぬ足を水につけられる場所と、水分補給できるようにウォーターサーバー的なものを用意しよう。汗をかいた後だから塩分を補給できるように工夫したものや果実水だ! もちろん飲み放題!
一日目は特に釜の中に灰汁のようなものが浮いてきたので綺麗に排除していく。
二日目の昼頃になると鍋の底に結晶のようなものが出来てきた。それを見た時に全員で喜んでしまった。暑いくらいで大して苦労はしてないが、塩ができるのはうれしかった。ただ、ここからはしっかりと塩の状態を確認しないと、こげてしまうことがあるらしい。
三日目の夕方になると、かなりの量の塩の結晶が鍋の底にできていた。みんなで少しずつなめてみたが、天日干しなどの工程をしてない上に、ニガリが結構な量ついたまま舐めたため苦い塩だった。
四日目の朝、釜炊きを始めて七十時間が超えたところで塩の釜揚げをする。そのまま天日干しにするとニガリの部分も一緒に乾かしてしまい美味くない塩ができてしまうので、これから一週間くらいはニガリ切りのために、脱水機で寝かせる。
十日目になり、寝かせておいた塩を天日干しする過程に入る。屋根は光を通しやすいようにガラスをはめた天井だ。そこの棚に所狭しと塩を広げる乾燥作業に入る。
十四日目、やっと塩が完成する。二〇〇リットル入りの窯一〇〇個を稼働させ作った、塩の量約二〇〇キログラム程だった。理論上一リットルの海水から二十五グラム近くの塩を精製できるのだが、今回は一リットルあたり十グラム程しか精製できなかった事になる。
あくまで理論上なのでそう上手くいくものではない。理論上の四十パーセントでも釜が大量にあるので、製塩に関しては問題ないと思われる。釜炊きの方は六日間稼働させて、全部の窯を二回使っている。アダマンタイトコーティングされた釜は、掃除も簡単だったのはありがたい誤算だった。
初めて製塩した塩を使って味の確認をしよう。
という事で今日はバーベキュー大会じゃ! ディストピアにいる住人全員で試食会をすることにした。酒もジュースも大量に準備してだ。もちろんダンジョン農園から野菜や肉、魚介類も放出する!
やっぱり塩を楽しむなら、焼き鳥が簡単かな? バーベキューに使う炭火は俺たちが製塩しているときに、ドワーフたちが窯を作り焼いてくれていたのだ。鍛冶にも使うらしく大量にあった木材を使い用意してくれていた炭を使ってバーベキューが開始される。
トップバッターはもちろん焼き鳥の塩味だ。みんなで作った塩の味を料理で確認するのだ。ちなみに鳥は肉ダンジョンの魔物の物だ。それをシルキーたちが指揮して調理をしてくれたのだ。
みんなで焼かれた焼き鳥を「いただきます」の合図で一斉に食する。
うん、ただただ塩化ナトリウムだけを抽出しただけの塩より確実に上手い! どんなものでも多少雑味がある方が美味しく感じるのだ。お米もただうま味だけを追求したお米より、多少苦味などがあるお米のほうが後味が美味しく感じるらしい。なんかのテレビで見た知識だけどな!
塩を一緒に作ったメンバーは、塩を食べて涙ぐんでいる。自分で作ったものを食べるっておいしいよね。
「塩を作ってくれたみんな本当にお疲れ様。今日はこの街で初めて作った塩の試食会だ。今までの塩と多分味が違うと思うけどわかるかな? 今まで海水から作っていた塩が美味しくないって言われてたけど、きちんと手順を踏んで作るとここまでおいしくなるんだ。
この街の名産の一つにするつもりだから、大変な作業だけど頑張ってほしい。住人の数が増えてくればまた違うこともできるけどしばらくは、現状維持になると思う。みんなで頑張っていこう」
焼き鳥の試食会が終わり、本格的なバーベキュー大会になった。
今回の味付けは、塩コショウが中心だがみんなに不満はなさそうだった。特に今回は初めて作ったビールもふるまっている。ドワーフにも他の大人にも人気だった。
これも名産にできるかもな。確か植物ダンジョンに大麦が自生エリアがあったり、大麦をドロップする魔物もいるので、安定供給が可能になったらビールをヴローツマインに輸出するか。
夜中までみんなで騒ぎ、初めて作った塩をみんなで堪能した。明日は、みんな休日にしてのびのびしてもらおうか。最近バタバタしてたからな。これで塩の精製の流れは問題ないので、ブラウニーの何人かに監督してもらいしばらくは様子を見てみよう。
派遣するメンバーを増やさないと新人組が可哀そうだから、早めに育成計画を立てないと。
そろそろヴローツマインの奴隷商に行ってみるかな? ジャルジャンにも顔出さないと、フェピーに文句言われそうだな。色々押し付けた後放置してたもんな。付き合いが増えるとめんどくさいけどしっかりやらないとな。
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