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3、密室
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男子生徒と女子生徒が、学校の、鍵の開いている小さな部屋に入り、鍵を閉めた。
向かい合い、微笑み合う。
「今、僕たちは『密室』で二人きりだね」男子生徒が言う。
「『密室』と言えば……何を思い浮かべる?」と聞くと、女子生徒は元気良く答えた。
「やっぱり『密室殺人』かな!」
「密室殺人か……」男子生徒は考え込む顔をし、
「密室殺人ってパターンが決まっているよね?」
「そうかな」
「まず『機械仕掛けで密室にする』。
次に『本当は密室じゃなかった』。
死体の第1発見者の1人になって部屋に乗り込んだとき、こっそり死体のポケットに鍵を返しておく。と言う感じのやつ」
女子生徒は「見たことある」と頷いた。
「同じく『密室じゃなかった』系でも……
『隠し通路があった』系の話もあるね」
「ズルいやつね」
「ズルいかどうかは『伏線』の張り方によるかな?」
男子生徒は半分反論した。
「『隠し通路』に似ているものでは『隠し部屋』もあるね。
『隠し部屋に隠れていて、事件発覚後に部屋から抜け出す』」
「うん」
「あとは。あれかな?
有名なトリック。
『密室にしたのは……』」
「ねえ」女子生徒が遮った。
「何で、私たち、密室殺人の話をしているんだろ?」
男子生徒はしばらく思い出すような顔をしてから、
「ほら。この部屋に入って、鍵を掛けただろ。
で、僕が『この部屋は密室だね』と言って。
『密室と言えば何を思い浮かべる?』と聞いたら。
君が『密室殺人』と答えたから、こんな話になったんだ」
「そうだったね」女子生徒は答えた後、男子生徒を上目遣いで見た。
「あなたは……」
「ん?」
「『密室』と言えば。
何を思い浮かべるの?」
「ん……」
すると男子生徒は女子生徒をジッと見つめつつ、近付き……
女子生徒は、その動きに合わせるように後ずさりしていく。
女子生徒を壁際まで追い詰めると、男子生徒は女子生徒の顔の横の壁に右手を付いた――『壁ドン』。
そして
「『密室』と言えば……」
微笑みながら女子生徒の耳元に口を近付け、囁いた。
女子生徒は顔を赤らめ、
「私も……」
「ん?」
「最初から、そう答えれば良かった……」
※※※
それから、この『密室』で何が行われたかは、本人達しか知らない……
〈終〉
――――――――――
(後書き)
Kindleで『密室』で検索した結果出てきた本が、『密室殺人』か『エロ』だったのを見たのがキッカケで書いたものです。
お読み下さりありがとうございました。
向かい合い、微笑み合う。
「今、僕たちは『密室』で二人きりだね」男子生徒が言う。
「『密室』と言えば……何を思い浮かべる?」と聞くと、女子生徒は元気良く答えた。
「やっぱり『密室殺人』かな!」
「密室殺人か……」男子生徒は考え込む顔をし、
「密室殺人ってパターンが決まっているよね?」
「そうかな」
「まず『機械仕掛けで密室にする』。
次に『本当は密室じゃなかった』。
死体の第1発見者の1人になって部屋に乗り込んだとき、こっそり死体のポケットに鍵を返しておく。と言う感じのやつ」
女子生徒は「見たことある」と頷いた。
「同じく『密室じゃなかった』系でも……
『隠し通路があった』系の話もあるね」
「ズルいやつね」
「ズルいかどうかは『伏線』の張り方によるかな?」
男子生徒は半分反論した。
「『隠し通路』に似ているものでは『隠し部屋』もあるね。
『隠し部屋に隠れていて、事件発覚後に部屋から抜け出す』」
「うん」
「あとは。あれかな?
有名なトリック。
『密室にしたのは……』」
「ねえ」女子生徒が遮った。
「何で、私たち、密室殺人の話をしているんだろ?」
男子生徒はしばらく思い出すような顔をしてから、
「ほら。この部屋に入って、鍵を掛けただろ。
で、僕が『この部屋は密室だね』と言って。
『密室と言えば何を思い浮かべる?』と聞いたら。
君が『密室殺人』と答えたから、こんな話になったんだ」
「そうだったね」女子生徒は答えた後、男子生徒を上目遣いで見た。
「あなたは……」
「ん?」
「『密室』と言えば。
何を思い浮かべるの?」
「ん……」
すると男子生徒は女子生徒をジッと見つめつつ、近付き……
女子生徒は、その動きに合わせるように後ずさりしていく。
女子生徒を壁際まで追い詰めると、男子生徒は女子生徒の顔の横の壁に右手を付いた――『壁ドン』。
そして
「『密室』と言えば……」
微笑みながら女子生徒の耳元に口を近付け、囁いた。
女子生徒は顔を赤らめ、
「私も……」
「ん?」
「最初から、そう答えれば良かった……」
※※※
それから、この『密室』で何が行われたかは、本人達しか知らない……
〈終〉
――――――――――
(後書き)
Kindleで『密室』で検索した結果出てきた本が、『密室殺人』か『エロ』だったのを見たのがキッカケで書いたものです。
お読み下さりありがとうございました。
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