【R18】だって、あなたが下手だから。

河津ミネ

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11.だって、あなたが好きだから

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 濃厚すぎる交わりを終えて、私たちはベッドの中で裸で抱き合った。
 私は快感の余韻が全然引かなくて、まだしばらく動けそうにない。

「トワ、痛くなかった?」

「うん。痛いことなんて少しもなくて……あの、すごく気持ち良かった。エチル、ありがとう……」

 すごくがんばってくれたのはわかったけれど、その分エチルは我慢していたんじゃないかと不安になる。

「……エチルはちゃんと良かった?」

「もちろん」

 その返事を聞いてもまだ少し不安そうにする私に向かって、エチルが笑いながら私のお腹に手を置いた。

「トワが感じると、ココが締まって俺もすごく気持ちいいんだよ」

「そ、そう……」

 顔を赤くしながらうつむくと、エチルがくすくす笑いながら耳元に口を寄せる。

「トワはさ、今までどんな格好でするのが一番気持ち良かった?」

「え! なんでそんなこと聞くの……?」

「ん? だって、トワが嫌がることはしたくないから」

 低い甘い声で「教えて?」なんて耳元でねだられたら、もう抵抗できなかった。

「あの、ギュッと抱き合ってするのが好き」

「俺も」

 エチルが嬉しそうに笑いながら私をギュッと抱きしめる。
 それからふと気がついたように尋ねた。

「ん? でもさ、好きなのってことは気持ちいいのとは別?」

「え! あ、あの…………気持ちいいのは、立って後ろから……」

「へ、へぇ~」

 思わず答えてしまって、エチルが少し驚いたように目を大きくする。
 私は真っ赤になった顔を隠すようにエチルの胸元に顔を埋めた。

 だってこれまで立って後ろからなんて、そんなにしたことなくて。
 それはたいていいつも盛り上がりすぎてしまった時で、服だって着てそのままで。
 壁に押し付けられるようにしながら後ろから激しく突かれると、違ったところに当たるのがすごく気持ち良くて、エチルが私に夢中になってくれてるみたいで嬉しくて。

 でも、そんなのが全部恥ずかしくて、私はエチルの裸の胸を叩いた。

「もう、バカ! 恥ずかしいこと言わせないでよ」

「あー、そんなこと言われると立ってヤりたくなってきた。でも今日は我慢する。まだ治ったばっかりだもんな」

 そう言いながらエチルは私のお腹を優しくなでた。

「ねぇ、エチルは?」

「ん?」

「私ばっかり言わされて恥ずかしいから! エチルも教えて?」

「あー、俺はトワに上に乗ってもらうのだな」

「え」

 それこそそんなの一度や二度しかしたことないはずだ。

「トワが恥ずかしがりながら俺の上で腰振ってるの、めちゃくちゃ興奮する」

 エチルは手の甲を口元に当てて隠しているけれど、その顔が思いきりニヤついているのがわかる。

「……エチルって案外スケベなのね」

「案外も何も、今までだってトワとしたくてあんなにガッツいてたんだから、そこはもうとっくにバレてるかと思ったけど」

 エチルが少し気まずそうにしながらあごをかいた。

「でも、前はもうちょっと隠してたけどね」

「隠してた方が良かった? それなら黙っておけば良かったかな」

「ううん。それよりはちゃんと話せるほうがいい」

「スケベな俺でも嫌いにならない?」

「……少しだけならね」

 そう言ってベッドの中でくすくす笑い合った。
 エチルが私を抱きしめながら、ぐりぐりと頭を押しつける。

「ね、トワ。一緒に風呂に入ろうよ」

「あ、えっと、一緒はちょっと。お風呂はひとりでゆっくり入りたい……かも」

「あー、うん、そっか。わかった」

「あの、今度……今度ね」

「楽しみにしてる」

 そうして私が動けるようになるまで、ベッドの中で裸のままたわいのない会話を続けたのだった。


 *****


 さて、それからの私たちがどうなったかを少し。

「エチル! また部屋が汚れてきてるよ」

「ごめん、最近ちょっと忙しくて。でも浄化魔法かけてるから汚れてはいないよ」

「だからなんでも浄化魔法でどうにかしようとしないの! ちゃんとベッドで休まないと疲れが取れないでしょう?」

「はーい」

 そんなやり取りをしながら、散らかってしまったエチルの部屋を片付ける。

 私たちは前より仲が良くなって、でも前よりたくさん喧嘩をするようになった。
 でもこうやってお互いに自分の気持ちを話し合えれば、きっと私たちは大丈夫。

 だって、私は――。

「エチル」

「なに?」

 エチルが片付けの手を止めて私を見る。

「大好き!」

「ん、俺も」

 そんな風に散らかった部屋をふたりで片付けながら、私たちは今日も笑い合っているのだった。
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