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12月30日 出会い①
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~ 12月30日 PM10:00 ~
ふらふらになりながら舞衣歌が仕事から帰ってくると、家の前に美少年が落ちていた。
ふわふわの髪に真っ白な肌の天使みたいな美少年がそこにいた。
(あれ? 今日はクリスマスだったかな……?)
連日の残業続きで疲れている舞衣歌にサンタさんが美少年をプレゼントしてくれたのかしら? なんて馬鹿な考えが頭をよぎるがそんなはずはない。
(クリスマスはもうとっくに終わったしね……って、いやいや、そうじゃなくて)
よく見ると、美少年は舞衣歌の部屋の205の扉の前ではなく隣の204と205の間の壁に寄りかかって座っていた。
黒い大きなリュックを前に抱えて座りながら目をつぶっている。
カーキ色のモッズコートから黒く細長いパンツをはいた脚が伸びている。
舞衣歌の部屋は角部屋で廊下の突き当たりにあるので、美少年の長い脚をまたがないと部屋に入れない。
「ねぇ、君。こんなところで寝てると風邪ひくよ」
舞衣歌が声をかけると、ふわふわの薄茶色の柔らかそうな髪とすべすべの白い肌の美少年は、人形のような長い睫毛をふるりと震わせて目を開いた。
色素の薄い黒目(いや茶色目?)が大きくて、吸い込まれてしまいそうで思わず見惚れる。
美少年は舞衣歌に気づくとあわてて立ち上がった。
「あ、すみません」
少年は165cmある舞衣歌より少し背が高いくらいで、身体の細さからして高校生か大学生になったばかりぐらいか。
美少年は204の扉と舞衣歌の顔を交互にながめて困った顔をした。
「ここの部屋の人に用があるの?」
「あ、はい。えーと、俺、ここの部屋の、あの広畑開の弟なんですけど、鍵を落として家に入れなくなっちゃって。親が旅行中なんで、戻ってくるまで兄さんのとこに泊めてもらおうと思って来たんですけど……」
「ちゃんとお兄さんと連絡取った?」
「あー、いや、スマホの充電切れちゃって……」
連絡先もスマホの中にあってわからないから直接来た、と言う。
「うーん、親御さんはいつ家に帰ってくるの?」
「えっと、1月3日です」
「あー、そっか、帰省かぁ。遠いの?」
「えっと、名古屋です」
ちなみにここは都内だけれど埼玉にほど近いあたりだ。
スマホで連絡も取れない状態で名古屋まで行くのはたしかにあまり現実的ではない。
「あのさ、私、隣の205に住んでるんだけど、カイさん今日から旅行に行ってるはずなんだよね」
「え! マジで? どこですか?」
「ハワイ」
「マジか~。ヤバイ。どうしよう」
美少年は膝に手をついてがくりと頭を下げた。
舞衣歌は疲れているのでさっさと家に入りたかったが、さすがにこのまま美少年を見捨てるのは心が痛む。
「ねぇ、君。カイさんと兄弟だって証拠ある?」
「え、証拠? あ、写真! 前に家族で撮った写真があります」
「見せてもらえる?」
「あ……スマホの中です」
美少年が眉を下げて肩を落とす。
こんな顔しても整った顔をしていて、なんだかカワイイ子犬をいじめているみたいで気がひける。
「うーん、まいっか。君を信用しよう。君、名前は?」
「広畑進です。あ! そうだ、これ、学生証です!」
美少年がポケットから定期入れを取り出し、中に入っている学生証を見せてくれた。
美少年は広畑進という名前で、千葉県の高校三年生らしい。
さすがに学生証は偽造していないだろう。
「ねぇ、シン君。ウチに入れてあげるからさ、とりあえずスマホを充電して親御さんに連絡取りなさい。カイさんは多分、今、飛行機に乗ってるはずだから」
カイさんは19:00発の飛行機に乗ると言っていたのでまだ空の上のはずだ。
本当は警察にでもお願いした方が良いのかもしれないが、舞衣歌は一刻も早く家に入って眠りたかった。
連日の残業続きに加えて、明日の大晦日も明後日のお正月も朝から夜まで仕事だ。
かと言って、ここで美少年を見捨てるのは気が引ける。
ガチャガチャと205の鍵を開けて、舞衣歌は美少年を手招きすると部屋の中に招き入れた。
ふらふらになりながら舞衣歌が仕事から帰ってくると、家の前に美少年が落ちていた。
ふわふわの髪に真っ白な肌の天使みたいな美少年がそこにいた。
(あれ? 今日はクリスマスだったかな……?)
連日の残業続きで疲れている舞衣歌にサンタさんが美少年をプレゼントしてくれたのかしら? なんて馬鹿な考えが頭をよぎるがそんなはずはない。
(クリスマスはもうとっくに終わったしね……って、いやいや、そうじゃなくて)
よく見ると、美少年は舞衣歌の部屋の205の扉の前ではなく隣の204と205の間の壁に寄りかかって座っていた。
黒い大きなリュックを前に抱えて座りながら目をつぶっている。
カーキ色のモッズコートから黒く細長いパンツをはいた脚が伸びている。
舞衣歌の部屋は角部屋で廊下の突き当たりにあるので、美少年の長い脚をまたがないと部屋に入れない。
「ねぇ、君。こんなところで寝てると風邪ひくよ」
舞衣歌が声をかけると、ふわふわの薄茶色の柔らかそうな髪とすべすべの白い肌の美少年は、人形のような長い睫毛をふるりと震わせて目を開いた。
色素の薄い黒目(いや茶色目?)が大きくて、吸い込まれてしまいそうで思わず見惚れる。
美少年は舞衣歌に気づくとあわてて立ち上がった。
「あ、すみません」
少年は165cmある舞衣歌より少し背が高いくらいで、身体の細さからして高校生か大学生になったばかりぐらいか。
美少年は204の扉と舞衣歌の顔を交互にながめて困った顔をした。
「ここの部屋の人に用があるの?」
「あ、はい。えーと、俺、ここの部屋の、あの広畑開の弟なんですけど、鍵を落として家に入れなくなっちゃって。親が旅行中なんで、戻ってくるまで兄さんのとこに泊めてもらおうと思って来たんですけど……」
「ちゃんとお兄さんと連絡取った?」
「あー、いや、スマホの充電切れちゃって……」
連絡先もスマホの中にあってわからないから直接来た、と言う。
「うーん、親御さんはいつ家に帰ってくるの?」
「えっと、1月3日です」
「あー、そっか、帰省かぁ。遠いの?」
「えっと、名古屋です」
ちなみにここは都内だけれど埼玉にほど近いあたりだ。
スマホで連絡も取れない状態で名古屋まで行くのはたしかにあまり現実的ではない。
「あのさ、私、隣の205に住んでるんだけど、カイさん今日から旅行に行ってるはずなんだよね」
「え! マジで? どこですか?」
「ハワイ」
「マジか~。ヤバイ。どうしよう」
美少年は膝に手をついてがくりと頭を下げた。
舞衣歌は疲れているのでさっさと家に入りたかったが、さすがにこのまま美少年を見捨てるのは心が痛む。
「ねぇ、君。カイさんと兄弟だって証拠ある?」
「え、証拠? あ、写真! 前に家族で撮った写真があります」
「見せてもらえる?」
「あ……スマホの中です」
美少年が眉を下げて肩を落とす。
こんな顔しても整った顔をしていて、なんだかカワイイ子犬をいじめているみたいで気がひける。
「うーん、まいっか。君を信用しよう。君、名前は?」
「広畑進です。あ! そうだ、これ、学生証です!」
美少年がポケットから定期入れを取り出し、中に入っている学生証を見せてくれた。
美少年は広畑進という名前で、千葉県の高校三年生らしい。
さすがに学生証は偽造していないだろう。
「ねぇ、シン君。ウチに入れてあげるからさ、とりあえずスマホを充電して親御さんに連絡取りなさい。カイさんは多分、今、飛行機に乗ってるはずだから」
カイさんは19:00発の飛行機に乗ると言っていたのでまだ空の上のはずだ。
本当は警察にでもお願いした方が良いのかもしれないが、舞衣歌は一刻も早く家に入って眠りたかった。
連日の残業続きに加えて、明日の大晦日も明後日のお正月も朝から夜まで仕事だ。
かと言って、ここで美少年を見捨てるのは気が引ける。
ガチャガチャと205の鍵を開けて、舞衣歌は美少年を手招きすると部屋の中に招き入れた。
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