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11. 剛の墜落
11. 剛の墜落(1)
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大蔵に「お前と家族や仲間を虐殺する」と宣言された剛は、恐怖の闇に落ちた。
(気を紛らわせよう)と一瞬思っても、すぐに闇の中から、両手両足と舌を切り落とされ、芋虫の様な姿で虚ろに口をパクパクさせる京極の家族や仲間の姿が頭に浮かぶのだった。
(パクパク・・・パクパク・・・)
ただただ自分で死ぬことも許されず、どんなアクションも許されず、哀れに口を動かす芋虫。手も足も付け根まで切られていて、一切自分から身体を動かす事は出来ないのだった。今まで見たどんな生物よりも不気味で、生命力がなく、醜かった。吐き気すら起こらない。大蔵の組織の実力・京極一家を虐殺した動画からは、自分も家族も仲間もこの姿にされ、虐殺されて殺される確率は限りなく100%に近かった。
(所詮普通の育ちの俺が敵う相手ではない。大蔵達はプロの殺人者集団なんだ)
(絶対に触ってはいけない世界に俺は触ってしまったんだ)
(時間が早過ぎる。せめてあと1年、いや3年位は欲しかった。少なくとも10人位は殺してからでないと、相手にもならない・・・)
とめどなく、絶望的な思考が広がっていった。それは、剛が数人のヤクザを植物人間にするなどの実績を上げて来たからこそ実感できる、圧倒的な実力差からだった。
(それに俺は、父さんが自殺してから、何物にも力が入らなくなってしまったんだ。もう昔の俺じゃない・・・)
剛は学校にも行けず、道場やスクールにも行けず、彩香をはじめ女性達とも全く会えなくなった。
毎日一睡も出来ず、食事も喉を通らず、部屋の隅でずっと恐怖で全身を奮わせていた。一睡も睡眠がとれないにも関わらず、自分と家族や仲間が拷問を受け、殺される悪夢ばかりを見ている感覚だった。そしてずっとその悪夢に心を折られ続ける弱い自分を突き付けられている感覚だった。一秒も休まる時間がなく、極度の緊張状態が続いた。
剛は一週間こうした日々を送り、「ともかく一瞬でも気分を変えないと、大蔵と会う一か月後までに自分に殺されてしまう」と思った。意を決して繁華街に行き、クラブの近くで見つけたヤクザを追いかけ、雑居ビルの合間で半殺しにした。自暴自棄になっていた剛は、手加減が出来ず、このまま殺しかねない程にヤクザの頭蓋骨をビルの壁に叩きつけていた。ヤクザは剛の攻撃から、剛は殺人者で、このままだと自分が殺されることを察知した。
「・・・殺さないでくださいっ!」
「殺してほしくないなら、今すぐに一番強い覚醒剤を大量に用意しろ」
ヤクザはその場で仲間に連絡し、覚醒剤を剛に渡し、一目散に逃げた。
剛は「一瞬でも覚醒剤で大蔵の件を忘れ、その瞬間に活路を見出すしかない」と考えていた。
(それが出来なくても、一瞬でも脳に休息を得ないと、このままだと自分の脳に殺されてしまう)と考えた。今まで鍛え上げた肉体に、必死で注射を差し込んだ。剛は今まで覚醒剤など一切関心はなかったし、(弱者がやるものでしかない)と考えていた。だが、今回ばかりは、それ以外に少しでも脳に違う刺激を入れる方法が全く思い浮かばなかった。今までずっと続けて来たトレーニング・格闘技・喧嘩・勉強、彩香・葵・沙耶との娘と母親との乱交、AV女優・AV男優達との乱交…。
それらは全て、差し迫った死と暴力の前で、何の刺激にもならなかった。
(気を紛らわせよう)と一瞬思っても、すぐに闇の中から、両手両足と舌を切り落とされ、芋虫の様な姿で虚ろに口をパクパクさせる京極の家族や仲間の姿が頭に浮かぶのだった。
(パクパク・・・パクパク・・・)
ただただ自分で死ぬことも許されず、どんなアクションも許されず、哀れに口を動かす芋虫。手も足も付け根まで切られていて、一切自分から身体を動かす事は出来ないのだった。今まで見たどんな生物よりも不気味で、生命力がなく、醜かった。吐き気すら起こらない。大蔵の組織の実力・京極一家を虐殺した動画からは、自分も家族も仲間もこの姿にされ、虐殺されて殺される確率は限りなく100%に近かった。
(所詮普通の育ちの俺が敵う相手ではない。大蔵達はプロの殺人者集団なんだ)
(絶対に触ってはいけない世界に俺は触ってしまったんだ)
(時間が早過ぎる。せめてあと1年、いや3年位は欲しかった。少なくとも10人位は殺してからでないと、相手にもならない・・・)
とめどなく、絶望的な思考が広がっていった。それは、剛が数人のヤクザを植物人間にするなどの実績を上げて来たからこそ実感できる、圧倒的な実力差からだった。
(それに俺は、父さんが自殺してから、何物にも力が入らなくなってしまったんだ。もう昔の俺じゃない・・・)
剛は学校にも行けず、道場やスクールにも行けず、彩香をはじめ女性達とも全く会えなくなった。
毎日一睡も出来ず、食事も喉を通らず、部屋の隅でずっと恐怖で全身を奮わせていた。一睡も睡眠がとれないにも関わらず、自分と家族や仲間が拷問を受け、殺される悪夢ばかりを見ている感覚だった。そしてずっとその悪夢に心を折られ続ける弱い自分を突き付けられている感覚だった。一秒も休まる時間がなく、極度の緊張状態が続いた。
剛は一週間こうした日々を送り、「ともかく一瞬でも気分を変えないと、大蔵と会う一か月後までに自分に殺されてしまう」と思った。意を決して繁華街に行き、クラブの近くで見つけたヤクザを追いかけ、雑居ビルの合間で半殺しにした。自暴自棄になっていた剛は、手加減が出来ず、このまま殺しかねない程にヤクザの頭蓋骨をビルの壁に叩きつけていた。ヤクザは剛の攻撃から、剛は殺人者で、このままだと自分が殺されることを察知した。
「・・・殺さないでくださいっ!」
「殺してほしくないなら、今すぐに一番強い覚醒剤を大量に用意しろ」
ヤクザはその場で仲間に連絡し、覚醒剤を剛に渡し、一目散に逃げた。
剛は「一瞬でも覚醒剤で大蔵の件を忘れ、その瞬間に活路を見出すしかない」と考えていた。
(それが出来なくても、一瞬でも脳に休息を得ないと、このままだと自分の脳に殺されてしまう)と考えた。今まで鍛え上げた肉体に、必死で注射を差し込んだ。剛は今まで覚醒剤など一切関心はなかったし、(弱者がやるものでしかない)と考えていた。だが、今回ばかりは、それ以外に少しでも脳に違う刺激を入れる方法が全く思い浮かばなかった。今までずっと続けて来たトレーニング・格闘技・喧嘩・勉強、彩香・葵・沙耶との娘と母親との乱交、AV女優・AV男優達との乱交…。
それらは全て、差し迫った死と暴力の前で、何の刺激にもならなかった。
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