ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第40話 国は広い

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 朝食を食べ終わったシュウは、娘たちが訓練に行くのを見送ってから冒険者ギルドへ向かう事にした。なぜ向かっているかというと! 他の街の事が気になったので、ギルドに行って他の街の情報が無いかを調べるためだ。

 冒険者ギルドに入ると……混んでいた。しまった! 朝のこの時間は混んでいることを忘れていた。こんな時間に受付に行って他の街の情報を聞くのも悪いと思い、クエストボードを見てノンビリ空くのを待つことにした。

 確かクエストの中には、護衛任務もあるから他の街への距離をおおよそ想像ができるのではないかと思ってクエストを見ている。

【隣街ガルランドまでの商隊護衛任務――日数4日】

 隣街はガルランドと言うらしい。商隊ってことは馬車かな? 馬車の速度ってどの位だ? 時速10から15キロメートル位で1日8時間の移動と仮定すれば、240から360キロメートルってところか? そう考えるとかなり遠くないかね、この世界ではこれが普通なんだろうか?

 商隊ってことは遠くの大きな町まで行くわけだから、途中に小さな町や村があるだろうしそこでも商売すること考えたら、最低でも100キロメートルは離れてると思っていいか?

 街道に沿ってエリア掌握していくと、問題なく隣街のガルランドまで掌握できた。途中に4つの村があって、距離にすると約120キロメートル程だった。

 想定しているより近かったな、荷物積んでると結構遅くなるんだろう、その上寄った村でも商売をすればこんなもんだろうか? おっと、こんなことしている間に冒険者の人数が減っていて受付も空いていた。

「お久しぶりです、ミリーさん」

「あら? ブラッドオークの報告以来ですね。あまり来られないんで心配してましたよ。大丈夫でしたか?」

「えぇ、大丈夫ですよ。自分の拠点を手に入れて色々してたんです」

「もう手に入れられたんですね、シュウ君の稼ぎなら問題ないですね。それで今日はクエストですか?」

「今日はクエストじゃなくて他の街の情報を知りたくて、冒険者ギルドに何か情報がないかなと思いまして」

「他の街にもギルドはあるから情報はあるわね。どんなことが知りたいのかな?」

 ミリーが他の街の情報を教えてくれた。隣町のガルランドまでは歩いて4日程で途中に町が4つあるとのこと。ここまではマップで把握しているのと差異はなかった。ガルランドは、東西南北に街道がありこの街フレデリクは東の街道の先にあるのだ。

 冒険者の歩行速度と商隊馬車が同じ速度なのか? 休憩時間や行動できる時間の差かね。

 ガルランドから西へ10日程行くとこの国の王都のライチェルにつくらしい。その間にもう1個大きい街があるようだ。ちなみにこの国はライチェル王国というようだ。この国は、王都から東西南北に放射状に街があるとのこと。うん、聞いてみたけどよく分からず覚えられなかった。

 ミリーにお礼を言ってギルドを後にする。

 家に戻ったが、お昼までまだ時間があったのでギルドにいる時に、掌握した場所をマップで確認していた。DPに余裕があるのでガルランドの街を全部掌握してみた。

 おぉ、フレデリクより広い場所を掌握しただけあって、DPがすごいことになっている。DPの時給が4000を超えていた。ガルランドのDPは2500程なんだろう。

 すごいな。DP稼ぎたい放題だ! 残りのDPで王都との間にある街までギリギリ掌握できそうだったので一気に掌握してみた。

 オーイエス! 時給が7500を超えた! 遠くの街を掌握したことによってDPが五倍になってしまった。ニコとハクのスキルのDP以外は使っても問題ないから、どんどん掌握していこう。

 何事もなく3日が過ぎて、貯まったDPを使い王都まで掌握エリアを伸ばしてみた。王都は、フレデリクの4~5倍程の面積があった。さすが王都なんだろう。そしてDPの時給が一気に倍ほど増えて16000を超えていた。

 時給で1600万フラン。これって何でも買えるんじゃねえ? ほとんどのものが召喚できるから買える買えないって関係ないか。

 掌握したエリアに勇者がいないか調べてみるが、それらしき人物はいなかった。他に高レベル者を調べてみると、王都にレベル487の王国戦士長がいて冒険者にレベル300台が3人もいた。おそらくこの人達がシングル冒険者なのではないだろうか?

 詳しくステータスを調べようとしたが、レベル以外のステータスが見れなかった。何で見れないかはわからないが、俺よりステータスが高いのは間違いないだろう。俺みたいに養殖で育った人間とは違い、自分たちの努力でそこまでたどり着いたわけだからどれだけ強いのだろうか?

 しばらくは王都に行くつもりもないし、フレデリクの街の方が魔物と戦いやすいから娘たちの修行もしやすいしな。あれ? 王都を全部掌握したつもりだったが一部掌握できてない場所があった。他のダンマスが領域支配しているみたいだ。

 王都の下にはダンジョンがあるのだろう。だから高レベル者が多いのかな? それにしてもダンジョンの入り口付近以外が掌握できているのはどうしてだろう? 地下にダンジョンを作る場合は、エリア掌握分のDPと穴を掘るDPが合わさってるのかな?

 まぁ検証は今度にするかな。ノンビリと考えていると、チャイムが鳴った。

『ご主人様~ごはんですよ~』

 アマレロの声が聞こえてきたので、作業を中止して扉を開ける。

「あ! ご主人様、今回はこいつで返事をしてくれなかったのです」

 アマレロがなぜかションボリとしていた。ドアホンで話してほしかったのだろうか? 俺が地下にいるときに気付けるように設置したチャイムなのにな、また今度シルキーたちに話しておくべきか。

「ごはんでしょ? お腹空いたから早く食べたいよ。シルキーたちのご飯美味いからな」

 アマレロは、うれしそうな顔をして俺を誘導している。

 今日のお昼は、ビーフシチューとパン、マッシュポテトと野菜スティックだった。この世界では、生で食べる文化がほとんどなくあったとしても葉野菜をサラダにして食べるくらいだった。根菜類や茎野菜などは炒めるか煮るかして食べるのが普通らしい。

 ダンジョン内で採れだした根菜類は新鮮であり生のままでも食べれるから野菜スティックとして食卓に並べている。娘たちも初めは食べるのをためらっていたが、俺が味噌マヨネーズをつけて美味しそうに食べているのを見てみんなも食べるようになったのだ。

 今では食堂に保冷庫の様なものを置き、運動した後や小腹がすいたときに食べてもいいようにしている。英雄症候群で食事量の多いシュリの為でもある。

 ちなみに、野菜類はドリアードたちとノーマンのおかげで種をまいてから2週間ほどで即席栽培できてしまうようだ。味も普通に作るものと変わらないため、これから重宝しそうだ。

 ダンジョン農園は、シルキーの依頼を受けてドリアードとノーマンで作っているが、人数は間に合っているため手伝ってもらうことは今のところなさそうである。

 味噌マヨネーズに使っている味噌は、DPで呼び出したものだがマヨネーズはこの世界の物で作っている。卵もあり、お酢もお酒からできた調味料として売られているが、腐ってると思っている人たちもいるため売れ行きは微妙らしい。

 マヨネーズ作りでは年少組が活躍していた。シュウに直に教えてもらったこともあり、張り切って作ってくれるのだ。

 にぎやかな昼食が済み、娘たちは食器を片付けてから午後の訓練のためにダンジョンへ向かい、シルキーたちは夕飯を何にするか話し合っていた。俺は特にすることもなかったので、戦闘訓練でもする為にレイリーの所へ向かった。
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