73 / 89
五章 アミルの想い
73.アミルの想い-2
しおりを挟む
アミルはあっという間に色んな人を魅了してしまう才能があるので、案外王様も向いているんじゃないかとルルティアは少しだけ思ったけれどそれは黙っておいた。
「ただどこからでもずっと見張っているからなってノウスに言ったら、ナビーラの名にかけてラムールの民の幸せを約束するってさ」
「アミルはこれからどうするの?」
「わからない。でもあんたと一緒にいたい」
膝の上に乗るルルティアを抱きしめなおしてルルティアの顔をのぞきこむ。
「俺はあんたと一緒にいるためなら何でもするよ、ルー。……なぁ、ルルティア」
アミルが声のトーンを変えて真面目な顔をしてルルティアの名を呼んだ。
「俺とずっと一緒にいてくれるか?」
「ふふ、私が先にアミルにお願いしたのに?」
ルルティアは嬉しくて笑いながらアミルに抱きついた。
「あのね、『運命の番』って言うんだって。私はもう一生アミルのことしか好きにならないよ」
「運命の番?」
「うん。会えば必ず惹かれ合う運命の相手のこと。精霊の愛し子には運命の番がいて、その番に会うと一体化して変化できるようになるんだってパウさまが言ってた。あと運命の番には特別な匂いを感じて目を見るとときめくんだって」
アミルもそうだった? とルルティアが頬を染めながらアミルを見つめると、アミルは夜空色の目を細めた。
「あぁ、そうだな。あんたの目と匂いは特別で、人間のふりをしているけどやっぱり海の魔物なのかなって思っていた」
「もう!」
頬をふくらませるルルティアを、アミルはハハッと笑いながら優しく髪をなでた。
「それにしても一体化は番に会うとできるようになる?」
「あぁ、うん。だって一体化は……」
子作りのためだから、と言おうとしてさすがにそれは口には出せずルルティアは口を閉じた。
急に黙ったルルティアにアミルが不思議そうにする。
「ん? 一体化は何?」
「えぇと、あの、一体化して交わって精霊の力を分け与えられるのは番だけだから?」
ごまかし……きれてない気もするが、アミルはルルティアの言葉を聞いてしばし考えこんでからボソリとつぶやいた。
「じゃあ、他のやつとシても精霊の力は分けられないのか」
「アミル、他の人とする予定があるの!?」
「へ? 違う違う!! あんただよ!!」
「私が他の人としそうってこと!?」
ルルティアの勢いに、アミルがまいったなとつぶやいた。
「いや、だって、あんたは人を助けるためならやりかねないじゃないか。俺はあんたに俺以外とそんな事をして欲しくないんだよ」
アミルが口を曲げながらプイと横を向いた。
まさか自分が他の人とそんなことをすると疑われていると思わなくて、ルルティアは目をパチパチと瞬かせた。
「アミルとしかしないよ」
「ん、俺だけにして。俺もルーだけだから」
アミルがギュッとルルティアの頭を胸にかき抱いた。
ルルティアの鼻にアミルの甘い匂いが香ってきた。
ルルティアはそれを思いきり吸い込むと、笑いながら「わかった」とつぶやいてアミルの背中に腕を回した。
「ただどこからでもずっと見張っているからなってノウスに言ったら、ナビーラの名にかけてラムールの民の幸せを約束するってさ」
「アミルはこれからどうするの?」
「わからない。でもあんたと一緒にいたい」
膝の上に乗るルルティアを抱きしめなおしてルルティアの顔をのぞきこむ。
「俺はあんたと一緒にいるためなら何でもするよ、ルー。……なぁ、ルルティア」
アミルが声のトーンを変えて真面目な顔をしてルルティアの名を呼んだ。
「俺とずっと一緒にいてくれるか?」
「ふふ、私が先にアミルにお願いしたのに?」
ルルティアは嬉しくて笑いながらアミルに抱きついた。
「あのね、『運命の番』って言うんだって。私はもう一生アミルのことしか好きにならないよ」
「運命の番?」
「うん。会えば必ず惹かれ合う運命の相手のこと。精霊の愛し子には運命の番がいて、その番に会うと一体化して変化できるようになるんだってパウさまが言ってた。あと運命の番には特別な匂いを感じて目を見るとときめくんだって」
アミルもそうだった? とルルティアが頬を染めながらアミルを見つめると、アミルは夜空色の目を細めた。
「あぁ、そうだな。あんたの目と匂いは特別で、人間のふりをしているけどやっぱり海の魔物なのかなって思っていた」
「もう!」
頬をふくらませるルルティアを、アミルはハハッと笑いながら優しく髪をなでた。
「それにしても一体化は番に会うとできるようになる?」
「あぁ、うん。だって一体化は……」
子作りのためだから、と言おうとしてさすがにそれは口には出せずルルティアは口を閉じた。
急に黙ったルルティアにアミルが不思議そうにする。
「ん? 一体化は何?」
「えぇと、あの、一体化して交わって精霊の力を分け与えられるのは番だけだから?」
ごまかし……きれてない気もするが、アミルはルルティアの言葉を聞いてしばし考えこんでからボソリとつぶやいた。
「じゃあ、他のやつとシても精霊の力は分けられないのか」
「アミル、他の人とする予定があるの!?」
「へ? 違う違う!! あんただよ!!」
「私が他の人としそうってこと!?」
ルルティアの勢いに、アミルがまいったなとつぶやいた。
「いや、だって、あんたは人を助けるためならやりかねないじゃないか。俺はあんたに俺以外とそんな事をして欲しくないんだよ」
アミルが口を曲げながらプイと横を向いた。
まさか自分が他の人とそんなことをすると疑われていると思わなくて、ルルティアは目をパチパチと瞬かせた。
「アミルとしかしないよ」
「ん、俺だけにして。俺もルーだけだから」
アミルがギュッとルルティアの頭を胸にかき抱いた。
ルルティアの鼻にアミルの甘い匂いが香ってきた。
ルルティアはそれを思いきり吸い込むと、笑いながら「わかった」とつぶやいてアミルの背中に腕を回した。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
クラスの双子と家族になりました。~俺のタメにハーレム作るとか言ってるんだがどうすればいい?~
いーじーしっくす
恋愛
ハーレムなんて物語の中の事。自分なんかには関係ないと思っていた──。
橋本悠聖は普通のちょっとポジティブな陰キャ。彼女は欲しいけど自ら動くことはなかった。だがある日、一人の美少女からの告白で今まで自分が想定した人生とは大きくかわっていく事になった。 悠聖に告白してきた美少女である【中村雪花】。彼女がした告白は嘘のもので、父親の再婚を止めるために付き合っているフリをしているだけの約束…の、はずだった。だが、だんだん彼に心惹かれて付き合ってるフリだけじゃ我慢できなくなっていく。
互いに近づく二人の心の距離。更には過去に接点のあった雪花の双子の姉である【中村紗雪】の急接近。冷たかったハズの実の妹の【奈々】の危険な誘惑。幼い頃に結婚の約束をした従姉妹でもある【睦月】も強引に迫り、デパートで助けた銀髪の少女【エレナ】までもが好意を示し始める。
そんな彼女達の歪んだ共通点はただ1つ。
手段を問わず彼を幸せにすること。
その為だけに彼女達は周りの事など気にせずに自分の全てをかけてぶつかっていく!
選べなければ全員受け入れちゃえばいいじゃない!
真のハーレムストーリー開幕!
この作品はカクヨム等でも公開しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる