上 下
403 / 430
第七章『ティアーズ・イン・ヘヴン/復讐は雨のように』

Int.03:飛べる空、飛びたい空

しおりを挟む
「――――風見」
 一週間後に控えた淡路奪還作戦の概要を通達されてから数時間後。基地の片隅にぼうっと座り込んで玲二が独り黄昏れていれば。玲二の頭の上に差した大きな人影から、聞き慣れた低く渋い声音が彼へと降り注いだ。
「少佐」
 影の差した方に振り向き仰ぐと、傍に立っていたのは飛行隊長の津雲真少佐だった。差し込む強い日差しで焦げ茶の短髪の色を更に刻していて、「よう」と手振りでラフな挨拶をする、皺の刻まれた顔には、何処か不敵にも思えるようなニヤッとした笑みを湛えている。
「考え事かあ? 風見よ」
「……あんな話を聞かされた後ですからね。考えたくもなりますよ」
「だろうな」
 頷きながら、津雲は玲二のすぐ横へ同じように腰を落とした。コンクリートの地面に構うことなく尻を付け、二人並んで格納庫のトタンっぽいような外壁にもたれ掛かる。
 二人が背中にした格納庫、その壁の向こう側では、彼ら第307飛行隊≪レイピア≫に与えられた四機のF-16JA戦闘機が今も翼を休めていることだろう。先日出撃した風見と美希の機体も、既にアラートハンガーからこちらに移され整備が行われている。
「こんな時代だ、いつかこういうことだって起きる。決して不思議なことじゃない」
 手の中にある小振りな缶を傾けて、安っぽい珈琲を啜る津雲が言った。玲二の方には視線を向けず、頭上にある青々とした蒼穹そらを仰ぐ眼で。
 そんな津雲の言葉から、何処かただならぬ重みを玲二は感じ取っていた。それもそのはずだと思う。四十を超える歳な津雲は、この307飛行隊に宛がわれた機体がF-16Jに更新されるより以前、古いF-4戦闘機が飛行隊の戦闘機だった頃からのベテラン・パイロットなのだ。常に戦時下とも云える今の時代、自然とその実戦経験も馬鹿に出来なくなってくる。津雲の言葉に異様なまでの重さが伴っているのも、その為だろう。
 そんな津雲のTACネームは"サイファー"。英語にすれば暗号、ヒンドゥー語ならば零を意味する言葉だ。きっとその言葉に大した意味は無いのだろうと、飛行隊の誰もが思う。何せ語感が良く、何処か格好良くも聞こえるTACネームなんてのは、津雲のようなベテランの飛行隊長の特権のようなものだからだ。きっとその名前は、間違いなく津雲の趣味だろうと玲二は思っていた。
「少佐は、確か関門海峡の戦いにも」
「ああ」玲二の言葉に、津雲は頷いた。「懐かしいな、もう二十年ぐらい前か?」
 関門海峡の戦い、第十六次瀬戸内海防衛戦に於ける最大の戦闘だ。もう随分と前の話になってしまったが、しかし陸軍T.A.M.S部隊のとあるスーパー・エースの活躍と逸話もあって、未だに語り草になっている伝説の戦いでもあった。
 玲二は、次の戦闘がその伝説の一戦に匹敵する規模になると踏んでいた。だからこそ、前にあの戦いを経験したと言っていた津雲に、ふと訊いてみたくなったのだ。
 こんなことを訊くだなんて、自分でもおかしいことだと思う。しかしそれでも、玲二は何故だか訊きたくなったのだ。緊張しているのかもしれない、未だ嘗て経験したことのない規模の作戦に。先達の経験を訊くことで、自分は何処かで安心したいのかもとすら思う。
「心配することはないぜ、風見。俺たちは空を飛んでる限り、滅多に死ぬようなことはない」
 津雲はニッと人懐っこいような笑みを向けてくれながら、玲二を安堵させるように、諭すように彼へと言った。そしてそれは、玲二とて認識している確かな事実でもあった。
 ――――幻魔に対し、制空権という概念は存在しない。
 奴らには、空を飛ぶ種族は存在しないのだ。今までの四十年あまりの戦いでアーチャーβやγのような亜種、新種が出現する機会は度々訪れたものの、それでも空を飛ぶ種族が現れたことは一度としてないのだ。
 つまり、人類は幻魔に対し、常に航空優勢を取った状況で戦い続けられてきたということだ。四十年以上もこうして戦えているのは、きっとそういう理由もあってのことだろう。もしこれで空を飛ぶ敵が最初から現れていたとしたら、人類はとうの昔にこの地球上から消え去っている。
 そういう意味で、玲二たち飛空士は特に生存率の高い職種だった。補給なんかの後方職種を除けば、最前線に出張る中で一番生存率は高いかもしれない。更に高空での戦いが多くなるF-16戦闘機ともなれば、尚更のことだった。低空での近接航空支援(CAS)が多いA-10D攻撃機と違い、撃墜されることは殆ど無いと云っても良い。変な話、陸軍の歩兵や戦車部隊、T.A.M.Sなんかとは比べものにならないほどだ。
 …………それでも、玲二は何処か不安だった。
 不安な理由わけは、死ぬとか生きるとかそういう類の不安じゃあなかった。飛空士になった時から、果ては基地の滑走路から飛び立った時点で、もう二度と此処に還って来られない覚悟は、空の藻屑と消える覚悟は出来ている。
 玲二の抱く不安はそういうモノじゃなく、もっと漠然としていて……。とにかく、玲二自身にも分からないほどにぼんやりとした不安だった。
「……風見。俺は昔、例の関門海峡で死にかけてるんだ」
 そんな不安に玲二が俯いていれば、ふとした時に津雲はそんなことを口にし始めていた。
「乗ってたF-4EJ改ファントムが、運悪く直撃を喰らってな。右の主翼がもげて、燃料にも引火して。俺は危ういところでベイルアウトして助かったんだが、後席の奴は降りてすぐ、幻魔に喰われちまった」
 玲二はそれを、津雲の語る昔話に黙って聞き耳を立てていた。
「俺も喰われる寸前だった。でもな、運良く俺は助けられたんだ」
「助けられた?」
「ああ」ニッとしながら津雲が頷く。「白いTAMSだった。JS-9だっけか? あの時の最新鋭機だよ」
「関門海峡の戦いで、白いJS-9に……?」
 二十数年前、第十六次瀬戸内海防衛戦、関門海峡の戦い。脱出し地上に降りた津雲と、それを助けたJS-9≪叢雲≫……。
 玲二の中で点と点同士が線で結ばれそうになった時、津雲は「きっと、風見の思ってる通りだ」と、まるで玲二の心を読んだかのようなことを言う。
「…………俺は、死神に助けられたんだ。関門海峡の、白い死神に」
 遠い昔を思い返しながら、頭上の蒼穹そらを仰ぎながらで言葉を紡ぎ出す津雲の横顔は、本当に遠くを眺めていて。その視線はきっと、此処じゃない何処かを捜していた。
「噂には聞いたことがあります」と、玲二が言う。「陸軍の西條少佐、関門海峡の白い死神……」
 その言葉に、津雲は「そうだ」と頷き肯定した。
「俺は昔、あの死神に助けられたんだ。一歩間違えれば、俺も相棒と一緒に喰われてたところをな。
 …………俺が言いたいのはな、風見。ヒトは何処で生きて、何処で死ぬかなんて分かんねえってことだよ」
「…………」
「たった数秒の違いで、相棒は喰われて死んで。でも俺はあの死神に助けられて、今もこうして生きてる。今だってお前の横に、ここにいて。それで……幸せなことに、この歳になってもまだ空を飛ばせて貰ってる。大好きな空の中を、まだお前たちと飛んでいられているんだ。
 ……結局のところよ、風見。人間なんてのはいつ死んでもおかしくないんだ。ましてこんなご時世、こんな仕事に就いてたら、余計にさ」
 そう言う津雲の言葉は、やはり強い重みを伴って玲二の胸に突き刺さる。この狂った時代に於ける、どうしようもないほどに軽くなってしまった生命いのちの価値。それを問いかけているかのように、玲二の耳には聞こえてしまっていた。
「だから、大事なのはどう生きたか。そして、今をどう生きるかだ」
「今を、どう生きるか……?」
「今を精いっぱい生きろ、風見。今、お前が飛びたい空を精いっぱい飛んでみせろ。死んじまった後のことなんて、そうなってから、あっち・・・で好きなだけ考えれば良いさ」
 津雲は諭すようにそう言うと、よっこいしょと爺臭く立ち上がり。そうして玲二に背中を向けると、後ろ手に振りながらさっさと歩き去って行ってしまった。言いたいことだけを好き放題に言って、結局何がしたかったのかも玲二に知らせぬまま、津雲はさっさと揺れる陽炎の向こう側に消えていってしまった。
「俺の飛びたい空を、精いっぱいに飛ぶ、か…………」
 残された玲二の胸に残るのは、津雲が最後に残していったそんな言葉だった。
 その言葉の意味を考えながら、玲二はふと空を仰いだ。雲一つない、青々とした蒼穹そらの色を。もう十月も半ばだというのに、その真っ青なキャンバスの中では、未だに太陽が燦々と強い日差しを降り注がせていた。
 吹き込む風に、オールバック風に掻き上げて纏めた玲二の黒い髪がフッと軽く揺れる。甲高いターボファン・ジェットエンジンの嬌声が遠くに聞こえれば、丁度F-16J戦闘機が滑走路から飛び立つところだった。
 玲二の見上げる空に、数条の白い飛行機雲が伸びていく。お前もこっちに来いと、その翼で飛びたい空を飛んでみろと、まるで玲二を誘うかのように。お前の飛びたいように飛んでみろと、地上で黄昏れる玲二に問いかけるように。煌めく銀翼が、蒼穹そらに白く真っ直ぐな軌跡を描いていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~

ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。 対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。 これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。 防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。 損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。 派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。 其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。 海上自衛隊版、出しました →https://ncode.syosetu.com/n3744fn/ ※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。 「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。 →https://ncode.syosetu.com/n3570fj/ 「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~

takahiro
キャラ文芸
 『船魄』(せんぱく)とは、軍艦を自らの意のままに操る少女達である。船魄によって操られる艦艇、艦載機の能力は人間のそれを圧倒し、彼女達の前に人間は殲滅されるだけの存在なのだ。1944年10月に覚醒した最初の船魄、翔鶴型空母二番艦『瑞鶴』は、日本本土進攻を企てるアメリカ海軍と激闘を繰り広げ、ついに勝利を掴んだ。  しかし戦後、瑞鶴は帝国海軍を脱走し行方をくらませた。1955年、アメリカのキューバ侵攻に端を発する日米の軍事衝突の最中、瑞鶴は再び姿を現わし、帝国海軍と交戦状態に入った。瑞鶴の目的はともかくとして、船魄達を解放する戦いが始まったのである。瑞鶴が解放した重巡『妙高』『高雄』、いつの間にかいる空母『グラーフ・ツェッペリン』は『月虹』を名乗って、国家に属さない軍事力として活動を始める。だが、瑞鶴は大義やら何やらには興味がないので、利用できるものは何でも利用する。カリブ海の覇権を狙う日本・ドイツ・ソ連・アメリカの間をのらりくらりと行き交いながら、月虹は生存の道を探っていく。  登場する艦艇はなんと57隻!(2024/12/18時点)(人間のキャラは他に多数)(まだまだ増える)。人類に反旗を翻した軍艦達による、異色の艦船擬人化物語が、ここに始まる。  ――――――――――  ●本作のメインテーマは、あくまで(途中まで)史実の地球を舞台とし、そこに船魄(せんぱく)という異物を投入したらどうなるのか、です。いわゆる艦船擬人化ものですが、特に軍艦や歴史の知識がなくとも楽しめるようにしてあります。もちろん知識があった方が楽しめることは違いないですが。  ●なお軍人がたくさん出て来ますが、船魄同士の関係に踏み込むことはありません。つまり船魄達の人間関係としては百合しかありませんので、ご安心もしくはご承知おきを。かなりGLなので、もちろんがっつり性描写はないですが、苦手な方はダメかもしれません。  ●全ての船魄に挿絵ありですが、AI加筆なので雰囲気程度にお楽しみください。  ●少女たちの愛憎と謀略が絡まり合う、新感覚、リアル志向の艦船擬人化小説を是非お楽しみください。またお気に入りや感想などよろしくお願いします。  毎日一話投稿します。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...