【R18】はじめてのかんきん〜聖女と勇者のワクドキ♡監禁生活〜

2.はじめてのかんきん-2

「へ？　かんきん？」

　マリエルの言葉をコーヘイがくり返す。

「そう、監禁」

「かんきん……って、あの、檻に入れる監禁？」

「そう、その監禁」

「……でもここ、檻じゃなくてただの小屋じゃない？」

「この小屋には魔法がかけてあって、私しか出入りできないようになってるの」

「はぁ、魔法で監禁……監禁ねぇ……」

　コーヘイは頭をかこうと手を動かして、鎖がピンと張った手枷に邪魔をされ困った顔をする。

「この部屋は私の願いが叶うまで、魔法が解けないようになってるの。その手枷もそう」

「マリエルの願いってなんなの？」

「それは……」

　マリエルは口をキュッとひき結び目を閉じる。
　その願いを口にする勇気は、まだない。

「いや、ま……いいけど、これお風呂とかどうすんの？」

「え！　お風呂！？」

「とりあえず僕、これ、着替えたいんだけど」

　魔王討伐後そのままここに連れてこられたコーヘイは、服も身体も魔物たちと戦ったせいでとても汚れていた。

「そ、そうよね……！　どうしよう……」

　マリエルはコーヘイの上にまたがりながら、オロオロと周りを見まわした。
　コーヘイの腰の上でマリエルが身体を揺らす。

「ん……んんっ、マリエル！　マリエル！！　ちょっと待って！」

「コーヘイ、どうしたの？」

「えっと、とりあえず、そこから降りてもらってもいいかな？」

　コーヘイは真っ赤な顔をしながら、マリエルの乗っかっている自分の腰のあたりを指さす。

「あ、そうよね、重いわよね。すぐ下りるわ。ごめんなさい」

「あっ！　ちょ、そこ……まっ……」

　マリエルがずりずりとコーヘイの上から這い下りると、コーヘイはなぜか目をギュッとつぶって眉間にシワを寄せた。

　赤い顔をしながら苦しそうに何かに耐えるコーヘイのその様子に、マリエルはあわててしまう。

「コーヘイ？　やだ、まだどこかにケガが残っていた？　顔が赤いわ」

　マリエルはすかさずコーヘイの額に手を当てる。
　手枷で拘束する前に、マリエルの聖魔法でコーヘイの身体の回復をさせたつもりだったが足りなかったのだろうか。

「いや、大丈夫だから！」

　コーヘイは気まずそうに頭を振ってマリエルの手を退けると、マリエルに背中を向けるようにして身体を丸めた。
　いつも優しいコーヘイにこんな態度を取られたのは初めてで、マリエルはしゅんとうなだれてしまう。

（こんな真似してコーヘイに嫌われても仕方ないけど、だけど私は……）

　マリエルが胸の前でギュッと手を握っていると、気を取り直したコーヘイが足をふり上げて手を使わずにぴょんと飛び起きた。

「よし！　前みたいに、僕がお風呂の用意をするよ」

　コーヘイはベッドから降りると、慣れ親しんだお風呂場へと向かった。