上 下
82 / 89
六章 愛の歌

82.新居-2

しおりを挟む
「ルー、寝たのか?」

 ルルティアはガバリとはね起きた。

「ね、寝てない!」

「ん、良かった」

 風呂上がりのアミルがベッドに座ってクスクスと笑う。
 ルルティアはもそもそと起き上がって隣に座った。

「今日は楽しかったね」

「あぁ」

 アミルがルルティアを夜空色の目を柔らかく細めて見つめてくるので、ルルティアはなんだか急に胸が激しく高鳴り緊張してきた。
 抱き合って軽いキスはしていたけれど、それ以上のことをするのはあの洞窟で身体をつなげた時以来だ。
 お風呂上がりのアミルはいつもより色っぽく見えて全然落ち着かない。

「なんか今日のアミル、カッコよすぎてドキドキする」

「なんだよそれ」

 はにかんだようなその笑顔がまたカッコよくて、ルルティアはとうとう真っ直ぐに見ていられず下を向いた。

「ルーの方がキレイだ。あんたが俺の嫁さんなんだって思ったら、すごく嬉しくて、みんなの前で大声で自慢したかったくらいだ」

 その分大声で歌って自慢したけどな、と言って微笑む。

「ルー、やっとあんたに触れられる」

 アミルはルルティアの髪をかきあげると、現れた耳に優しくキスをした。
 そして熱のこもった声でルルティアの名を呼ぶと、背中に腕を回してゆっくりと抱きしめた。
 ふわりと香るアミルの甘い匂いに頭がクラクラしてくる。
 めちゃくちゃ抱く、の言葉を思い出してしまいルルティアはますます顔が赤くなる。
 初めてではないはずなのにルルティアはドキドキしすぎてもうどうして良いかわからなかった。
 ルルティアがアミルの腕の中で身体をガチガチに固めて緊張していると、頭の上からフッと笑い声が聞こえてきた。

「なぁに?」

「いや、俺たちベッドの上でこうするの初めてだなって思ったらなんか変に緊張してきた。それがなんだかおかしくて」

「……ホントだ」

 アミルとは何度か触れ合ったことはあったが、二人の触れ合いはいつも外であわただしく行われたものだった。
 そう思うとベッドの上でこうやって一緒になってかしこまっているのがなんだか面白くて、ルルティアも笑いが込み上げてきた。
 二人は目を合わせるとベッドの上で抱き合ったまま声を出して笑った。

「はぁー、おかしい」

 ひとしきり笑った後、ルルティアは笑いすぎてあふれてきた涙を人差し指でぬぐった。
 アミルはそんなルルティアを見て抱きしめる手に力を込めた。

「なんか、ごめんな。ルー」

 今まで笑っていたのに思いがけず真剣な声で謝られて、ルルティアは驚いて顔を上げた。
 アミルは眉を下げて少し気まずそうな顔をしながら、夜空色の目でルルティアの目を真っ直ぐにのぞき込んだ。

「これからはもっとちゃんと大事にするから」

「今までもちゃんと大事にしてくれてたし、イヤじゃなかったよ」

「そうか」

「うん」

 ルルティアの返事を聞いてアミルがふわりと微笑んだ。
 その笑顔があまりにキレイで、ルルティアの胸がドキンと大きく跳ねた。
 ルルティアが真っ赤な顔をしてアミルに見惚れているとアミルが微笑んだままルルティアの頰をなでた。

「ルー、好きだよ」

「私もアミルのことが大好き」

 互いの声色に、目の奥に、欲をはらんだ熱が灯ったのがわかった。
 ルルティアがアゴをあげるとアミルの薄い唇が柔らかく重なった。
 少し口を開ければすぐにアミルの舌がルルティアの口の中にすべり込んでくる。
 舌の先が上あごをくすぐる甘いキスに、ジワリと身体の奥から潤んでくるのがわかって声が漏れた。

「んんっ」

「ん、ルーかわいい」

 アミルはルルティアをゆっくりと押し倒した。
 チュ、とおでこに一つキスを落としてからルルティアをのぞきこむ。

「ルーを食べたい」

「ふふ、いいよ。いっぱい食べてね」

 ルルティアはどうぞ、と言うように笑いながら両手を広げた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

大事な姫様の性教育のために、姫様の御前で殿方と実演することになってしまいました。

水鏡あかり
恋愛
 姫様に「あの人との初夜で粗相をしてしまうのが不安だから、貴女のを見せて」とお願いされた、姫様至上主義の侍女・真砂《まさご》。自分の拙い閨の経験では参考にならないと思いつつ、大事な姫様に懇願されて、引き受けることに。  真砂には気になる相手・檜佐木《ひさぎ》がいたものの、過去に一度、檜佐木の誘いを断ってしまっていたため、いまさら言えず、姫様の提案で、相手役は姫の夫である若様に選んでいただくことになる。  しかし、実演の当夜に閨に現れたのは、檜佐木で。どうも怒っているようなのだがーー。 主君至上主義な従者同士の恋愛が大好きなので書いてみました! ちょっと言葉責めもあるかも。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。

【完結】【R18】男色疑惑のある公爵様の契約妻となりましたが、気がついたら愛されているんですけれど!?

夏琳トウ(明石唯加)
恋愛
「俺と結婚してくれたら、衣食住完全補償。なんだったら、キミの実家に支援させてもらうよ」 「え、じゃあ結婚します!」 メラーズ王国に住まう子爵令嬢マーガレットは悩んでいた。 というのも、元々借金まみれだった家の財政状況がさらに悪化し、ついには没落か夜逃げかという二択を迫られていたのだ。 そんな中、父に「頼むからいい男を捕まえてこい!」と送り出された舞踏会にて、マーガレットは王国の二大公爵家の一つオルブルヒ家の当主クローヴィスと出逢う。 彼はマーガレットの話を聞くと、何を思ったのか「俺と契約結婚しない?」と言ってくる。 しかし、マーガレットはためらう。何故ならば……彼には男色家だといううわさがあったのだ。つまり、形だけの結婚になるのは目に見えている。 そう思ったものの、彼が提示してきた条件にマーガレットは飛びついた。 そして、マーガレットはクローヴィスの(契約)妻となった。 男色家疑惑のある自由気ままな公爵様×貧乏性で現金な子爵令嬢。 二人がなんやかんやありながらも両想いになる勘違い話。 ◆hotランキング 10位ありがとうございます……! ―― ◆掲載先→アルファポリス、ムーンライトノベルズ、エブリスタ

処理中です...