2 / 11
第1話(A)
しおりを挟む
王国では定期的に行商人達による目玉商品を出品する、グランマルシェと呼ばれる商いのイベントが開催されているのである。
午前には朝市と呼ばれる魚介類や食用品のマルシェ、午後は骨董品や日用品を取り扱うマルシェとなり、その他には訪問販売や配達の依頼を受けて生計を立てているが、開催日と場所が決められてどちらも一同に出店するグランマルシェは、各地方の町で開催されて大勢の人々が広場に集まるのだ。
白い時計塔の時刻は午前8時、広場に人々が集い始めると、テントの設営完了を呟いたゴスロリ服の女性【スピカ・アストレイア】も、パイプ椅子に座ってお客を待っていた。
スピカの露店にも商品を買い求めるお客が
次々にやって来て、並んであった同人グッズはすぐに完売して、煌めく宝石が装飾されたブローチやネックレスに商品を変えて、再び商いをしていると、ブローチを見た桃色の髪の少女が一人でお店にやって来た。
「あの……石は売ってますか?」
声を掛ける少女はセミロングで桃色の髪、
前髪は左分けのパッツン、眉毛は細くて睫毛
が長く、ピンクダイヤモンドの様に綺麗な瞳
で整った目鼻立ち、肌は白くて華奢な体型、
白いブラウスにベージュニットカーディガン
を羽織って、ミモレ丈のパステルピンク色の
フレアスカートで、足元は茶色のパンプスを
履いている清楚な服装である。
彼女の名は【ポラリス・ウルサミノル】
スピカは椅子から立ち上がると、ポラリスからの問い掛けに顔を見て答える。
「申し訳ないけれど、わたくしのブースには置いてないわね」
そう言うとスピカは下にあるダンボール箱から1個取り出した、透明なナイロンに包装されてある緑色の四角い石鹸を右手に持ってポラリスに見せる。
「マルフィク石鹸ならありますけれど」
「すみません、石鹸じゃないです……」
苦笑いで返事をするポラリスに、スピカは石鹸をダンボール箱に戻しながら、具体的な内容を問い掛ける。
「そうねぇ……石と言っても鉱石や宝石から詫び石まで、色々とありますけれど、お探しなのはどれかしから?」
するとポラリスはよくわからないと言った表情で返事をする。
「詫び石……? あっ、石と言ってもその、
名前がよくわからないんです」
握った右手を顎に添えてスピカも困惑している様子で話す。
「それは困りましたわね、その石に何か特徴
はありますの?」
訊ねられたポラリスは問い掛けに答える。
「私だけの石、みたいなんです……」
ポラリスからの返事に何かを察した様子のスピカは、彼女に優しい眼差しを向けて話を続ける。
「そうでしたら、わたくしもご一緒にお探し致しますわ、一人よりも二人で探したほうが何か手掛かりも見付かるかも知れませんわ」
ポラリスは顔を上げて驚くが、申し訳ない表情で両手を広げて、パーの手を前に出してワタワタさせながら話す。
「えぇっ、いいんですか!? でもお仕事の邪魔しちゃうといけないですし……やっぱり大丈夫です!」
慌てるポラリスに答えながら、スピカから改めてランチの誘いを問い掛ける。
「お仕事は構わいませんわ、お腹も空きましたしそろそろお店を閉めるところでしたの。
よろしければ、わたくしとこれからランチをご一緒に如何かしら?」
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて……」
探し物を手伝う為に、店を閉めるところと話すスピカに、ポラリスは申し訳ないと思いながらも断りきれずにそう答えた。
午前には朝市と呼ばれる魚介類や食用品のマルシェ、午後は骨董品や日用品を取り扱うマルシェとなり、その他には訪問販売や配達の依頼を受けて生計を立てているが、開催日と場所が決められてどちらも一同に出店するグランマルシェは、各地方の町で開催されて大勢の人々が広場に集まるのだ。
白い時計塔の時刻は午前8時、広場に人々が集い始めると、テントの設営完了を呟いたゴスロリ服の女性【スピカ・アストレイア】も、パイプ椅子に座ってお客を待っていた。
スピカの露店にも商品を買い求めるお客が
次々にやって来て、並んであった同人グッズはすぐに完売して、煌めく宝石が装飾されたブローチやネックレスに商品を変えて、再び商いをしていると、ブローチを見た桃色の髪の少女が一人でお店にやって来た。
「あの……石は売ってますか?」
声を掛ける少女はセミロングで桃色の髪、
前髪は左分けのパッツン、眉毛は細くて睫毛
が長く、ピンクダイヤモンドの様に綺麗な瞳
で整った目鼻立ち、肌は白くて華奢な体型、
白いブラウスにベージュニットカーディガン
を羽織って、ミモレ丈のパステルピンク色の
フレアスカートで、足元は茶色のパンプスを
履いている清楚な服装である。
彼女の名は【ポラリス・ウルサミノル】
スピカは椅子から立ち上がると、ポラリスからの問い掛けに顔を見て答える。
「申し訳ないけれど、わたくしのブースには置いてないわね」
そう言うとスピカは下にあるダンボール箱から1個取り出した、透明なナイロンに包装されてある緑色の四角い石鹸を右手に持ってポラリスに見せる。
「マルフィク石鹸ならありますけれど」
「すみません、石鹸じゃないです……」
苦笑いで返事をするポラリスに、スピカは石鹸をダンボール箱に戻しながら、具体的な内容を問い掛ける。
「そうねぇ……石と言っても鉱石や宝石から詫び石まで、色々とありますけれど、お探しなのはどれかしから?」
するとポラリスはよくわからないと言った表情で返事をする。
「詫び石……? あっ、石と言ってもその、
名前がよくわからないんです」
握った右手を顎に添えてスピカも困惑している様子で話す。
「それは困りましたわね、その石に何か特徴
はありますの?」
訊ねられたポラリスは問い掛けに答える。
「私だけの石、みたいなんです……」
ポラリスからの返事に何かを察した様子のスピカは、彼女に優しい眼差しを向けて話を続ける。
「そうでしたら、わたくしもご一緒にお探し致しますわ、一人よりも二人で探したほうが何か手掛かりも見付かるかも知れませんわ」
ポラリスは顔を上げて驚くが、申し訳ない表情で両手を広げて、パーの手を前に出してワタワタさせながら話す。
「えぇっ、いいんですか!? でもお仕事の邪魔しちゃうといけないですし……やっぱり大丈夫です!」
慌てるポラリスに答えながら、スピカから改めてランチの誘いを問い掛ける。
「お仕事は構わいませんわ、お腹も空きましたしそろそろお店を閉めるところでしたの。
よろしければ、わたくしとこれからランチをご一緒に如何かしら?」
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて……」
探し物を手伝う為に、店を閉めるところと話すスピカに、ポラリスは申し訳ないと思いながらも断りきれずにそう答えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる