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第143話 類(ゲス)は友(ゲス)を呼ぶ
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うとうとしてると、下からガヤガヤとした声が聞こえてきた。
どうやら準備ができて、ジャルジャンに戻る人が集まってきたようだ。わかった理由は簡単、イリアが俺を呼びに来たからだ。ミドリに使ったベッドとかをしまってもらうように伝言してもらう。
「ご主人様、起きられましたか? ジャルジャンに帰る人たちの準備が終わったようなので、こちらに来られたようです。ミドリさんが戻ってくれば私たちも準備完了です」
「って事は、シビルさんも来てるって事だよな。ちょっと聞きたいことがあるんだけど何処にいるかわかる?」
ここに来ているが正確な場所まではわからなかったが、この周辺にはいるだろうとの事だ。倉庫の外に出て周辺を見渡すと、シビルさんの姿が見えた。
「シビルさん少しいいですか? 昨日バレずに慰謝料をいただいてきましたけど、それがこの街に残ってるジャルジャンの人たちに迷惑がかかりませんか?」
「あ~気になる所だと思うけど、特に問題ないですよ。私たちがここから出れなかったのは、冒険者ギルドに依頼しても受けてもらえず、仕方がなくここを借りて商売してただけですから。それと一部の方って言ったのは、私たちとのつながりを知られていないスパイみたいな人がいるってことです」
ふむふむ、仕方がなく借りて商売してたにしては、この家と倉庫デカすぎねえか? それしか貸してもらえなかったとか? なんか真実に近いっぽいな。デカい倉庫のおかげで塩を結構な量貯めておけたのだろう、量にして十トン以上の塩があったんだからこれでしばらく持つかな?
「じゃぁ気にしなくていいんですね。俺たちも準備できましたので出発しましょうか。俺達の馬車を先頭にすると移動速度の問題で引き離してしまうので、先頭はそちらの馬車でお願いします。二台目と最後尾は俺たちの馬車でいきますのでそれでいいですか?」
「問題ありませんが、今日は少し日が落ちても、進ませてもらっていいですか? できる限り明日の内に着きたいと思っていますので」
シビルの言う事に納得して、休憩や野営のタイミングは任せる事にした。キッチン馬車が最後尾に着くが、それだと何かが攻めてきた時に対応しきれないので、キッチン馬車の上にクッションをひいてコタツを設置して見張りができるようにした。
ちなみにまわりから見ても机がある以外は分からない様になっている。何て贅沢な見張り台だろうか。
時間もないのでさっさと出発しよう。先頭の御者に出発するように伝えると門へ向かって馬車が動き出す。今回俺のポジションは、晴れているのでキッチン馬車の上、コタツ付き見張り台だ。前の馬車はシュリにリーダーを任せている。まぁ何かあっても無線でやり取りできるので問題は何もない。
門に向かって進んでいると、昨日に比べ街の中が騒がしい気がしなくもない。昼だから食事時なのかな? とノンビリ考えていたら、兵士の一団が門の前で何かしているのが見えた。嫌な予感しかしねえな。
「おぃ、そこの商隊止まれ!」
先頭の馬車に乗っていたシビルが対応をしてくれた。
「なんでしょうか? 出発が遅れているのでこれ以上遅くなると困るのですが、何かあったのですか?」
「何があったかは言えん。とりあえず、馬車の荷物を確認させてもらう。荷物を見せろ」
「さすがにそれは、横暴だと思いますよ? 大事な商品をグチャグチャにされても困ります。あった場所に綺麗に荷物を積みなおしてくださるのであれば、お見せいたしますがどうなさいますか?」
「何で俺たちが荷物を直さなきゃいけない? それは自分たちでやれ、だが荷物は見せてもらうぞ!」
「しょうがないですね。荷物の開封には商隊の人間がいる前で行ってください。グチャグチャにするのもなしですよ」
シビルにグチグチと文句を言いながら荷物の確認を始める。リーダーらしき人物がシュリたちが乗っている馬車に近づき荷物を確認するようだ。俺たちの馬車には偽装として食材を多く積み込んでいる。日持ちのする食べ物中心だ。
「お? 可愛い娘がいるじゃないか、しかも奴隷か? ちょっとお前らこっちこい。向こうで検査する」
またか! 可愛い娘を見ると何でこうやって、卑猥なことを考える奴らが多い。
「そこの兵士、どこに連れてく気だ?」
「なんだお前? 俺たちの邪魔をして捕まりたいのか?」
「は? 何も邪魔してねえだろ! 俺の女が連れてかれそうだったから声かけただけだし」
「お前のか? じゃぁ少し貸せそうしたらここを通してやるよ」
「ふざけろ! 断る。俺の女に触れるな、離れろ!」
「あぁ? 殺されたいようだな。仕事の邪魔をしたやつを処刑する」
剣を抜いて俺の方に向かって来た。そうするとシュリがそっと俺の前に降り立つ。
「シビルさん、これってこの街では普通ですか?」
肯定の意が返ってきた。うがぁぁぁぁぁぁ! ヒキガエルに連なるやつら全員クズかよ! もうめんどくなってきた。
「シビルさん、荷物さっさと回収するからやっちゃっていい?」
「仕方がないですね、しっかり守ってくださいよ」
「許可でました。シュリ兵士を一か所に集めてくれ。イリア、ヒキガエルに使った精霊魔法の準備よろしく。クシュリナ・シェリル、門閉められたら破壊しろ。残りのメンバーは荷物回収急げ! 商隊の皆さんはそのまま進んでください」
俺の指示を聞いて全員が動き出す。シュリはアンカーチェインバーストでさくっと、兵士たちを繋ぎとめる。有り余る力で強引に引っ張り一か所にまとめ上げた。兵士たちは自分たちの体がわけのわからない力で動かされて困惑していた。
そこに俺は、殺気を込めた挑発を行うと全員が引きつった顔をしていた。こいつら実戦知らずで、逆らう人間がいなかったから、自分たちが強いと錯覚してたタイプか。イリアの精霊魔法が発動し兵士たちが、全員異臭を放つ塊になった。
ペインバースト恐るべし。痛みを直接脳に叩き込む魔法らしい、レベル差がないと効果はあまり無いが、離れているとこういう風になるようだ。
出発した馬車を追いかけ移動する。馬車の方にはニコとハクを付けてるから、何かあっても問題ないだろう。門は壊れてないな、無事に外にでれたようだ。目撃者? というか兵士は全員糞尿まみれになっているので、閉める人間がいないだけか?
さっさと馬車を追っかけるか。キリエに移動を補助するバフをかけてもらい行動を開始する。マップ先生で馬車までの距離を調べると一キロメートル程あった。
時速十五から二十キロメートルってとこだから、このペースで走れば十分もかからないだろう。全力疾走する理由もないので、ほどほどのペースで走ることにした。
馬車に追いつくと、シビルさんが事情を聴いてきた。
俺は簡潔に説明した。娘たちがどこかに連れていかれ、いかがわしい事をされる危険があったのでキレたと。あきれた顔をされたが、そういう理由ならしょうがないと苦笑を漏らされた。
さすがに依頼人に危険が及ぶ行為だったので、報酬額を半分ほどに下げてもらうようにお願いした。
ジャルジャンに帰れることが奇跡に近いので気にしないと言われたが、仕事として引き受けたのにこちらの事情で巻き込んでしまったためと押し切った。
追撃の部隊が出てこないか心配だったのでそこら辺を聞いてみると、今スグに動ける部隊はないのでは? とのことだった。そこまで兵士の数は多くないし、街の治安維持や門番に残しておかないといけないので、追って来れるだけの余力は無いらしい。
それに盗まれたものが馬車に収まりきるわけもなく、街の外にでた私たちを追ってくることは無いと思われると。確かにその通りだな。
日が落ちたが、まだ道のりの半分まで来ていないので、俺たちが魔法で明かりを作り夜の道を進んでいく。馬車をひく馬たちに疲労の色が見えてきたので、キリエにお願いして回復魔法をかけてもらった。
日が沈んで一時間ほど進んで目標の場所まで到達できた。食事の準備を始めるが、俺達以外のジャルジャンのメンバーは干し肉や堅パンで、済ませようとしていたのでさすがにそれは良くないと思い、ミドリにストックしておいた野菜スープを使ってシチューを作ってもらいふるまった。
今回は俺たちが護衛役だから、見張りに着く順番を決めて体を休める事にした。
どうやら準備ができて、ジャルジャンに戻る人が集まってきたようだ。わかった理由は簡単、イリアが俺を呼びに来たからだ。ミドリに使ったベッドとかをしまってもらうように伝言してもらう。
「ご主人様、起きられましたか? ジャルジャンに帰る人たちの準備が終わったようなので、こちらに来られたようです。ミドリさんが戻ってくれば私たちも準備完了です」
「って事は、シビルさんも来てるって事だよな。ちょっと聞きたいことがあるんだけど何処にいるかわかる?」
ここに来ているが正確な場所まではわからなかったが、この周辺にはいるだろうとの事だ。倉庫の外に出て周辺を見渡すと、シビルさんの姿が見えた。
「シビルさん少しいいですか? 昨日バレずに慰謝料をいただいてきましたけど、それがこの街に残ってるジャルジャンの人たちに迷惑がかかりませんか?」
「あ~気になる所だと思うけど、特に問題ないですよ。私たちがここから出れなかったのは、冒険者ギルドに依頼しても受けてもらえず、仕方がなくここを借りて商売してただけですから。それと一部の方って言ったのは、私たちとのつながりを知られていないスパイみたいな人がいるってことです」
ふむふむ、仕方がなく借りて商売してたにしては、この家と倉庫デカすぎねえか? それしか貸してもらえなかったとか? なんか真実に近いっぽいな。デカい倉庫のおかげで塩を結構な量貯めておけたのだろう、量にして十トン以上の塩があったんだからこれでしばらく持つかな?
「じゃぁ気にしなくていいんですね。俺たちも準備できましたので出発しましょうか。俺達の馬車を先頭にすると移動速度の問題で引き離してしまうので、先頭はそちらの馬車でお願いします。二台目と最後尾は俺たちの馬車でいきますのでそれでいいですか?」
「問題ありませんが、今日は少し日が落ちても、進ませてもらっていいですか? できる限り明日の内に着きたいと思っていますので」
シビルの言う事に納得して、休憩や野営のタイミングは任せる事にした。キッチン馬車が最後尾に着くが、それだと何かが攻めてきた時に対応しきれないので、キッチン馬車の上にクッションをひいてコタツを設置して見張りができるようにした。
ちなみにまわりから見ても机がある以外は分からない様になっている。何て贅沢な見張り台だろうか。
時間もないのでさっさと出発しよう。先頭の御者に出発するように伝えると門へ向かって馬車が動き出す。今回俺のポジションは、晴れているのでキッチン馬車の上、コタツ付き見張り台だ。前の馬車はシュリにリーダーを任せている。まぁ何かあっても無線でやり取りできるので問題は何もない。
門に向かって進んでいると、昨日に比べ街の中が騒がしい気がしなくもない。昼だから食事時なのかな? とノンビリ考えていたら、兵士の一団が門の前で何かしているのが見えた。嫌な予感しかしねえな。
「おぃ、そこの商隊止まれ!」
先頭の馬車に乗っていたシビルが対応をしてくれた。
「なんでしょうか? 出発が遅れているのでこれ以上遅くなると困るのですが、何かあったのですか?」
「何があったかは言えん。とりあえず、馬車の荷物を確認させてもらう。荷物を見せろ」
「さすがにそれは、横暴だと思いますよ? 大事な商品をグチャグチャにされても困ります。あった場所に綺麗に荷物を積みなおしてくださるのであれば、お見せいたしますがどうなさいますか?」
「何で俺たちが荷物を直さなきゃいけない? それは自分たちでやれ、だが荷物は見せてもらうぞ!」
「しょうがないですね。荷物の開封には商隊の人間がいる前で行ってください。グチャグチャにするのもなしですよ」
シビルにグチグチと文句を言いながら荷物の確認を始める。リーダーらしき人物がシュリたちが乗っている馬車に近づき荷物を確認するようだ。俺たちの馬車には偽装として食材を多く積み込んでいる。日持ちのする食べ物中心だ。
「お? 可愛い娘がいるじゃないか、しかも奴隷か? ちょっとお前らこっちこい。向こうで検査する」
またか! 可愛い娘を見ると何でこうやって、卑猥なことを考える奴らが多い。
「そこの兵士、どこに連れてく気だ?」
「なんだお前? 俺たちの邪魔をして捕まりたいのか?」
「は? 何も邪魔してねえだろ! 俺の女が連れてかれそうだったから声かけただけだし」
「お前のか? じゃぁ少し貸せそうしたらここを通してやるよ」
「ふざけろ! 断る。俺の女に触れるな、離れろ!」
「あぁ? 殺されたいようだな。仕事の邪魔をしたやつを処刑する」
剣を抜いて俺の方に向かって来た。そうするとシュリがそっと俺の前に降り立つ。
「シビルさん、これってこの街では普通ですか?」
肯定の意が返ってきた。うがぁぁぁぁぁぁ! ヒキガエルに連なるやつら全員クズかよ! もうめんどくなってきた。
「シビルさん、荷物さっさと回収するからやっちゃっていい?」
「仕方がないですね、しっかり守ってくださいよ」
「許可でました。シュリ兵士を一か所に集めてくれ。イリア、ヒキガエルに使った精霊魔法の準備よろしく。クシュリナ・シェリル、門閉められたら破壊しろ。残りのメンバーは荷物回収急げ! 商隊の皆さんはそのまま進んでください」
俺の指示を聞いて全員が動き出す。シュリはアンカーチェインバーストでさくっと、兵士たちを繋ぎとめる。有り余る力で強引に引っ張り一か所にまとめ上げた。兵士たちは自分たちの体がわけのわからない力で動かされて困惑していた。
そこに俺は、殺気を込めた挑発を行うと全員が引きつった顔をしていた。こいつら実戦知らずで、逆らう人間がいなかったから、自分たちが強いと錯覚してたタイプか。イリアの精霊魔法が発動し兵士たちが、全員異臭を放つ塊になった。
ペインバースト恐るべし。痛みを直接脳に叩き込む魔法らしい、レベル差がないと効果はあまり無いが、離れているとこういう風になるようだ。
出発した馬車を追いかけ移動する。馬車の方にはニコとハクを付けてるから、何かあっても問題ないだろう。門は壊れてないな、無事に外にでれたようだ。目撃者? というか兵士は全員糞尿まみれになっているので、閉める人間がいないだけか?
さっさと馬車を追っかけるか。キリエに移動を補助するバフをかけてもらい行動を開始する。マップ先生で馬車までの距離を調べると一キロメートル程あった。
時速十五から二十キロメートルってとこだから、このペースで走れば十分もかからないだろう。全力疾走する理由もないので、ほどほどのペースで走ることにした。
馬車に追いつくと、シビルさんが事情を聴いてきた。
俺は簡潔に説明した。娘たちがどこかに連れていかれ、いかがわしい事をされる危険があったのでキレたと。あきれた顔をされたが、そういう理由ならしょうがないと苦笑を漏らされた。
さすがに依頼人に危険が及ぶ行為だったので、報酬額を半分ほどに下げてもらうようにお願いした。
ジャルジャンに帰れることが奇跡に近いので気にしないと言われたが、仕事として引き受けたのにこちらの事情で巻き込んでしまったためと押し切った。
追撃の部隊が出てこないか心配だったのでそこら辺を聞いてみると、今スグに動ける部隊はないのでは? とのことだった。そこまで兵士の数は多くないし、街の治安維持や門番に残しておかないといけないので、追って来れるだけの余力は無いらしい。
それに盗まれたものが馬車に収まりきるわけもなく、街の外にでた私たちを追ってくることは無いと思われると。確かにその通りだな。
日が落ちたが、まだ道のりの半分まで来ていないので、俺たちが魔法で明かりを作り夜の道を進んでいく。馬車をひく馬たちに疲労の色が見えてきたので、キリエにお願いして回復魔法をかけてもらった。
日が沈んで一時間ほど進んで目標の場所まで到達できた。食事の準備を始めるが、俺達以外のジャルジャンのメンバーは干し肉や堅パンで、済ませようとしていたのでさすがにそれは良くないと思い、ミドリにストックしておいた野菜スープを使ってシチューを作ってもらいふるまった。
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