11 / 112
一章 白い光に包まれて
11.王都にて-2
しおりを挟む
今日はもう家に帰って良いというので、アレクサンドラの家に向かうことになった。
「私の家までは馬車で向かいましょう」
「馬車!?」
(馬車ってシンデレラのカボチャの馬車みたいなやつかな?)
ウキウキして馬車乗り場に向かうと、そこにあったのは二人掛けの椅子に屋根が付いている昔どこかで見た人力車みたいな形の馬車だった。
真子は少しだけがっかりした。
「馬車ってこういうのだけなの?」
「大きな馬車もあるわよ。今度、一緒に乗ってみる?」
「ほんと? 乗ってみたい」
並んで話をしているうちにアレクサンドラの家に着いた。
それは日本の真子の家よりもずっと大きくて、オレンジの壁にカラフルなタイルで模様が描かれており白いドアや窓枠がオレンジの壁に映えていた。
周りを見てもピンクの家や水色の家などの色んな色の家があって、真子はなんだか絵本の中に入ったみたいな気がした。
「ここがアタシの家よ」
「わぁ、かわいいおうち」
「気に入ってくれたかしら?」
「うん」
家の中に入ると、明るい外観とは裏腹に暗く静かで人の気配が無かった。
「あの、おうちの人は一緒に住んでないの?」
「家族はいないの。この家に住んでいるのはアタシだけよ。だからマーコが一緒に住んでくれて嬉しいわ」
家族がいない、という言葉が少し気になったけれど、真子を見てニコリと笑うアレクサンドラに真子はそれ以上のことを聞けなかった。
すると玄関の方から大きな声が聞こえた。
「アレクサンドラさーん!」
「あ、ちょうど良かった。マルタさんよ。マーコに紹介するわね」
「マルタさん?」
「お隣に住んでいるの。アタシ、普段は騎士団のお仕事が忙しくて王宮に泊まることが多くてあんまり家に帰れないのよ。だからマルタさんには家の掃除とかおつかいとかをお願いしているの」
玄関を開けると、明るいオレンジの髪の少しふくよかな女の人がいた。
真子の母親よりは若そうだったが、アレクサンドラや真子よりは年上にみえた。
「アレクサンドラさんおかえり。特に何も変わりはなかったよ。それで今から買い物にいくけど何かいるものあるかい?」
「あら、ありがとう。じゃあ買ってきて欲しいものをメモするから、ちょっと待ってもらえる? その前にマルタさんに紹介したい子がいるのよ」
アレクサンドラは後ろに隠れていた真子をずいと前に押し出した。
「あ、えっと、新城真子です」
「シンジョーマコ?」
「あ、マコで良いです」
「へー、マコ……」
マルタは興味深そうに真子をじろじろと眺めた。
「じゃあメモを作るから、ちょっと待っていて!」
アレクサンドラはパタパタと家の奥に入っていった。
マルタはアレクサンドラが家の奥に入ったのを確認してから、真子にニコッと笑いかけた。
「ねぇ! マコはアレクサンドラさんの恋人なの?」
「え! いや、どっちかというとペット?」
「ペット!?」
「あ、いえ、あの、えっと、居候……かな?」
真子が訂正すると、マルタはあからさまにがっかりしたように肩を落とした。
「あらぁ、そうなの。やっとアレクサンドラさんにも恋人ができたのかと思ったのに~」
アレクサンドラはすぐに戻ってきて、メモとお金をマルタにわたした。
「マルタさん、マーコをよろしくね」
「マコ。私はマルタよ。仲良くしてちょうだい」
マルタは人の良さそうな顔をして笑った。
「私の家までは馬車で向かいましょう」
「馬車!?」
(馬車ってシンデレラのカボチャの馬車みたいなやつかな?)
ウキウキして馬車乗り場に向かうと、そこにあったのは二人掛けの椅子に屋根が付いている昔どこかで見た人力車みたいな形の馬車だった。
真子は少しだけがっかりした。
「馬車ってこういうのだけなの?」
「大きな馬車もあるわよ。今度、一緒に乗ってみる?」
「ほんと? 乗ってみたい」
並んで話をしているうちにアレクサンドラの家に着いた。
それは日本の真子の家よりもずっと大きくて、オレンジの壁にカラフルなタイルで模様が描かれており白いドアや窓枠がオレンジの壁に映えていた。
周りを見てもピンクの家や水色の家などの色んな色の家があって、真子はなんだか絵本の中に入ったみたいな気がした。
「ここがアタシの家よ」
「わぁ、かわいいおうち」
「気に入ってくれたかしら?」
「うん」
家の中に入ると、明るい外観とは裏腹に暗く静かで人の気配が無かった。
「あの、おうちの人は一緒に住んでないの?」
「家族はいないの。この家に住んでいるのはアタシだけよ。だからマーコが一緒に住んでくれて嬉しいわ」
家族がいない、という言葉が少し気になったけれど、真子を見てニコリと笑うアレクサンドラに真子はそれ以上のことを聞けなかった。
すると玄関の方から大きな声が聞こえた。
「アレクサンドラさーん!」
「あ、ちょうど良かった。マルタさんよ。マーコに紹介するわね」
「マルタさん?」
「お隣に住んでいるの。アタシ、普段は騎士団のお仕事が忙しくて王宮に泊まることが多くてあんまり家に帰れないのよ。だからマルタさんには家の掃除とかおつかいとかをお願いしているの」
玄関を開けると、明るいオレンジの髪の少しふくよかな女の人がいた。
真子の母親よりは若そうだったが、アレクサンドラや真子よりは年上にみえた。
「アレクサンドラさんおかえり。特に何も変わりはなかったよ。それで今から買い物にいくけど何かいるものあるかい?」
「あら、ありがとう。じゃあ買ってきて欲しいものをメモするから、ちょっと待ってもらえる? その前にマルタさんに紹介したい子がいるのよ」
アレクサンドラは後ろに隠れていた真子をずいと前に押し出した。
「あ、えっと、新城真子です」
「シンジョーマコ?」
「あ、マコで良いです」
「へー、マコ……」
マルタは興味深そうに真子をじろじろと眺めた。
「じゃあメモを作るから、ちょっと待っていて!」
アレクサンドラはパタパタと家の奥に入っていった。
マルタはアレクサンドラが家の奥に入ったのを確認してから、真子にニコッと笑いかけた。
「ねぇ! マコはアレクサンドラさんの恋人なの?」
「え! いや、どっちかというとペット?」
「ペット!?」
「あ、いえ、あの、えっと、居候……かな?」
真子が訂正すると、マルタはあからさまにがっかりしたように肩を落とした。
「あらぁ、そうなの。やっとアレクサンドラさんにも恋人ができたのかと思ったのに~」
アレクサンドラはすぐに戻ってきて、メモとお金をマルタにわたした。
「マルタさん、マーコをよろしくね」
「マコ。私はマルタよ。仲良くしてちょうだい」
マルタは人の良さそうな顔をして笑った。
0
お気に入りに追加
159
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる