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Chapter-03『BLACK EXECUTER』
エピローグ:すべては君を愛するために/02
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「終わらないッスよぉ~主任~!!」
「やらねば終わらないよ、助手くん。文句を言っていないでキビキビ働きたまえ」
「だったら主任も手伝ってくださいよォ~ッ!!」
「私は私のやるべきことがあり、そして私はそれをもう済ませてしまっているのでね。今は休憩がてらのコーヒーブレイクといったところさ」
「ひどいッ!! 主任には困ってる可愛い部下を助けてあげようとか、そういう優しさは無いんスかァ~ッ!?」
「無いね」
「そんな殺生なァーッ!!」
「はっはっは、ホラホラ働きたまえ若者よ。はっはっは」
所変わって、P.C.C.S本部の地下司令室。
そこでは南一誠がデスクに座って必死にキーボードを叩く傍ら、有紀はそんな涙目の彼を眺めながらゆっくりと珈琲を嗜んでいるところだった。
「うわーん! 主任の鬼ぃーっ!!」
「失敬な、折角ならマッド・サイエンティストと呼んでくれたまえ」
そんな風に南が悲鳴を上げながらキーボードを叩く中、有紀はゆっくりとコーヒーカップを傾けていたのだが。するとそんな彼女の元に、司令官の石神が近づいてくる。
「時三郎くんか」
「有紀くん……そんなに彼を虐めてやるな」
「フッ、別に虐めてなどいないさ。助手くんには助手くんのやるべきことがある、ただそれだけの話だよ」
「相変わらずだな、君は……」
透かした態度の有紀にやれやれと肩を竦めつつ、石神は「そういえば」と言って話題を変える。
「初交戦のデータ、俺も見させて貰った。ヴァルキュリア・システムは予想以上の戦力になりそうだな」
「無論だ、何せ私が造り上げた最強の戦士だからね。生半可な活躍で収まって貰っては困るというものだよ」
言った後で有紀は「それに」と続け、
「それに……彼との、戒斗くんとの相性も良い。やはり彼をVシステムの装着員に選んだ私の眼に間違いはなかったようだね」
と、コーヒーカップ片手に涼しげな顔で呟いた。
そんな彼女の傍らに立ちながら、珈琲を啜る彼女の姿を見下ろしながら。石神はふと思い出したように有紀へとこんな問いを投げ掛けてみる。
「そういえば……前から気になっていたんだが。有紀くんは何故、一般人である彼をわざわざVシステムの装着員に選んだんだ?」
石神に問われ、有紀は細めた横目の視線で頭上の彼を見上げながら……フッと小さく笑み、こう答えた。
「彼の、戒斗くんの心の中には確固たる信念がある。人類守護の戦士に相応しいだけの、そんな強い信念がね」
「強い……信念?」
「ああ。間違いなく、彼はヒーローたるに相応しい男だ。人類の自由と平和を守る黒鉄の戦士に、彼ほど相応しい男は他に居ないよ」
いつも通りのニヒルな笑みを浮かべながら、しかし彼女にしては珍しく、真っ直ぐな瞳で言う有紀の言葉に……石神もまたフッと小さく笑みを浮かべながら、ただ一言「……そうか」とだけ頷き返した。
「まあ何にしても、これでV計画も一応の到達点に至ったということだ。この分ならばいずれ、バンディットを撲滅することも叶うやも知れんな」
「そうだと良いけれどね…………」
石神が放った言葉に、有紀は複雑な表情で呟き返したが。しかし彼女はそこから先の言葉を紡ぎ出そうとはしなかった。
そうして有紀が呟いた後、石神は「そういえば」と何かを思い出し。今までの話題とは全く関係ない、完全に別の疑問を有紀へと投げ掛けた。
「セラくんだが、どうしているか有紀くんは知っているか?」
「……ああ、セラくんかい」
「その分だと、知っているようだな」
まあね、と有紀は頷き返し、コーヒーカップを小さく傾けながらこう呟いた。
「今の彼女はとても難しいところに立っているんだ。それにセラくんは何だかんだとまだ若いからね、年相応に悩みもするさ」
「…………キャロルくんのことか」
「それ以外にあると思うかい?」
「……難しいだろうな、確かに。セイレーンやアンジェくん、それに戒斗くんのこともある。今までのスタンスがスタンスだっただけに、セラくんとて複雑な心境なのか」
「そういうことさ。でも我々に出来ることは何も無い。後は時間と……何よりも、彼女自身が解決することなのさ」
「やらねば終わらないよ、助手くん。文句を言っていないでキビキビ働きたまえ」
「だったら主任も手伝ってくださいよォ~ッ!!」
「私は私のやるべきことがあり、そして私はそれをもう済ませてしまっているのでね。今は休憩がてらのコーヒーブレイクといったところさ」
「ひどいッ!! 主任には困ってる可愛い部下を助けてあげようとか、そういう優しさは無いんスかァ~ッ!?」
「無いね」
「そんな殺生なァーッ!!」
「はっはっは、ホラホラ働きたまえ若者よ。はっはっは」
所変わって、P.C.C.S本部の地下司令室。
そこでは南一誠がデスクに座って必死にキーボードを叩く傍ら、有紀はそんな涙目の彼を眺めながらゆっくりと珈琲を嗜んでいるところだった。
「うわーん! 主任の鬼ぃーっ!!」
「失敬な、折角ならマッド・サイエンティストと呼んでくれたまえ」
そんな風に南が悲鳴を上げながらキーボードを叩く中、有紀はゆっくりとコーヒーカップを傾けていたのだが。するとそんな彼女の元に、司令官の石神が近づいてくる。
「時三郎くんか」
「有紀くん……そんなに彼を虐めてやるな」
「フッ、別に虐めてなどいないさ。助手くんには助手くんのやるべきことがある、ただそれだけの話だよ」
「相変わらずだな、君は……」
透かした態度の有紀にやれやれと肩を竦めつつ、石神は「そういえば」と言って話題を変える。
「初交戦のデータ、俺も見させて貰った。ヴァルキュリア・システムは予想以上の戦力になりそうだな」
「無論だ、何せ私が造り上げた最強の戦士だからね。生半可な活躍で収まって貰っては困るというものだよ」
言った後で有紀は「それに」と続け、
「それに……彼との、戒斗くんとの相性も良い。やはり彼をVシステムの装着員に選んだ私の眼に間違いはなかったようだね」
と、コーヒーカップ片手に涼しげな顔で呟いた。
そんな彼女の傍らに立ちながら、珈琲を啜る彼女の姿を見下ろしながら。石神はふと思い出したように有紀へとこんな問いを投げ掛けてみる。
「そういえば……前から気になっていたんだが。有紀くんは何故、一般人である彼をわざわざVシステムの装着員に選んだんだ?」
石神に問われ、有紀は細めた横目の視線で頭上の彼を見上げながら……フッと小さく笑み、こう答えた。
「彼の、戒斗くんの心の中には確固たる信念がある。人類守護の戦士に相応しいだけの、そんな強い信念がね」
「強い……信念?」
「ああ。間違いなく、彼はヒーローたるに相応しい男だ。人類の自由と平和を守る黒鉄の戦士に、彼ほど相応しい男は他に居ないよ」
いつも通りのニヒルな笑みを浮かべながら、しかし彼女にしては珍しく、真っ直ぐな瞳で言う有紀の言葉に……石神もまたフッと小さく笑みを浮かべながら、ただ一言「……そうか」とだけ頷き返した。
「まあ何にしても、これでV計画も一応の到達点に至ったということだ。この分ならばいずれ、バンディットを撲滅することも叶うやも知れんな」
「そうだと良いけれどね…………」
石神が放った言葉に、有紀は複雑な表情で呟き返したが。しかし彼女はそこから先の言葉を紡ぎ出そうとはしなかった。
そうして有紀が呟いた後、石神は「そういえば」と何かを思い出し。今までの話題とは全く関係ない、完全に別の疑問を有紀へと投げ掛けた。
「セラくんだが、どうしているか有紀くんは知っているか?」
「……ああ、セラくんかい」
「その分だと、知っているようだな」
まあね、と有紀は頷き返し、コーヒーカップを小さく傾けながらこう呟いた。
「今の彼女はとても難しいところに立っているんだ。それにセラくんは何だかんだとまだ若いからね、年相応に悩みもするさ」
「…………キャロルくんのことか」
「それ以外にあると思うかい?」
「……難しいだろうな、確かに。セイレーンやアンジェくん、それに戒斗くんのこともある。今までのスタンスがスタンスだっただけに、セラくんとて複雑な心境なのか」
「そういうことさ。でも我々に出来ることは何も無い。後は時間と……何よりも、彼女自身が解決することなのさ」
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