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三章 街角の襲撃
55.ナーゴ-3
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その後、実践を見た方が感覚が掴めるだろうということで、午後は騎士団の訓練を見学することになった。
訓練での怪我は日常茶飯事なので、その際に軽い怪我の治療などを見せてもらうつもりだ。
騎士団の筋肉隆々の立派な体躯の男性の中に、優美なジェーンやシルヴィオが並び立つ姿はとても目立っていた。
特にシルヴィオが流れるような剣技で大柄な騎士たちを次々に翻弄する姿は、まるでダンスを見ているようだった。
「はぁ……シルヴィオさん、素敵」
「あんまりシルヴィオを見ないでくれる?」
訓練場の周りで見学している真子の横に立つ影があって、見上げるとカイラが鼻にシワを寄せていた。
「カイラさん! 元気そうで良かった……です」
「ん? なに?」
真子は以前シルヴィオが言っていた子どもについてのあれこれを思い出し、気まずくなって思わず目を逸らした。
カイラは真子の様子に不審げな目を向けながら、訓練場に下りて行った。
カイラの剣術は美しい見た目とは裏腹に、相手の剣を跳ね飛ばすような、なかなか力強いものだった。
休憩中と思われる騎士三人が真子の近くに座り話しかけてきた。
三人とも若く、真子と同じか少し上くらいの年齢に見えた。
「ねぇ、君も魔術騎士? 男の子の格好をしているけど女の子だよね?」
「えーと、そうなのかな? フェリシア様の弟子になりました」
「え! じゃあ、君もアレクサンドラ団長みたいに魔術騎士になるの? あの人たち魔術士としても優秀なくせに騎士としても一流だから嫌になっちゃうよ」
「そうなの?」
「うんすごく強いよ。君もかわいい顔しているけどあんな風に強いのかな? 色々聞いてみたいから、今度一緒にごはんでもどう?」
真子のすぐ隣に座った騎士が、グイとその身を近づけてくる。
すると真子の背後にジェーンが立ち騎士たちを見下ろした。
「こら、この子に手を出すとウチの団長に殺されるわよ」
「げ、マジか。おっかねぇな」
「団長がいない時にマコに何かあったら、私たちが怒られちゃうからね。マコの代わりに私が食事の相手をしましょうか?」
「遠慮しときます」
三人の若い騎士たちは休憩が終わったらしく、またね、と笑って真子から離れていった。
「油断も隙もないわね」
「ジェーンさんは男の人が好きなの?」
「私? 私はどっちも好き。良いなぁと思ったら、男も女も関係ないもの」
ジェーンさんらしいな、と思っていたら、ジェーンがついと真子に流し目をする。
「マコも団長が嫌になったら相手してあげましょうか?」
「……嫌にならないもん」
真子が口を尖らせると、ジェーンは嬉しそうに目を細めて真子の頭をポンポンと叩いた。
「団長が帰ってきたら、そう言ってあげなさい」
「うん」
(アレクサンドラさんに早く会いたいな)
「さて、マコ、行くわよ」
訓練場を見ると、先ほどの三人の騎士のうちの一人が打ち合いで傷を負って腕から少し血を流していた。
ジェーンと一緒に彼の横まで行って、ジェーンが傷を治す様子を見学させてもらった。
それから何人かの傷の治療を見せてもらってから、訓練を終えたシルヴィオが真子のそばまでやってきた。
「マコさん。次の銀夜祭の日に団長が帰ってきますよ」
「ほんと!?」
「えぇ。せっかくなので綺麗に着飾って出迎えましょうね」
シルヴィオが優雅に微笑むのに真子がほぅと見惚れていると、カイラにギロリとにらまれてしまい、真子はあわてて肩をすくめた。
訓練での怪我は日常茶飯事なので、その際に軽い怪我の治療などを見せてもらうつもりだ。
騎士団の筋肉隆々の立派な体躯の男性の中に、優美なジェーンやシルヴィオが並び立つ姿はとても目立っていた。
特にシルヴィオが流れるような剣技で大柄な騎士たちを次々に翻弄する姿は、まるでダンスを見ているようだった。
「はぁ……シルヴィオさん、素敵」
「あんまりシルヴィオを見ないでくれる?」
訓練場の周りで見学している真子の横に立つ影があって、見上げるとカイラが鼻にシワを寄せていた。
「カイラさん! 元気そうで良かった……です」
「ん? なに?」
真子は以前シルヴィオが言っていた子どもについてのあれこれを思い出し、気まずくなって思わず目を逸らした。
カイラは真子の様子に不審げな目を向けながら、訓練場に下りて行った。
カイラの剣術は美しい見た目とは裏腹に、相手の剣を跳ね飛ばすような、なかなか力強いものだった。
休憩中と思われる騎士三人が真子の近くに座り話しかけてきた。
三人とも若く、真子と同じか少し上くらいの年齢に見えた。
「ねぇ、君も魔術騎士? 男の子の格好をしているけど女の子だよね?」
「えーと、そうなのかな? フェリシア様の弟子になりました」
「え! じゃあ、君もアレクサンドラ団長みたいに魔術騎士になるの? あの人たち魔術士としても優秀なくせに騎士としても一流だから嫌になっちゃうよ」
「そうなの?」
「うんすごく強いよ。君もかわいい顔しているけどあんな風に強いのかな? 色々聞いてみたいから、今度一緒にごはんでもどう?」
真子のすぐ隣に座った騎士が、グイとその身を近づけてくる。
すると真子の背後にジェーンが立ち騎士たちを見下ろした。
「こら、この子に手を出すとウチの団長に殺されるわよ」
「げ、マジか。おっかねぇな」
「団長がいない時にマコに何かあったら、私たちが怒られちゃうからね。マコの代わりに私が食事の相手をしましょうか?」
「遠慮しときます」
三人の若い騎士たちは休憩が終わったらしく、またね、と笑って真子から離れていった。
「油断も隙もないわね」
「ジェーンさんは男の人が好きなの?」
「私? 私はどっちも好き。良いなぁと思ったら、男も女も関係ないもの」
ジェーンさんらしいな、と思っていたら、ジェーンがついと真子に流し目をする。
「マコも団長が嫌になったら相手してあげましょうか?」
「……嫌にならないもん」
真子が口を尖らせると、ジェーンは嬉しそうに目を細めて真子の頭をポンポンと叩いた。
「団長が帰ってきたら、そう言ってあげなさい」
「うん」
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「さて、マコ、行くわよ」
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「マコさん。次の銀夜祭の日に団長が帰ってきますよ」
「ほんと!?」
「えぇ。せっかくなので綺麗に着飾って出迎えましょうね」
シルヴィオが優雅に微笑むのに真子がほぅと見惚れていると、カイラにギロリとにらまれてしまい、真子はあわてて肩をすくめた。
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