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三章 街角の襲撃
62.特別な名前-1
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真子が目を覚ますと目の前には裸の胸板があり、真子はアレクセイの腕の中にすっぽりと抱え込まれていた。
頭を少し上げて窓を見ると、外はうっすらと明るくなっている。
「マーコ……?」
「あ、んんっ、ご……めんなさい……んんっ、起こし……た?」
声が掠れて上手く喋れず、真子が咳払いする。
「待っていて」
アレクセイはベッドから出ると水差しからコップに水を注いだ。
アレクセイは下だけ寝衣を履いており、真子はきちんと上下に寝衣を身につけているのはアレクセイが着替えさせたのだろう。
ベッドサイドまで水の入ったコップを持ってきて、そのまま真子の半身を支えながら起き上がらせると、水を口に含み口移しで水を飲ませた。
与えられた水をコクンコクンと飲み干して、真子はアレクセイをジッと見上げた。
「ん?」
「んんっ……今って、アレクセイさん? アレクサンドラさん? どっちで呼べば良いの?」
「うーん、日が昇ったらアレクサンドラ、ね」
アレクセイならぬアレクサンドラは赤い髪をかき上げながら外を見て言った。
「そっか。じゃあ、もうアレクサンドラさんか」
真子はもう一度んんっと咳をして喉の調子を整える。
「おかえりなさい、アレクサンドラさん」
「あら。昨日、もうおかえりって言ってもらったわよ?」
「うん。でも昨日はアレクセイさんだったから。アレクセイさんもカッコ良くて好きだけど、アレクサンドラさんが側にいるとなんかホッとするね」
真子がふんわりと頬を緩めながら掠れた声で囁いた。
「……マーコ」
アレクサンドラはコップをベッドサイドのテーブルの上に置くと真子の方に向き直った。
真子は小さく首を傾げた。
「なぁに?」
ベッドの上に膝立ちになり、真子の両手を手に取って軽く握りしめながらアレクサンドラが言った。
「アレク、って呼んで欲しい」
「それって」
「アタシの特別な呼び名。マーコに呼んで欲しい」
「アレク……?」
「なぁに」
「アレク」
「うん」
「えっと、アレクさん?」
「ふふ、アレクが良いわ」
「えへ。嬉しい……」
頬を赤く上気させながら微笑む真子を、アレクサンドラがそっと抱きしめて髪を撫でた。
「マーコ。あなたがとても大切よ」
真子はアレクサンドラの背中に手をまわして抱きしめ返す。
「そういえばアレクはなんでマコじゃなくてマーコって呼ぶの?」
「えっ!?」
アレクサンドラは真子の質問に動揺して目を彷徨わせた。
「アレク?」
「えぇっと……あの……」
「ナーゴに似ているからじゃないの?」
アレクサンドラはしばらく悩んでいたようだったが、観念したようで肩を落として話し始めた。
「マーコがナーゴに似ていると思ったのは本当。でもだからマーコと名付けたのではなくて、マーコに自分だけの呼び名を付けたくてナーゴに似ているからって言い訳したのよ。アタシだけが呼べるあなたの特別な呼び名を付けたかったの」
「? それって、つまりどういうこと……?」
「ようは一目惚れってコト! ナーゴによく似たカワイイ子が目の前に落ちてきて、アタシだけの特別にしたかったの! ……魔術騎士団のみんなにはマーコが魔術士の事を知らないのを良いことに、アタシが特別な呼び名まで付けて好き勝手やっているって生暖かい目で見られていたのよ。だからみんなはアタシに気を使ってマコをマーコって呼ばなかったの!」
アレクサンドラは真子を抱きしめていた手を離すと、両手で顔を覆ってしまった。
手の隙間から見えている顔と耳が真っ赤に染まっている。真子は嬉しくて、ふふ、と笑い声を漏らした。
頭を少し上げて窓を見ると、外はうっすらと明るくなっている。
「マーコ……?」
「あ、んんっ、ご……めんなさい……んんっ、起こし……た?」
声が掠れて上手く喋れず、真子が咳払いする。
「待っていて」
アレクセイはベッドから出ると水差しからコップに水を注いだ。
アレクセイは下だけ寝衣を履いており、真子はきちんと上下に寝衣を身につけているのはアレクセイが着替えさせたのだろう。
ベッドサイドまで水の入ったコップを持ってきて、そのまま真子の半身を支えながら起き上がらせると、水を口に含み口移しで水を飲ませた。
与えられた水をコクンコクンと飲み干して、真子はアレクセイをジッと見上げた。
「ん?」
「んんっ……今って、アレクセイさん? アレクサンドラさん? どっちで呼べば良いの?」
「うーん、日が昇ったらアレクサンドラ、ね」
アレクセイならぬアレクサンドラは赤い髪をかき上げながら外を見て言った。
「そっか。じゃあ、もうアレクサンドラさんか」
真子はもう一度んんっと咳をして喉の調子を整える。
「おかえりなさい、アレクサンドラさん」
「あら。昨日、もうおかえりって言ってもらったわよ?」
「うん。でも昨日はアレクセイさんだったから。アレクセイさんもカッコ良くて好きだけど、アレクサンドラさんが側にいるとなんかホッとするね」
真子がふんわりと頬を緩めながら掠れた声で囁いた。
「……マーコ」
アレクサンドラはコップをベッドサイドのテーブルの上に置くと真子の方に向き直った。
真子は小さく首を傾げた。
「なぁに?」
ベッドの上に膝立ちになり、真子の両手を手に取って軽く握りしめながらアレクサンドラが言った。
「アレク、って呼んで欲しい」
「それって」
「アタシの特別な呼び名。マーコに呼んで欲しい」
「アレク……?」
「なぁに」
「アレク」
「うん」
「えっと、アレクさん?」
「ふふ、アレクが良いわ」
「えへ。嬉しい……」
頬を赤く上気させながら微笑む真子を、アレクサンドラがそっと抱きしめて髪を撫でた。
「マーコ。あなたがとても大切よ」
真子はアレクサンドラの背中に手をまわして抱きしめ返す。
「そういえばアレクはなんでマコじゃなくてマーコって呼ぶの?」
「えっ!?」
アレクサンドラは真子の質問に動揺して目を彷徨わせた。
「アレク?」
「えぇっと……あの……」
「ナーゴに似ているからじゃないの?」
アレクサンドラはしばらく悩んでいたようだったが、観念したようで肩を落として話し始めた。
「マーコがナーゴに似ていると思ったのは本当。でもだからマーコと名付けたのではなくて、マーコに自分だけの呼び名を付けたくてナーゴに似ているからって言い訳したのよ。アタシだけが呼べるあなたの特別な呼び名を付けたかったの」
「? それって、つまりどういうこと……?」
「ようは一目惚れってコト! ナーゴによく似たカワイイ子が目の前に落ちてきて、アタシだけの特別にしたかったの! ……魔術騎士団のみんなにはマーコが魔術士の事を知らないのを良いことに、アタシが特別な呼び名まで付けて好き勝手やっているって生暖かい目で見られていたのよ。だからみんなはアタシに気を使ってマコをマーコって呼ばなかったの!」
アレクサンドラは真子を抱きしめていた手を離すと、両手で顔を覆ってしまった。
手の隙間から見えている顔と耳が真っ赤に染まっている。真子は嬉しくて、ふふ、と笑い声を漏らした。
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