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それから②
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「…………え?」
「あの、家賃も半分出します」
シン君があわてて言い足す。
「え、ちょっと、何、言ってるの? だってお金出すのは親御さんでしょう? ダメに決まってるでしょ」
「それなら、大丈夫。ウチの親は舞衣歌ちゃんのこと知ってるから」
「なんで!?」
「シンが急に勉強にやる気出したのを不思議がってたからさ、好きな人ができたからだってバラしちゃった」
「兄さん!」
シン君があわてた顔をして、カイさんの方を見た。
カイさんは男らしくていつも自信満々で表情をくるくる変えるから、整った顔立ちの割にシン君とはあまり似ていないな……なんて思ってたけれど、こうやって並べてみると案外似てるんだな、と舞衣歌はいまいち状況が掴めていない頭でボーッと考えていた。
「シンは舞衣歌ちゃんと一緒にいたくてがんばったから許してあげて、って親を説得済みだから」
カイさんがウインクをしながら歯を見せて笑う。
「あの、舞衣歌さん、俺、正月の後すぐ、兄さんに大学受かったら兄さんの家に住ませてもらえないかって相談して」
「そうそう。でも俺、ハワイであかりにプロポーズしてOKもらってたから、無理って言ったんだよね。それで、それなら舞衣歌ちゃんちに住まわせてもらえば? って」
「えっと、初耳なんですけど」
「うん、初めて言うもん」
大の男がもんとか言ってても全然可愛くない、と舞衣歌はカイさんをにらんだ。
「あかりは知ってたの?」
カイさんの隣でニヤニヤ笑っているあかりを舞衣歌はジトッとにらんだ。
「へへ、いちおう。ごめんね、舞衣歌」
「……連絡も無しに放っておいて、シン君のことなんて忘れて彼氏を作ってるかもしれないじゃん」
もしかしたらシン君から連絡があるかも……と何度もスマホを見ては、そのたびに落ち込んでいたことを思い出して舞衣歌は不満を口にした。
「いや、そこはほら、舞衣歌ちゃんを信用してたって言うか」
「今まで舞衣歌は何年も彼氏できてなかったから、大丈夫かな~って」
「カイさん!! あかり!!」
「だって、舞衣歌、男物のパンツ見ながらため息ついてて未練ありありなんだもん」
「キャーッ!! あかりー!!」
変な事を次から次へとばらされて、舞衣歌はクッションをあかりに投げつけた。
「舞衣歌ちゃん、話さなくてごめんね。でも大学も受からないようなヤツに舞衣歌ちゃんは任せられないからさ。シンがちゃんと大学受かったら、親の説得も含めて協力してあげるって約束したんだよね」
「あの、俺、国立に受かったら一人暮らしさせてくれって親に頼んで、あれから必死に勉強しました!」
「三日前が合格発表で、やっと会いに来れたんだよな?」
カイさんがシン君の肩をポンポンと叩いた。
「兄さん……」
「でも、舞衣歌ちゃん、嫌なら断ってもいーよ。その時はシンは別のとこで一人暮らしすれば良いだけだから」
「ちょっと、兄さん!!」
カイさんの突然の裏切りに、シン君は驚愕した顔をしてカイさんを見上げた。
「協力はするけど、俺は舞衣歌ちゃんの味方だもーん」
シン君は真剣な顔をして舞衣歌に向きなおると、必死に言い募った。
「あの、俺、掃除、洗濯できます。料理も覚えます」
だからお願いします、と訴えてくる。
「いやいや、シン君は勉強が忙しいでしょう? そんなことさせられないよ」
「……」
シン君が眉をひそめて唇をグッと噛む。
「一緒にね、一緒にやるなら良いよ……」
舞衣歌は恥ずかしさのあまり語尾が段々と小さくなってしまった。
「!!」
「私だって、いつもあんなに忙しいわけじゃないし」
目を見開いて動かなくなってしまったシン君を見て、舞衣歌は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「わぁお! 舞衣歌がOKするとは思わなかった」
「あかり! ……だって、私も、もう一回、シン君に会いたかったから」
こんな公開告白のようなまねをして、恥ずかし過ぎて舞衣歌は両手で顔をおおった。
そんな二人の様子を見てカイさんとあかりはニヤニヤしていた。
「では、お邪魔者は退散するんで」
「兄さん!」
「そうそう、あとは若い人どうしで」
「若い人って、同じ歳でしょ!」
「隣にいるんで、話が終わったら教えてね~」
そう言うと、カイさんとあかりは手を振って仲良く部屋を出て行った。
「あの、家賃も半分出します」
シン君があわてて言い足す。
「え、ちょっと、何、言ってるの? だってお金出すのは親御さんでしょう? ダメに決まってるでしょ」
「それなら、大丈夫。ウチの親は舞衣歌ちゃんのこと知ってるから」
「なんで!?」
「シンが急に勉強にやる気出したのを不思議がってたからさ、好きな人ができたからだってバラしちゃった」
「兄さん!」
シン君があわてた顔をして、カイさんの方を見た。
カイさんは男らしくていつも自信満々で表情をくるくる変えるから、整った顔立ちの割にシン君とはあまり似ていないな……なんて思ってたけれど、こうやって並べてみると案外似てるんだな、と舞衣歌はいまいち状況が掴めていない頭でボーッと考えていた。
「シンは舞衣歌ちゃんと一緒にいたくてがんばったから許してあげて、って親を説得済みだから」
カイさんがウインクをしながら歯を見せて笑う。
「あの、舞衣歌さん、俺、正月の後すぐ、兄さんに大学受かったら兄さんの家に住ませてもらえないかって相談して」
「そうそう。でも俺、ハワイであかりにプロポーズしてOKもらってたから、無理って言ったんだよね。それで、それなら舞衣歌ちゃんちに住まわせてもらえば? って」
「えっと、初耳なんですけど」
「うん、初めて言うもん」
大の男がもんとか言ってても全然可愛くない、と舞衣歌はカイさんをにらんだ。
「あかりは知ってたの?」
カイさんの隣でニヤニヤ笑っているあかりを舞衣歌はジトッとにらんだ。
「へへ、いちおう。ごめんね、舞衣歌」
「……連絡も無しに放っておいて、シン君のことなんて忘れて彼氏を作ってるかもしれないじゃん」
もしかしたらシン君から連絡があるかも……と何度もスマホを見ては、そのたびに落ち込んでいたことを思い出して舞衣歌は不満を口にした。
「いや、そこはほら、舞衣歌ちゃんを信用してたって言うか」
「今まで舞衣歌は何年も彼氏できてなかったから、大丈夫かな~って」
「カイさん!! あかり!!」
「だって、舞衣歌、男物のパンツ見ながらため息ついてて未練ありありなんだもん」
「キャーッ!! あかりー!!」
変な事を次から次へとばらされて、舞衣歌はクッションをあかりに投げつけた。
「舞衣歌ちゃん、話さなくてごめんね。でも大学も受からないようなヤツに舞衣歌ちゃんは任せられないからさ。シンがちゃんと大学受かったら、親の説得も含めて協力してあげるって約束したんだよね」
「あの、俺、国立に受かったら一人暮らしさせてくれって親に頼んで、あれから必死に勉強しました!」
「三日前が合格発表で、やっと会いに来れたんだよな?」
カイさんがシン君の肩をポンポンと叩いた。
「兄さん……」
「でも、舞衣歌ちゃん、嫌なら断ってもいーよ。その時はシンは別のとこで一人暮らしすれば良いだけだから」
「ちょっと、兄さん!!」
カイさんの突然の裏切りに、シン君は驚愕した顔をしてカイさんを見上げた。
「協力はするけど、俺は舞衣歌ちゃんの味方だもーん」
シン君は真剣な顔をして舞衣歌に向きなおると、必死に言い募った。
「あの、俺、掃除、洗濯できます。料理も覚えます」
だからお願いします、と訴えてくる。
「いやいや、シン君は勉強が忙しいでしょう? そんなことさせられないよ」
「……」
シン君が眉をひそめて唇をグッと噛む。
「一緒にね、一緒にやるなら良いよ……」
舞衣歌は恥ずかしさのあまり語尾が段々と小さくなってしまった。
「!!」
「私だって、いつもあんなに忙しいわけじゃないし」
目を見開いて動かなくなってしまったシン君を見て、舞衣歌は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「わぁお! 舞衣歌がOKするとは思わなかった」
「あかり! ……だって、私も、もう一回、シン君に会いたかったから」
こんな公開告白のようなまねをして、恥ずかし過ぎて舞衣歌は両手で顔をおおった。
そんな二人の様子を見てカイさんとあかりはニヤニヤしていた。
「では、お邪魔者は退散するんで」
「兄さん!」
「そうそう、あとは若い人どうしで」
「若い人って、同じ歳でしょ!」
「隣にいるんで、話が終わったら教えてね~」
そう言うと、カイさんとあかりは手を振って仲良く部屋を出て行った。
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