119 / 2,518
第119話 襲撃者
しおりを挟む
ドンドンッ
俺の部屋の扉を叩く音がする。今日は趣味部屋ではなく、初めに作った自分の部屋で猫たちと寝ていた。その扉を強く叩く音に目を覚まして、扉を開けると
「ご主人様、結界を破ろうとしているモノがいます。相手の技量は高そうですが、今のところ突破される恐れはありません。いかがいたしましょう?」
メイから衝撃の告白があった。まじか、マップ先生で家の周辺を確認するが、襲撃者らしき人物の影がない。阻害系はマップ先生をごまかすタイプのアイテムだったみたいだ。それにしても予想より動くのが大分早いな。
しばらくは時間があると思ってたのにな。あれ? 街の外に十人程の集団が東西南北の門を出たとこに待機してる。しまったな、おそらくこいつら街道じゃなくて、雪の積もってる街道から外れたところを移動してきたんだな。
周辺を掌握しているけど、森やあまり街道から離れた位置までは掌握していないのだ。
「全員起こしてくれ、娘たちは一番防御力の高い戦闘メイド服を着るように伝えてくれ。後、武器は対魔物用を許可。レイリーには準備の前に、奴隷一家をここまで連れてくるように。農家の一家は地下道を通ってくるように言ってくれ。準備ができ次第、馬車にウォーホースをつけてくれ」
俺は従魔たちを起こして、戦闘準備をさせる。久々にリビングアーマー(アダマンタイト)君たちを活用しよう。戦闘技術が通用するかわからないが、こいつら六体はおそらく壊せないだろう。ただ、壊せないと倒せない、リビングアーマーにとっては別なんだけどな。
HPみたいなのが存在して、それが0になると動かなくなってしまい死んでしまうのだ。リビングアーマーは、鎧の素材とLvでHPの総量が決まることは判明しているので、アダマンタイト製のリビングアーマーは、殴って倒すにはとにかく時間がかかる。
シルキーたちの寝床へ行き、全員をたたき起こす。全員がまだ眠いと言いながら、俺がDPで出してあげた抱き枕にしがみついていた。
コバルトにいたっては、「もっとやさしくして~~」と色っぽい声を出しているが、見た目が小さいのでそれで色気は台無しだった。状況を説明すると、キリッとした表情になりテキパキと準備を始めた。
俺が指示をしてから約三十分後、全員の支度が終わりいつでも出発できる状況だった。
「夜中にごめんね、今家の外にケープマインで襲われた集団と同じ所属のやつらが、メイたちの結界を解除しようとしているみたいだ。当分突破されることは無いけど、昼間に馬車を走らせてあいつらと一戦交えるとなると、街や住人への被害も大きくなると思われます。今から正面突破して移動しようと思います」
そのまま、言葉を続ける。
「門から出たらおそらく、五十人程の相手をしないといけなくなるはず、ミリーさんと三家族は絶対に馬車から出ないでください。後新人組も戦闘に参加は危険だから、馬車を誘導してください。
今結界を突破しようとしている集団は、リビングアーマーに任せてその隙に門に向かいます。おそらく途中で気付かれるので、戦闘しながら門をでます」
説明していると、ミリーさんが手を上げたので発言を許可する。
「えっと、門が閉まってるけどどうなさるんですか? え? 私何か変なこと言いました?」
ミリーさんが俺に質問すると、娘たちは新人を含めて「何言ってるの?」という表情をしていたため、ミリーさんがあたふたした様子だった。
「門は、破壊して突破します。もう、国家反逆罪は決定事項だと思うので、邪魔するものは実力で排除していきます。ただ、相手も強いので手加減は無しで行きます。
襲撃者全員倒して何とか脱出します。今家の前に来ているやつら以外は、前回と同等と考えていい、でも家の前に来ているやつらは、どの程度かわからないけどかなり強いと思われるので、一対一では対峙しないように!」
結界は範囲内に結界維持者がいないと解除されてしまうため、今回連れて行く予定だった四大精霊のガルド・アクア・メイはここに残ってもらい結界の維持をしてもらうことになった。キャスリングするときに、この敷地内に人がいると困るので予定を変更して残ってもらうのだ。
できるなら俺たちが門を突破するまで、気が付かないでもらいたいところだ。
シルクとツィードは一緒に来てもらう予定だ。運よくリーダー格でも捕らえることができれば、情報を引き出してもいいかと思っている。
「気配的には畑や正面の方に集まってるから、裏から学校や商店のある方から見えない道を選んで門に向かいます。メイ、もし気付かれたらすぐに連絡をしてくれ。移動を開始する。リビングアーマーたち、正面の不届き者共の相手をしてやれ、可能なら倒してしまってもかまわないぞ」
フレデリクの街の家は、正面からしか出入りできない様に見えるが、南にある学校・商店・食堂のある南側へは馬車でも移動できるようにしている。周りの家より塀を高くしてあるので馬車の移動も目につかないはずだ。
西側へ行くと畑がありそこまで高い塀は、無いので馬車を移動させるのが見えてしまう。襲撃者から離れるためにも東側の通路を進んでいく。順調に進んでいくと、門までもう少しの所で違うトラブルが起きてしまった。
「おいお前たち、こんな時間になんで馬車を動かしている! 馬車を止めて顔を見せろ!」
こんな時に限って巡回兵がいい仕事してるよ。おそらくこいつらのせいで襲撃者たちにはばれるだろう。可能な限り挟み撃ちにはなりたくないから、できるだけ早く門を突破して一人でも多く減らしておきたい。
「シュウだ、用があって今から街の外に出る。邪魔をするな」
「シュウ様でしたか! ですが、いくらシュウ様の命令でも夜間に門を開けることはできません。どうかお屋敷にお戻りください」
「邪魔をするなと言った。お前たちは門を開ける必要はない、こっちで勝手に出ていくから気にするな。これ以上の問答をするつもりはない」
殺気を飛ばし、兵士たちを動けなくしてから
「家までは離れているが、おそらく感付かれたと思っていい。全力で門を突破し、まずは南門の外にいる10人を無力化する。シュリ、いけ。瓦礫をどかすのは、ライムがやってくれ。戦闘を担当する娘たちは全員降車、ライムが瓦礫を処理している間に続いて門の外へ」
俺の命令を聞くとシュリがフル装備で走り出す。
門番たちが慌てて止めようとするが、相手が俺たちだとわかり青い顔になっていた。次の瞬間……
ドゴォンッ
シュリのシールドチャージが炸裂する。前の世界で考えると装甲車でぶつかっても壊れるかわからないような扉を、馬車が通れるほどのサイズで壊した。相変わらず、この世界はステータスのせいで見た目と中身が本当にともわないな。
「ツィード君、夜目の魔法を全員に付与して、視認十、伏兵無し。そのまま戦闘開始」
俺の声に合わせて俺、娘たち二十二人、カエデ、レイリー、従魔の四匹が戦闘態勢に入る。
俺の部屋の扉を叩く音がする。今日は趣味部屋ではなく、初めに作った自分の部屋で猫たちと寝ていた。その扉を強く叩く音に目を覚まして、扉を開けると
「ご主人様、結界を破ろうとしているモノがいます。相手の技量は高そうですが、今のところ突破される恐れはありません。いかがいたしましょう?」
メイから衝撃の告白があった。まじか、マップ先生で家の周辺を確認するが、襲撃者らしき人物の影がない。阻害系はマップ先生をごまかすタイプのアイテムだったみたいだ。それにしても予想より動くのが大分早いな。
しばらくは時間があると思ってたのにな。あれ? 街の外に十人程の集団が東西南北の門を出たとこに待機してる。しまったな、おそらくこいつら街道じゃなくて、雪の積もってる街道から外れたところを移動してきたんだな。
周辺を掌握しているけど、森やあまり街道から離れた位置までは掌握していないのだ。
「全員起こしてくれ、娘たちは一番防御力の高い戦闘メイド服を着るように伝えてくれ。後、武器は対魔物用を許可。レイリーには準備の前に、奴隷一家をここまで連れてくるように。農家の一家は地下道を通ってくるように言ってくれ。準備ができ次第、馬車にウォーホースをつけてくれ」
俺は従魔たちを起こして、戦闘準備をさせる。久々にリビングアーマー(アダマンタイト)君たちを活用しよう。戦闘技術が通用するかわからないが、こいつら六体はおそらく壊せないだろう。ただ、壊せないと倒せない、リビングアーマーにとっては別なんだけどな。
HPみたいなのが存在して、それが0になると動かなくなってしまい死んでしまうのだ。リビングアーマーは、鎧の素材とLvでHPの総量が決まることは判明しているので、アダマンタイト製のリビングアーマーは、殴って倒すにはとにかく時間がかかる。
シルキーたちの寝床へ行き、全員をたたき起こす。全員がまだ眠いと言いながら、俺がDPで出してあげた抱き枕にしがみついていた。
コバルトにいたっては、「もっとやさしくして~~」と色っぽい声を出しているが、見た目が小さいのでそれで色気は台無しだった。状況を説明すると、キリッとした表情になりテキパキと準備を始めた。
俺が指示をしてから約三十分後、全員の支度が終わりいつでも出発できる状況だった。
「夜中にごめんね、今家の外にケープマインで襲われた集団と同じ所属のやつらが、メイたちの結界を解除しようとしているみたいだ。当分突破されることは無いけど、昼間に馬車を走らせてあいつらと一戦交えるとなると、街や住人への被害も大きくなると思われます。今から正面突破して移動しようと思います」
そのまま、言葉を続ける。
「門から出たらおそらく、五十人程の相手をしないといけなくなるはず、ミリーさんと三家族は絶対に馬車から出ないでください。後新人組も戦闘に参加は危険だから、馬車を誘導してください。
今結界を突破しようとしている集団は、リビングアーマーに任せてその隙に門に向かいます。おそらく途中で気付かれるので、戦闘しながら門をでます」
説明していると、ミリーさんが手を上げたので発言を許可する。
「えっと、門が閉まってるけどどうなさるんですか? え? 私何か変なこと言いました?」
ミリーさんが俺に質問すると、娘たちは新人を含めて「何言ってるの?」という表情をしていたため、ミリーさんがあたふたした様子だった。
「門は、破壊して突破します。もう、国家反逆罪は決定事項だと思うので、邪魔するものは実力で排除していきます。ただ、相手も強いので手加減は無しで行きます。
襲撃者全員倒して何とか脱出します。今家の前に来ているやつら以外は、前回と同等と考えていい、でも家の前に来ているやつらは、どの程度かわからないけどかなり強いと思われるので、一対一では対峙しないように!」
結界は範囲内に結界維持者がいないと解除されてしまうため、今回連れて行く予定だった四大精霊のガルド・アクア・メイはここに残ってもらい結界の維持をしてもらうことになった。キャスリングするときに、この敷地内に人がいると困るので予定を変更して残ってもらうのだ。
できるなら俺たちが門を突破するまで、気が付かないでもらいたいところだ。
シルクとツィードは一緒に来てもらう予定だ。運よくリーダー格でも捕らえることができれば、情報を引き出してもいいかと思っている。
「気配的には畑や正面の方に集まってるから、裏から学校や商店のある方から見えない道を選んで門に向かいます。メイ、もし気付かれたらすぐに連絡をしてくれ。移動を開始する。リビングアーマーたち、正面の不届き者共の相手をしてやれ、可能なら倒してしまってもかまわないぞ」
フレデリクの街の家は、正面からしか出入りできない様に見えるが、南にある学校・商店・食堂のある南側へは馬車でも移動できるようにしている。周りの家より塀を高くしてあるので馬車の移動も目につかないはずだ。
西側へ行くと畑がありそこまで高い塀は、無いので馬車を移動させるのが見えてしまう。襲撃者から離れるためにも東側の通路を進んでいく。順調に進んでいくと、門までもう少しの所で違うトラブルが起きてしまった。
「おいお前たち、こんな時間になんで馬車を動かしている! 馬車を止めて顔を見せろ!」
こんな時に限って巡回兵がいい仕事してるよ。おそらくこいつらのせいで襲撃者たちにはばれるだろう。可能な限り挟み撃ちにはなりたくないから、できるだけ早く門を突破して一人でも多く減らしておきたい。
「シュウだ、用があって今から街の外に出る。邪魔をするな」
「シュウ様でしたか! ですが、いくらシュウ様の命令でも夜間に門を開けることはできません。どうかお屋敷にお戻りください」
「邪魔をするなと言った。お前たちは門を開ける必要はない、こっちで勝手に出ていくから気にするな。これ以上の問答をするつもりはない」
殺気を飛ばし、兵士たちを動けなくしてから
「家までは離れているが、おそらく感付かれたと思っていい。全力で門を突破し、まずは南門の外にいる10人を無力化する。シュリ、いけ。瓦礫をどかすのは、ライムがやってくれ。戦闘を担当する娘たちは全員降車、ライムが瓦礫を処理している間に続いて門の外へ」
俺の命令を聞くとシュリがフル装備で走り出す。
門番たちが慌てて止めようとするが、相手が俺たちだとわかり青い顔になっていた。次の瞬間……
ドゴォンッ
シュリのシールドチャージが炸裂する。前の世界で考えると装甲車でぶつかっても壊れるかわからないような扉を、馬車が通れるほどのサイズで壊した。相変わらず、この世界はステータスのせいで見た目と中身が本当にともわないな。
「ツィード君、夜目の魔法を全員に付与して、視認十、伏兵無し。そのまま戦闘開始」
俺の声に合わせて俺、娘たち二十二人、カエデ、レイリー、従魔の四匹が戦闘態勢に入る。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り
あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。
しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。
だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。
その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。
―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。
いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を
俺に教えてきた。
―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。
「――――は!?」
俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。
あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。
だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で
有名だった。
恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、
あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。
恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか?
時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。
―――だが、現実は厳しかった。
幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて
出来ずにいた。
......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。
―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。
今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。
......が、その瞬間、
突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり
引き戻されてしまう。
俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が
立っていた。
その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで
こう告げてくる。
―――ここは天国に近い場所、天界です。
そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。
―――ようこそ、天界に勇者様。
...と。
どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る
魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。
んなもん、無理無理と最初は断った。
だが、俺はふと考える。
「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」
そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。
こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。
―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。
幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に
見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと
帰還するのだった。
※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる