【R18】純情聖女と護衛騎士〜聖なるおっぱいで太くて硬いものを挟むお仕事です〜

河津ミネ

文字の大きさ
上 下
4 / 19

4.裸の騎士団長、全部で何人?

しおりを挟む
 コロンと床の上に聖水晶が転がり落ちる。

「あ!」

 すぐに聖水晶を拾おうと前かがみになると、同じく聖水晶を拾おうと屈んだキースがピタリと動きを止めた。
 なんだかキースの視線を感じるような気がするが、とりあえず聖水晶を拾っておっぱいの間に突っ込んでグイグイッと位置を調節する。
 するとキースの方からゴクリと喉が鳴る音がした。

「キース?」

 見ればキースは中途半端な中腰の姿勢のまま、目をつぶって何かに耐えるようにしてブツブツとつぶやいている。

「裸の団長が一人、裸の団長が二人……」

(んん? 裸の団長? それ、なんのおまじない?)

 キースはすぐに目を開けて姿勢を正すと、いつも通りの真面目な顔を作ってから私に向かってほんの少しだけ微笑んだ。

「そうだ。フウリ様、これを」

 そう言って、キースが私の手のひらに焼き菓子の包みを渡してくれる。

「あ、お菓子! うちのお店まで行ってくれたの?」

「はい。ちょうど休みの日だったので」

 それは私の両親が王都で営んでいるお菓子屋のものだった。
 私は聖女になってから身内でも気軽に会えなくなってしまったのだが、それを知ったキースは暇を見つけてはうちのお店に顔を出してお互いの近況を伝えてくれるのだ。

「先の流行病でお母さまが少し寝込んでらしたようですが、今はすっかり治ってお二人ともお元気そうでした」

「ありがとう」

「本日、お休みになる前に召し上がってはいかがですか?」

「うん、そうする」

(お母さんが聖水晶が必要になるほどの病気じゃなくてよかった)

 聖水晶は王族や高位貴族が主に使い、それ以外の物も高値で取引されているので庶民の病気を治すのに使われることはほぼない。
 ホッと胸を撫で下ろしていると、キースがハーブティーを淹れてくれた。

 実は聖水晶に癒しの力を与えるととても眠くなる。

 手のひらに聖紋のある他の聖女と違って、私は聖水晶をおっぱいに挟んでおけばいいだけなので、ずっと癒しの力を与え続けている。
 さすがに手をずっと使えないと困るので、他の聖女は一日に一個や二個の聖水晶しか作れない中、私は小さい聖水晶ではあるけれど五個や六個、多い時は十個以上の聖水晶を作っていた。
 とはいえ十個も作ると眠気が酷く、ほとんど起きていられなくなってしまうので、多少は制限しているが。
 私がいつも眠って過ごしているのは、たぶんこのせいだろう。
 今日もこれからお昼寝の予定で、キースが淹れてくれたのは眠りを誘うカモミールティーだった。

「うん。おいしい!」

 それにお昼寝前にオヤツを食べるも、私の大事なお仕事だ。
 なんせおっぱいが小さくなって聖水晶を挟めなくなると困るので、食事もオヤツもたっぷりと取らないといけない。
 だから、ほんの少し、ほんの少しだけ、私は他の人よりぽっちゃりしていた。

(たまに神殿に来る貴族のお嬢さまたちは、みんな細くてキレイだったな。キースも貴族だから、いつかあんな人たちと結婚するのかな……)

 せっかくのおいしいお菓子がまずくなりそうで、頭をふってイヤな考えを追い出す。

「おかわりはいかがされますか?」

「うん、ちょうだい!」

 おかわりのハーブティーとお菓子もすべて平らげて、お腹いっぱいになった私は寝台に横になった。

「フウリ様、おやすみなさい」

「おやすみ、キース」

 キースが上掛けをふわりとかけてくれる。

(姫とか聖女とか言われても、私はただ食べて眠ることしかできない……)

 疲れた身体とくちくなったお腹がまぶたを重くして、私はゆるゆると眠りに落ちていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック企業を退職したら、極上マッサージに蕩ける日々が待ってました。

イセヤ レキ
恋愛
ブラック企業に勤める赤羽(あかばね)陽葵(ひまり)は、ある夜、退職を決意する。 きっかけは、雑居ビルのとあるマッサージ店。 そのマッサージ店の恰幅が良く朗らかな女性オーナーに新たな職場を紹介されるが、そこには無口で無表情な男の店長がいて……? ※ストーリー構成上、導入部だけシリアスです。 ※他サイトにも掲載しています。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。

待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

処理中です...