【R18/完結】すみません、家の前に美少年が落ちているのですが。

河津ミネ

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12月30日 出会い③

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「というわけで、シンくーん、これ、私のスエットだけど大きめだから多分着れるはず。パジャマにしていーよ」

 舞衣歌はクローゼットから取り出したグレーのスエットの上下をシン君にポイと投げてわたした。

「んで、これパンツとシャツ。弟が置いていったヤツで一回洗濯してあるけど新品だからあげる」

 スエットの上に白いTシャツと濃いグレーのボクサーパンツを乗せる。

「汚れものは出しておいてくれたら、明日の朝、洗濯するから……ふぁ~あ」

 舞衣歌はしゃべりながら大きなあくびをした。

「そんで、駅前にスーパーあるからさ、着替えとか必要な物は明日そこで買いなよ。あ、お金はある? 貸そうか?」

「えっと、財布にはないけど郵便局にあるんで明日お金下ろしてきます」

「よし、じゃあもう遅いし寝よう」

 時計はもうすぐ0時を回ろうとしている。

「え、寝る……」

「シン君のお母さんにも挨拶しちゃったしね。襲ったりしないから安心して?」

 舞衣歌がからかうように言うと、シン君は少しムッとしたような顔をした。

「舞衣歌さん……あの、俺、宿代、身体で払いましょうか?」

 シン君が挑発するような目で見てきた。

 さすが美少年、流し目の威力がすごい。

 舞衣歌は少し考えるそぶりをしてからシン君の首に手を回した。

「それじゃあお願いしようかな。楽しませてくれる?」

「え!? あ、えっと、がんばります……」

 頬を赤らめて目を揺らすシン君のおでこに向かって、舞衣歌は強烈なデコピンをお見舞いした。

「いてっ!!」

「冗談だよ。そういうのは好きな子としなね」

「……からかったんですか」

 マジいてぇ、とつぶやきながらおでこをさすってシン君が口を尖らせた。

「私だって好きな人としたいもん」

 舞衣歌はベッと舌を出してあかんべをした。

(まぁ好きな人なんてもう何年もいないけど)

「というか、明日も朝から仕事なんだ。もう寝たいから、シン君はそっちの部屋使って。シーツとかは明日新しいの出すから今日は悪いけどそのままで」

 そう言って、舞衣歌はもう一度大きなあくびをした。

「いや、俺、床とかで大丈夫ですから」

「いいから、いいから。子どもはお姉さんの言うこと聞きなさい」

「俺、もう18です」

「わ~うちの弟より若い~。鍵落として家に入れなくなっちゃうのはお子さまじゃないの?」

 舞衣歌のからかいに、シン君がプイと顔を横に向けてむくれていた。

「ふふ、ごめんごめん。風邪ひくといけないからさ。気にしないでいいよ。シャワー浴びるなら新しいバスタオルは棚にあるから。ふぁ~、ごめん、ほんと眠いからもう寝るね。んじゃ、おやすみ~」

 舞衣歌はシン君に勧めたのとは別の部屋に入り、そのままベッドに倒れこむと気を失うようにしてすぐに眠ってしまった。
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