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6.とある聖女と護衛騎士の愛読書とは
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私はマイヤ様とレベッカにキースのことを相談した。
話すうちにどんどんふたりの顔が険しくなっていくのが気にかかる。
「もしキースがどこか悪いのなら治してあげたいの。聖水晶の数は神殿に管理されているから勝手に使えないけど、私がキースの悪いところをこう直接挟めば治せるし……」
私は両手でおっぱいを持ち上げてギュッと挟む真似をする。
キースと離れるのが嫌で見て見ぬフリをしてきたけど、あんなに苦しそうなキースを放っておくのはやっぱり嫌だった。
「だから私の聖女の力があるうちに、治してあげられないかなって」
マイヤ様とレベッカは私の話を聞いて顔を見合わせた。
「アイツそんなことしてんの? ヤバくない? ドン引きなんだけど」
「ちょっとこれは団長に報告した方が」
ふたりがボソボソとつぶやく言葉が漏れ聞こえてきて私は焦ってしまう。
(団長に相談? そんな大変な問題なの!?)
「待って! 私のせいでキースに迷惑をかけたくないの! お願いだから誰にも言わないで!!」
「フウリ様……」
マイヤ様とレベッカは泣きそうになっている私を見て複雑な顔をする。
するとマイヤ様はしばらく悩んでから、おそるおそる私に尋ねた。
「あのさ、フウリ様はどうやって子どもができるか知ってる?」
「えぇっ! 急に何を!?」
「大事なことだから」
「えぇと、なんとなくなら……?」
「ちょっと説明してみて」
たしか昔読んだ本では、結婚した二人が一緒のベッドで寝て愛しあうって書いてあったはずだ。
「え……っと、ベッドで愛しあう?」
「具体的には?」
「具体的に……って」
愛しあう以外にも何かあるのだろうか。
そう言われて頭を捻って考えてみるが、何も思い浮かばなかった。
「えっと、マイヤ様は知ってるの?」
「まぁ、いちおう。ウチは牧場だったんで家畜の種付けとか見てたし」
「種付け……。種を、付ける?」
(どこに? というか、種ってあの花の種みたいなもの?)
悩んでいる私を見て、マイヤ様がおでこに手を当てながら大きく息を吐く。
「はぁーっ。ちょっとこれは純粋培養が過ぎない?」
「えっと、ごめんなさい」
「いえ、フウリ様のせいではありません。これは神殿側の教育の問題です」
レベッカが相変わらず難しい顔しながら私を慰めてくれたけれど、なんだか申し訳なくて身を縮めこめるてしまう。
マイヤ様がやれやれと頭をふった。
「そりゃ神殿はさ、聖女が勝手に恋愛したりしないように情報を制限してるけどさぁ。みんなこっそり恋愛小説とか読んでるし、なんなら聖騎士とできちゃう聖女もいるのにね」
「できちゃう……?」
「そうそう。別に聖女は処女じゃないといけないわけじゃないしね。ただ子ども産むと癒しの力が弱まるらしいから、引退までは恋愛禁止にしてるみたいだけど」
「子ども……種付け……?」
よくわからないでいる私に、レベッカが困ったように眉を下げる。
「えぇと、男性の出した種を女性の身体の一部に付けると子どもができるんですよ」
「男性の種……。それが種付け?」
「はい」
いまいち想像がつかなくて考えこむ私の横で、マイヤ様とレベッカがなにやら相談している。
「マイヤ様の本棚にちょうどいい本はありませんか? いつもいっぱいエロいの読んでますよね」
「私のコレクションはガチムチのマッチョ同士がくんずほぐれつするヤツだからなぁ。そういうレベッカはどうなのよ?」
「うーん、私のも男性が縛られながらひんひん泣いてるようなヤツなんでフウリ様にはちょっと刺激が強いかと」
「レベッカ、そんなの読んでるんだ。今度貸して!」
「それは構いませんが、それより今はフウリ様ですよ」
私を見ながらふたりはあーでもないこーでもないと話し合っている。
そうこうするうちにお茶会の時間も終わりに近づいてしまい、マイヤ様は真剣な顔をして私の肩に両手を置いた。
「ちょっと次回までの宿題にさせて。フウリ様向けのらぶえっちのちょうど良さそうなの見繕っておくから」
「う、うん?」
(らぶえっち?)
よく知らない言葉だったので次の時にでも聞いてみようと思っていると、キースが私の迎えにやってきた。
迎えにきたキースにマイヤ様とレベッカが何か言おうとしたのを必死に止めて、私はマイヤ様の部屋をあとにするのだった。
話すうちにどんどんふたりの顔が険しくなっていくのが気にかかる。
「もしキースがどこか悪いのなら治してあげたいの。聖水晶の数は神殿に管理されているから勝手に使えないけど、私がキースの悪いところをこう直接挟めば治せるし……」
私は両手でおっぱいを持ち上げてギュッと挟む真似をする。
キースと離れるのが嫌で見て見ぬフリをしてきたけど、あんなに苦しそうなキースを放っておくのはやっぱり嫌だった。
「だから私の聖女の力があるうちに、治してあげられないかなって」
マイヤ様とレベッカは私の話を聞いて顔を見合わせた。
「アイツそんなことしてんの? ヤバくない? ドン引きなんだけど」
「ちょっとこれは団長に報告した方が」
ふたりがボソボソとつぶやく言葉が漏れ聞こえてきて私は焦ってしまう。
(団長に相談? そんな大変な問題なの!?)
「待って! 私のせいでキースに迷惑をかけたくないの! お願いだから誰にも言わないで!!」
「フウリ様……」
マイヤ様とレベッカは泣きそうになっている私を見て複雑な顔をする。
するとマイヤ様はしばらく悩んでから、おそるおそる私に尋ねた。
「あのさ、フウリ様はどうやって子どもができるか知ってる?」
「えぇっ! 急に何を!?」
「大事なことだから」
「えぇと、なんとなくなら……?」
「ちょっと説明してみて」
たしか昔読んだ本では、結婚した二人が一緒のベッドで寝て愛しあうって書いてあったはずだ。
「え……っと、ベッドで愛しあう?」
「具体的には?」
「具体的に……って」
愛しあう以外にも何かあるのだろうか。
そう言われて頭を捻って考えてみるが、何も思い浮かばなかった。
「えっと、マイヤ様は知ってるの?」
「まぁ、いちおう。ウチは牧場だったんで家畜の種付けとか見てたし」
「種付け……。種を、付ける?」
(どこに? というか、種ってあの花の種みたいなもの?)
悩んでいる私を見て、マイヤ様がおでこに手を当てながら大きく息を吐く。
「はぁーっ。ちょっとこれは純粋培養が過ぎない?」
「えっと、ごめんなさい」
「いえ、フウリ様のせいではありません。これは神殿側の教育の問題です」
レベッカが相変わらず難しい顔しながら私を慰めてくれたけれど、なんだか申し訳なくて身を縮めこめるてしまう。
マイヤ様がやれやれと頭をふった。
「そりゃ神殿はさ、聖女が勝手に恋愛したりしないように情報を制限してるけどさぁ。みんなこっそり恋愛小説とか読んでるし、なんなら聖騎士とできちゃう聖女もいるのにね」
「できちゃう……?」
「そうそう。別に聖女は処女じゃないといけないわけじゃないしね。ただ子ども産むと癒しの力が弱まるらしいから、引退までは恋愛禁止にしてるみたいだけど」
「子ども……種付け……?」
よくわからないでいる私に、レベッカが困ったように眉を下げる。
「えぇと、男性の出した種を女性の身体の一部に付けると子どもができるんですよ」
「男性の種……。それが種付け?」
「はい」
いまいち想像がつかなくて考えこむ私の横で、マイヤ様とレベッカがなにやら相談している。
「マイヤ様の本棚にちょうどいい本はありませんか? いつもいっぱいエロいの読んでますよね」
「私のコレクションはガチムチのマッチョ同士がくんずほぐれつするヤツだからなぁ。そういうレベッカはどうなのよ?」
「うーん、私のも男性が縛られながらひんひん泣いてるようなヤツなんでフウリ様にはちょっと刺激が強いかと」
「レベッカ、そんなの読んでるんだ。今度貸して!」
「それは構いませんが、それより今はフウリ様ですよ」
私を見ながらふたりはあーでもないこーでもないと話し合っている。
そうこうするうちにお茶会の時間も終わりに近づいてしまい、マイヤ様は真剣な顔をして私の肩に両手を置いた。
「ちょっと次回までの宿題にさせて。フウリ様向けのらぶえっちのちょうど良さそうなの見繕っておくから」
「う、うん?」
(らぶえっち?)
よく知らない言葉だったので次の時にでも聞いてみようと思っていると、キースが私の迎えにやってきた。
迎えにきたキースにマイヤ様とレベッカが何か言おうとしたのを必死に止めて、私はマイヤ様の部屋をあとにするのだった。
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