不眠症の不遇。

狐の牡丹

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不眠症の不遇。

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不眠症の顔は痛い。
あと少しで夢の世界へ散歩に行ける。
其れなのに、毎日
『貴方、起きて。ねぇ起きて』
とばかりにうるさくアンタは「伴侶か目覚まし時計なのか⁉︎」とツッコミを入れたくなるくらいに頻繁に顔をベシベシ叩いて起こしてくる。朝には大きな青あざならぬクマができていて。今日もこんな顔である。鏡にげっそりと大きなクマをかかれた自分が写っていた。
もし、この痛みが手術や出産の痛みならば小さくて喜ばしいだろう。けれど違う。もし、彼がが子や孫などであったなら、嫌われず寧ろ蝶や花の様に可愛いがられ彼は幸せであっただろう。しかし、それにもなれない。
だから彼は宿主も彼自身も幸せにできない。
だから不眠症は病であって殆どの者に愛されない。症状の1つとして生まれただけでここまで嫌われる彼は只々不遇であろう。
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