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一緒にあそぼ
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今日も贈悟は、仏壇の前にいた。
今でも、妻の綾子に対する気持ちは変わりない。
両手を合わせ、目を瞑った。
自分は、正常だ。
『何してるの?』
綾子の声がし、心臓を鷲掴みにされる。
恐る恐る振り向いた。
「ぞうごさん、喉渇いた」
ただの空耳だったようだ。
悠斗が、閉め忘れた障子の横から顔を覗かせている。
「あ……冷蔵庫にあるよ。まだ冷えていないかもしれないね」
一緒に台所へと向かった。
鼓動が速く胸が痛いのは、きっと空耳のせいだろう。
台所に入ると悠斗は、冷蔵庫まで走って、ドアを開けた。
慣れた手つきで、お茶の入った容器を取り出した。
コップを差し出してやると、冷えてもいないお茶をごくごくと飲みだした。
よっぽど喉が渇いているようだ。
その様子をじっと見つめていると、背後から別の気配を感じた。
「おじーちゃん」
孫に声かけられて、悪い事でもしていたかのような気持ちになる。
悠斗に見惚れていた訳じゃないんだ、決して。
そう良いわけしたくなるが、冷静に取り繕う。
「春真も飲むかい?」
春真は黙ったままこくりと頷いた。
空のコップに注いでやると、両手で飲み始めた。
悠斗は飲み終わり、流しにコップを置いた。
「ね、ぞうごさん」
「なんだい?」
話しやすいように、悠斗に合わせて屈む。
「ぞうごさんは遊ばないの?」
「わしは年だから」
「じゃぁトランプでもする?」
確か戸棚にあったと思う。
「春真、外暑いしトランプしよ」
「うんっいいよー」
春真は呼びかけに喜んで答えた。
春真の様子を見るに、本当は外に出たくなかったようだ。
トランプを戸棚から取ってくると、春真が机の上にカードを広げた。
今でも、妻の綾子に対する気持ちは変わりない。
両手を合わせ、目を瞑った。
自分は、正常だ。
『何してるの?』
綾子の声がし、心臓を鷲掴みにされる。
恐る恐る振り向いた。
「ぞうごさん、喉渇いた」
ただの空耳だったようだ。
悠斗が、閉め忘れた障子の横から顔を覗かせている。
「あ……冷蔵庫にあるよ。まだ冷えていないかもしれないね」
一緒に台所へと向かった。
鼓動が速く胸が痛いのは、きっと空耳のせいだろう。
台所に入ると悠斗は、冷蔵庫まで走って、ドアを開けた。
慣れた手つきで、お茶の入った容器を取り出した。
コップを差し出してやると、冷えてもいないお茶をごくごくと飲みだした。
よっぽど喉が渇いているようだ。
その様子をじっと見つめていると、背後から別の気配を感じた。
「おじーちゃん」
孫に声かけられて、悪い事でもしていたかのような気持ちになる。
悠斗に見惚れていた訳じゃないんだ、決して。
そう良いわけしたくなるが、冷静に取り繕う。
「春真も飲むかい?」
春真は黙ったままこくりと頷いた。
空のコップに注いでやると、両手で飲み始めた。
悠斗は飲み終わり、流しにコップを置いた。
「ね、ぞうごさん」
「なんだい?」
話しやすいように、悠斗に合わせて屈む。
「ぞうごさんは遊ばないの?」
「わしは年だから」
「じゃぁトランプでもする?」
確か戸棚にあったと思う。
「春真、外暑いしトランプしよ」
「うんっいいよー」
春真は呼びかけに喜んで答えた。
春真の様子を見るに、本当は外に出たくなかったようだ。
トランプを戸棚から取ってくると、春真が机の上にカードを広げた。
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