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四章 アレクサンドラとディアナ
73.まとわりつく闇-3
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真子はいつの間にかあふれ出ていた涙をグイと拭うと、その手をグッと握りしめた。
「アレクを探さなきゃ」
一歩踏み出してみても足元はふわふわした感触で、歩いているのかどうかもよくわからない。
真子はアレクサンドラの魔力の気配を感じ取ろうと集中する。
さっきまでの幻覚は、この場所がアレクサンドラに見せているものだ。
真子が暗闇に囚われず意識を保てているのは、フェリシアのバングルのおかげなのだろう。
アレクサンドラを探すために真子はもう一度集中する。
するとバングルの下に着けていたブレスレットが微かに赤く光った。
真子が反対の手でブレスレットを触ると、遠くの方にアレクサンドラの気配を感じた。
「アレク!」
真子は必死に足を動かしてアレクサンドラの気配の方に走る。
暗闇にズブと足を取られて上手く進めない。
どれだけ進んだのかはわからなかったが、真子はようやく前方に倒れているアレクサンドラを見つけた。
「アレク!!」
真子が暗闇をかき分けるように全身を使ってアレクサンドラの方に進む。
「アレク!!」
真子はアレクサンドラの傍にしゃがみこみ、幻覚でないか確かめるように手を伸ばした。
真子の手がアレクサンドラの頬に触れると、アレクサンドラがわずかに身体を動かし真子の手にアレクサンドラの体温が伝わる。
幻覚ではなく本物だとわかってホッとすると同時に真子は叫んだ。
「アレク!! しっかりして!!」
真子はアレクサンドラの手を両手で包み込む、回復魔術をかけていく。
アレクサンドラがふるりとまぶたを震わせ、ゆっくりとその金色の目を見せた。
「ん……マーコ……?」
アレクサンドラがゆっくりと手を伸ばして真子の頬に触れる。
「マーコ……あなたは平気……?」
「私は平気。フェリシア様が護ってくれたから」
「そう……泣いていたの?」
「もう大丈夫。アレクがいてくれるから」
真子が自分の頬に触れるアレクサンドラの手を包み込み、そのままスリと頬ずりをした。
アレクサンドラがグッと力強く真子の手を握り返した。
アレクサンドラは身体を起こすと、頭を強く振って意識を覚醒させた。
「夢を見ていたみたいね。ここは?」
「ディアナと一緒にいた白い髪の女の子が黒い影を使って私たちをここに飛ばしたの」
「そう……」
アレクサンドラがキョロキョロと周りの様子を伺う。
「カイラの転移魔術の時に通る狭間の世界に似ているわね」
「それは私も思った。狭間の世界って言うの?」
「アタシたちの世界の周りに魔力の源である白い河が流れていると言われているのは知っているわよね? その世界と白い河の間には距離も時間も関係ない狭間の世界というものがあって、転移魔術はこの狭間の世界を通るらしいのよね」
「ここがそれ?」
「おそらく。ディアナと戦っていた時に急に現れた氷の矢なんかもここを通っていたのね。とはいえ、魔術士本人抜きで人や物を飛ばせるなんて初めて聞いたわ」
アレクサンドラは指を組んで手を前に伸ばし、首をグルグル回した。
「さて、ここを出ましょうか」
「出られるの?」
「えぇ。カイラに聞いたことあるの。転移魔術の途中にカイラとはぐれて狭間の世界に取り残されたらどうしたら良いのかって」
「どうするの?」
アレクサンドラが両手を上にかざして頭上に大きな赤い魔力玉を作った。
するとそこから翼が生えてきて、バサリバサリとはばたいて赤い魔力玉は大きな赤い炎をまとった鳥に変わった。
赤い炎の鳥がはばたくたびにその熱気を含んだ風が周囲に広がる。
「魔力をぶつけて壊せば良いのよ」
アレクサンドラの炎の鳥はアレクサンドラの頭の上を一周してから、その円を広げて狭間の世界を飛び回った。
炎の鳥がはばたくたびに周囲に熱気が渦巻き風が起こる。
次第に暗闇にピキピキとヒビが入りだした。
そのヒビが徐々に大きくなったと思ったら、二人を包む暗闇がパリンと割れて崩れて落ちた。
「アレクを探さなきゃ」
一歩踏み出してみても足元はふわふわした感触で、歩いているのかどうかもよくわからない。
真子はアレクサンドラの魔力の気配を感じ取ろうと集中する。
さっきまでの幻覚は、この場所がアレクサンドラに見せているものだ。
真子が暗闇に囚われず意識を保てているのは、フェリシアのバングルのおかげなのだろう。
アレクサンドラを探すために真子はもう一度集中する。
するとバングルの下に着けていたブレスレットが微かに赤く光った。
真子が反対の手でブレスレットを触ると、遠くの方にアレクサンドラの気配を感じた。
「アレク!」
真子は必死に足を動かしてアレクサンドラの気配の方に走る。
暗闇にズブと足を取られて上手く進めない。
どれだけ進んだのかはわからなかったが、真子はようやく前方に倒れているアレクサンドラを見つけた。
「アレク!!」
真子が暗闇をかき分けるように全身を使ってアレクサンドラの方に進む。
「アレク!!」
真子はアレクサンドラの傍にしゃがみこみ、幻覚でないか確かめるように手を伸ばした。
真子の手がアレクサンドラの頬に触れると、アレクサンドラがわずかに身体を動かし真子の手にアレクサンドラの体温が伝わる。
幻覚ではなく本物だとわかってホッとすると同時に真子は叫んだ。
「アレク!! しっかりして!!」
真子はアレクサンドラの手を両手で包み込む、回復魔術をかけていく。
アレクサンドラがふるりとまぶたを震わせ、ゆっくりとその金色の目を見せた。
「ん……マーコ……?」
アレクサンドラがゆっくりと手を伸ばして真子の頬に触れる。
「マーコ……あなたは平気……?」
「私は平気。フェリシア様が護ってくれたから」
「そう……泣いていたの?」
「もう大丈夫。アレクがいてくれるから」
真子が自分の頬に触れるアレクサンドラの手を包み込み、そのままスリと頬ずりをした。
アレクサンドラがグッと力強く真子の手を握り返した。
アレクサンドラは身体を起こすと、頭を強く振って意識を覚醒させた。
「夢を見ていたみたいね。ここは?」
「ディアナと一緒にいた白い髪の女の子が黒い影を使って私たちをここに飛ばしたの」
「そう……」
アレクサンドラがキョロキョロと周りの様子を伺う。
「カイラの転移魔術の時に通る狭間の世界に似ているわね」
「それは私も思った。狭間の世界って言うの?」
「アタシたちの世界の周りに魔力の源である白い河が流れていると言われているのは知っているわよね? その世界と白い河の間には距離も時間も関係ない狭間の世界というものがあって、転移魔術はこの狭間の世界を通るらしいのよね」
「ここがそれ?」
「おそらく。ディアナと戦っていた時に急に現れた氷の矢なんかもここを通っていたのね。とはいえ、魔術士本人抜きで人や物を飛ばせるなんて初めて聞いたわ」
アレクサンドラは指を組んで手を前に伸ばし、首をグルグル回した。
「さて、ここを出ましょうか」
「出られるの?」
「えぇ。カイラに聞いたことあるの。転移魔術の途中にカイラとはぐれて狭間の世界に取り残されたらどうしたら良いのかって」
「どうするの?」
アレクサンドラが両手を上にかざして頭上に大きな赤い魔力玉を作った。
するとそこから翼が生えてきて、バサリバサリとはばたいて赤い魔力玉は大きな赤い炎をまとった鳥に変わった。
赤い炎の鳥がはばたくたびにその熱気を含んだ風が周囲に広がる。
「魔力をぶつけて壊せば良いのよ」
アレクサンドラの炎の鳥はアレクサンドラの頭の上を一周してから、その円を広げて狭間の世界を飛び回った。
炎の鳥がはばたくたびに周囲に熱気が渦巻き風が起こる。
次第に暗闇にピキピキとヒビが入りだした。
そのヒビが徐々に大きくなったと思ったら、二人を包む暗闇がパリンと割れて崩れて落ちた。
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