【R18/完結】猫は魚を食べちゃいたい(※性的な意味で)〜愛され巫女の運命の番は美形で意地悪な吟遊詩人〜

河津ミネ

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六章 愛の歌

86.僕の友達-1

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 アミルが目を覚ますと、外はまだ夜明け前のようで部屋は暗闇に包まれていた。
 腕の中に収まっている愛しい人のぬくもりに気づき、アミルはまだ眠っているルルティアをしっかりと抱きしめなおした。
 互いに一体化をしていくらでも体力を回復できたせいで際限なく求めてしまった。

「あのおっさんがあんなにガマンさせるから」

 アミルは近くにいながらもルルティアに触れられなかった地獄のように幸せな日々を思い出し一人つぶやいた。
 口ではこんなことを言いながらもアミルにはよくわかっていた。
 アミルがアイラナの地で問題なくやっていけるように、アリイがわざわざ連れ回して色々な人に紹介してくれていたことを。

「ありがとな、ルー」

 そんな素敵な出会いもすべてルルティアのおかげだ。
 アミルはルルティアの髪をなでキスを落とした。
 ルルティアがわずかにみじろぎ、かけた毛布がズレて白い肌があらわになった。
 アミルはルルティアの白い肌につっと指を滑らせる。
 せっかく付けた噛み跡もキスマークもアクアさまの癒しの力ですぐ消えてしまうのがもったいない。
 触れあう素肌のなめらかな感触を楽しんでいるうちに、昨晩の素晴らしい夜を思い出してアミルの下半身が再び熱を持ち始めた。
 アミルはあわてて腰を引き、名残惜しくもルルティアを抱きしめる腕を少しだけ緩めてなんとか下半身に集まる熱をおさめようとした。
 肌がふれあうと刺激が強すぎるので、代わりにアミルはルルティアのオレンジの髪に鼻を埋めてその甘い香りを胸いっぱいに吸いこんだ。

 アミルの耳の近くで、くす、と笑い声が聞こえた。

「ん? バズ……?」

 笑い声のした方に顔を向けると、枕元に姿を現したバズがアミルにすりすりと頭をすりつけてきた。

「どうした? まだ夜中だぞ?」

『アミル。僕の友だち』

「バズ? 急になんだ?」

 アミルはルルティアを抱きしめていた片手をはずすとバズの頭をなでた。
 バズからこんな風に話しかけてくることはめったにない。

『アミル。愛しいラムールの大地の子。僕の大切な友だち。ずっと君を、君たちを見守っているから』

 バズはすりすりとアミルの頬に頭をすりつけてから、ニャア、と一声鳴いた。
 そしてくるりと向きを変えると空中に向かってトットッと歩きだした。

「バズ!?」

 アミルはあわてて半身を起こしバズに手を伸ばして捕まえようとした。
 しかしバズはアミルの伸ばした手の先からするりと抜け出した。

『さよなら、アミル。幸せに』

 バズはふりむいてもう一度だけニャアと鳴き、空に向かって足取りも軽やかに進んでいった。
 そうして黒い身体は徐々に透けていき、フッ、と暗闇に溶けて消えた。
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