【R18】はじめてのかんきん〜聖女と勇者のワクドキ♡監禁生活〜

4.はじめてのおふろ-1

　服を脱がせてほしいというコーヘイの頼みを聞いて、マリエルは一枚ずつコーヘイの服を脱がせていった。
　手枷に上着が引っかかってしまったが、魔王との戦いでボロボロになっていたのでコーヘイが風魔法で切り裂いてしまった。

「監禁中でも着替えって用意してもらえるんだよね？」

「そ、それはもちろん！！　あとでちゃんと買いに行ってくるわ」

「パンツの替えもよろしくね」

「パ、パンツね……わかったわ……」

　そういうコーヘイはすでにパンツ一枚だけの姿になっており、マリエルはコーヘイのパンツに手をかけたまま顔を真っ赤にして動きを止める。

「……マリエル」

「待って……いま、あの、脱がせるから……」

「あの、パンツくらいなら自分で脱げるから目をつぶっててもらえる？」

「あ、そうね、うん、わかったわ！！」

　マリエルがギュッと目をつぶると、コーヘイが手枷を付けたままパンツを脱いでいる気配がする。

「いいよ～」

　マリエルがおそるおそる目を開けると、コーヘイは腰に布を巻いてソ・コ・をちゃんと隠していた。
　マリエルはホッと息を吐く。

（いや、こんなことじゃダメ！　だってこのあと私はコーヘイと……）

　ぐるぐる悩んでいるマリエルを置いて、コーヘイはさっさと風呂場に入って身体を濡らしていた。

「マリエル～、身体を洗ってもらってもいいかな？」

「あ、うん！」

　マリエルは聖女用の白いローブを脱ぎ、少し悩んだけれど白いワンピースは着たままお風呂場の中に向かう。
　ワンピースの袖をまくり裾を持ち上げて太ももの横で結ぶと膝の上まで肌が見えてしまった。

「コーヘイ、あの……お待たせ」
「マリエ……！」

　コーヘイは風呂場に入ってきたマリエルの格好を見て、ごくりと喉を鳴らす。

「すごい、きれいだ……」

　普段肌をさらしていない足をジロジロ見られてとても恥ずかしい。
　マリエルは顔に熱がたまってしまい、いそいそとコーヘイの後ろに回り背中を洗い始めた。
　コーヘイの背中には筋肉がしっかりついており、鍛えられた立派な身体をしていた。

（十年前はあんなにガリガリだったのに……）

　魔王にはコーヘイの魔法でも効かないので、コーヘイは勇者の剣で魔王を倒すしかなく、この十年間鍛え続けてきたのをマリエルはずっと隣で見てきた。
　コーヘイが訓練や魔物の討伐で傷を負うたびにマリエルが治してきたので、コーヘイの身体に傷痕はほとんどない。
　そう、ほとんど。
　この一箇所を除いては――。

「この傷は治せなかったわね」

　背中を洗って前に回ったマリエルはコーヘイの胸の傷痕にそっと触れる。
　そこには縦にまっすぐひかれた傷痕があった。

「これはこの世界に来る前にできたものだから」

　コーヘイが朗らかに笑う。

「むしろこの奥にあった病気を治してくれたのはマリエルでしょ？」

　この奥、と言いながらコーヘイが自分の傷痕をとんと指さす。
　この傷痕はコーヘイが言うには『心臓手術』の痕らしい。
　コーヘイは心臓にいくつも病気があり、小さい頃から何回も『心臓手術』を受けてきたのだとか。
　それでも病気が治りきることはなく、いつも苦しかったと言っていた。
　十年前、九歳の時にこの世界に召喚されたコーヘイは胸を押さえひどく苦しそうにしていた。
　聖女として勇者召喚の義に参列していたマリエルは、すぐにコーヘイが死にかけていることに気づき、周りの制止を振り切ってコーヘイに駆け寄った。

『私が助けてあげるから、がんばって！』

　マリエルは苦しむコーヘイに向かってありったけの聖女の力を注ぎ込んだ。
　聖女の力を使いすぎたマリエルは、そのまま倒れてひと月近く寝込んでしまった。
　しかしそのかいあって、マリエルが目を覚ました時にはコーヘイの心臓の病気はすっかり治っていたのだった。

　ぼんやりと当時のことを思い出しながら、マリエルは手桶でお湯をすくってコーヘイの身体の泡を流していく。
　すると、つるりと足が滑って手桶が宙を飛んだ。

「あっ！」