94 / 108
第六条(下):――――己が信ずる信条と正義に従い、確実に遂行せよ。
/10
しおりを挟む
「クソッ、クソッ、クソッ、クソッ……!!」
一方、"ワルキューレ・システム"の管理者権限剥奪と、そしてシステムそのものの物理的自爆は、プライベート・ジェット機に乗り上空に舞い上がったユーリ・ヴァレンタインからでも確認できていた。
「なんてことだ、なんてことだ、何をしてくれた……!!」
血の滲む包帯を巻いた右手は使わず、無事に残った左手だけでヴァレンタインはノートパソコンのキーボードを叩く。しかし"ワルキューレ・システム"そのものが物理的に消え去った今ではどうすることも出来ず、幾ら操作しても表示されるのはただ"disconnected(切断)"という無機質な文字だけだった。
「アアッ!!」
そうすれば、苛立ちを露わにヴァレンタインはノートパソコンをテーブルの上から薙ぎ払った。開きっ放しのノートパソコンがプライベート・ジェットの床の上を跳ね、そしてディスプレイの液晶が割れる。
「殺してやる、殺してやる……!」
ともすれば、窓の外を睨みながらヴァレンタインは呪詛みたく呟いていた。血色の悪い顔で、眼の下に濃い隈なんて作りながら。
「ハリー・ムラサメ、そして園崎和葉……! 殺してやる、いつか必ず、何をしてでも殺してやる……!」
ヴァレンタインの呟く言葉は決意というより、本当に呪いに近いモノだった。
「何日、何ヶ月、何年、いや何十年掛かろうとも、貴様ら二人は必ず殺す。地獄の果てまで追い詰めて、死ぬより酷い苦しみを味合わせてやる……! 私の手からジェーンも、"ワルキューレ・システム"も奪った貴様らを、私は死んでも許さない……! 絶対に殺す、殺してやるからな……!!」
怒りに打ち震えるヴァレンタインが窓の外を眺めながら呪詛めいた言葉を延々と呟いていると、するとその時だった。プライベート・ジェット機のコクピットから、機長であるパイロットの絶句する声が聞こえてきたのは。
「み、ミサイルぅ!?」
それは、明らかに狼狽した声だった。
「何だと――――」
何事かと思い、ヴァレンタインが窓の外を見ようかとしたその瞬間、彼の乗るプライベート・ジェット機は爆発し、粉々に砕け散りながら火の塊となって落下していく。
自らの身に一体何が起きたのか、そして誰が何を撃ったのか。それすらをも知らぬまま、ユーリ・ヴァレンタインは爆発炎上し墜落するプライベート・ジェット機と運命を共にした。
一方、"ワルキューレ・システム"の管理者権限剥奪と、そしてシステムそのものの物理的自爆は、プライベート・ジェット機に乗り上空に舞い上がったユーリ・ヴァレンタインからでも確認できていた。
「なんてことだ、なんてことだ、何をしてくれた……!!」
血の滲む包帯を巻いた右手は使わず、無事に残った左手だけでヴァレンタインはノートパソコンのキーボードを叩く。しかし"ワルキューレ・システム"そのものが物理的に消え去った今ではどうすることも出来ず、幾ら操作しても表示されるのはただ"disconnected(切断)"という無機質な文字だけだった。
「アアッ!!」
そうすれば、苛立ちを露わにヴァレンタインはノートパソコンをテーブルの上から薙ぎ払った。開きっ放しのノートパソコンがプライベート・ジェットの床の上を跳ね、そしてディスプレイの液晶が割れる。
「殺してやる、殺してやる……!」
ともすれば、窓の外を睨みながらヴァレンタインは呪詛みたく呟いていた。血色の悪い顔で、眼の下に濃い隈なんて作りながら。
「ハリー・ムラサメ、そして園崎和葉……! 殺してやる、いつか必ず、何をしてでも殺してやる……!」
ヴァレンタインの呟く言葉は決意というより、本当に呪いに近いモノだった。
「何日、何ヶ月、何年、いや何十年掛かろうとも、貴様ら二人は必ず殺す。地獄の果てまで追い詰めて、死ぬより酷い苦しみを味合わせてやる……! 私の手からジェーンも、"ワルキューレ・システム"も奪った貴様らを、私は死んでも許さない……! 絶対に殺す、殺してやるからな……!!」
怒りに打ち震えるヴァレンタインが窓の外を眺めながら呪詛めいた言葉を延々と呟いていると、するとその時だった。プライベート・ジェット機のコクピットから、機長であるパイロットの絶句する声が聞こえてきたのは。
「み、ミサイルぅ!?」
それは、明らかに狼狽した声だった。
「何だと――――」
何事かと思い、ヴァレンタインが窓の外を見ようかとしたその瞬間、彼の乗るプライベート・ジェット機は爆発し、粉々に砕け散りながら火の塊となって落下していく。
自らの身に一体何が起きたのか、そして誰が何を撃ったのか。それすらをも知らぬまま、ユーリ・ヴァレンタインは爆発炎上し墜落するプライベート・ジェット機と運命を共にした。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
天満堂へようこそ 6
浅井 ことは
キャラ文芸
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
寂れた商店街から発展を遂げ、今やTVでCMも流れるほどに有名になった天満堂薬店。
その薬は人間のお客様は、天満堂薬店まで。
人外の方はご予約の日に、本社横「BAR TENMAN」までお越しください。
どんなお薬でもお作りします。
※材料高価買取
※口外禁止
※現金のみ取り扱い(日本円のみ可)
※その他診察も致します
天界で王子のお披露目の最中に起こった出来事。
新王子奏太が襲われ、犯人は過去に捕えられ狭間の世界へと送りこまれたリアムだったが……
天満堂へようこそ5の続編となります。
♪¨̮⑅*⋆。˚✩.*・゚
私が異世界物を書く理由
京衛武百十
キャラ文芸
女流ラノベ作家<蒼井霧雨>は、非常に好き嫌いの分かれる作品を書くことで『知る人ぞ知る』作家だった。
そんな彼女の作品は、基本的には年上の女性と少年のラブロマンス物が多かったものの、時流に乗っていわゆる<異世界物>も多く生み出してきた。
これは、彼女、蒼井霧雨が異世界物を書く理由である。
筆者より
「ショタパパ ミハエルくん」が当初想定していた内容からそれまくった挙句、いろいろとっ散らかって収拾つかなくなってしまったので、あちらはあちらでこのまま好き放題するとして、こちらは改めて少しテーマを絞って書こうと思います。
基本的には<創作者の本音>をメインにしていく予定です。
もっとも、また暴走する可能性が高いですが。
なろうとカクヨムでも同時連載します。
女子高生占い師の事件簿
凪子
キャラ文芸
佐伯恵果(さえき・けいか)、16歳。
高校生だけど、高校には行っていません。
叔母さんの喫茶店を手伝いながら、占い師をやっています。
これでも、知る人ぞ知る、凄腕(すごうで)の占い師、らしいですよ……?
これは、そんな女子高生占い師が見聞きした、さまざまな人たちの記録です。
護堂先生と神様のごはん 護堂教授の霊界食堂
栗槙ひので
キャラ文芸
考古学者の護堂友和は、気が付くと死んでいた。
彼には死んだ時の記憶がなく、死神のリストにも名前が無かった。予定外に早く死んでしまった友和は、未だ修行が足りていないと、閻魔大王から特命を授かる。
それは、霊界で働く者達の食堂メニューを考える事と、自身の死の真相を探る事。活動しやすいように若返らせて貰う筈が、どういう訳か中学生の姿にまで戻ってしまう。
自分は何故死んだのか、神々を満足させる料理とはどんなものなのか。
食いしん坊の神様、幽霊の料理人、幽体離脱癖のある警察官に、御使の天狐、迷子の妖怪少年や河童まで現れて……風変わりな神や妖怪達と織りなす、霊界ファンタジー。
「護堂先生と神様のごはん」もう一つの物語。
2019.12.2 現代ファンタジー日別ランキング一位獲得
妖怪屋敷のご令嬢が魔術アカデミーに入学します
音喜多子平
キャラ文芸
由緒正しい妖怪一家の長女である山本亜夜子(さんもと あやこ)はかび臭い実家とそこに跋扈する妖怪たちに心底嫌気のさした生活を送っていた。
そんなある日の事、妖怪たちから魔王として慕われる実父が突如として、
「そろそろ家督を誰に譲るか決めるわ」
と言い出した。
それは亜夜子を含めた五人キョウダイたちが血で血を洗う戦いの序章となる。
だが家にいる妖怪たちは父の血と才能を色濃く受け継いだ末弟に取り入り、彼を次代の跡取りとなるように画策する始末。
もう日本の妖怪は話にならない…。
それなら、西洋の悪魔たちを使えばいいじゃない!
こうして亜夜子は海を渡り、アメリカにある魔法アカデミーに下僕を募るために入学を決意したのだった。
閻魔様のほっこりご飯~冥土で癒しの料理を作ります~
小花はな
キャラ文芸
――ここは冥土。天国と地獄の間。
気がついたらそこで閻魔様の裁判を受けていていた桃花は、急速に感じた空腹に耐えかね、あろうことか閻魔様のご飯を食べてしまう!
けれど怒られるどころか、美形の閻魔様に気に入られた上に、なぜか彼の宮殿で暮らすことになって……?
〝わたしは昔、あなたに会ったことがあるんですか?〟
これは記憶のない少女が過去を思い出しつつ、ご飯が食べられないワーカーホリックな閻魔様や家来の小鬼たちを餌付けしていく、ほのぼのグルメラブストーリー。
お品書きは全九品+デザート一品、是非ご賞味ください。
※本作はキャラ文芸大賞に参加しております。どうぞよろしくお願いします!
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
ススムが進に教えるお金持ちへの道
あがつま ゆい
キャラ文芸
令和3年、とある関東地方の県庁所在地にほど近い場所にあるデイサービス施設で働く「宮本 進」はカネが欲しかった。
カネが無い=死であった彼のもとに80を過ぎてもなお年収が1億あるという老人が施設に通いだしたという噂が届く。
進がその老人に金持ちになる秘訣を教えてくれと頼み込むところから物語の幕が上がる。
毎週月曜、水曜、土曜の19:00(午後7時)に更新。
小説家になろう、カクヨム、マグネットにも同時掲載。
内容は全て同じです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる