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18.引いたカードはDEAD or MARRIAGE
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目が覚めると私は自分の部屋のベッドに寝かされていた。
「お目覚めですか」
「ん……レベッカ?」
レベッカが心配そうに私の顔をのぞき込んでいる。
「あれ……なんでレベッカが私の部屋に? って、あれ? 私、なんで自分の部屋にいるんだろう」
私は自分の部屋に戻ってきた記憶がなくて首をひねる。
そしてすぐに眠る前に何をしていたかを思い出して、一気に顔が赤くなった。
「ひゃあっ!!」
私はグイと上掛けを持ち上げて、ベッドの中に潜り込む。
レベッカがそんな私を見て神妙な顔をした。
「フウリ様は意識を失っておいででしたので、我々がこちらにお連れしました」
「あぁ……うん、ありがとう」
確かにキースを抱き合っていた途中から記憶がないので、気を失ってしまったのだろう。
私はすぐに目だけを上掛けから出して、キョロキョロと周りを見回した。
「ねぇ、キースは?」
「ヤツなら牢屋に拘束されています」
「えっ! 牢屋? 拘束? なんで!?」
「意識のないフウリ様に乱暴を働いているところを現行犯で捕らえました。いまは団長がヤツを見張っています」
「ら、乱暴って……」
「本当ならその場で首をはねても良かったのですが」
「ひぃっ! ダメ!! ぜったいダメだよ、そんなの!!」
「聖女に乱暴するなんて、その場で叩っ斬られて当たり前なんです。ただヤツが合意の上だと主張したので、かろうじて生かしております。ヤツはフウリ様にプロポーズをして受けていただいたとほざいております」
「プロポーズ!?」
叫んでしまってからぼんやりと思い出す。
そういえばキースが『結婚してください』とか、そんなことを言っていたような気がする。
「やはりヤツの一方的な勘違いなのですね。ではヤツは死罪に」
「ちょ、ちょっと待って」
「フウリ様。ヤツはそれだけのことをしでかしたのです。情けをかける必要はありません」
「いや、えっと、あの、私、プロポーズ受けた! そう、キースのプロポーズ受けたから!!」
「ではキースの言うことは正しいとおっしゃるのですか?」
「えっと……うん」
レベッカの前でそれを断言するのは少し恥ずかしかったけれど、ここでしっかりキースの疑いを晴らしておかないといけないのでしっかりと口に出す。
「私、キースと結婚します」
そのあとも何度もレベッカに確認され、さらに神殿の偉い人たちや聖騎士団長にも確認され、それでようやくキースは牢屋から出してもらえたのだった。
*****
よく晴れた日、神殿を出ようとする私の前に皆が集まって見送ってくれる。
「フウリ様、お誕生日おめでとう!!」
「ありがとう、マイヤ様」
「おめでとうございます、フウリ様」
「レベッカもありがとう」
「必ず神殿に遊びに来てね。約束よ!」
「うん、約束」
おっぱいに顔を埋めるようにして泣くマイヤ様の頭を撫でる。
「フウリ様」
名を呼ばれた方に顔を向けると、聖騎士の正装に身を包んだキースが私に手を差し伸べている。
「キース」
マイヤ様とレベッカにお別れを告げて、私はキースの手を取った。
「お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう」
23歳の誕生日を迎えて、今日で私は聖女を引退する。
このままキースと私は一緒に私たちの屋敷に向かう。
準備が整ったらささやかな結婚式も挙げる予定だ。
屋敷に向かう馬車にふたりで乗り込むと、ガタガタと馬車が動き出した。
「お目覚めですか」
「ん……レベッカ?」
レベッカが心配そうに私の顔をのぞき込んでいる。
「あれ……なんでレベッカが私の部屋に? って、あれ? 私、なんで自分の部屋にいるんだろう」
私は自分の部屋に戻ってきた記憶がなくて首をひねる。
そしてすぐに眠る前に何をしていたかを思い出して、一気に顔が赤くなった。
「ひゃあっ!!」
私はグイと上掛けを持ち上げて、ベッドの中に潜り込む。
レベッカがそんな私を見て神妙な顔をした。
「フウリ様は意識を失っておいででしたので、我々がこちらにお連れしました」
「あぁ……うん、ありがとう」
確かにキースを抱き合っていた途中から記憶がないので、気を失ってしまったのだろう。
私はすぐに目だけを上掛けから出して、キョロキョロと周りを見回した。
「ねぇ、キースは?」
「ヤツなら牢屋に拘束されています」
「えっ! 牢屋? 拘束? なんで!?」
「意識のないフウリ様に乱暴を働いているところを現行犯で捕らえました。いまは団長がヤツを見張っています」
「ら、乱暴って……」
「本当ならその場で首をはねても良かったのですが」
「ひぃっ! ダメ!! ぜったいダメだよ、そんなの!!」
「聖女に乱暴するなんて、その場で叩っ斬られて当たり前なんです。ただヤツが合意の上だと主張したので、かろうじて生かしております。ヤツはフウリ様にプロポーズをして受けていただいたとほざいております」
「プロポーズ!?」
叫んでしまってからぼんやりと思い出す。
そういえばキースが『結婚してください』とか、そんなことを言っていたような気がする。
「やはりヤツの一方的な勘違いなのですね。ではヤツは死罪に」
「ちょ、ちょっと待って」
「フウリ様。ヤツはそれだけのことをしでかしたのです。情けをかける必要はありません」
「いや、えっと、あの、私、プロポーズ受けた! そう、キースのプロポーズ受けたから!!」
「ではキースの言うことは正しいとおっしゃるのですか?」
「えっと……うん」
レベッカの前でそれを断言するのは少し恥ずかしかったけれど、ここでしっかりキースの疑いを晴らしておかないといけないのでしっかりと口に出す。
「私、キースと結婚します」
そのあとも何度もレベッカに確認され、さらに神殿の偉い人たちや聖騎士団長にも確認され、それでようやくキースは牢屋から出してもらえたのだった。
*****
よく晴れた日、神殿を出ようとする私の前に皆が集まって見送ってくれる。
「フウリ様、お誕生日おめでとう!!」
「ありがとう、マイヤ様」
「おめでとうございます、フウリ様」
「レベッカもありがとう」
「必ず神殿に遊びに来てね。約束よ!」
「うん、約束」
おっぱいに顔を埋めるようにして泣くマイヤ様の頭を撫でる。
「フウリ様」
名を呼ばれた方に顔を向けると、聖騎士の正装に身を包んだキースが私に手を差し伸べている。
「キース」
マイヤ様とレベッカにお別れを告げて、私はキースの手を取った。
「お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう」
23歳の誕生日を迎えて、今日で私は聖女を引退する。
このままキースと私は一緒に私たちの屋敷に向かう。
準備が整ったらささやかな結婚式も挙げる予定だ。
屋敷に向かう馬車にふたりで乗り込むと、ガタガタと馬車が動き出した。
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