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12月31日 年越し④

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 年越しそばを食べ終えてシャワーを浴びたら、シン君はリビングの机で参考書を広げて勉強していた。
 舞衣歌はキッチンでコップにお水を注いで飲みながらその様子を眺めた。
 シン君が舞衣歌に気づいて顔を上げる。

「舞衣歌さんって、薬剤師なんですか?」

「いちおうね~」

「じゃあ、兄とも昔から知り合いだったとか?」

「あぁ、カイさんも薬剤師だよね。カイさんは製薬会社のMRだけど」

「はい」

「実はねぇ、ご近所付き合いとかあんまりするつもりなかったんだけど、たまたまカイさんが仕事でウチの薬局に来て、あれ? お隣さん? ってなって、それをきっかけにカイさんと仲良くなったんだよね~」

「……あの、舞衣歌さんって兄さんと付き合ってたりするんですか?」

「え? あー、違う違う。カイさんと付き合ってるのは三田あかりって言って、この部屋に一緒に住んでる友達」

「一緒に住んでる?」

「そう。ルームシェアしてんの。昨日、私が寝てたのがあかりの部屋。本人がいないのにシン君に勝手にベッド貸せないからさぁ」

「え、じゃあ俺が借りたのは舞衣歌さんのベッドですか?」

「そうだよ~」

 シン君がまた顔を赤くして下を向いたが、肌が白いから首まで赤くなっていてよく目立つ。

「えっと、あの、あかりさんは帰省中なんですか?」

「ん? あー、あかりは今ねぇ、カイさんとハワイだよ。だから私が飛行機の時間とかも知ってたの」

「そうだったんですか……」

 シン君はなんだかホッとしたように肩を落とした。
 スマホの時計を見ると0時を過ぎていた。

「あ、年が明けたね。ふふ、おめでとうございます」

「あけましておめでとうございます」

 シン君が座りながらペコリと頭を下げた。

「さて、私は明日も仕事だからもう寝るね~。シン君はまだ勉強したりする? あんまり無理しないようにね」

「俺ももう少ししたら寝ます。舞衣歌さん、おやすみなさい」

「うん、おやすみなさい。年越しの瞬間、一人じゃなくて良かった。シン君、ありがと」

 舞衣歌の言葉を聞いたシン君は、柔らかく、そしてとても嬉しそうに笑った。

 その笑顔を見て舞衣歌の胸がドキンと一つ大きく跳ねた。

 舞衣歌は部屋に入ってベッドにもぐりこんで横になった。
 シン君の笑顔を思い出すと胸の中がほんのりとあたたかくなって、舞衣歌はなんだか楽しい気分になってゆっくりと目を閉じた。
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