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緋鷹
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「真澄……♡真澄♡」
「ん♡んぅッ♡ひ、緋鷹さんッ♡もう、キスはぁ……ッ♡」
「別にいいだろう?今日はここに泊まっていい、って話なんだし♡まだまだ朝までたくさん、愛し合おうよ♡」
「ふぁ♡あ♡ふぁぁ……ッ♡♡♡」
何度目かのセックスが終わって、僕は布団の中で緋鷹さんに抱き締められて、またキスの洗礼を受けている。緋鷹さんの言っている通りもう大分夜も遅くなってしまったから、今日は緋鷹さんにここへ泊まって貰うことになった。後でお風呂に入ろうって話もしたけど、もしかして……一緒に入ったりするのかな……ッ♡もう名前もすっかり「真澄」って呼び捨てになっちゃったし……♡ああでも緋鷹さん、すっごく、嬉しそうだよぉ……ッ♡
「でも真澄の布団、結構薄いんだねぇ。腰、痛くならない?」
「あっ……ごめんなさい。さすがにそろそろ買い替えようと思っていたんですけど、忙しくて買いに行く時間がなくて……」
「そうなの?じゃあ新しい布団、プレゼントしてあげようか♡私も使ってるメーカーのやつ♡すっごく気持ち良いよ♡」
「ええっ!?で、ですからそんなっ、物をいただくのは……ッ♡」
「でも折角こんな居心地のいいお家なんだから、寝室でもちゃんと休める環境にしたほうが良いでしょう?いい布団ならちゃんと熟睡できるし。真澄は働き者なんだから、その日の疲れはちゃんとその日で取るようにしなくちゃ」
「そ、それはっ、そうですけど……っ♡」
「真澄はいつも、人のことばかりだからねぇ。それが私は、ちょっと心配。いつもの『練習』が真澄自身の望みや想いを伝えることに、少しでも役立ってくれれば良いんだけどなぁ」
「あ──。」
するりと頬を撫でられて、そう言われて。
僕はそこで初めて、緋鷹さんが「遊び」で僕に付き合っているわけじゃないのかもしれない、とそう感じた。毎日ひぃひぃ言いながら自転車操業で働いている、一般庶民の、冴えない僕を。ただ面白がって興味を持って、手を差し伸べているわけじゃないのかもしれない──って。
「っ……。」
じくり、と胸が緩む。それこそ何度も『練習』をしてきたからこそ、緋鷹さんの声や、言葉に、心臓の奥が開かれてゆくのが分かる。望み。想い。いつだって後回しにしてきたせいで、自分でもどんな形をしているのか分からなくなってしまった、僕自身の心の叫び。それを緋鷹さんは。ぼくは──。
……僕はそっと息を吸って、その気づきに緋鷹さんを見つめた。そこにはいつもと同じように、優しくて穏やかで。深い緋色を帯びた瞳が、ある。
「そ、それなら、ひとつ……っ。お願いをしても……いいですか?」
「ん……?お願い?」
「は、はい。もし、もし……緋鷹さんが、お嫌でないなら。こうしてたまに、また家へ遊びに来て貰えませんか?ここなら工場よりゆっくりお話できますし、両親も地方で田舎暮らしを始めて、僕はこの家に一人ですし。そ、その、セックスをするにもここを使えば、ホテルを取らなくてもいい、ですし……ッ♡な、なにより。緋鷹さんが一緒に居てくれると、僕。すごく……っ。すごく幸せっ、なので……っ♡♡♡」
「──。真澄……」
「こ、これが……今の僕の望みです。想い、です。これが、緋鷹さんへ求める……「お返し」では、駄目……ですか?」
「……」
僕の精一杯の「お願い」に、緋鷹さんもじっと、僕を見つめた。
思案なのか。猜疑なのか。沈黙が、とても気まずい。
でも、けれど、そんな僕に、緋鷹さんは、眉を下げて──。
「……私で良いのかい?迷惑、じゃない?」
「──!」
……迷惑。
その言葉に、僕は勢い良く首を横に振る。
強い否定は、僕が、一番苦手なことで。
でも、その時は考えるより先に──勝手に、身体が動いていた。
「め、迷惑なんかじゃありません!ぼ、僕っ!っ……ぼ、僕……ッ♡ひ……緋鷹さんが、いい、です……ッ!♡♡♡」
だって、それは、僕の本心だったから。
たくさんの緋鷹さんとの『練習』で築くことのできた、僕の……うそのない気持ち。
そういう……心からのおねだり、だったから。
「……♡」
「あ、ンぅッ!♡」
僕の返事に、緋鷹さんは今まででいちばん嬉しそうに、笑った。
そして僕へ──キスを、した。
「ふぁ♡あッ♡ひ、緋鷹さん……ッ♡」
「んっ……♡ ……分かった、いいよ♡真澄が望むなら、いつでもここへ来てあげる♡」
「あ……ッ♡ほ、本当、ですか……っ?」
「勿論♡──実はね、私、本当は真澄を愛人じゃなくて伴侶にしたいなぁ、って思ってたから♡だからこれで一歩、前進だね♡」
離れる唇に、まるで内緒話のように耳元で告げられる言葉。
それはやっぱり……僕の想像を遥かに、超えていて。
「えっ……え、えええッ!?♡♡♡」
ちょ、ちょ、はッ、伴侶っ?
愛人じゃなくて……ッ、は、伴侶ぉ!?!?!?♡
それって!
それって、つまり……ッ!♡♡♡
「ん?ってことはつまり……私もいつかは橘家の一員になれるかもしれない──ってこと!?わぁすごい♡あっ、それなら布団買っても良いんじゃない?だっていずれは私達の共有財産になる可能性もゼロじゃないんだから♡いつか私が寝る布団を、今は真澄に貸す……って形なら、なんの問題もないよね♡あっ、それならついでに工場の空調も新しくしちゃおっか♡工場も共有財産の可能性、ゼロじゃないからね♡」
「えっ!?♡ええっ!?!?♡ちょっ、その、緋鷹さんッ!ぼ、僕はそのッ、これからも親しいお付き合いをしたいとっ、そう、言っただけで……ッ!えええっ!?!?!?♡♡♡」
「分かってるよ♡真澄が無理をしないペースで、ゆっくりじっくり、仲良くなっていこうね♡」
「あ♡あ♡ンんっ♡ふぁ♡ひ、緋鷹さん……ッ!♡♡♡」
「──これからも末永くよろしくね、真澄♡♡♡」
「っ──!!!!!!!♡♡♡」
もう数え切れないくらい繰り返されるキスにぺろぺろと口の中を舐められて、ふわりとさっき食べたすいかの味が舌へと浮かぶ。
夏の日、夏の味、……夏のような炎を宿す、緋色の鷹のようなひと。
──どうやら僕はこのひとの爪と嘴に、完全に捕えられてしまった、みたいだ……っ!♡
「ん♡んぅッ♡ひ、緋鷹さんッ♡もう、キスはぁ……ッ♡」
「別にいいだろう?今日はここに泊まっていい、って話なんだし♡まだまだ朝までたくさん、愛し合おうよ♡」
「ふぁ♡あ♡ふぁぁ……ッ♡♡♡」
何度目かのセックスが終わって、僕は布団の中で緋鷹さんに抱き締められて、またキスの洗礼を受けている。緋鷹さんの言っている通りもう大分夜も遅くなってしまったから、今日は緋鷹さんにここへ泊まって貰うことになった。後でお風呂に入ろうって話もしたけど、もしかして……一緒に入ったりするのかな……ッ♡もう名前もすっかり「真澄」って呼び捨てになっちゃったし……♡ああでも緋鷹さん、すっごく、嬉しそうだよぉ……ッ♡
「でも真澄の布団、結構薄いんだねぇ。腰、痛くならない?」
「あっ……ごめんなさい。さすがにそろそろ買い替えようと思っていたんですけど、忙しくて買いに行く時間がなくて……」
「そうなの?じゃあ新しい布団、プレゼントしてあげようか♡私も使ってるメーカーのやつ♡すっごく気持ち良いよ♡」
「ええっ!?で、ですからそんなっ、物をいただくのは……ッ♡」
「でも折角こんな居心地のいいお家なんだから、寝室でもちゃんと休める環境にしたほうが良いでしょう?いい布団ならちゃんと熟睡できるし。真澄は働き者なんだから、その日の疲れはちゃんとその日で取るようにしなくちゃ」
「そ、それはっ、そうですけど……っ♡」
「真澄はいつも、人のことばかりだからねぇ。それが私は、ちょっと心配。いつもの『練習』が真澄自身の望みや想いを伝えることに、少しでも役立ってくれれば良いんだけどなぁ」
「あ──。」
するりと頬を撫でられて、そう言われて。
僕はそこで初めて、緋鷹さんが「遊び」で僕に付き合っているわけじゃないのかもしれない、とそう感じた。毎日ひぃひぃ言いながら自転車操業で働いている、一般庶民の、冴えない僕を。ただ面白がって興味を持って、手を差し伸べているわけじゃないのかもしれない──って。
「っ……。」
じくり、と胸が緩む。それこそ何度も『練習』をしてきたからこそ、緋鷹さんの声や、言葉に、心臓の奥が開かれてゆくのが分かる。望み。想い。いつだって後回しにしてきたせいで、自分でもどんな形をしているのか分からなくなってしまった、僕自身の心の叫び。それを緋鷹さんは。ぼくは──。
……僕はそっと息を吸って、その気づきに緋鷹さんを見つめた。そこにはいつもと同じように、優しくて穏やかで。深い緋色を帯びた瞳が、ある。
「そ、それなら、ひとつ……っ。お願いをしても……いいですか?」
「ん……?お願い?」
「は、はい。もし、もし……緋鷹さんが、お嫌でないなら。こうしてたまに、また家へ遊びに来て貰えませんか?ここなら工場よりゆっくりお話できますし、両親も地方で田舎暮らしを始めて、僕はこの家に一人ですし。そ、その、セックスをするにもここを使えば、ホテルを取らなくてもいい、ですし……ッ♡な、なにより。緋鷹さんが一緒に居てくれると、僕。すごく……っ。すごく幸せっ、なので……っ♡♡♡」
「──。真澄……」
「こ、これが……今の僕の望みです。想い、です。これが、緋鷹さんへ求める……「お返し」では、駄目……ですか?」
「……」
僕の精一杯の「お願い」に、緋鷹さんもじっと、僕を見つめた。
思案なのか。猜疑なのか。沈黙が、とても気まずい。
でも、けれど、そんな僕に、緋鷹さんは、眉を下げて──。
「……私で良いのかい?迷惑、じゃない?」
「──!」
……迷惑。
その言葉に、僕は勢い良く首を横に振る。
強い否定は、僕が、一番苦手なことで。
でも、その時は考えるより先に──勝手に、身体が動いていた。
「め、迷惑なんかじゃありません!ぼ、僕っ!っ……ぼ、僕……ッ♡ひ……緋鷹さんが、いい、です……ッ!♡♡♡」
だって、それは、僕の本心だったから。
たくさんの緋鷹さんとの『練習』で築くことのできた、僕の……うそのない気持ち。
そういう……心からのおねだり、だったから。
「……♡」
「あ、ンぅッ!♡」
僕の返事に、緋鷹さんは今まででいちばん嬉しそうに、笑った。
そして僕へ──キスを、した。
「ふぁ♡あッ♡ひ、緋鷹さん……ッ♡」
「んっ……♡ ……分かった、いいよ♡真澄が望むなら、いつでもここへ来てあげる♡」
「あ……ッ♡ほ、本当、ですか……っ?」
「勿論♡──実はね、私、本当は真澄を愛人じゃなくて伴侶にしたいなぁ、って思ってたから♡だからこれで一歩、前進だね♡」
離れる唇に、まるで内緒話のように耳元で告げられる言葉。
それはやっぱり……僕の想像を遥かに、超えていて。
「えっ……え、えええッ!?♡♡♡」
ちょ、ちょ、はッ、伴侶っ?
愛人じゃなくて……ッ、は、伴侶ぉ!?!?!?♡
それって!
それって、つまり……ッ!♡♡♡
「ん?ってことはつまり……私もいつかは橘家の一員になれるかもしれない──ってこと!?わぁすごい♡あっ、それなら布団買っても良いんじゃない?だっていずれは私達の共有財産になる可能性もゼロじゃないんだから♡いつか私が寝る布団を、今は真澄に貸す……って形なら、なんの問題もないよね♡あっ、それならついでに工場の空調も新しくしちゃおっか♡工場も共有財産の可能性、ゼロじゃないからね♡」
「えっ!?♡ええっ!?!?♡ちょっ、その、緋鷹さんッ!ぼ、僕はそのッ、これからも親しいお付き合いをしたいとっ、そう、言っただけで……ッ!えええっ!?!?!?♡♡♡」
「分かってるよ♡真澄が無理をしないペースで、ゆっくりじっくり、仲良くなっていこうね♡」
「あ♡あ♡ンんっ♡ふぁ♡ひ、緋鷹さん……ッ!♡♡♡」
「──これからも末永くよろしくね、真澄♡♡♡」
「っ──!!!!!!!♡♡♡」
もう数え切れないくらい繰り返されるキスにぺろぺろと口の中を舐められて、ふわりとさっき食べたすいかの味が舌へと浮かぶ。
夏の日、夏の味、……夏のような炎を宿す、緋色の鷹のようなひと。
──どうやら僕はこのひとの爪と嘴に、完全に捕えられてしまった、みたいだ……っ!♡
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