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二章 ここにいる証
25.告白-1
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起きたら真子は寝衣をきちんと着ていて、肌もピカピカになっていた。
寝ている間にアレクサンドラが整えてくれたようだ。
真子は昨晩のアレコレが頭をよぎり、しばらく枕に顔を埋めてジタバタした。
キッチンではアレクサンドラが朝ごはんの用意をしていた。
「おはよう、マーコ。よく眠れた?」
「うん……」
「それなら良かった」
アレクサンドラが笑いかけてくるが、真子は恥ずかしくてアレクサンドラの顔をまっすぐに見られなかった。
真子は目をさまよわせながら急いで朝のお茶の用意をした。
朝ごはんを食べて部屋に戻り、寝衣から着替える際にショーツも新しくなっていることに気づいて、真子はもう一度枕に顔を埋めてジタバタした。
*****
王宮の魔術騎士団の待機室に着くと、シルヴィオが軽くてあたたかいショールを首にふわりと巻いてきた。
「マコさん、今日は首元が冷えるからどうぞ」
「別に寒くないよ?」
真子が首に巻かれたショールをずらして顔を出すと、シルヴィオは何も言わずニコリと微笑んだ。
「痕を付けられているのよ」
カイラがトントンと自分の首の後ろを叩きながら冷めた目で真子を見る。
「痕?」
少し考えてから、真子は何のことを言われているかに気づいて顔を真っ赤にした。
ジェーンが真子の襟の後ろについと指をかけて引っ張り、服の中を覗き込んだ。
「あらスゴイ。不埒な輩を牽制しているつもりかしら?」
「ぎゃっ!! 不埒なのはジェーンさんでしょ!」
真子は襟の後ろを押さえてジェーンをにらみつける。
「あら、マリーベルかもよ?」
「え!? ちょっ、ジェーン、何をっ……!?」
マリーベルがジェーンの言葉に顔を赤くする。
「もう、ジェーンさん! 変なこと言うと怒るよ!」
「それにしても団長、ふたつの月の誓いを破っちゃったの?」
「破ってないから!」
「あら、じゃあ、マコが手を出したってこと?」
「えぇ!? 違う! 出してない! キスだけ!!」
「え~? ここまでしといてキスだけ~?」
「あ」
真子は自分の失言に気づいて両手で口を押さえながら、さらに顔を赤くした。
カイラがハァとため息をつきジェーンをチラリと見る。
「ジェーン、その辺にしておかないと団長に殺されるわよ」
「は~い」
ジェーンはカイラの言葉におとなしく従い、真子をからかうのを止めた。シルヴィオがボソリとつぶやいた。
「あら残念」
「シルヴィオさん……?」
真子が驚いてシルヴィオの顔を見ると、シルヴィオはニコリと微笑んだ。
マリーベルが勢いよく立ち上がって真子の手を引いた。
「あの、マコちゃん、ちょっと手伝ってもらえる?」
「あ、うん」
待機室から出て少しだけ歩くと、マリーベルは立ち止まって真子の方を向いた。
「マコちゃん。言わないままだと後悔するから言うね」
「ん? 何?」
「私、マコちゃんのことが好きみたい」
「え!?」
「マコちゃんに団長がいるのは知っている。でもマコちゃんは最初に親切にされたから、団長のことを好きだと思っているだけかもしれないでしょ」
「え、いや、ちが……」
マリーベルは真子の手を取り、グッと引き寄せて抱きしめた。
「慣れない場所で一生懸命がんばっているマコちゃんを見て好きになったの。私だってマコちゃんを守ってあげたい」
「マリーベルちゃん……」
真子は身体を捻ってマリーベルの腕から逃れようとするが、騎士として鍛えているマリーベルの身体はびくともしなかった。
すると、真子の後ろから声が聞こえてきた。
「こんなところで何をしているの?」
「団長!」
すぐそこに、アレクサンドラが立っていた。
寝ている間にアレクサンドラが整えてくれたようだ。
真子は昨晩のアレコレが頭をよぎり、しばらく枕に顔を埋めてジタバタした。
キッチンではアレクサンドラが朝ごはんの用意をしていた。
「おはよう、マーコ。よく眠れた?」
「うん……」
「それなら良かった」
アレクサンドラが笑いかけてくるが、真子は恥ずかしくてアレクサンドラの顔をまっすぐに見られなかった。
真子は目をさまよわせながら急いで朝のお茶の用意をした。
朝ごはんを食べて部屋に戻り、寝衣から着替える際にショーツも新しくなっていることに気づいて、真子はもう一度枕に顔を埋めてジタバタした。
*****
王宮の魔術騎士団の待機室に着くと、シルヴィオが軽くてあたたかいショールを首にふわりと巻いてきた。
「マコさん、今日は首元が冷えるからどうぞ」
「別に寒くないよ?」
真子が首に巻かれたショールをずらして顔を出すと、シルヴィオは何も言わずニコリと微笑んだ。
「痕を付けられているのよ」
カイラがトントンと自分の首の後ろを叩きながら冷めた目で真子を見る。
「痕?」
少し考えてから、真子は何のことを言われているかに気づいて顔を真っ赤にした。
ジェーンが真子の襟の後ろについと指をかけて引っ張り、服の中を覗き込んだ。
「あらスゴイ。不埒な輩を牽制しているつもりかしら?」
「ぎゃっ!! 不埒なのはジェーンさんでしょ!」
真子は襟の後ろを押さえてジェーンをにらみつける。
「あら、マリーベルかもよ?」
「え!? ちょっ、ジェーン、何をっ……!?」
マリーベルがジェーンの言葉に顔を赤くする。
「もう、ジェーンさん! 変なこと言うと怒るよ!」
「それにしても団長、ふたつの月の誓いを破っちゃったの?」
「破ってないから!」
「あら、じゃあ、マコが手を出したってこと?」
「えぇ!? 違う! 出してない! キスだけ!!」
「え~? ここまでしといてキスだけ~?」
「あ」
真子は自分の失言に気づいて両手で口を押さえながら、さらに顔を赤くした。
カイラがハァとため息をつきジェーンをチラリと見る。
「ジェーン、その辺にしておかないと団長に殺されるわよ」
「は~い」
ジェーンはカイラの言葉におとなしく従い、真子をからかうのを止めた。シルヴィオがボソリとつぶやいた。
「あら残念」
「シルヴィオさん……?」
真子が驚いてシルヴィオの顔を見ると、シルヴィオはニコリと微笑んだ。
マリーベルが勢いよく立ち上がって真子の手を引いた。
「あの、マコちゃん、ちょっと手伝ってもらえる?」
「あ、うん」
待機室から出て少しだけ歩くと、マリーベルは立ち止まって真子の方を向いた。
「マコちゃん。言わないままだと後悔するから言うね」
「ん? 何?」
「私、マコちゃんのことが好きみたい」
「え!?」
「マコちゃんに団長がいるのは知っている。でもマコちゃんは最初に親切にされたから、団長のことを好きだと思っているだけかもしれないでしょ」
「え、いや、ちが……」
マリーベルは真子の手を取り、グッと引き寄せて抱きしめた。
「慣れない場所で一生懸命がんばっているマコちゃんを見て好きになったの。私だってマコちゃんを守ってあげたい」
「マリーベルちゃん……」
真子は身体を捻ってマリーベルの腕から逃れようとするが、騎士として鍛えているマリーベルの身体はびくともしなかった。
すると、真子の後ろから声が聞こえてきた。
「こんなところで何をしているの?」
「団長!」
すぐそこに、アレクサンドラが立っていた。
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