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Chapter-03『BLACK EXECUTER』
エピローグ:すべては君を愛するために/01
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エピローグ:すべては君を愛するために
――――篠崎邸。
広大な敷地の中にそびえ立つ大邸宅、まさに迎賓館のような洋館。そんな屋敷の広間の中で、財閥の現当主にして秘密結社ネオ・フロンティアの首領たる篠崎十兵衛と、その孫娘の香菜。そして彼女の弟で末っ子に当たる潤一郎の三人が、揃って壁の大きなスクリーンに映し出されている映像を見つめていた。
映っているのは、先日起こった事件の……市街中心部、県警本部ビルがバンディットの大軍団に襲われた時の映像だ。
何処からか撮られたその映像には、戦闘中のグラスホッパー・バンディットと量産型のコフィン・バンディット、そして彼らと戦う三人の神姫と、加えて……後から突然現れて全てをなぎ倒してしまった、謎の重騎士の姿が収められている。
――――ヴァルキュリア・システム。
この場の三人は知らぬ名だが、映像に収められていた黒いパワードスーツは確かに戦部戒斗が着装していたもの。P.C.C.Sが開発した人類守護の切り札たる、漆黒の重騎士の姿だった。
「…………三名の神姫、及び介入してきた正体不明の敵によって残念ながら撃破されてしまいましたが、ご覧の通りコフィン・タイプの実用性は極めて高いものでしたわ」
そんな映像を流しながら、香菜が祖父の十兵衛に恭しい態度でそう説明する。
香菜の言葉に対し、長テーブルの一番奥、誕生日席に腰掛けた十兵衛は「うむ」と満足げに頷く。
「だが、グラスホッパーを失ってしまったのは実に惜しかった。アレは下級個体の割にかなり出来が良かった。使い捨ててしまうには、少々勿体なかったやもしれぬな」
「そうですわね、お爺様。ですがデータは回収できましたので問題はございません。間もなくグラスホッパーの再生産実験にも取り掛かりますので、そちらの成果が出次第、また改めてお爺様にご報告させて頂きますわ」
ニッコリと笑んで報告する孫娘の香菜に、十兵衛は「そうか」と薄い笑顔で頷き返した。
「ふふ……」
そんな十兵衛の傍ら、やはり椅子に腰掛ける潤一郎が何やらスクリーンを見つめながらニコニコと笑んでいて。それに気付いた香菜が「潤一郎、何がおかしいのかしら?」と不機嫌そうに見咎める。
すると、潤一郎は尚もニコニコと嬉しそうな笑顔を浮かべながら、スクリーンを指差してこんなことを香菜に言った。
「だってさ姉さん、あの黒いヤツ……すっごく格好良いじゃないか」
「潤一郎……貴方は本当に、何というか…………」
純真無垢な瞳でスクリーンに映る黒いパワードスーツ、Vシステムを見つめながら言った潤一郎の言葉に、香菜が呆れたように大きく肩を竦める。
そんな風に彼女が弟に呆れ返っている傍ら、十兵衛はカッカッカとおかしそうに高笑いをして。その後で「確かに、見た目は悪くない」とご機嫌そうな調子で言った。
そうして笑った後で、十兵衛はこんなことも続けて言う。スクリーンに映るVシステムと、三人の神姫……ガーネット・フェニックスとヴァーミリオン・ミラージュ、そして―――――ウィスタリア・セイレーンの姿を、色つき眼鏡を通した視線で見つめながら。
「P.C.C.Sも遂に本気になりおったか。それに死んだと思っておった彼奴も、ウィスタリア・セイレーンも生きておった。
それに加えて……新たに覚醒したあの神姫。ヴァーミリオン・ミラージュとやらも実に興味深い。これは面白いことになりそうだ、カッカッカ…………!!」
――――篠崎邸。
広大な敷地の中にそびえ立つ大邸宅、まさに迎賓館のような洋館。そんな屋敷の広間の中で、財閥の現当主にして秘密結社ネオ・フロンティアの首領たる篠崎十兵衛と、その孫娘の香菜。そして彼女の弟で末っ子に当たる潤一郎の三人が、揃って壁の大きなスクリーンに映し出されている映像を見つめていた。
映っているのは、先日起こった事件の……市街中心部、県警本部ビルがバンディットの大軍団に襲われた時の映像だ。
何処からか撮られたその映像には、戦闘中のグラスホッパー・バンディットと量産型のコフィン・バンディット、そして彼らと戦う三人の神姫と、加えて……後から突然現れて全てをなぎ倒してしまった、謎の重騎士の姿が収められている。
――――ヴァルキュリア・システム。
この場の三人は知らぬ名だが、映像に収められていた黒いパワードスーツは確かに戦部戒斗が着装していたもの。P.C.C.Sが開発した人類守護の切り札たる、漆黒の重騎士の姿だった。
「…………三名の神姫、及び介入してきた正体不明の敵によって残念ながら撃破されてしまいましたが、ご覧の通りコフィン・タイプの実用性は極めて高いものでしたわ」
そんな映像を流しながら、香菜が祖父の十兵衛に恭しい態度でそう説明する。
香菜の言葉に対し、長テーブルの一番奥、誕生日席に腰掛けた十兵衛は「うむ」と満足げに頷く。
「だが、グラスホッパーを失ってしまったのは実に惜しかった。アレは下級個体の割にかなり出来が良かった。使い捨ててしまうには、少々勿体なかったやもしれぬな」
「そうですわね、お爺様。ですがデータは回収できましたので問題はございません。間もなくグラスホッパーの再生産実験にも取り掛かりますので、そちらの成果が出次第、また改めてお爺様にご報告させて頂きますわ」
ニッコリと笑んで報告する孫娘の香菜に、十兵衛は「そうか」と薄い笑顔で頷き返した。
「ふふ……」
そんな十兵衛の傍ら、やはり椅子に腰掛ける潤一郎が何やらスクリーンを見つめながらニコニコと笑んでいて。それに気付いた香菜が「潤一郎、何がおかしいのかしら?」と不機嫌そうに見咎める。
すると、潤一郎は尚もニコニコと嬉しそうな笑顔を浮かべながら、スクリーンを指差してこんなことを香菜に言った。
「だってさ姉さん、あの黒いヤツ……すっごく格好良いじゃないか」
「潤一郎……貴方は本当に、何というか…………」
純真無垢な瞳でスクリーンに映る黒いパワードスーツ、Vシステムを見つめながら言った潤一郎の言葉に、香菜が呆れたように大きく肩を竦める。
そんな風に彼女が弟に呆れ返っている傍ら、十兵衛はカッカッカとおかしそうに高笑いをして。その後で「確かに、見た目は悪くない」とご機嫌そうな調子で言った。
そうして笑った後で、十兵衛はこんなことも続けて言う。スクリーンに映るVシステムと、三人の神姫……ガーネット・フェニックスとヴァーミリオン・ミラージュ、そして―――――ウィスタリア・セイレーンの姿を、色つき眼鏡を通した視線で見つめながら。
「P.C.C.Sも遂に本気になりおったか。それに死んだと思っておった彼奴も、ウィスタリア・セイレーンも生きておった。
それに加えて……新たに覚醒したあの神姫。ヴァーミリオン・ミラージュとやらも実に興味深い。これは面白いことになりそうだ、カッカッカ…………!!」
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