ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
45 / 2,518

第45話 ダンジョン内の変化

しおりを挟む
 娘たちが冒険者登録をして三週間が過ぎた。三日毎のローテーションにして、メイド修行三日⇒冒険者活動三日⇒農園・畜産活動が二日と休日一日の九日間で一巡するような流れにした。

 休日は三日間もいらないと娘たちに言われ、休日を一日と農園・畜産活動を二日にすることで娘たちがやっと納得してくれた。夜に十分ゆっくりできる時間があるので、休日はいらないと言われたがそれは俺が絶対に認めなかったので、休日一日というとこに落ち着いた。

「ご主人様、この木は何ですか?」

 今日が農園・畜産活動の年少組と一緒にドリアードたちの手入れしている農園へ来ていた。シェリルが何を作っているのか気になった様子で俺に尋ねてきた。

「香辛料の一つで、胡椒の木だよ。昨日のお肉の味付けに使われてたよ」

「え? 昨日のお肉美味しかった! あれに使ってたんだ! どうやって使ってたかわからないけど、食べ物を美味しくしてくれるすごいものなんだよね」

 ここ農園は基本的に調味料や香辛料を作っている。近くに醤油やお酒を作る蔵まで建てられていた。さすがに自分たちで建てられなかったので、DPの操作権限を与えていたノーマンに家を建ててもらったらしい。農園とは別に畑をかなりの規模で作っていた。

 こんなにダンジョンが広かったっけ? と思うほどに広い空間になっていた。

 さらに奥に進んでいくと、色んな香辛料が育てられていた。

 ターメリック・カルダモン・シナモン・クローブ・ショウガ・ニンニク・レッドペッパー・ローリエ・ナツメグ・オールスパイス等々、育つ気候が違うはずなのにスクスクと育っている。すべてドリアードとノームの特殊能力で育てているため、成長も早く味も高品質になるようだ。

 こんな大量に作って消費しきれるのだろうか? 時間を止められる収納の腕輪があるから保存は問題にならないか。あれ? そういえば時間加速する機能拡張もあったな。あれを醤油や酒蔵にエンチャントをつけられないだろうか? 今度試してみよう。

 農園を過ぎると畑が見えてきた。何種類作っているのかわからないほど、沢山作っている様子だった。近くで目につくもので葉野菜のレタスやキャベツ、白菜は分かったが、それ以外にもそこそこの種類が育っている。これからはここの畑の食材を使ってさらに食卓が豊かになるだろう。

 年少組はここに来るまで、イリア以外はこういった畑で育っている野菜を見たことなかったようで、初めて見る食材に目を輝かせていた。農園や畑の手入れはドリアードとノームの特殊能力で手入れがほとんど必要がなかった。娘たちは畜産の方で動物たちの管理をすることが主になっていたようだ。

「ここらへんのはそのまま食べれるから、みんな採れたての野菜を食べてみるか?」

「「「「「たべたーい」」」」」

 近くにあったキュウリをとって半分に割ったものを渡していく。

「みんな食べてみるといいよ、それはキュウリって言っていつもサラダにして出てくるやつだよ」

 娘たちはそれを聞いてかじりついていた。「味は薄いけど、おいしいね」「みずみずしい!」など声を出して初めての体験を楽しんでいる様子だった。

「じゃぁ、みんながいつも面倒を見てくれてる動物たちの所へ行こうか」

 しばらく歩くと、牛がのんびり歩いたり牧草を食べている姿が見えてきた。繁殖用に今はメスオス各20匹ずつ育てているようだ。その隣と言っていいか分からない位広い放牧場を過ぎると、小屋が見えてきた。そこでは豚が育てられているよみたいだな。豚舎か。

 DPで呼び出せる古古米などは重さに対して、消費量が少ない。古いためか圧倒的にコストが安かったので、畑で育てているトウモロコシなどと合わせて餌として与えている。

 ちなみに畜産関係の人材がいないと思っていたが、ノーマンがクレイゴーレムを召喚してDPで知識や能力を強化して、家畜たちの面倒を見させているようだ。ゴーレムって食料が必要ないから最高の労働力ではないだろうか?

 途中で合流したノーマンに聞いてみたところ、鈍重で細かい作業が難しいため野菜の栽培などには向いていないようだ。

「あれ? 何か潮の香りがするな? ダンジョンの中でなんでだ?」

「ご主人様は、シルキーさんやウンディーネさんに聞いていないんですか? ご主人様が魚介類を最近食べてないと言っていたので、DPで海を作ってます」

 ダンジョンの中に海? 海水に含まれてるミネラル分とかはどうなっているんだろうか? 家を建てた時にコンセントを作ると、ダンジョンコアが電気を供給してくれるのと同じで、海も同じ感じで補給されるんだろうか? ダンジョンコアには謎が多いな。

 ダンジョン内にある海へ向かってみると、大きさ的には湖だろうか? かなりの広さがあるようだ。水をなめてみると塩っ辛い。

 所々に生け簀のようなものがあり、湖の上には橋のようなものがかかっている。あれはなんだ? どういう理由で浮いているのだろうか? 橋の上をゆっくり歩いている人影が見えた。ここにもゴーレムを採用しているようだ。

 ノーマンに聞いてみると、餌を生け簀にまくためのゴーレムだとのこと。単純作業なら万能すぎるゴーレムだな。もっと複雑なこともできるようになったら、労働力に人がいらなくなってしまうな。

 生け簀を見学していると、アマレロがふよふよと飛んできた。

「あ~。ご主人様~。ここに~何か~用でしたか~?」

「いや、ダンジョン農園や畜産がどうなってるか見に来たらいつの間にか海ができてたから見学してただけだよ」

「そうなんですか~、ご主人様が食べたいと言われてたので~、ノーマンとアクアに相談したら~海を作ってみては~? とのことで~、海を作ってもらいました~。一応魚の育て方を調べるために~、本も取り寄せてもらいました~」

「知らないとこで苦労かけてるんだな、ありがとな。ところでアマレロは何でここに来たんだ?」

「気にしないでください~、それが私たちの~存在意義ですから~。ここに来たのは~、今日の夕食に使う~予定のマグロを取りに来たのです~」

「っ!! もしかして、刺身か!?」

「正解であります~。生の魚を食べる習慣は~、この世界にはないので~、ご主人様用に刺身と~三色海鮮丼を準備する予定です~。他の人たちには~、マグロステーキやマグロカツと~骨の近くや頭はオーブン焼きに~してみようと思います~。

 一応この娘たちにも~、刺身を出してはみようと思います~。食べられなさそうでしたら~、そのままカツにしてしまおうと思っています~。もちろんワサビもありますので~、楽しみにしていてください~」

「楽しみにしてるよ! みんな戻ろっか!」

 帰り道にメルフィが刺身について聞いてきたので、魚を生で食べやすい大きさに切った魚の身を刺身っていう事を説明すると、生で? と驚いていたが、俺が好きな食べ物だと知って期待を膨らましていた。

 期待をしている娘たちをよそに、密かに俺は寄生虫とか大丈夫なのか心配していた。

 夕食には、もちろんマグロのフルコースが出てきた。刺身は予想外にも全員が問題なく食べれたのだ。刺身は、調理する前に氷魔法で凍らせてから解凍していたようで、寄生虫の心配は問題ないとアマレロが説明してくれた。

 マグロはとれたては美味しくないのだが、それでも美味しかったのは、時間を加速させる収納の腕輪を使ったからだそうだ。

 この世界って都合がよくできてるな、運三セットのおかげかな?
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。  主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。  こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。  そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。  修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。    それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。  不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。  記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。     メサメサメサ   メサ      メサ メサ          メサ メサ          メサ   メサメサメサメサメサ  メ サ  メ  サ  サ  メ サ  メ  サ  サ  サ メ  サ  メ   サ  ササ  他サイトにも掲載しています。

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

処理中です...