9 / 15
9.はじめてのこくはく-3
しおりを挟む
ふに、と触れ合った唇はすぐに離れ、ふたりは見つめあいながら頬を赤く染める。
「マリエル、好きだよ」
「私も……コーヘイ、大好き」
もう一度コーヘイの唇とマリエルの唇が重なり、チュッ、チュッと何度も音を立てる。
何度かキスをくり返し、ハァッ、と熱い息を吐いたコーヘイはマリエルの耳元でささやいた。
「ところでさ、マリエルはセックスのやり方って知ってるの?」
「え? えっと……それはアランに……」
「アランに教えてもらったの!?」
コーヘイが勢いよく身体を動かし、マリエルの背中に手枷の鎖が当たる。
「痛っ! え? ち、違う……」
「あっと、ごめん。でも、そうだよね。アランにもゴードンにも絶対マリエルには手を出すなって言っておいたんだから。マリエルはまだ処女だよね?」
「え? えっと、うん……」
何やらコーヘイの口から不穏な言葉が聞こえたような気がするが気のせいだろうか。
「ふぅー、もし誰かがマリエルに手を出したら魔王を倒さないからな! って散々脅しておいて良かった……」
「え? え?」
「じゃあさ、誰に教えてもらったの? まさか、ゴードン?」
「いや、えっと、あの……アランに恋人の女性を紹介してもらって、その人に……」
「アランの恋人? ふーん、恋人ねぇ……」
女遊びがひどすぎて第二王子でありながら魔王討伐のパーティーに入れられてしまったアランの恋人とは、おそらく大勢いる遊び相手のうちのひとりでしかないのだが、マリエルはそのことを知らなかった。
「で、アランがその人とどうやってるか教えてもらったってこと?」
「あ、ううん。アランはちょっと特別なやり方みたいで、ごく普通のやり方? っていうのを教えてもらったの」
「特別なやり方」
「あ、うん、なんだか後ろがどうとか、道具を使うとか言ってて……」
「あー、いい、いい。アランの性癖なんて絶対知りたくないから言わなくていいよ」
コーヘイは苦々しい顔をして首を横にふった。
「はぁーでもこれで事情はだいたいわかったよ。マリエルは僕のためにこんなことをしたんだね」
コーヘイは腕を上げてマリエルを腕の中から取り出して、マリエルの手をギュッとにぎる。
手枷の鎖がシャラリと音を立てた。
「コーヘイ、ごめんなさい……」
「ごめんなさいはもういいよ。むしろ僕の方がありがとうを言いたいくらい」
「怒ってないの?」
「もちろん」
コーヘイはマリエルの額にチュッとキスを落としてから、とんとマリエルの体を押してベッドに押し倒す。
マリエルはベッドに背中を預けながら、小首を傾げてコーヘイを見上げた。
「コーヘイ?」
「さて、じゃあ、やろうか」
「やるって何を?」
「ん? セックス」
コーヘイはマリエルに覆い被さりながら、顔中いっぱいにお日さまのような笑顔を浮かべていた。
「マリエル、好きだよ」
「私も……コーヘイ、大好き」
もう一度コーヘイの唇とマリエルの唇が重なり、チュッ、チュッと何度も音を立てる。
何度かキスをくり返し、ハァッ、と熱い息を吐いたコーヘイはマリエルの耳元でささやいた。
「ところでさ、マリエルはセックスのやり方って知ってるの?」
「え? えっと……それはアランに……」
「アランに教えてもらったの!?」
コーヘイが勢いよく身体を動かし、マリエルの背中に手枷の鎖が当たる。
「痛っ! え? ち、違う……」
「あっと、ごめん。でも、そうだよね。アランにもゴードンにも絶対マリエルには手を出すなって言っておいたんだから。マリエルはまだ処女だよね?」
「え? えっと、うん……」
何やらコーヘイの口から不穏な言葉が聞こえたような気がするが気のせいだろうか。
「ふぅー、もし誰かがマリエルに手を出したら魔王を倒さないからな! って散々脅しておいて良かった……」
「え? え?」
「じゃあさ、誰に教えてもらったの? まさか、ゴードン?」
「いや、えっと、あの……アランに恋人の女性を紹介してもらって、その人に……」
「アランの恋人? ふーん、恋人ねぇ……」
女遊びがひどすぎて第二王子でありながら魔王討伐のパーティーに入れられてしまったアランの恋人とは、おそらく大勢いる遊び相手のうちのひとりでしかないのだが、マリエルはそのことを知らなかった。
「で、アランがその人とどうやってるか教えてもらったってこと?」
「あ、ううん。アランはちょっと特別なやり方みたいで、ごく普通のやり方? っていうのを教えてもらったの」
「特別なやり方」
「あ、うん、なんだか後ろがどうとか、道具を使うとか言ってて……」
「あー、いい、いい。アランの性癖なんて絶対知りたくないから言わなくていいよ」
コーヘイは苦々しい顔をして首を横にふった。
「はぁーでもこれで事情はだいたいわかったよ。マリエルは僕のためにこんなことをしたんだね」
コーヘイは腕を上げてマリエルを腕の中から取り出して、マリエルの手をギュッとにぎる。
手枷の鎖がシャラリと音を立てた。
「コーヘイ、ごめんなさい……」
「ごめんなさいはもういいよ。むしろ僕の方がありがとうを言いたいくらい」
「怒ってないの?」
「もちろん」
コーヘイはマリエルの額にチュッとキスを落としてから、とんとマリエルの体を押してベッドに押し倒す。
マリエルはベッドに背中を預けながら、小首を傾げてコーヘイを見上げた。
「コーヘイ?」
「さて、じゃあ、やろうか」
「やるって何を?」
「ん? セックス」
コーヘイはマリエルに覆い被さりながら、顔中いっぱいにお日さまのような笑顔を浮かべていた。
10
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説


今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる