THE NEW GATE

風波しのぎ

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22巻

22-1

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 温泉観光のためにパーティメンバーとともに商業の国クリカラを訪れたシンは、そこで四年に一度開かれる鍛冶かじと武術の祭典『錬鉄武闘祭れんてつぶとうさい』に参加する。
 ところが、活気あふれる祭りの裏で、密かに呪いに汚染された武具が出回っており、その影響で突然街の人が暴走する事件が多発する。
 さらに、展示されていた武具がモンスター化して人々に襲い掛かるという事態も発生。街は混乱に包まれたのだった。
 少なくない犠牲者ぎせいしゃが出たものの、シンたちはこのテロを仕組んだ黒幕を討ち、事態の収拾に成功する。
 失われた命は戻せないが、せめてこの国の人たちが積み上げてきた成果である武具くらいは元に戻したい――そんな思いから、シンは事件で破壊された武具の修復を申し出るのだった。
 卓越たくえつした鍛冶の腕前の一端いったん披露ひろうしたシンだったが、その話は伝説的なハイヒューマン『くろ鍛冶師かじし』を信奉しんぽうする技術集団『くろ派閥はばつ』にも伝わっていた。
 数日後、クリカラの王城に呼び出されたシンたちは、ドワーフの組合の長〝巌窟王がんくつおう〟ジェイフの仲介により、黒の派閥の本拠地に招待されることになったのだった。
 人払いされた部屋に残ったシンたちは、ジェイフともう一人の同席者――黒の派閥に所属する鍛冶師のクリュックとの会話を続ける。

「シン殿が鍛冶の技を習ったという人物……それは、かの『黒の鍛冶師』その人なのではないか? 何処いずこかへ去ったと言われる、かの御仁ごじんは、まだこの世のどこかにいるのではないのか? 私にはそう思えてならんのだ」

 ジェイフから告げられた問いに、シンは戸惑とまどっている風をよそおってつぶやく。

「俺の師匠がハイヒューマン、ですか」

 自らの素性すじょう誤魔化ごまかすために鍛冶の師にあたる人物の話を出したのはシンだったが、何せハイヒューマンなのは自分自身である。さらに言えば、シンこそが『黒の鍛冶師』と呼ばれる存在なのだ。うなずくわけにはいかないし、正体を明かすつもりもない。

「そうだったら、すごかったんでしょうけどね。残念ながら、違います。上位種族であることは間違いないですけど」

 シンは自分がうそをつくのがうまくないという自覚がある。これまで多くの人物を見てきただろうジェイフに、嘘八百でごまかし切れる自信はなかった。
 なので、話すことにした。ジェイフの質問に対する答えとしては嘘になるが、内容自体は真実という、シンにしか本当の意味がわからない話を。

「おぬしほどの技量を持つ弟子を育てながら、ハイヒューマンではないと?」
「種族を特定されると困るので詳しくは言えませんが、少なくともヒューマンではないです。まだまだ上がいるって話していましたし、昔は一人前の鍛冶師なら神話ミソロジー級くらい作れて当たり前だったらしいですよ」

 シンは肩をすくめながら、の部分を強調して話す。それで、その意図するところはジェイフたちに伝わった。

「……『栄華えいが落日らくじつ』より前の時代。当時は伝説レジェンド級の武具を作れてやっと半人前を脱したという。そんな時代を知っているならば、その言葉も当然か。私には想像もできない相手と切磋琢磨せっさたくましたのだろうな」

 おそらく、ジェイフの脳内ではハイエルフ、ハイピクシー、ハイロード、ハイドラグニルのどれかだと推測されているのだろう。
 鍛冶と言えばドワーフというイメージなのは、世に溢れている多くのファンタジー作品と共通しているが、【THE NEWニュー GATEゲート】においてハイドワーフは長命種ではない。
 この世界ではどの種族でも、上位種族の方が長く生きるのは同じだ。
 しかし、それでもドワーフは短命種。上位種族だろうと、五百年以上生きられるハイドワーフは設定上では存在しない。
 例外は一部のハイビーストや、特殊な状態にある個体だけだ。

「お二人と一緒に鍛冶談義したみたいに、意見交換会はよくやっていたみたいですよ。『黒の鍛冶師』ともよく話をしたとか。当人は楽しんで鍛冶仕事をしているだけだったようなので、他の鍛冶師ときそうことはあっても、いがみ合ったりはしてなかったって聞いてます」

 あくまで伝聞でんぶんというスタンスで、シンは話す。
 シンの言う上位種族の人物というのは、ゲーム時代に実在したプレイヤーである。
 実際に鍛冶のコツを教えてくれて、シンにとっては師匠と呼んでいい位置づけの人物でもあるので、決して口から出まかせを言っているわけではない。

「ちょっと進む道になやんでいた時に、もっと物作りを楽しめと言ってくれましてね。もし師匠と出会わなかったら、いろいろと行き詰まっていたかもしれません」

 能力的に未熟だったころ、シンにとって武具の作製は面倒な作業という位置づけだった。
 早くステータスを上げて格上のモンスターに挑みたかったし、未知のステージにも挑戦したかった。だが、基礎ステータスが高いわけではないヒューマンにとって、性能の高い武具の補助なくして未知のモンスターやギミックが待ち受けるステージに挑むのはある意味賭けだ。
 他のプレイヤーが先陣を切る姿に、当時のシンはくやしい思いをしていたのだった。
 徐々にだが、ステータスは上がっている。しかし、時間がかかりすぎているのではないか。そんなあせりもあり、少しばかりやけになって鍛冶に打ち込んでいた際に出会ったのが、ハイドワーフの男だった。
 まだ拠点がなく、一定時間借りられる鍛冶場を使って作業していた時だ。レンタルということもあって、鍛冶場内は個々に区切られておらず、他のプレイヤーのやり方を見ることもできた。そうでなければ、この出会いはなかっただろう。

『なぁ、お前さん。なんでそんなにつまらなそうにつち振ってんだ? ゲームなんだからさぁ。もう少し楽しめよぅ』
『なんだあんた。ここの貸出時間は限られてるんだ。後にしてくれ』

 最初の会話は確かこんな感じだったなと、シンは当時を思い出す。
 もう少したりさわりのない対応もできただろうに、自身のことながら、当時何を思ってそう返したのかわからない。
 思い返すほど、当時は心の余裕がなかったと、あきれてしまう。イベントによってはランキング制度もあった【THE NEW GATE】だが、シンは別に上位入賞を目指していたわけではない。あの頃は、何かにかされるように、効率重視のプレイをしていた記憶ばかりある。

「どうやら、本当のようだな。ハイヒューマンと鍛冶談義とは、実にうらやましいことだ。一度会ってみたいものだが、シン殿の態度から察するに、表舞台で目立ちたがるような御仁ではなさそうだな」
「そうですね。自分の満足いくものが作れればいいっていう性格でしたから」

 普通の装備とは趣向の違うもの、ネタに走った物作りが趣味と公言していた人物だ。彼が作ったものが戦闘や探索の役に立つ確率は、二割あればいい方だった。
 ちなみに、フィルマの虚漆うろうるしの鎧につけられた魔力噴射の機能を最初に見つけて装備に付与したのも、この人物である。ブーツに付与した魔力噴射で宙を舞い、着地に失敗して地面に人型の穴をあけたのは良い思い出だ。

「というか、今どこにいるか自分にもわからないんですけどね」
「え?」
「なに?」

 シンの発言に、今まで黙って話を聞いていたクリュックも驚きの声を上げた。
 そのプレイヤーはデスゲームには巻き込まれていない。おそらく、現実世界のどこかで生きているはずだ。しかし、どこにいるかはわからない。オフ会でもしない限り、プレイヤー同士が直接会うことなどそうそうないのだから。

「私が言うことではないかもしれんが、大丈夫なのか? 今回のようなこともある。護衛はつけてあるのか?」

 ジェイフの心配も理解できたが、そもそもこの世界にいないので問題なしだ。実際にやるとしたら、現実の世界へ干渉するしかない。

「それなら大丈夫です。選定者せんていしゃでも手を出すことはできませんよ。装備も神話ミソロジー級以上が当たり前で、その上、転移も使えますしね」
「む、確かにそれならば、逃げおおせるくらいは簡単か。弟子のお主がそう言うならば、信じるほかあるまい。時間をもらってすまなかったな」
「いえ、同じ分野の人のことって、どうしても気になりますから」

 鍛冶師にとって『黒の鍛冶師』はあこがれであり、崇拝対象すうはいたいしょうでもある。そんな存在に近づけるかもしれないという思いもあったのだろう。
 逆の立場なら気になったはずだと思うからこそ、シンは知らないの一言で済まさなかったのだ。

「ところで、こっちもお二人に少し聞きたいことがあるんですが」
「なんだ? 少々立ち入った話をしたからな。私に答えられることなら答えよう」
「私も構いません」

 ジェイフとクリュックがうなずいたので、シンは質問を続ける。

「行けばわかるとは思うんですが、黒の派閥の拠点についていくつか聞いておきたいと思いまして。移動しているって話ですけど、ハイヒューマンの空飛ぶ城みたいなやつですか?」

 シンは、ジェイフから拠点が移動していると聞いた時から気になっていた。
 黒の派閥はギルドハウスを利用しているという話だが、有名な組織の拠点ともなれば、小型の移動型ギルドハウスではないだろう。
 当然現地に行けばわかるが、迎えが来るまで待機だから、この場で話を聞いてもいいはずだ。
 最初は、黒の派閥が拠点にしている場所と聞いて、まさか自分のギルドハウスかと思った。
 だが移動しているという点で、少なくともシンの担当していたギルドハウスである『一式怪工房いっしきかいこうぼうデミエデン』ではないことは確定している。
 そもそもデミエデンは、大きな組織が拠点にできるほど広くはないし、元プレイヤーでもシステム上は使用できないはずなのだ。
 いまだに手掛かりの一つもないのは残念だが、他人に利用されるよりはましである。

「あれは、そうだな。一つの都市と言っても過言ではあるまい。もともと黒の派閥は、栄華の落日であるじの消えた従者がその遺志を引き継ぐために同志を集めたのが始まり、と言われていてな。その従者が管理していたのが、今の拠点なのだ」

 シンたちのギルドハウスであれば『三式駆動基地さんしきくどうきちミラルトレア』や『五式惑乱園ごしきわくらんえんローメヌン』、『六式天空城ろくしきてんくうじょうラシュガム』が該当する。
 栄華の落日が起こった際にギルドハウスにいたサポートキャラクターが、そのまま管理を続けていたのだろう。

「そういうことでしたか。デカい拠点が残るってことは、なかなか規模の大きいギルドだったんですね。ところで、引き継いだ遺志っていうのはなんなんです?」

 ゲーム時代には、はっきりとコンセプトを掲げるギルドはそれなりに存在した。
 この世界で再会したプレイヤーであるひびねこが所属していた『猫人族語尾研究会ねこじんぞくごびけんきゅうかい』などは、その最たるもので、所属できるのは外見を猫科の動物をモチーフにしたビーストのみ。さらに語尾に「にゃー」とつけるというのが条件だった。
 もともとギルドは、ある程度目的を同じくするプレイヤーが集まるところだ。他にも装備を和風のものに限定したギルドや、ゲーム独自の素材を使った料理研究会のようなギルド、果てはただなんとなくのんびり過ごすだけ、といった緩いコンセプトのギルドも数多い。
 ただ、ジェイフの口ぶりから、そういったふわっとしたコンセプトのギルドではなかったのだろうことはうかがえた。

「そのあたりはクリュックの方が詳しいな。説明を頼めるか?」
「ええ、構いません。ただ、だいぶ時間が経っているので、あくまでそういう記録があるという点だけはご了承ください」

 クリュックによると、ギルドハウスを引き継いだサポートキャラクターは短命種たんめいしゅだったようで、もういないらしい。

「誰かの役に立つ物作りを、というのが栄華の落日前にギルドの掲げていた方針だったようです。黒の派閥の前組織を立ち上げた初代様はその方針も引き継ぎ、混迷の世をうれえて様々な道具をお作りになったと伝わっています」

 おそらく、サポートアイテムの作製をメインに据えたギルドだったのだろうとシンは予想する。

「単純な生産系ギルドではないんですね。ところで、黒の派閥の前組織っていうのは?」

 シンも派閥については多少情報を得ている。信奉するハイヒューマンの二つ名の色のついた派閥が存在しており、それぞれが得意分野の研究をしているという話は聞いていた。ただ、それらの前組織があるのは初耳だった。

「もともとはバラバラに活動していた組織が集まって、物資や情報を融通しているうちに、今の形になったらしいです。前組織のころから参加していて存命の方もいるので、こちらは間違っていないはずです」

 物作り系のギルドといえば『六天ろくてん』。これはプレイヤーだけでなくサポートキャラクターにも共通認識だったようで、一番の物作り集団を目指すならお手本にするべき存在はあれだ、となったらしい。
 最初期のこころざしも忘れられておらず、開発、もしくは再現できた道具は多くの人の役に立っている。

「他の派閥も、元になったギルドとか拠点があるのか?」
「はい。どこも移動できるタイプの拠点ですね。貴重なアイテムも大量に溜め込んでいますから、下手に一箇所いっかしょに留まれないんです。悪用されると危険ですし、貴重なアイテムを狙って忍び込もうとするやからもいます。そういうものを狙う奴らには、金貨の山にでも見えるのでしょうね」

 忍び込むどころか、大規模な襲撃を受けたこともあるようだ。過去には国が拠点を乗っ取ろうとしたことまであると、クリュックは語る。
 そんな理由もあって、外に普及させる道具にはいろいろと気を遣うが、防衛に関しては遠慮無用とばかりに、この世界の基準では破格の性能を持つ設備が、所狭しと設置されているらしい。

盗人ぬすっとには容赦ようしゃする必要なんてないない。消し飛ばしちまえばいいのさ」

 ゲーム時代に襲撃を受けて、ギルドハウスの周りを更地さらちにした覚えのあるシンは、発言に容赦がない。
 この世界に来てからも、盗賊、もしくはそれにふんした犯罪者に襲われたことがある。他人を傷つけて利益を得ようとする相手にかける慈悲じひはない、というのがシンの出した結論だ。
 拠点の防衛設備に関しても「いいぞ、もっとやれ」という心境である。

「まあ、襲ってくる奴らは返り討ちにするとして……黒の派閥って、組織図みたいなのはあるのか? 鍛冶って言っても、作り出すものは武具って決まっているわけじゃないし。そっちの研究はしてないのか?」

 話が逸れたと思ったシンは、聞くつもりだった質問をクリュックに投げかけた。
 鍛冶師の仕事は何も武器や防具を作ることだけではない。シンも、武具以外にくわやシャベルのような農機具、金槌やのこぎりといった大工道具、果ては鍋やフライパンといった調理器具だって作る。生産系ギルド『六天』の装備品担当は伊達だてではないのだ。

「大まかではありますが、武具、生産、農業、土木、海洋、未解明技術の六つの部門に分かれていると思っていただければいいでしょう。それぞれの分野の中でさらに細分化しているといった感じです。ただ、あくまで道具に関する研究が主なので、たとえば土木部門が土木技術に精通しているというわけでもありません。道具開発のためにスキルや技術の研究もしていますが、一番の専門家は青の派閥なので。ああ、他の派閥とも意見交換はよくしていますし、とくに対立しているということはありませんよ」

 強度を上げる実験をして、その成果が他の部門でも役に立ったということは、日常茶飯事にちじょうさはんじのようだ。
 ゲーム時代も、何がどこで役に立つかわからなかったなと、シンはつい昔を思い出す。
 サポートアイテムの作製がメインだというシンの予想も、的外れではなさそうだ。
 一口にサポートアイテムと言っても、分野によって求められるものは違う。研究する分野の多さはそこから来ているのではないかと思った。

「おわかりかと思いますが、私は武具部門に所属しています。武具と言っても、種類は様々ですからね。私は剣や槍といった、使用者の多い装備の性能向上を目的とした研究をしています。他の部門と協力することも多いですね」
「具体的に聞いても?」
「そうですね。当たり障りのないところで言えば、やはり強度に関する部分ですね。土木関連では、鉱石採取や岩盤を掘るのに、生半可なまはんかな道具ではすぐ壊れてしまいます。海洋関連では、船を造る際に強度を高めるにはどうするかという命題があります。金属系の素材は多くの分野で使われていますから、良い結果が出た時はそれを共有しますね。分野ごとに求めているものが少しずれているので、研究成果が別の分野で役立つことは珍しくありません」

 金属といっても、強度や状態異常への耐性などは、素材によって千差万別。武具研究で状態変化への耐性について調査していたら、びにくい金属を発見して、それが造船技術に役立った。
 岩盤を掘るための強度増加実験の結果を、武具の耐久値増幅に応用した等々、具体例を挙げだすときりがないとクリュックは言う。

「違う分野の知識とか技術が役に立つことって、あるからなぁ」

『六天』内でも装備やアイテムの作製方法について話しているうちに、新しい方法が見つかったりしたものだ。こっちでも同じようなことをしていると知って、シンは少し親近感を覚えた。

「そういえば、技術者のスカウトもやっているんだよな?」
「はい。あまり多くはないですが、選定者の中で生産系にひいでた人や、ある程度実績のある人に声をかけさせてもらっています。その過程で人格についても調査しているのですが……」

 クリュックの言葉が詰まったのは、先のテロの首謀者しゅぼうしゃであるファンキーファンキーのことを思い出したからだろう。
 派閥側の調べが足りなかったか、もしくは色々といつわって入り込んだのか。
 奴の性格を考えれば、間違いなく後者。いくら黒の派閥といえども、元プレイヤーの素性をすべて調べるなど不可能。本来の人格や、PKプレイヤー・キラーとしての過去を知らなければ、危険人物だという疑いは持たれないだろう。

「こればかりは仕方ないですよ。心の中をのぞけるわけでもないんですから」

 精神系スキルで操って本心を話させれば不届きな考えを持つ者を見つけられるだろうが、それはあまりにも非人道的だ。

「とりあえず、聞きたいことはこんなところですかね。あとは、行ってからの楽しみに取っておきます。一応確認なんですが、連絡が来るまではクリカラに滞在していればいいんですよね? 宿はさすがに変えようと思うんですけど、移動先はクリュックさんに伝えればいいですか?」

 現在シンのパーティが滞在しているのは、一泊するだけでかなりの金が飛んでいく高級宿だ。
 そんな場所に迎えが来るまで泊まり続けるのは、シンとしても気が引けた。
 それに、ジェイフが出すのか、黒の派閥が出すのかはわからないが、相手に出してもらうには、ちょっとどころではなく気が引ける金額だ。
 高級宿に泊まらなければならないというこだわりは、シンたちにはない。普通くらいでいいのだ。

「いや、そこは変えなくてよい。こちらが出すと言ったが、正確にはクリカラが負担するのだ。武具修復の報酬の金額ではずいぶんと配慮してもらったからな。代わりというわけではないが、受けてやってほしい。それに、従業員たちは国の恩人をもてなせると張り切っているのだ。気にせずくつろいでもらいたい」
「まぁ、そういうことなら」

 遠慮しすぎてもよくないかと、シンは高級宿『ゆめうつつ』に滞在し続けることを決めた。

        
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