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Chapter-02『新たなる神姫、深紅の力は無窮の愛が為に』

第七章:亡者は闇の中で密やかに蠢いて/01

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 第七章:亡者は闇の中で密やかに蠢いて


 ――――その頃、路地裏で密かに蠢く影があった。
 薄暗い路地裏。ヒトが寄りつきそうもないそこで、不気味な唸り声を上げるその影は三つ。どれもこれも……全てが四肢を有した人型であれど、しかし決して人間ではない異形の怪人だった。
 …………バンディット。
 間宮遥、神姫ウィスタリア・セイレーンやセラフィナ・マックスウェル、神姫ガーネット・フェニックスが人知れず戦っている異形の存在。そのバンディットが三体、薄暗い路地裏で密かに蠢いていた。
 その内の二体は、つい先日に遥があの河川敷で取り逃がしてしまった二匹。カマキリ型のマンティス・バンディットと、カブトムシ型のビートル・バンディットだった。
 しかし……あともう一匹は、見たこともないバンディットだった。
 草色の体色はマンティスのものとよく似ているが、しかしスラリとしたその体躯は……怪人相手に変な言い方だが、モデル体型とでも形容すべきだろうか。長い両脚は細いが、しかし必要なだけの筋肉は有した無駄のないラインを描いている。異形は異形なものの、しかし居合わせた他の二体よりはまだ人間らしいシルエットといえるかも知れない。
 そんな謎のバンディットは、当然ながら顔付きは人間のものとは全く異なっていた。
 ぎょろりとした大きな眼に、一対の長い触覚を生やしたその姿は……例えるならば、バッタだ。
 文字通りのバッタ怪人。それが遥が取り逃がしたマンティス、ビートル二体のバンディットとともに、薄暗い路地裏で不気味な唸り声を上げていたのだ。
 ――――グラスホッパー・バンディット。
 それが、この三体目の怪人の名だった。
「ヒュルルルル…………」
 路地裏で不気味に唸る、三体の異形。しかし人々がその姿に気付かぬのは、降りしきるこの雨のせいか。分厚い雲が覆い尽くした曇天の空が、打ち付ける雨音が。その全てが、闇の中で蠢く三体の異形の気配を人々から覆い隠していた。
「ヒューッ……」
 そして雨の降る中、三体のバンディットたちは日陰よりゆっくりと這い出てくる。不気味な唸り声を上げながら、雨の染み込んだ地面をヒトならざる足で踏みしめて。異形の怪人たちが、人々の住む街に再び姿を現した。
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