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11.だって、あなたが好きだから
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濃厚すぎる交わりを終えて、私たちはベッドの中で裸で抱き合った。
私は快感の余韻が全然引かなくて、まだしばらく動けそうにない。
「トワ、痛くなかった?」
「うん。痛いことなんて少しもなくて……あの、すごく気持ち良かった。エチル、ありがとう……」
すごくがんばってくれたのはわかったけれど、その分エチルは我慢していたんじゃないかと不安になる。
「……エチルはちゃんと良かった?」
「もちろん」
その返事を聞いてもまだ少し不安そうにする私に向かって、エチルが笑いながら私のお腹に手を置いた。
「トワが感じると、ココが締まって俺もすごく気持ちいいんだよ」
「そ、そう……」
顔を赤くしながらうつむくと、エチルがくすくす笑いながら耳元に口を寄せる。
「トワはさ、今までどんな格好でするのが一番気持ち良かった?」
「え! なんでそんなこと聞くの……?」
「ん? だって、トワが嫌がることはしたくないから」
低い甘い声で「教えて?」なんて耳元でねだられたら、もう抵抗できなかった。
「あの、ギュッと抱き合ってするのが好き」
「俺も」
エチルが嬉しそうに笑いながら私をギュッと抱きしめる。
それからふと気がついたように尋ねた。
「ん? でもさ、好きなのってことは気持ちいいのとは別?」
「え! あ、あの…………気持ちいいのは、立って後ろから……」
「へ、へぇ~」
思わず答えてしまって、エチルが少し驚いたように目を大きくする。
私は真っ赤になった顔を隠すようにエチルの胸元に顔を埋めた。
だってこれまで立って後ろからなんて、そんなにしたことなくて。
それはたいていいつも盛り上がりすぎてしまった時で、服だって着てそのままで。
壁に押し付けられるようにしながら後ろから激しく突かれると、違ったところに当たるのがすごく気持ち良くて、エチルが私に夢中になってくれてるみたいで嬉しくて。
でも、そんなのが全部恥ずかしくて、私はエチルの裸の胸を叩いた。
「もう、バカ! 恥ずかしいこと言わせないでよ」
「あー、そんなこと言われると立ってヤりたくなってきた。でも今日は我慢する。まだ治ったばっかりだもんな」
そう言いながらエチルは私のお腹を優しくなでた。
「ねぇ、エチルは?」
「ん?」
「私ばっかり言わされて恥ずかしいから! エチルも教えて?」
「あー、俺はトワに上に乗ってもらうのだな」
「え」
それこそそんなの一度や二度しかしたことないはずだ。
「トワが恥ずかしがりながら俺の上で腰振ってるの、めちゃくちゃ興奮する」
エチルは手の甲を口元に当てて隠しているけれど、その顔が思いきりニヤついているのがわかる。
「……エチルって案外スケベなのね」
「案外も何も、今までだってトワとしたくてあんなにガッツいてたんだから、そこはもうとっくにバレてるかと思ったけど」
エチルが少し気まずそうにしながらあごをかいた。
「でも、前はもうちょっと隠してたけどね」
「隠してた方が良かった? それなら黙っておけば良かったかな」
「ううん。それよりはちゃんと話せるほうがいい」
「スケベな俺でも嫌いにならない?」
「……少しだけならね」
そう言ってベッドの中でくすくす笑い合った。
エチルが私を抱きしめながら、ぐりぐりと頭を押しつける。
「ね、トワ。一緒に風呂に入ろうよ」
「あ、えっと、一緒はちょっと。お風呂はひとりでゆっくり入りたい……かも」
「あー、うん、そっか。わかった」
「あの、今度……今度ね」
「楽しみにしてる」
そうして私が動けるようになるまで、ベッドの中で裸のままたわいのない会話を続けたのだった。
*****
さて、それからの私たちがどうなったかを少し。
「エチル! また部屋が汚れてきてるよ」
「ごめん、最近ちょっと忙しくて。でも浄化魔法かけてるから汚れてはいないよ」
「だからなんでも浄化魔法でどうにかしようとしないの! ちゃんとベッドで休まないと疲れが取れないでしょう?」
「はーい」
そんなやり取りをしながら、散らかってしまったエチルの部屋を片付ける。
私たちは前より仲が良くなって、でも前よりたくさん喧嘩をするようになった。
でもこうやってお互いに自分の気持ちを話し合えれば、きっと私たちは大丈夫。
だって、私は――。
「エチル」
「なに?」
エチルが片付けの手を止めて私を見る。
「大好き!」
「ん、俺も」
そんな風に散らかった部屋をふたりで片付けながら、私たちは今日も笑い合っているのだった。
私は快感の余韻が全然引かなくて、まだしばらく動けそうにない。
「トワ、痛くなかった?」
「うん。痛いことなんて少しもなくて……あの、すごく気持ち良かった。エチル、ありがとう……」
すごくがんばってくれたのはわかったけれど、その分エチルは我慢していたんじゃないかと不安になる。
「……エチルはちゃんと良かった?」
「もちろん」
その返事を聞いてもまだ少し不安そうにする私に向かって、エチルが笑いながら私のお腹に手を置いた。
「トワが感じると、ココが締まって俺もすごく気持ちいいんだよ」
「そ、そう……」
顔を赤くしながらうつむくと、エチルがくすくす笑いながら耳元に口を寄せる。
「トワはさ、今までどんな格好でするのが一番気持ち良かった?」
「え! なんでそんなこと聞くの……?」
「ん? だって、トワが嫌がることはしたくないから」
低い甘い声で「教えて?」なんて耳元でねだられたら、もう抵抗できなかった。
「あの、ギュッと抱き合ってするのが好き」
「俺も」
エチルが嬉しそうに笑いながら私をギュッと抱きしめる。
それからふと気がついたように尋ねた。
「ん? でもさ、好きなのってことは気持ちいいのとは別?」
「え! あ、あの…………気持ちいいのは、立って後ろから……」
「へ、へぇ~」
思わず答えてしまって、エチルが少し驚いたように目を大きくする。
私は真っ赤になった顔を隠すようにエチルの胸元に顔を埋めた。
だってこれまで立って後ろからなんて、そんなにしたことなくて。
それはたいていいつも盛り上がりすぎてしまった時で、服だって着てそのままで。
壁に押し付けられるようにしながら後ろから激しく突かれると、違ったところに当たるのがすごく気持ち良くて、エチルが私に夢中になってくれてるみたいで嬉しくて。
でも、そんなのが全部恥ずかしくて、私はエチルの裸の胸を叩いた。
「もう、バカ! 恥ずかしいこと言わせないでよ」
「あー、そんなこと言われると立ってヤりたくなってきた。でも今日は我慢する。まだ治ったばっかりだもんな」
そう言いながらエチルは私のお腹を優しくなでた。
「ねぇ、エチルは?」
「ん?」
「私ばっかり言わされて恥ずかしいから! エチルも教えて?」
「あー、俺はトワに上に乗ってもらうのだな」
「え」
それこそそんなの一度や二度しかしたことないはずだ。
「トワが恥ずかしがりながら俺の上で腰振ってるの、めちゃくちゃ興奮する」
エチルは手の甲を口元に当てて隠しているけれど、その顔が思いきりニヤついているのがわかる。
「……エチルって案外スケベなのね」
「案外も何も、今までだってトワとしたくてあんなにガッツいてたんだから、そこはもうとっくにバレてるかと思ったけど」
エチルが少し気まずそうにしながらあごをかいた。
「でも、前はもうちょっと隠してたけどね」
「隠してた方が良かった? それなら黙っておけば良かったかな」
「ううん。それよりはちゃんと話せるほうがいい」
「スケベな俺でも嫌いにならない?」
「……少しだけならね」
そう言ってベッドの中でくすくす笑い合った。
エチルが私を抱きしめながら、ぐりぐりと頭を押しつける。
「ね、トワ。一緒に風呂に入ろうよ」
「あ、えっと、一緒はちょっと。お風呂はひとりでゆっくり入りたい……かも」
「あー、うん、そっか。わかった」
「あの、今度……今度ね」
「楽しみにしてる」
そうして私が動けるようになるまで、ベッドの中で裸のままたわいのない会話を続けたのだった。
*****
さて、それからの私たちがどうなったかを少し。
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「ごめん、最近ちょっと忙しくて。でも浄化魔法かけてるから汚れてはいないよ」
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「はーい」
そんなやり取りをしながら、散らかってしまったエチルの部屋を片付ける。
私たちは前より仲が良くなって、でも前よりたくさん喧嘩をするようになった。
でもこうやってお互いに自分の気持ちを話し合えれば、きっと私たちは大丈夫。
だって、私は――。
「エチル」
「なに?」
エチルが片付けの手を止めて私を見る。
「大好き!」
「ん、俺も」
そんな風に散らかった部屋をふたりで片付けながら、私たちは今日も笑い合っているのだった。
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