恋は秘めて

青伽

文字の大きさ
上 下
3 / 13

一緒にあそぼ

しおりを挟む
今日も贈悟は、仏壇の前にいた。
 今でも、妻の綾子に対する気持ちは変わりない。
 両手を合わせ、目を瞑った。
 自分は、正常だ。
『何してるの?』
 綾子の声がし、心臓を鷲掴みにされる。
 恐る恐る振り向いた。
「ぞうごさん、喉渇いた」
 ただの空耳だったようだ。
 悠斗が、閉め忘れた障子の横から顔を覗かせている。
「あ……冷蔵庫にあるよ。まだ冷えていないかもしれないね」
 一緒に台所へと向かった。
 鼓動が速く胸が痛いのは、きっと空耳のせいだろう。
 台所に入ると悠斗は、冷蔵庫まで走って、ドアを開けた。
 慣れた手つきで、お茶の入った容器を取り出した。
 コップを差し出してやると、冷えてもいないお茶をごくごくと飲みだした。
 よっぽど喉が渇いているようだ。
 その様子をじっと見つめていると、背後から別の気配を感じた。
「おじーちゃん」
 孫に声かけられて、悪い事でもしていたかのような気持ちになる。
 悠斗に見惚れていた訳じゃないんだ、決して。
 そう良いわけしたくなるが、冷静に取り繕う。
「春真も飲むかい?」
 春真は黙ったままこくりと頷いた。
 空のコップに注いでやると、両手で飲み始めた。
 悠斗は飲み終わり、流しにコップを置いた。
「ね、ぞうごさん」
「なんだい?」
 話しやすいように、悠斗に合わせて屈む。
「ぞうごさんは遊ばないの?」
「わしは年だから」
「じゃぁトランプでもする?」
 確か戸棚にあったと思う。
「春真、外暑いしトランプしよ」
「うんっいいよー」
 春真は呼びかけに喜んで答えた。
 春真の様子を見るに、本当は外に出たくなかったようだ。
 トランプを戸棚から取ってくると、春真が机の上にカードを広げた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

孤独な戦い(2)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

孤独な戦い(6)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

孤独な戦い(3)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

孤独な戦い(4)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

孤独な戦い(5)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

保育士だっておしっこするもん!

こじらせた処女
BL
 男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。 保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。  しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。  園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。  しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。    ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?

孤独な戦い(8b)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...