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五章 元の世界
96.もう一度名前を-2
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ある月夜の晩、アレクサンドラがブレスレットの気配を探りながら『マーコ』と声を漏らすと、夜の闇の中を小さな白い一匹の蝶がふわりと飛んできてアレクサンドラの肩に留まった。
『アレク』
白い蝶は真子の言葉で囁くと、ふっとその姿を消した。
「マリーベル! ジェーン!」
アレクサンドラは二人を起こして、すぐに蝶の飛んで来た方に向かった。
真子の気配を探りながら慎重に道を進めると、またふわりと白い蝶が飛んで来てアレクサンドラの肩に留まった。
『アレク』
もう一度聞きたくて仕方なかった声が耳に落ちる。
「蝶の来た方をたどるわよ」
しばらく進むと暗闇の中をヒラヒラと白い蝶が二匹飛んできてアレクサンドラの肩に留まった。
『アレク』
『アレク』
道を進むと蝶の数は次第に増え、アレクサンドラの肩に留まっては名前を呼んで消えていく。
「こっちよ! 近いわ!」
夜道に馬を走らせて、陽が昇る頃にはアレクサンドラたちはヤドナとの国境付近の岩山まで来ていた。
ここまで来る間に、増えてきていた蝶は徐々にその数を減らしとうとう途絶えてしまっていた。
「マーコ! マーコ!!」
アレクサンドラが力一杯真子の名を呼ぶ。
しかし返事はなく、蝶の姿も見えぬまま真子の気配も感じられない。
それでもアレクサンドラたちは周辺を探し続けた。
「団長! あれ!!」
マリーベルの指差す方を見ると、岩山のほんの僅かな隙間からヨロヨロと一匹の蝶が出てきた。
『アレク』
肩に留まった蝶が真子の声でアレクサンドラの名前を呼ぶ。
アレクサンドラは蝶の出てきた隙間にかぶりつき、小さな炎を灯して中を照らしながら探っていく。
すると暗闇にぼんやりと人の足のような影が浮かんだ。
「マーコ!!」
アレクサンドラが叫んでもその影はピクリとも動かない。
「マーコ! マーコ!!」
アレクサンドラは真子の名を呼びながら小さな炎を動かして影を照らしていく。
炎が顔の方に向かうと炎は真子の顔を照らし出した。
「マーコはこの中よ!!」
岩壁を破壊しようと、アレクサンドラが周囲を見回す。
「一気に崩すと中まで壊れそうね」
アレクサンドラは、クソッと口の中で悪態をついた。
逸る気持ちを抑えてアレクサンドラは岩壁を壊す準備をする。
「中が崩れないように少しずつ壊していくわ」
「団長、私が崩れないように中に防御壁を作ります。それから外の壁を一気に崩してください」
マリーベルの提案に二人は目を見合わせてうなずく。
「ジェーンの分の防御壁は作れないので下がっていてください」
ジェーンが少し離れたところに避難し、マリーベルがありったけの魔力を注いだ魔力玉を作ると、穴の隙間から洞窟の中に魔力玉を入れて、洞窟の壁を内側から支えるように防御壁を作っていく。
「行くわよ!」
アレクサンドラが特大の魔力玉を炎の球に変えて岩壁を一気に弾き飛ばした。
『アレク』
白い蝶は真子の言葉で囁くと、ふっとその姿を消した。
「マリーベル! ジェーン!」
アレクサンドラは二人を起こして、すぐに蝶の飛んで来た方に向かった。
真子の気配を探りながら慎重に道を進めると、またふわりと白い蝶が飛んで来てアレクサンドラの肩に留まった。
『アレク』
もう一度聞きたくて仕方なかった声が耳に落ちる。
「蝶の来た方をたどるわよ」
しばらく進むと暗闇の中をヒラヒラと白い蝶が二匹飛んできてアレクサンドラの肩に留まった。
『アレク』
『アレク』
道を進むと蝶の数は次第に増え、アレクサンドラの肩に留まっては名前を呼んで消えていく。
「こっちよ! 近いわ!」
夜道に馬を走らせて、陽が昇る頃にはアレクサンドラたちはヤドナとの国境付近の岩山まで来ていた。
ここまで来る間に、増えてきていた蝶は徐々にその数を減らしとうとう途絶えてしまっていた。
「マーコ! マーコ!!」
アレクサンドラが力一杯真子の名を呼ぶ。
しかし返事はなく、蝶の姿も見えぬまま真子の気配も感じられない。
それでもアレクサンドラたちは周辺を探し続けた。
「団長! あれ!!」
マリーベルの指差す方を見ると、岩山のほんの僅かな隙間からヨロヨロと一匹の蝶が出てきた。
『アレク』
肩に留まった蝶が真子の声でアレクサンドラの名前を呼ぶ。
アレクサンドラは蝶の出てきた隙間にかぶりつき、小さな炎を灯して中を照らしながら探っていく。
すると暗闇にぼんやりと人の足のような影が浮かんだ。
「マーコ!!」
アレクサンドラが叫んでもその影はピクリとも動かない。
「マーコ! マーコ!!」
アレクサンドラは真子の名を呼びながら小さな炎を動かして影を照らしていく。
炎が顔の方に向かうと炎は真子の顔を照らし出した。
「マーコはこの中よ!!」
岩壁を破壊しようと、アレクサンドラが周囲を見回す。
「一気に崩すと中まで壊れそうね」
アレクサンドラは、クソッと口の中で悪態をついた。
逸る気持ちを抑えてアレクサンドラは岩壁を壊す準備をする。
「中が崩れないように少しずつ壊していくわ」
「団長、私が崩れないように中に防御壁を作ります。それから外の壁を一気に崩してください」
マリーベルの提案に二人は目を見合わせてうなずく。
「ジェーンの分の防御壁は作れないので下がっていてください」
ジェーンが少し離れたところに避難し、マリーベルがありったけの魔力を注いだ魔力玉を作ると、穴の隙間から洞窟の中に魔力玉を入れて、洞窟の壁を内側から支えるように防御壁を作っていく。
「行くわよ!」
アレクサンドラが特大の魔力玉を炎の球に変えて岩壁を一気に弾き飛ばした。
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