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二章 ここにいる証

30.真子の答え-2

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 部屋に入るとすぐに、アレクサンドラは真子の両足を抱えて持ち上げた。

「ちょっと、アレクサンドラさん!?」

 アレクサンドラはそのまま真子をベッドの上まで運んで静かに下ろすと、真子の顎をグイと持ち上げて深いキスを落とす。

「むー」

 真子が上手く息ができないでいるのを見て、アレクサンドラがふっと笑って口を離した。

「もう、ジェーンの服なんて早く脱いで」

 アレクサンドラはスルスルと真子の服を脱がせ始めた。
 アレクサンドラはキスの合間に喋って、そしてまたキスを落として、その間も手は器用に真子の服を脱がせていく。
 あっという間に真子を裸にすると、押し倒して口の中を激しく舌で蹂躙して喉の奥まで犯し始めた。
 息を継げないキスで溺れそうになって真子が身を捩ると、目の前にさらされた首筋を下から舐めあげるように舌を這わせて耳を喰む。

「口づけの先を許してくれる? この間みたいに口で全身を愛しても良いんだけどね。マーコが嫌ならキスしかしないわ」

 アレクサンドラは耳殻をついと舐めて、孔に舌を挿れてピチャピチャと音を立てる。

「ん……はぁ……待って!」

「なぁに? やっぱり嫌になった?」

「ちがっ……」

 アレクサンドラは真子の返事を待たずに、顔を前に向かせるとまたキスで口を塞ぐ。

「むー……!!」

 真子がアレクサンドラの胸をパシパシ叩くと、ようやく口を離してくれた。
 ぷはっと真子が息継ぎをしているとアレクサンドラが囁いた。

「それともアレクサンドラじゃなくて、アレクセイの姿の方が良い?」

「えぇ? アレクサンドラさんも、アレクセイさんも、同じ人でしょう?」

 真子が息も絶え絶えに返事をすると、アレクサンドラは少しだけ目を見開いてから嬉しそうに目を細めた。
 また顔を近づけてキスをしようとしてくるアレクサンドラを、真子は必死に抑えた。

「そうじゃなくって、あの、えっと、この世界って、避妊ってどうなっているの!?」

「あら」

「だって、口づけの先って、アレクサンドラさんとしたら赤ちゃんできちゃう……?」

 真子は恥ずかしさのあまり涙目になりながら、顔を真っ赤にさせてアレクサンドラの胸にしがみついた。

「ふふ、マーコがアタシの子ども産んでくれたら嬉しいけど、まだ早いわよね」

 アレクサンドラは真子の頬を撫でてチュッと唇にキスをすると鞄に手を伸ばした。

「えーと……あ、あったわ」

 アレクサンドラが取り出した小瓶には小さなピンクの丸薬がいくつか入っていた。

「それは?」

「避妊薬よ」

 アレクサンドラは丸薬を二粒取り出すと、一粒は口に入れてそのまま飲み込んで、もう一粒は舌の上にちょんと乗せた。
 そしてそのまま舌の先で真子の口をツンとつついた。
 真子がおそるおそる口を開けて舌を少しだけ出すと、アレクサンドラが舌に乗せた丸薬を真子の舌に乗せるようにして舌を絡めてきた。

「ん、んふっ、んんっ!」

 口の中に入れられた丸薬を、真子は注がれた唾液と共にゴクリと飲み込んだ。
 真子の口の端から溢れた唾液をアレクサンドラがベロリと舐めとった。

「これで先に進んでも良いかしら?」

 真子の返事を待たずに、アレクサンドラは顎に手を添えるとまた深いキスを落としていく。

「もうっ! これじゃ、返事、できない」

 真子は必死に顔をそらしてアレクサンドラのキス攻勢から逃げた。
 キスの連続でまともに喋れない、と文句を言おうとアレクサンドラの顔を見たら、まるで真子の返事を聞くのを恐れるようにアレクサンドラの金色の目が不安そうに揺れていた。
 真子はアレクサンドラの顔を両手で挟んだ。

「アレクサンドラさんに、私の全部を知って欲しい」

「ええ、マーコ。アタシにあなたのすべてを見せてちょうだい」

「アレクサンドラさんも、私に全部見せてくれる?」

「もちろん」

 アレクサンドラは真子の言葉を聞いて微笑みを浮かべた。
 その微笑みを見て真子はなぜか、アレクサンドラがこのまま泣き出してしまうのではないかと思った。
 真子は少しだけ頭を持ち上げると、アレクサンドラに軽くキスをした。

「すき」

 真子が小さくつぶやくと、アレクサンドラは真子をギュウと強く抱きしめた。
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