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第74話 これからの行動
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戦闘でほとんど活躍できなかった、Aランクのパーティーと戦闘で周囲の警戒を主にしていた娘たちが、夜の見張りをしてくれるとのことで戦闘に参加したメンバーは、疲れた体を休ませるために眠りについていた。
良い匂いに誘われて目が覚める。
野営をしているのに食べ物の良い匂いがしている。カエデに作ってもらったテントのシートは、まわりに匂いが漏れにくく、獣道の森の中でも調理に問題がないんだな。
「ご主人様、おはようございます。お食事の準備ができてます。他のパーティーの方達は待ちきれないとのことで先に食事をされています。ご主人様も早くいらしてください」
俺が起きるのを待っていたキリエから声がかかった。
さすがに家にいる時の様なビッフェみたいなスタイルではなく、一人ひとりに食事を配るタイプの食事だった。それでもバランスのとれた食事で、栄養価まで計算された食事を提供している。こんなところの食事でも手を抜かないあたり、シルキーたちの指導が如何に厳しかったかを思い知ることになった。
うちらのメンバーはいつも通り変わらない食事風景だが、俺たち以外のメンバーは涙を流しながら食べているものもいた。ここで食べれる食事でないのは確かだが、涙を流しながら食べるのは流石にやりすぎじゃないだろうか?
食事が終わり全員が一息ついた所で、今回の緊急クエストリーダーのリリスが、
「フェンリル討伐で今回の目的は達成しました。ですが、この前に受けていたこの森の調査は中断されています。討伐が早く済んだので時間に余裕があります。私たちは、引き続き調査をしようと思いますが、皆さんはどうなさいますか?」
Aランクの三パーティーは、もともとこの森の調査のために派遣されてきたため、調査をしていくようだった。Aランクのパーティーはフェンリル戦で、あまり活躍できなかったこともあり余力があるようだ。
「俺たちは、街へ帰ります。もともと、Aランクの魔物と出会って手に負えないと判断して、指名依頼を破棄するために引き返してますから。うちのメンバーでも数人ならAランクの魔物を倒せますが、全員が全員ではないので今回の調査は皆様にお願いいたします」
「そっか、シュウたちのパーティーは街へ帰るのね。確か荷物を預かってるわよね? 必要なものだけおいてってもらっていいかしら? それ以外はしばらく預かっていてほしいのだけど、大丈夫?」
「問題ありませんよ。調査が終わって戻ってきたら連絡してください、お渡ししますね」
「助かるわ、みんなも必要な物をシュウたちに言って出してもらって」
シュウたちに他のメンバーが出してもらいたい品を色々と言ってくる。預かった半分ほどのアイテムを出したところで、調査に必要なものは全部出したようだった。最後にリリスから俺たちが帰った後の食事情をよくできないか相談されたので、ピーチに決定権を託して相談にのってもらうことにした。
ピーチが手持ちのスープストックや食材を使って、日持ちして暖かくても冷めても美味しく食べられるものを作るので、許可がほしいと言われた。何のための決定権を与えたのか分からないが、ピーチの思うようにしていいと答えておいた。
どうやら、一週間程もつような食事を準備することになったようだ。今日一日は、食事の準備に時間がかかるとのことで、もう一泊することが決定した。話を聞くと、食事を準備する際にピーチは値段交渉をしていたようだった。
Aランクやシングルからすれば問題ない金額であるが、それでもそこそこな値段を払うみたいだ。だけど後に『本当にその金額でよかったのか?』『もっと払わなくてよかったのか?』心配されるほど安かったようだった。
魔物のはびこる場所での暖かく美味しい食事は、それだけの価値があるようだった。
次の日、リリスに手紙を渡され冒険者ギルドに届けてほしいと言われた。その手紙を受け取り、俺たちは街への帰路についた。帰りは身内以外いなかったので、途中から前に作った地下通路を使って森をでた。
戻る際に、二日程プチダンジョンでのんびり休んでいた。
地下通路を使ってウォーホースに馬車を引かせればすぐに森の外に出れるのだが、さすがに森に入って出てくるまでの時間や、倒してから森を出るまでの時間を調整しないと、後でややこしいことになりそうだったので、二日間のお風呂に入ったりしてのんびりしていた。
森の外に出ると、Cランクのパーティーたちが野営をして待っていた。待っていたCランクのパーティーたちは、有志で集まってくれていた者たちであり、ランクの高いパーティーの手伝いがしたくて来てくれたのだ。
まず、フェンリルが無事に討伐された事を伝えると、全員が声を上げて喜んでいた。次にリリスから預かった伝言を伝える。
『フェンリルの討伐はできましたが、森の調査自体はまだ終わっていないので、おそらく後十日程森の調査を行います。一旦街に帰って一週間ほどしたら戻ってきてほしい』
Cランクのパーティーたちは、悩んで話し合っていたが残ることを決めたようだった。自分たちの訓練も兼ねます! と胸を張り言っていた。
少しだけ森の中に入り魔物を倒して鍛えているのだろう、危なくない程度に戦闘を重ねているであろう装備の様子を見て、無理しない様に声をかけ俺たちは街へ戻っていく。
獣道の森から街までは何事もなく到着した。
まずは、冒険者ギルドに報告へ行くことにした。
メンバーは、俺、カエデ、レイリー、ピーチの四人で行く。他のメンバーには、先に家に帰ってシルキーたちに報告してもらうように伝える。その後は、ゆっくり風呂に入って疲れをとるように指示しておく。
放っておくとダンジョン農園にいって世話を始めたり、食事を作るのを手伝い始めたりするのでこういった時はしっかり指示しておかないといけないのだ。
冒険者ギルドにつくと、受付のミリーが大きな声を上げてギルドマスターを呼びに行った。昼間なので冒険者はほとんどいないが、それでいいのか受付嬢。
しばらくすると、ドタドタ音を立てながらギルドマスターが降りてきた。
「シュウよ、もう帰って来たのか? 他のメンバーは? フェンリルはどうなったのじゃ?」
「マスター落ち着いてください、ゆっくりお話をしていきましょう。シュウ君、フェンリルはどうなりましたか?」
「とりあえず、倒したよ。で今回のリーダーのリリスから手紙を預かってる。なんて書いてあるかわからないけど、ギルドマスターに読んでもらえば分ると言っていたよ」
リリスから預かっていた手紙をミリーに渡す。受け取ったミリーは中身を見たそうな様子を見せたが、惜しそうにギルドマスターへ手紙を渡していた。
手紙を受け取ったギルドマスターは、読み進めていくうちに苦虫を何匹も潰していくように表情が曇っていった。
「やっぱりこうなったか、フェンリル討伐はご苦労だった。Bランクのやつらは場所も立場も弁えずに、傲慢な振る舞いをしたのか。殺さないでおいてほしかったが、討伐に邪魔になると判断されてリーダーに処理されたのだな。リーダーのシングルの判断だからな」
「おい、ハゲ! シングルの判断だから仕方がないだと? 殺さないでほしい? ふざけんなよ。リーダーがあいつらみたいなクズだったら、娘たちに屈辱を受け入れろって事か? てめえも死にてえのか?」
「口を慎めよ小僧! シングルにそんな愚か者はいない。それに、外周に近いこの地域のBランクのパーティーが四チームも減ったんだ、頭を抱えてもしょうがないじゃろうが」
「そうかいそうかい、なんの対策もしないまま、拒否権もないままに娘たちを危険にさらしておいて口を慎めか。もういいや、ミリー。今日からBランク相当のパーティーが四チーム活動しなくなるけど、頑張ってくれよな」
「え? シュウ君、四チームって……もしかして、シュウ君とカエデさんのコンビもですか? それは困ります! 精力的に活動してくださってたシュウ君たちがいなくなったら、多少なり損害が増えてしまいます。ハゲ……じゃなかったギルドマスターどうしてくれるんですか!」
「ハゲてないわ! どうするもこうするも、冒険者の活動は登録制じゃどうにもならん」
「ハゲマスターが余計なこと言ったせいですからね! シュウ君、Bランクの冒険者たちの事は本当に申し訳ないと思ってます。でも、緊急招集という特性上、どうにもできなかったことも解ってほしいの。本当にごめんなさい……」
「じゃぁ、頑張ってください」
良い匂いに誘われて目が覚める。
野営をしているのに食べ物の良い匂いがしている。カエデに作ってもらったテントのシートは、まわりに匂いが漏れにくく、獣道の森の中でも調理に問題がないんだな。
「ご主人様、おはようございます。お食事の準備ができてます。他のパーティーの方達は待ちきれないとのことで先に食事をされています。ご主人様も早くいらしてください」
俺が起きるのを待っていたキリエから声がかかった。
さすがに家にいる時の様なビッフェみたいなスタイルではなく、一人ひとりに食事を配るタイプの食事だった。それでもバランスのとれた食事で、栄養価まで計算された食事を提供している。こんなところの食事でも手を抜かないあたり、シルキーたちの指導が如何に厳しかったかを思い知ることになった。
うちらのメンバーはいつも通り変わらない食事風景だが、俺たち以外のメンバーは涙を流しながら食べているものもいた。ここで食べれる食事でないのは確かだが、涙を流しながら食べるのは流石にやりすぎじゃないだろうか?
食事が終わり全員が一息ついた所で、今回の緊急クエストリーダーのリリスが、
「フェンリル討伐で今回の目的は達成しました。ですが、この前に受けていたこの森の調査は中断されています。討伐が早く済んだので時間に余裕があります。私たちは、引き続き調査をしようと思いますが、皆さんはどうなさいますか?」
Aランクの三パーティーは、もともとこの森の調査のために派遣されてきたため、調査をしていくようだった。Aランクのパーティーはフェンリル戦で、あまり活躍できなかったこともあり余力があるようだ。
「俺たちは、街へ帰ります。もともと、Aランクの魔物と出会って手に負えないと判断して、指名依頼を破棄するために引き返してますから。うちのメンバーでも数人ならAランクの魔物を倒せますが、全員が全員ではないので今回の調査は皆様にお願いいたします」
「そっか、シュウたちのパーティーは街へ帰るのね。確か荷物を預かってるわよね? 必要なものだけおいてってもらっていいかしら? それ以外はしばらく預かっていてほしいのだけど、大丈夫?」
「問題ありませんよ。調査が終わって戻ってきたら連絡してください、お渡ししますね」
「助かるわ、みんなも必要な物をシュウたちに言って出してもらって」
シュウたちに他のメンバーが出してもらいたい品を色々と言ってくる。預かった半分ほどのアイテムを出したところで、調査に必要なものは全部出したようだった。最後にリリスから俺たちが帰った後の食事情をよくできないか相談されたので、ピーチに決定権を託して相談にのってもらうことにした。
ピーチが手持ちのスープストックや食材を使って、日持ちして暖かくても冷めても美味しく食べられるものを作るので、許可がほしいと言われた。何のための決定権を与えたのか分からないが、ピーチの思うようにしていいと答えておいた。
どうやら、一週間程もつような食事を準備することになったようだ。今日一日は、食事の準備に時間がかかるとのことで、もう一泊することが決定した。話を聞くと、食事を準備する際にピーチは値段交渉をしていたようだった。
Aランクやシングルからすれば問題ない金額であるが、それでもそこそこな値段を払うみたいだ。だけど後に『本当にその金額でよかったのか?』『もっと払わなくてよかったのか?』心配されるほど安かったようだった。
魔物のはびこる場所での暖かく美味しい食事は、それだけの価値があるようだった。
次の日、リリスに手紙を渡され冒険者ギルドに届けてほしいと言われた。その手紙を受け取り、俺たちは街への帰路についた。帰りは身内以外いなかったので、途中から前に作った地下通路を使って森をでた。
戻る際に、二日程プチダンジョンでのんびり休んでいた。
地下通路を使ってウォーホースに馬車を引かせればすぐに森の外に出れるのだが、さすがに森に入って出てくるまでの時間や、倒してから森を出るまでの時間を調整しないと、後でややこしいことになりそうだったので、二日間のお風呂に入ったりしてのんびりしていた。
森の外に出ると、Cランクのパーティーたちが野営をして待っていた。待っていたCランクのパーティーたちは、有志で集まってくれていた者たちであり、ランクの高いパーティーの手伝いがしたくて来てくれたのだ。
まず、フェンリルが無事に討伐された事を伝えると、全員が声を上げて喜んでいた。次にリリスから預かった伝言を伝える。
『フェンリルの討伐はできましたが、森の調査自体はまだ終わっていないので、おそらく後十日程森の調査を行います。一旦街に帰って一週間ほどしたら戻ってきてほしい』
Cランクのパーティーたちは、悩んで話し合っていたが残ることを決めたようだった。自分たちの訓練も兼ねます! と胸を張り言っていた。
少しだけ森の中に入り魔物を倒して鍛えているのだろう、危なくない程度に戦闘を重ねているであろう装備の様子を見て、無理しない様に声をかけ俺たちは街へ戻っていく。
獣道の森から街までは何事もなく到着した。
まずは、冒険者ギルドに報告へ行くことにした。
メンバーは、俺、カエデ、レイリー、ピーチの四人で行く。他のメンバーには、先に家に帰ってシルキーたちに報告してもらうように伝える。その後は、ゆっくり風呂に入って疲れをとるように指示しておく。
放っておくとダンジョン農園にいって世話を始めたり、食事を作るのを手伝い始めたりするのでこういった時はしっかり指示しておかないといけないのだ。
冒険者ギルドにつくと、受付のミリーが大きな声を上げてギルドマスターを呼びに行った。昼間なので冒険者はほとんどいないが、それでいいのか受付嬢。
しばらくすると、ドタドタ音を立てながらギルドマスターが降りてきた。
「シュウよ、もう帰って来たのか? 他のメンバーは? フェンリルはどうなったのじゃ?」
「マスター落ち着いてください、ゆっくりお話をしていきましょう。シュウ君、フェンリルはどうなりましたか?」
「とりあえず、倒したよ。で今回のリーダーのリリスから手紙を預かってる。なんて書いてあるかわからないけど、ギルドマスターに読んでもらえば分ると言っていたよ」
リリスから預かっていた手紙をミリーに渡す。受け取ったミリーは中身を見たそうな様子を見せたが、惜しそうにギルドマスターへ手紙を渡していた。
手紙を受け取ったギルドマスターは、読み進めていくうちに苦虫を何匹も潰していくように表情が曇っていった。
「やっぱりこうなったか、フェンリル討伐はご苦労だった。Bランクのやつらは場所も立場も弁えずに、傲慢な振る舞いをしたのか。殺さないでおいてほしかったが、討伐に邪魔になると判断されてリーダーに処理されたのだな。リーダーのシングルの判断だからな」
「おい、ハゲ! シングルの判断だから仕方がないだと? 殺さないでほしい? ふざけんなよ。リーダーがあいつらみたいなクズだったら、娘たちに屈辱を受け入れろって事か? てめえも死にてえのか?」
「口を慎めよ小僧! シングルにそんな愚か者はいない。それに、外周に近いこの地域のBランクのパーティーが四チームも減ったんだ、頭を抱えてもしょうがないじゃろうが」
「そうかいそうかい、なんの対策もしないまま、拒否権もないままに娘たちを危険にさらしておいて口を慎めか。もういいや、ミリー。今日からBランク相当のパーティーが四チーム活動しなくなるけど、頑張ってくれよな」
「え? シュウ君、四チームって……もしかして、シュウ君とカエデさんのコンビもですか? それは困ります! 精力的に活動してくださってたシュウ君たちがいなくなったら、多少なり損害が増えてしまいます。ハゲ……じゃなかったギルドマスターどうしてくれるんですか!」
「ハゲてないわ! どうするもこうするも、冒険者の活動は登録制じゃどうにもならん」
「ハゲマスターが余計なこと言ったせいですからね! シュウ君、Bランクの冒険者たちの事は本当に申し訳ないと思ってます。でも、緊急招集という特性上、どうにもできなかったことも解ってほしいの。本当にごめんなさい……」
「じゃぁ、頑張ってください」
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