THE NEW GATE

風波しのぎ

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16巻

16-3

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「もちろん、すべてのものがそうであるとは言いません。そのうえでお尋ねする。ティエラ殿はラナパシアに残る気がおありか?」

 シンやシュニーと話していたときとは違う、王としての顔でエルディンはティエラに問うた。

「……いえ、私はこの国に残る気はありません。もともと、両親の墓に参るために立ち寄っただけですから」

 エルディンの覇気に気圧されそうになりながらも、ティエラははっきりと口にする。たとえ残ってくれと言われたとしても、うなずきはしなかっただろうと思わせる表情だ。

「そうか。――すまない」

 静かに、だがはっきりとエルディンは口にした。
 頭を下げるエルディンの一言には、様々な意味が込められている。

「保管してある刀身は、明日あらためて届けます。それ以降は、こちらから干渉することはいたしません」
「では、俺たちは刀身を受け取り次第出発しましょう。長居をすれば、余計な騒動を招きかねない」

 シンの発言は、エルディンたちだけでなくティエラに聞かせるものでもあった。それを理解しているようで、ティエラは無言でうなずいている。

「急な出発になって悪いな」

 エルディンたちとの話し合いを終え、周囲に人がいないことを確認してシンは言った。いつ出られるのかと考えていたのが嘘のようだ。
 とんだ騒動があったが、ラナパシアはティエラの故郷。なので、長居してまた揉め事に巻き込まれるのは嫌だなと思う反面、少しくらい長居してもいいとも思っていた。

「もう用事は済んでるんだから、気にしなくていいわよ。それより、国を出てどこへ行くの?」
「最初は、俺のギルドハウスを探すのもいいかと思ったんだけどな。どこにあるかまだわからないし、当てもなく探し回るのは建設的じゃない。だから、まずは場所のわかってるローメヌンに行こうと思う。オキシジェンとハイドロにも会っておかないといけないし」

 いろいろと騒動が重なり、後回しにしてしまっていたギルドハウス訪問。
 いい機会なので、ローメヌンに向かうことにした。

「近場ってわけじゃないから、日数がかかるのがネックだな」

『金の商人』レードのサポートキャラクター、ベレットに聞いた情報をもとに、大陸の地形に詳しいシュニーが、一般的な馬車ならばラナパシアから半年以上かかると計算していた。
 ローメヌンがあるのは、大陸上部と下部を繋ぐ部分から、南東に進んだ森林地帯の中。
 整備された道などなく、途中まで街道を使ったとしても、そのくらいはかかるだろうということだった。

「俺たちの馬車とカゲロウの力があれば半分以上短縮できる。まあ、この後は急ぎの用事はないし、少しのんびり行こう」

 転移で飛ばされた後、シンとシュニーはいくらかのんびりと過ごすことができた。
 しかし、ティエラとシュバイドはラナパシアで、フィルマとセティは瘴魔デーモンに占領された街で活動していたため本格的な休養はほとんどできていない。
 フィルマたちはシンやシュニーと同じく肉体的にも精神的にも強いが、休まなくていいというわけではない。休める時間があるときに、英気を養っておくのもありだとシンは思っていた。

「それにしても、まさか種族がばれるとはな」

 本当に驚いたと、シンは声を漏らす。
 ゲーム時代のNPC、それもサポートキャラクターでもない量産型のNPCの1体でしかないはずのエルディンが、自分を覚えているとは思っていなかった。
 態度や言葉遣いが終始丁寧だったのも、もしかすると自分の戦いを見て機嫌を損ねないようにしていたのかもと、つい邪推してしまう。
 クルシオの部屋で見つけた水晶についても、エルディンは可能ならば情報をもらいたい程度にしか言わなかったのも、その要因のひとつだ。

「長命種には、それなりにいると思います。もしかすると、すでに気づいている者たちもいるのかもしれませんね」
「ヒューマンやビーストからすると伝説でも、エルフやピクシーからすれば自分で見聞きした話だからな」

 実際に戦っているところを見ていたならば、その恐ろしさも相当なものだろうとシンは思う。この世界では鼻歌交じりに国を滅ぼせるようなモンスターを、逆に狩るような者たちだ。話こそ通じるものの、戦うとなればその存在はもはやモンスターと同義である。
 あらためて思い出すと、エルディンの顔色は終始悪かった気がしてならない。

「こうして話をすれば、恐くないことくらいわかると思うけど」
「あの御仁はおそらく選定者と呼ばれる者たちと同じ、力の強いエルフだ。他人よりも力をもつがゆえに、シンと己の力の差が理解できてしまうのだろう。始まりがそれでは、互いの距離を縮めることは難しい」

 体験談なのだろう。不思議そうなティエラに、エルディンの出ていった扉を見ながらシュバイドが言う。

「国を背負っていると、いろいろ考えてしまうんでしょうか」
「それもあるな。己の決断が何千何万という民の命運を決める。その重圧は計りしれぬ。とはいえ、相手がシンならば気まぐれで国を滅ぼすなどありえぬがな」
「そりゃなぁ」

 冗談でもやめてくれとシンは辟易した顔をする。可能か不可能かで言えば、可能なのがまた困りものだ。
 実際のところ、ここにいるメンバーは全員可能だったりもする。
 一番ステータスの低いティエラでさえ、この世界では規格外と言っていい。ステータスもすでに上級選定者の域である。
 シンお手製の装備とカゲロウという従魔の存在を加味すれば、小国くらいならば本当に陥落させられる。
 既存の品とは桁外れの射程を持つ弓を、弓が得意なエルフであるティエラが使うのだ。ただの兵士、もしくは上級にまで至っていない選定者程度ならば、ただの的と言っていい。

「つうか、この話はやめだやめ。フィルマたちにもこの話を伝えて、合流地点を決めるぞ」

 物騒な話になっていたので、シンは強引に路線変更する。
 フィルマたちのほうはリフォルジーラ出現のような非常事態は起こっていない。
 本当にまずいときは連絡をもらう手はずになっているので、それがない以上問題はないはずだった。

「連絡して向こうがまだ解決してないっていうなら、俺たちがそっちに向かうのもありだと思う」
「そうですね。ローメヌンとは方向が違いますが、向こうとこちらの両方から移動するならば時間はさほどかからないでしょう」

 フィルマたちのいる国はラナパシアから北に向かった先にある。ローメヌンに向かう道とは逆とまではいかないが、かなり方向が違った。
 ただ、シンたちもフィルマたちも、移動速度が一般的な馬車とは桁違いだ。ローメヌンまでの道のりに比べれば、シュニーの言うとおり時間はさほどかからないはずだった。

「明日は例のものを受け取ったらすぐ出発だ。一応、ここの人たちには気取けどられないように注意してくれ」

 知られたからといって出発するのは変わらない。ただ、できれば何事もなくささっと国を出たかった。
 そして翌日。約束どおりエルディンが屋敷にやってきた。物々しい警備とともに。

「これはまた……」
「世にふたつとない貴重な品ですので、王といえども警備なしには持ち出せぬのです」

 パダンが先にシンたちの元へ来て、人が多い理由を説明する。
 この世界では、古代エンシェント級の装備は、たとえ壊れていても国宝扱いだ。
 仮に売りに出されれば、数億の値がつくといわれるジェイル金貨以上の金が動く。警備はついて当たり前だった。

「こちらになります」

 エルディンが布の上にのせられた刀身を差し出す。受け取るのはシュニーだ。エルディンたちに種族がばれているとはいえ、周囲の目がある状況でシンが受け取るわけにはいかない。
 ゲーム時代のことだが、シュニーはシン以外の『六天』メンバーとも面識がある。
 エルディンたちとの打ち合わせで、シュニーならば戦闘力や他国からの信頼を考えて、刀身を託す相手として申し分ないということにしてあった。

「確かに受け取りました。主かクック様が戻るまで、私が保管しておきます」
「よろしくお願いいたします」

 シュニーが受け取った刀身をカード化してアイテムボックスにしまったのを見届けて、エルディンは帰っていった。エルフたちの中にはティエラに話しかけたそうにしている者もいたが、王が帰ると言っている状況で自分は残るとは言えないのだろう。接触はなかった。

「じゃあ、俺たちも行くか」

 街の様子を見てくると告げて屋敷を出る。向かう先は市街地ではなく園の中と外を繋ぐ門だ。

「何も言ってこなかったけど、本当によかったのか?」

 親しかった者もいたんじゃないかとシンは問う。別れを告げたことで何か騒動になっても、それはもう仕方がないことだと思うのだ。

「もともと突然帰って来たんだもの、いなくなるのだって突然でいいのよ」

 何でもないようにティエラは言う。
 シンたちは人通りの少ない道を、さらに隠蔽スキルで姿を隠しながら歩いていた。最後にゆっくり歩きたいというティエラの願いに、シンたちが協力しないはずがない。

「あなた方は」

 門にはシンがラナパシアに来た時に門番をしていたエルフ、アナハイトがいた。姿を消したまま素通りしてしまってもよかったのだが、門を出るときくらいは姿を見せて通りたいというティエラの願いで隠蔽を解いている。

「……行かれるのですか」

 突然姿を現したシンたちの中にティエラがいることに気づいたようで、アナハイトは確かめるように言った。

「はい。残る理由はありませんから」

 ティエラが応えたことで、他のエルフたちもティエラに気づく。だが、アナハイトが片手を上げると、動こうとしていたエルフたちがピタリと止まった。

「よろしいのですか?」
「我々は門を守るのが仕事だ。かつてティエラ様の追放が決まったとき、我ら門を守る役目にある者たちは肯定も否定もしなかった。だが、我々がモンスターに後れを取るようなことがなければ、あの悲劇は起こらなかったかもしれん。出ていくと決めたならば、それを止めることなどできるはずもないだろう?」

 エルフの1人が問うも、アナハイトは動じることなく応える。100年前も、アナハイトは門番をしていたらしい。その言葉は、エルフたちを説得するためというよりは、自らの不甲斐なさと力不足をティエラに謝罪しているようだった。

「じゃあ、さようなら」
「良き旅を、願っております」

 アナハイトの言葉が効果を見せたのか、引き留めようとする者はいなかった。ただ、皆一様に頭を下げている。彼らもまた、アナハイトと同じく100年前から門を守っているのだろう。それゆえに、アナハイトの言葉が響くのだ。
 シンが馬車を具現化し、カゲロウが引く。門が木々に隠れて見えなくなるまで、ティエラはラナパシアを見つめ続けていた。


         †


 ラナパシアを出発したシンたちは大陸を北上していた。まず目指すのは、フィルマたちとの合流である。
 ヘカテーの担当ギルドハウス『五式惑乱園ローメヌン』に向かうのはそのあとだ。
 黄金商会のベレットに連絡して情報が更新されていないか確認したが、まだシンの『一式怪工房デミエデン』や、レードの『三式駆動基地ミラルトレア』は発見できていないらしい。

「フィルマたちのほうも、とりあえず終わったか」
「はい。ですが、素直には喜べませんね」

 シンがベレットから送ってもらった情報を確認している間に、シュニーがフィルマと連絡を取っていた。
 シュニーによるとフィルマとセティによって瘴魔デーモンは討伐されたのだが、2人が来た時点で相当な被害が出ており、復興にはかなりの時間を要するだろうとのことだ。

「残ってくれと懇願こんがんされているようです」
「相手の気持ちもわからなくはないけどな」

 詳しい話を聞いたシンは、同情を禁じえない。
 瘴魔デーモンの魔手は国の上層部、さらに王族にまで伸びていたらしい。現状で生き残った王族は、成人前の王子だけ。宰相や文官はある程度残っているようなので、どうにか王子を盛り立てていこうとしている。
 問題は、武官のほうだ。瘴魔デーモンによって殺された者から、自分から瘴魔デーモンに味方したことで処罰された者まで含めると、もはや壊滅と言っていい被害が出ている。
 城壁が残っているので国内にモンスターが入ってくることはないが、その国内の治安維持すら怪しい状況だ。瘴魔デーモンこそ倒したものの、事後処理が悲惨なことになっている。
 ここで瘴魔デーモンを倒した張本人たちが、「じゃあ、私たちはこれで」と言って去っていったらどうなるか。
 住民が暴動を起こさないのは、2人の戦いを見ていた者が多かったから。そして、その2人が王城に残っているからだと宰相たちは思っているようだ。
 瘴魔デーモンの魔の手から国民を守れなかった王族の生き残りは王子のみ。そして、彼を守る近衛をはじめとした軍人はほとんど残っていない。住民が暴動を起こせば、止めることはできないだろう。

「でも、国内が安定するまで残ってくれってのは、無茶な話だろ」

 シンとて国内の状況を知れば、彼らの願いも理解はできる。だが、軍を再編し、街を建て直し、国として再出発するには膨大ぼうだいな時間がかかる。
 シンたちとて瘴魔デーモンが暴れているとなれば手助けするのはやぶさかではない。しかし、復興までずっとというのは無理な話だ。エルクントでやったようにちょっとした救助の手伝いや臨時の――それもかなり限定的な――宿泊施設を建てるのがせいぜいだし、それとていくらでもというわけにはいかない。国そのものの建て直しなど、手に余る。

「住民にだって、わざわざ王族を捕まえようなんてことする余裕はないんじゃないか?」
「いや、たとえそうでも、不満のはけ口を求める者たちはいる。初めは小さな声でもいいのだ。境遇が同じ者には自然と伝播し、それはいずれ大きなうねりになる。今回のような、国の浮沈にかかわるようなことならばなおさらだ」

 王族を吊るし上げたところで現状は変わらない。むしろ悪くなることもある。それでも、暴走を始めたが最後、破滅に突き進むのだとシュバイドは言った。まるで見てきたように。

「何かできないんですか?」
「多少の援助はできよう。しかし、それも一時的なもの。国を支援するとなれば、それこそ大商会か国が相手にならねばならん。シンならば、可能かもしれぬが」
「無理だな。それこそ、金も人も物も足りない。こればっかりは同情で手を出しちゃいけないことだ」

 知人もいない、訪れたこともない国に、大量の支援をする。なかなかに無茶な話だ。
 シンたちには黄金商会という、大陸有数の商会への伝手つてがあるが、それとて大陸の隅から隅まで販路を拡大しているわけではない。支援を頼んでも、実現するのは難しいだろう。
 現実世界でも、多くの災害が起こっていた。
 日本でもそうだ。復興にどれだけの時間と資源と人手がかかるのかは、実体験として知っている。
 モンスターを倒す以外では、手を出すのはあくまで手の届く狭い範囲だけ。個人でできるほんの小さなことだけだと、シンは決めているのだ。
 実際は何にどこまで首を突っ込むかなど、その場その場の状況次第でひどく曖昧ではある。しかし、今回はシンの手に余る案件なのは確実だった。

「フィルマとセティが合流したら、そのままローメヌンに向かう」
「わかりました」
「うむ」
「……わかった」

 シュニーは淡々と、シュバイドは安堵したように、ティエラは少し不満気味に。
 三者三様の応答を聞きながら、シンは道の先へと意識を移した。
 日が暮れてからは、月のほこらを出して中で休む。
 魔術によって周囲から見えないように隠蔽し、さらにシンたち以外は弾くように設定してある。
 仮に、見えていないがゆえに近づいてしまっても、月の祠にたどり着くことはできない。

「さて、やるか」

 月の祠の鍛冶場で、シンは預かっている金色の水晶と向き合っていた。
 握り拳ほどの水晶は、六角柱の上下に六角すいを取り付けたような見た目をしている。
 自然に出来たと考えるには、綺麗すぎる形だ。
 解析系のスキルは、相変わらず意味不明の文字列を表示している。

「魔力を流してみると、どうなる?」

 アイテムによっては、魔力を流すと特有の反応をするものがある。何かしらの変化を期待してシンが魔力を流すと、思っていた以上の変化があった。
 黄金色に輝いていた水晶が、薄紫色に染まったのだ。魔力を流すのをやめても、色は変わらない。

「……まずったか?」

 水晶はひとつしかない。調査では当たり前にすることだったのだが、もしや取り返しのつかないことをしてしまったのかとシンは焦る。
 悩んだ末に魔力を流して色が変わったのだから、吸い取ったら元に戻らないだろうかと考え、実行に移した。

「もどった……けど、なんだ? この感じ」

 MP吸収のスキルを使うと、水晶は元の金色の輝きを取り戻す。ただ、水晶から吸収したMPが流れ込んでくる際に、シンは違和感を覚えた。
 スキルの効果によって、シンのMPはわずかに回復している。ただ、生じた違和感は吸収したMPとは別物だった。
 何かが流れ込んでくるような、抜けていくような、矛盾する感覚。明確な言葉にするのが難しく、もどかしい。
 自分だけが感じることなのか。それとも誰でも同じなのか。試したいところではあるが、危険がないとも限らない。
 リフォルジーラの出現に関与しているだろうアイテムだ。何が起こるかわからない。
 シンが1人で調査しているのは、鍛冶場が特別頑丈がんじょうで、もし何かあっても他のメンバーに危険が及ばないからだ。

「やはり、1人で調査していたのですね」

 鍛冶場の入り口から、シュニーの声がした。水晶から流れてきた妙な感覚のせいだろうか、シンはシュニーの気配に気づかなかった。

「ばれてたか」
「それはもう。前もそうだったではありませんか」

 ゲーム時代の話だ。アイテムの中には、解析に失敗すると爆発したり、毒ガスが発生したりするようなものもあった。
 そういったアイテムを調査するときは、シンは決してサポートキャラクターを中には入れなかったのである。

「お手伝いします」
「……危険かもしれないぞ」

 シンはステータスも高い上、装備も最上級のもので固めている。
 ちょっとやそっとじゃ死なないからこそ、こうしてどんな効果を持つかわからないアイテムの調査ができるのだ。ゲーム時代になかったものだけに、慎重にならざるを得ない。

「そのくらい、承知の上です」

 それに、と続けて、シュニーは言う。

「私が同じことをしようとしたら、シンだって同じことを言うし、するでしょう?」
「……降参だ。そのとおりだよ」

 水晶を金床の上に置き、シンは両手を上げた。大切な人を危険から遠ざけたくて、巻き込みたくなくて距離をとる。だが、相手がそれを望んでいるかは別問題。
 同じことをされて初めて、どんな思いをさせていたかに気づくなんていうのは、物語ではありふれている展開だ。
 わかっていてもその選択をしてしまうこともある。だが、シンは強引に距離をとることはしなかった。
 きっと距離を取ろうとしても、シュニーは強引に近づいてくる。今のシンには、それがわかった。

「試してほしいことがある。協力してもらえるか」
「もちろんです」

 一応自分で試したので、危険性は高くないはず。そう思いながら、シンはシュニーに水晶を差し出した。
 何があったのか説明を聞いたシュニーは、先ほどのシンと同じように水晶に魔力を流す。すると、今回も変化があった。水晶の色が、薄い青色に変わったのだ。シンのときとは、色が違う。

「おそらくですが、流れ込んだ魔力の波長が色の違いになっているのではないでしょうか?」
「波長?」
「そうですね。指紋のようなものと思ってもらえれば。魔力というのは個人ごとに質が違うので、それを波長と呼ぶことがあるんです。呼び方は他にもあります」

 シュニーの説明を聞いて、そういえば似たようなことを聞いたことがあったようなとシンは記憶を探る。


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