ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
62 / 2,518

第62話 娘たちと趣味を共有した

しおりを挟む
 獣道の森から戻って数日間は、娘たちと一緒にのんびり過ごすと決めて、日持ちのする食べ物をいっぱい作ってもらおうとシルキーたちに頼むと、

「私たちはノンビリするくらいなら、料理のレパートリーを増やしたいです。ご主人様たちには、試食という形で色々食べてもらいたいのです。好きなことに没頭できるのであれば、私たちにとってはこれがご褒美なのです!」

 っと、スカーレットは胸を張ってこたえてきたのだ。ついでなので、デザート系やスイーツも何か作ってもらえないか聞くと、

「ご主人様にお願いされましたよ! これはやりがいがありますね。どんなスイーツがいいですか? ふむふむ……チーズケーキにマロンケーキは、何となく分かりましたが、この世界のもので作れるのか……DPでレシピ本を出させてもらいますね。完成を楽しみにしててください!」

 新しいおもちゃをもらった子供みたいに、四人のシルキーたちがはしゃいだ様子でキッチンに向かっていった。

 娘たちはのんびりすると言っても、どうしていいのかわからなかったため、ちょっと前に拡張した俺の素敵部屋へ招待してみることにした。娘たちは、俺の部屋と聞いてキャーキャーいったり顔を赤くしたりしていた。別にいかがわしいことをするために呼んだわけじゃないぞ!

 初めに俺の趣味であるファンタジー小説やSF小説などの並んでいる本棚を見せてみた。娘たちの反応は、小説というものが何かわからず微妙な顔をしていた。

 物語を文字に起こして文章にしたもの、みたいな説明をすると何とかわかってもらえたが、本を見て娘達は混乱することになった。日本語が読めるわけないじゃないか! 俺の馬鹿!

 文字の読み書きができなかった娘たちがやっとできるようになったところに、日本語なんていう奇怪な文字を覚えられるわけないよな。平仮名・カタカナ・漢字、覚えきれるわけない。

 これじゃこれから紹介しようとしていたTVゲーム系はほとんどアウトじゃねえか。できるのは、レース系や格闘系、シューティング位しか思いつかんな。何とか娘たちに日本語覚えさせれないかな? 魔法で翻訳魔法的な何かねえか?

 あのチビ神がくれた自動翻訳スキルみたいなのがあればいいんだが、獣道の森から戻ってからできるようになっていた各種検索(マップの検索は初期から)を利用して、翻訳スキルや魔法が無いか検索するが無かった。久々に俺の都合のいいようにはなってくれなかったようだった。

 何となく言語スキルが無いか検索をかけると、スキル宝珠の中に古代○○語が数種類とかゴブリン語等覚えて価値があるのか分からない言語に並んで、【日本語】【英語】【ポルトガル語】等々が並んでいた? おい! 責任者呼んで来い!

『ん? なんか呼んだ?』

 あ、ごめんチビ神は呼んでないから帰っていいよ。

『ぐぬぬ……チビじゃないもん、それに責任者って呼ばれた気がしたから返事したのに、もう知らないんだから! プツッ』

 責任者っていうと、あのチビ神になってしまうのか。

 とりあえず、都合がいいのはこの世界に来てからいつものことなので、今回もありがたく使わせてもらおう。消費DPは100DP? 元の世界の言語は、どんなものでも100DP均一だった。試しに英語の宝珠を召喚して使ってみると……

 しばらく頭痛がしたが、何が変わったか分からなかった。これって効果あんのかな? 適当に英語の本を召喚してみると、読める! 読めるじゃないか! 元の世界にいるときにこの宝珠ほしかったな。

 これで娘たちに日本語を覚えさせることができるな。全員分の宝珠を召喚して日本語を覚えてもらい再度本を読んでもらうと、年長組は文章を読むということに魅力を感じたらしく、気になった小説を思い思いに読み始めた。

 年中・年少組は、小説をちょっと読んでみたがあまり興味がなかったのかすぐに読むのをやめてしまった。

 何となく年少組は文字がいっぱいある物は厳しいと思っていたが、年中組も興味がそそられなかったようだったので、年長組を本部屋に放置してゲームの部屋へと誘導する。

 よくわからない物体を見て、娘たちは興味を示すが触ろうにもどうしていいかわからず、俺の方を見て説明をしてほしそうな顔をしている。

「分かった、分かったからその顔はやめてくれ。これは俺の世界の魔導具みたいなものだ。ゲーム機って言って、その中にこの円盤を入れてスイッチを押す、起動させるって言ったほうが分かりやすいかな?そうすると、こっちの映像を映す魔導具に今さっきいれた円盤の中身が映し出されるんだ。

 説明するより見てもらった方が早いだろうな。映像のうつる魔導具は、テレビって言ってこの四角い箱についてる、このリモコンの赤いボタンを押すと起動するんだ。よく見てな」

 今回娘たちにやらせてみることにしたのは、根強い人気のあるRPG『最後のファンタジー』の五作目である。今四代目まで出ているゲーム機の初代に移植されて、四・五・六のセットで売り出された物をDPで召喚していた。

 いきなり二代目三代目のゲームをさせたら、ゲームが画像とかの関係でやりにくくなりそうだったので、初代でもその前のゲーム機から移植されたソフトを体験してもらおうと考えたのだ。

 電源を入れて起動するとテレビに映像が流れた。娘たちはその映像にくぎ付けになっているようだ。オープニングが流れると、何となく話の流れを理解しているようで「ダメー」「何かキラキラしてるのが壊れちゃった」「何かゴゴゴゴっていってる」と言ってがガヤガヤしはじめた。

「このゲーム機っていうのは、このコントローラーで主人公を操ってこの映し出された世界を冒険していくんだ」

 色んな説明をはさみながら一時間ほどゲームを進めると、娘たちのくいつきがどんどん良くなってくる。話の内容を聞いていると、この世界と一緒でモンスター(魔物)を倒してレベルを上げて強くなるっていうところが、自分たちと同じようだということで共感を得ている状態だった。

 そろそろやめて、みんなにも何かやってもらう予定でいたが、娘たちが「もっとやって~」「続きが気になる」「はやくはやく!」とせかされてしまった。

 結局この日は、娘たちに乞われるままに十時間ほどぶっ続けでゲームをすることとなった。

 本当は自分たちでゲームをして、楽しんでもらいたいところなんだが。食事は、シルキーたちがサンドイッチを持ってきてくれて、それをみんなでパクつきながらゲームをしていた。

 おやつの時間には、希望していたチーズケーキを作ってくれていた。

 レシピを見てダンジョン内で育てているあれこれを使って作ることに成功した、ベイクドチーズケーキはどれも美味しかった。レアチーズケーキはどういう風になるか楽しみだ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...