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二章 巫女の舞
28.巫女の衣装-1
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海の見える高台でルルティアが祭の舞の練習をしていると、いつの間にかアミルが近くの石に腰かけて眺めていた。
膝の上ではバズが丸くなりながらアミルに身体をなでられている。
「アミル!? いつから見てたの? 声をかけてくれれば良かったのに」
「たまたま見かけてさ。バズが見たいって言うから。けっこう様になっているな」
「うん。舞は好き。アクアさまも喜んでくれるし」
ルルティアの周りをただようアクアさまがプクプクと音を立てる。
ルルティアはアミルの横の石にちょこんと腰掛けて、アミルの膝の上のバズの頭をなでた。
「この前はありがとう。レナが喜んでたからまた来てくれる?」
「構わないけど……。あんたさ、あんな優男が好きなのか?」
「優男ってヌイ? ヌイは『医者は体力だ!』って鍛えてるから実は脱いだらスゴイよ? ふふ、ヌイは昔から優しくて、私あんな兄さまがずっと欲しかったから、ウチに来てくれて嬉しかったんだぁ」
兄が欲しいだなんて子どもっぽいことを言ってしまっただろうか。
ルルティアは恥ずかしくなってわずかに頬を染めた。
またお子さまだなんだとバカにされるかと思ったが、アミルはなぜか不機嫌そうな顔をしてプイと横を向いた。
「好きは否定しないのかよ……」
「ん?」
アミルはルルティアの方を向くと口の端を上げてイジワルそうに笑った。
「悪かったな。好きでもない男のモノ握らせて」
「あれは、だって……! もうアミルのバカ! なんですぐそうやって変なことばっかり言うの!?」
「俺は誰かさんと違って優しくないからな」
アミルはバズを膝から下ろして立ち上がった。
するとルルティアのカバンの中にある巫女の衣装を見つけて驚いて声を上げた。
「何これ、すげぇ衣装! あんた露出の趣味でもあんの?」
そこに入っている巫女の衣装はかなり際どい形をしていて、肌をおおきく見せる下着のようなデザインだった。
「違うってば!! えっと、アクアさまの加護を受けた巫女は身体の一部にウロコが現れるから、だから巫女はその部分が見えるようになるべく肌を出す衣装を着ることになってて……」
少し恥ずかしいけれどずっとそういう物だと思って着ていたが、改めてアミルに指摘されて途端にとんでもない物を着ているような気がしてきた。
ルルティアはあわててカバンを閉めて衣装を隠す。
「へぇ~、ウロコ。あんたにもあんの?」
「……うん」
「ちょっと見せてくれよ」
「絶対ヤダ。それに気持ち悪いから見ない方が良いよ」
「そんなこと言って見せられないような所にあるんじゃねーの? どこ? おしり?」
「バカ! 違う! ここだもん!! って、あ……」
ルルティアは胸の谷間を指差してから、自分のミスに気づいて口を押さえて真っ赤になった。
アミルがルルティアの前にしゃがんでからかうように顔をのぞき込む。
ふわりとただよってくる甘い香りにこんな時なのにドキドキしてしまう。
「なぁ、見せてよ」
「ヤダ」
「祭りでみんなに見せるなら良いじゃねーか」
アミルは手を伸ばしてカバンの隙間からはみ出していた小さな布をひらりと持ち上げた。
「なぁ、これ。こんなちっさい布じゃ踊っていて乳首見えちゃわないの?」
「ち……! 見えないよ!! ちゃんと見えないようにしてるから!!」
「そりゃ残念」
「もう、変なこと言わせないでよ!!」
恥ずかしすぎて涙目でにらむと、アミルはニヤリと笑った。
「俺の場合だとウロコじゃなくて黒い毛だな」
「……その髪の毛?」
「いいや。これは染めているから。……ま、あんたなら良いか。見てみるか?」
「え?」
膝の上ではバズが丸くなりながらアミルに身体をなでられている。
「アミル!? いつから見てたの? 声をかけてくれれば良かったのに」
「たまたま見かけてさ。バズが見たいって言うから。けっこう様になっているな」
「うん。舞は好き。アクアさまも喜んでくれるし」
ルルティアの周りをただようアクアさまがプクプクと音を立てる。
ルルティアはアミルの横の石にちょこんと腰掛けて、アミルの膝の上のバズの頭をなでた。
「この前はありがとう。レナが喜んでたからまた来てくれる?」
「構わないけど……。あんたさ、あんな優男が好きなのか?」
「優男ってヌイ? ヌイは『医者は体力だ!』って鍛えてるから実は脱いだらスゴイよ? ふふ、ヌイは昔から優しくて、私あんな兄さまがずっと欲しかったから、ウチに来てくれて嬉しかったんだぁ」
兄が欲しいだなんて子どもっぽいことを言ってしまっただろうか。
ルルティアは恥ずかしくなってわずかに頬を染めた。
またお子さまだなんだとバカにされるかと思ったが、アミルはなぜか不機嫌そうな顔をしてプイと横を向いた。
「好きは否定しないのかよ……」
「ん?」
アミルはルルティアの方を向くと口の端を上げてイジワルそうに笑った。
「悪かったな。好きでもない男のモノ握らせて」
「あれは、だって……! もうアミルのバカ! なんですぐそうやって変なことばっかり言うの!?」
「俺は誰かさんと違って優しくないからな」
アミルはバズを膝から下ろして立ち上がった。
するとルルティアのカバンの中にある巫女の衣装を見つけて驚いて声を上げた。
「何これ、すげぇ衣装! あんた露出の趣味でもあんの?」
そこに入っている巫女の衣装はかなり際どい形をしていて、肌をおおきく見せる下着のようなデザインだった。
「違うってば!! えっと、アクアさまの加護を受けた巫女は身体の一部にウロコが現れるから、だから巫女はその部分が見えるようになるべく肌を出す衣装を着ることになってて……」
少し恥ずかしいけれどずっとそういう物だと思って着ていたが、改めてアミルに指摘されて途端にとんでもない物を着ているような気がしてきた。
ルルティアはあわててカバンを閉めて衣装を隠す。
「へぇ~、ウロコ。あんたにもあんの?」
「……うん」
「ちょっと見せてくれよ」
「絶対ヤダ。それに気持ち悪いから見ない方が良いよ」
「そんなこと言って見せられないような所にあるんじゃねーの? どこ? おしり?」
「バカ! 違う! ここだもん!! って、あ……」
ルルティアは胸の谷間を指差してから、自分のミスに気づいて口を押さえて真っ赤になった。
アミルがルルティアの前にしゃがんでからかうように顔をのぞき込む。
ふわりとただよってくる甘い香りにこんな時なのにドキドキしてしまう。
「なぁ、見せてよ」
「ヤダ」
「祭りでみんなに見せるなら良いじゃねーか」
アミルは手を伸ばしてカバンの隙間からはみ出していた小さな布をひらりと持ち上げた。
「なぁ、これ。こんなちっさい布じゃ踊っていて乳首見えちゃわないの?」
「ち……! 見えないよ!! ちゃんと見えないようにしてるから!!」
「そりゃ残念」
「もう、変なこと言わせないでよ!!」
恥ずかしすぎて涙目でにらむと、アミルはニヤリと笑った。
「俺の場合だとウロコじゃなくて黒い毛だな」
「……その髪の毛?」
「いいや。これは染めているから。……ま、あんたなら良いか。見てみるか?」
「え?」
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