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第六条(上):この五ヶ条を破らなければならなくなった時は――――
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「今の音は!?」
「こっちだ、きっと中に入り込まれた!」
「――――!」
ガラスを突き破り邸宅の一階・応接間へと飛び込んだハリーが大きく床を転がりながら着地すると、すぐさまそんな声が聞こえてくるととともに、ドタドタとした複数の足音がこっちに近づいてくる気配を感じる。
「外でもドンパチ、中でもドンパチ……!」
途端に立ち上がり、応接間の扉に近い壁際に背中を寄せながら、ハリーがまた独り言で毒づく。
「こんな派手な大立ち回り、L.A以来だ」
そう呟きながら、ハリーはSIG-516に差さる樹脂弾倉をチラリと見る。残弾確認用に付けられた小窓からは、まだまだ十分に残弾があることが窺えた。
そうしてハリーが残弾確認をした直後、彼のすぐ傍にあった扉が蹴破られる。すぐに敵が流れ込んでくるから、ハリーはショットガンを持ち戦闘に立っていた一人の側頭部をまずSIG-516で撃ち抜いた。
ターンと軽い銃声が応接間の中で反響すると、横からハンマーで頭を殴られたみたいに仰け反りながら先頭のソイツが倒れ込もうとする。ショットガンを取り落とすソイツの前へと滑り込んだハリーは左腕で死体の身体を支えつつ楯にし、右腕はSIG-516ごと死体の脇から向こう側に突き出した。
「こなくそっ!!」
後ろに居た数人が慌てて拳銃をブッ放すが、それらは全て死体の背中に吸い込まれるだけでハリーの方まで貫通はしてこない。ハリーはニッとほくそ笑みつつ、セレクタをフルオートに弾いたSIG-516の引鉄を絞った。
ダダダダ、と凄まじい勢いで銃口が火を噴き、SIG-516が大量の5.56mm弾を吐き出す。至近距離でライフル弾の豪雨を浴びた残りの数人は例外なく踊るように身体のあちこちを高速弾頭に抉られ、そして間も無く絶命する。
バタリ、と廊下で数人の死骸が斃れる音を聴きながら、ハリーは担いでいた最初の死体も放り出した。一旦応接間の奥に引っ込み、弾切れの弾倉を新しい物と交換する。
「これで、SIGの分はラスト……!」
弾倉を突っ込み、ボルトストップを殴り付けながら、己に言い聞かせるようにハリーがひとりごちる。実際、今差し込んだ奴でSIG-516用の予備弾倉は最後だった。
残りの5.56mm弾は、三十発――――。
だが、十分すぎる。これだけあれば、十人近くは屠れるだろう。そう思いながら、ハリーは意を決して廊下へと飛び出していく。
転がる死骸を乗り越え、そして壁沿いに廊下を進んでいく。途中で何人かが別の部屋から目の前に飛び出してきたので、間髪入れずに射殺した。
(残りは、十五発……!)
そうして半分ほどを使い切った所で、ハリーは食堂のような所へ迷い込んだ。テーブルクロスの掛けられた縦に長いテーブルが中央にあり、その周りに幾つもの椅子が据えられている感じの部屋だ。天井からは豪勢なシャンデリアが吊されていて、まるで中世ヨーロッパの何処かにある、それこそ貴族の屋敷に迷い込んでしまったかのような錯覚を覚えさせられる……。
と、そうした時だった。ハリーが入ってきたのとは別の、食堂の扉が蹴破られる。ハリーはそれを察知し、間を挟むようにしてテーブルの方へと滑り込んだ。
「居たぞ!」
すると、最初に突入してきた奴が叫ぶ。やはりというべきかショットガンを持っていた。古典的な手動ポンプ・アクション式の、ロシア製KS-23Mだ。
「ッ!!」
そのKS-23Mショットガンを構えた傭兵が突っ込んで来るなり、ハリーはテーブルを蹴飛ばして横倒しにし、テーブル越しにSIG-516を撃ちまくって応戦した。それで何人かの脚を撃ち抜くことは出来たが、肝心のショットガンを持ったソイツは軽快な動きで避け、ハリーの方へと肉薄してくる。
「ヤバい……!」
テーブルを飛び越え、奴が目の前に現れる。ハリーは寝転がった格好のまま仰向けになり、その傭兵の胸へ目掛けてSIG-516を連射した。
男が吹っ飛び、そしてSIG-516の弾が切れる。しかしソイツは防弾のボディ・アーマーを内側に着込んでいたらしく、KS-23Mショットガンを取り落としこそしたが、しかし無傷のままで立ち上がる。
「畜生ッ!」
ナイフを抜いて突撃を図るソイツへ向け、ハリーは弾の切れたSIG-516を破れかぶれに投げつけた。
「うぐっ」
咄嗟の行動だったが、一直線に突っ込んできていたソイツには効果的だった。飛んで来たSIG-516に正面からぶつかり、男が一瞬だけ怯む。
「ッ……!」
その隙にハリーは仰向けに寝転がった格好のまま、右手を腰へと走らせ。そしてカスタマイズ品のグロック34自動拳銃を抜くと、神速の抜き撃ちで男の身体を抉った。頭に三発を叩き込まれた男が、顔面をぐちゃぐちゃにしながらバタリと仰向けに斃れる。即死は明らかだった。
「ぐぅっ!!」
そのままハリーはゴロゴロと床を転がり膝立ちに起き上がれば、唐突に上方に向けてグロックを連射する。そうすると、吊されていたシャンデリアのチェーンが弾けて。豪華絢爛にして巨大なシャンデリアが落下すれば、丁度真下にいた運の悪い二人を押し潰してしまう。
続けて残りの二人をグロックで始末し、シャンデリアに潰された二人の頭も念入りに潰しておけば、丁度グロック34は弾切れ。空弾倉を手首のスナップで吹っ飛ばしつつ新しい物と入れ替えたハリーは、グロックを腰のホルスターに収めると、今度は背中に背負ったベネリM4自動ショットガンを引っ張り出した。
「近距離戦なら、ベネリが一番頼りになる」
ほくそ笑みつつひとりごちながら、ハリーは構えたベネリM4のセイフティを解除。横倒しで穴だらけになったテーブルを飛び越えると、すぐさまその食堂を後にしていった。脚を撃ち抜かれ床に転がった数人の頭を、念入りに蹴り飛ばした後で。
「こっちだ、きっと中に入り込まれた!」
「――――!」
ガラスを突き破り邸宅の一階・応接間へと飛び込んだハリーが大きく床を転がりながら着地すると、すぐさまそんな声が聞こえてくるととともに、ドタドタとした複数の足音がこっちに近づいてくる気配を感じる。
「外でもドンパチ、中でもドンパチ……!」
途端に立ち上がり、応接間の扉に近い壁際に背中を寄せながら、ハリーがまた独り言で毒づく。
「こんな派手な大立ち回り、L.A以来だ」
そう呟きながら、ハリーはSIG-516に差さる樹脂弾倉をチラリと見る。残弾確認用に付けられた小窓からは、まだまだ十分に残弾があることが窺えた。
そうしてハリーが残弾確認をした直後、彼のすぐ傍にあった扉が蹴破られる。すぐに敵が流れ込んでくるから、ハリーはショットガンを持ち戦闘に立っていた一人の側頭部をまずSIG-516で撃ち抜いた。
ターンと軽い銃声が応接間の中で反響すると、横からハンマーで頭を殴られたみたいに仰け反りながら先頭のソイツが倒れ込もうとする。ショットガンを取り落とすソイツの前へと滑り込んだハリーは左腕で死体の身体を支えつつ楯にし、右腕はSIG-516ごと死体の脇から向こう側に突き出した。
「こなくそっ!!」
後ろに居た数人が慌てて拳銃をブッ放すが、それらは全て死体の背中に吸い込まれるだけでハリーの方まで貫通はしてこない。ハリーはニッとほくそ笑みつつ、セレクタをフルオートに弾いたSIG-516の引鉄を絞った。
ダダダダ、と凄まじい勢いで銃口が火を噴き、SIG-516が大量の5.56mm弾を吐き出す。至近距離でライフル弾の豪雨を浴びた残りの数人は例外なく踊るように身体のあちこちを高速弾頭に抉られ、そして間も無く絶命する。
バタリ、と廊下で数人の死骸が斃れる音を聴きながら、ハリーは担いでいた最初の死体も放り出した。一旦応接間の奥に引っ込み、弾切れの弾倉を新しい物と交換する。
「これで、SIGの分はラスト……!」
弾倉を突っ込み、ボルトストップを殴り付けながら、己に言い聞かせるようにハリーがひとりごちる。実際、今差し込んだ奴でSIG-516用の予備弾倉は最後だった。
残りの5.56mm弾は、三十発――――。
だが、十分すぎる。これだけあれば、十人近くは屠れるだろう。そう思いながら、ハリーは意を決して廊下へと飛び出していく。
転がる死骸を乗り越え、そして壁沿いに廊下を進んでいく。途中で何人かが別の部屋から目の前に飛び出してきたので、間髪入れずに射殺した。
(残りは、十五発……!)
そうして半分ほどを使い切った所で、ハリーは食堂のような所へ迷い込んだ。テーブルクロスの掛けられた縦に長いテーブルが中央にあり、その周りに幾つもの椅子が据えられている感じの部屋だ。天井からは豪勢なシャンデリアが吊されていて、まるで中世ヨーロッパの何処かにある、それこそ貴族の屋敷に迷い込んでしまったかのような錯覚を覚えさせられる……。
と、そうした時だった。ハリーが入ってきたのとは別の、食堂の扉が蹴破られる。ハリーはそれを察知し、間を挟むようにしてテーブルの方へと滑り込んだ。
「居たぞ!」
すると、最初に突入してきた奴が叫ぶ。やはりというべきかショットガンを持っていた。古典的な手動ポンプ・アクション式の、ロシア製KS-23Mだ。
「ッ!!」
そのKS-23Mショットガンを構えた傭兵が突っ込んで来るなり、ハリーはテーブルを蹴飛ばして横倒しにし、テーブル越しにSIG-516を撃ちまくって応戦した。それで何人かの脚を撃ち抜くことは出来たが、肝心のショットガンを持ったソイツは軽快な動きで避け、ハリーの方へと肉薄してくる。
「ヤバい……!」
テーブルを飛び越え、奴が目の前に現れる。ハリーは寝転がった格好のまま仰向けになり、その傭兵の胸へ目掛けてSIG-516を連射した。
男が吹っ飛び、そしてSIG-516の弾が切れる。しかしソイツは防弾のボディ・アーマーを内側に着込んでいたらしく、KS-23Mショットガンを取り落としこそしたが、しかし無傷のままで立ち上がる。
「畜生ッ!」
ナイフを抜いて突撃を図るソイツへ向け、ハリーは弾の切れたSIG-516を破れかぶれに投げつけた。
「うぐっ」
咄嗟の行動だったが、一直線に突っ込んできていたソイツには効果的だった。飛んで来たSIG-516に正面からぶつかり、男が一瞬だけ怯む。
「ッ……!」
その隙にハリーは仰向けに寝転がった格好のまま、右手を腰へと走らせ。そしてカスタマイズ品のグロック34自動拳銃を抜くと、神速の抜き撃ちで男の身体を抉った。頭に三発を叩き込まれた男が、顔面をぐちゃぐちゃにしながらバタリと仰向けに斃れる。即死は明らかだった。
「ぐぅっ!!」
そのままハリーはゴロゴロと床を転がり膝立ちに起き上がれば、唐突に上方に向けてグロックを連射する。そうすると、吊されていたシャンデリアのチェーンが弾けて。豪華絢爛にして巨大なシャンデリアが落下すれば、丁度真下にいた運の悪い二人を押し潰してしまう。
続けて残りの二人をグロックで始末し、シャンデリアに潰された二人の頭も念入りに潰しておけば、丁度グロック34は弾切れ。空弾倉を手首のスナップで吹っ飛ばしつつ新しい物と入れ替えたハリーは、グロックを腰のホルスターに収めると、今度は背中に背負ったベネリM4自動ショットガンを引っ張り出した。
「近距離戦なら、ベネリが一番頼りになる」
ほくそ笑みつつひとりごちながら、ハリーは構えたベネリM4のセイフティを解除。横倒しで穴だらけになったテーブルを飛び越えると、すぐさまその食堂を後にしていった。脚を撃ち抜かれ床に転がった数人の頭を、念入りに蹴り飛ばした後で。
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