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28話・後《俺ひとりで……!俺、ひとりで……!》
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「よし。着いたな」
「は、は、はひ……」
体感的には映画一本分、実際には五分程度で蔵書舎に辿り着いた俺は、頭から湯気を出しながら返事をする。普段の豪快で乱暴な所作からは想像もできないくらい、ゆっくりと丁寧に俺を地面に下ろすサラマンダーさんの仕草はめちゃくちゃ紳士で、これだけでも骨抜きになってしまう威力があった。
「よ、よいしょ……」
「おいおい。大丈夫か?」
よろよろと扉へ向かうと、それも先回りして開かれてしまう。なにからなにまでエスコートされて、完全にエンエレのプレイヤー状態だぁぁ……。
しかし、このまま流され続けていてはダメだ。俺だって、ちゃんと覚悟をもってエターニアへ来た。そのためにもこの先はひとりで進まなきゃいけない。送って貰えたのは時短になってありがたかったけど、ここは、毅然と……!
「あぁっ……だ、だ、大丈夫ですっ。あ、あの。ここから先は。本当に、俺ひとりで……!」
「サラマンダー?君がここに来るなんて珍しい……、──あら?そちらはどなた樣?」
「! し、し、し、シルフさん……ッ!!!!」
でも……そんな俺の決意を阻むように──そこに現れたのは、シルフさん。俺が最初に攻略対象にした、エーテルーフくんの次の推しキャラさんの登場に、俺はわかりやすく固まってしまう。
き、毅然と……!え、え、き、毅然ってなんだっけ……!?!?!?
「おお、シルフ。どうしたんだ、お前こそ」
「ちょっと調べ物があってね。でも今日はノアが居ないからどうしたのかと思ってたのよ」
「ノアはこいつを呼ぶために外へ出てたぞ。丁度俺とこいつが喋ってる時に、ノアが来たんだ」
「えっ、ノアが外に……!?とんでもないことじゃない、それ!それに、ええと……この子は?」
「おう、そうだな。ハジメ。挨拶してやれ」
「わっ!」
まじまじとシルフさんに見つめられて、サラマンダーさんから背中を叩かれて。俺は、ふたりに挟まれながらもぞもぞと口を開く。
「あっ。あっ。ええとっ。り、臨時で二人目の『来訪者』として来た、はじめです……っ。よ、よろしくお願いしますっ」
「まぁ、来訪者様……!?初心で可愛らしい子♡ヨロシクね、ハジメくん♡私はシルフ。風の賢者よ。仲良くしてね♡」
「は、はいっ♡わ、わ、わぁっ!♡♡♡」
挨拶代わりのハグでぎゅうっとされて、さっきまで茹でダコだった俺は、更に蒸されダコになって赤面する。サラマンダーさんも凄かったけど、シルフさんのスキンシップもとんでもないぞぉ……っ!?♡
「それにしても、二人目の来訪者?そんなこと初めてじゃない?」
「だよな。異変のせいで喚ばれてきたらしい。ノアもこいつにその類の仕事を頼んでたようだ」
「ちょ、ちょっと……!それは話さなくていいんですってばっ!」
「仕事……?でもね、私の調べ物も異変についてよ。やっぱりここ最近は異常だもの。まるで世界全体が軋みを上げているみたい」
「そうか。お前も感じてるってことは、かなりヤバいんだな……やっぱ、ここらが潮時か」
「潮時?……ああ、君も諦めてるの、自分の気持ちのこと?」
「そりゃあ足掻けるもんなら足掻きたいけどな。流石にこんな状況じゃ、無理を通すのは憚られる」
「それはそうかもしれないけど……君達のこと、私だって他人事じゃないからね。叶うなら、諦めないで欲しいと思うわよ」
「……」
こ……この会話。ウンディーネさんのこと、だよな?やっぱりシルフさんも勘づいてたんだろうか。それとも、直接相談とかしてたのかな?なんだか会話だけでも、二人が親しいというか、距離感が近いのは感じられるし……。
「とにかく、仕事があるなら私も同行するわよ。異変についてなんて、気になるもの」
「え!?」
「おう、シルフが居るなら心強いな。俺はどうも中に詳しくなくてよ」
「そこは任せて。賢者の生き字引なんて古臭い呼び方をされるくらいには、私、ここに詳しいからね」
「そうか。良かったな、ハジメ!これで迷うこともなくなるぞ」
「ふふ、お兄さんに任せてね、ハジメくん♡背、高いのねぇ♡素敵ねぇ♡」
「えっ。いやっ。ちょっと、ちょっとぉ……っ!」
右にサラマンダーさん、左にシルフさんという一生に一度レベルの贅沢すぎる両手に花状態に、断らなきゃ……断らなきゃ……そう思うものの、俺は最早どうすることもできない。ぐるぐると目を回しながら為す術もなく連れられていると、左耳から、ちいさく声が響いてくる。
「──ハジメくん。ここはね、本当に入り組んでいて迷宮のような場所なの。それに下層へ行くにつれ元素の濃度が濃くなって危険が伴うから、いくら来訪者でも過信は禁物なのよ」
「っ。し、シルフさん……」
「だから、しばらくは案内させて。君にも成すべきことがあるのは分かるわ。でも、頼れる部分は頼ってね。仕事と言うからには、大切なことなんでしょうから」
「……。」
俺のするべきことを見透かしているように、こっそり囁くシルフさん。そ、そうか。強引なように見えて、あえてそういう風に誘導してくれてたのか。さすがシルフさん……!
「それにね、サラマンダーだって悪気があるわけじゃないわ。彼なりにこの異変を危惧して、解決策を探っているんだと思う。勿論、愉しいことを見過ごすわけにはいけない、って理由もあると思うけどね」
「……おい、なにコソコソ話してんだ。聞こえてるぞ」
すると、右側から相変わらずなドスの効いた声。うっ。こっそり話してたつもりだったけど、さすがに近距離だから会話は筒抜けだったかな?それとも、賢者にはそういうのも感じ取る特別な力があったりするのかな。サラマンダーさんはギロリとシルフさんを睨みつけるけど、シルフさん自身は優雅な笑みを絶やさない。
「あら失礼♡でもハジメくん、君のせいで狼狽えてるから、私がフォローしてあげたのよ。大事なことでしょ?」
「ったく、尤もらしいこと言いやがって。人のモン勝手に盗るんじゃねぇよ」
「あら~?別にハジメくんはサラマンダーのモノじゃないでしょ?人を勝手にモノ扱いするなんて失礼ねぇ。ハジメくん、あんな乱暴男じゃなくて、私と仲良くしましょうね♡」
「おいハジメ、こいつに騙されんなよ。欲しいもんは強引にでも手に入れてくる、食虫植物だからな。お前は俺に愛されるのが一番幸せだろ?」
「ひ、ひ、ひぃ……!♡」
俺の両隣で突如開催される美男たちの「俺の取り合い」という夢のような展開に、俺はさっき以上に狼狽えるしかない。しかもサラマンダーさん、さっきまでウンディーネさんのこと真剣な顔で話してたのに、俺に「愛してる」って……さすがに恋多き男すぎるよぉ!
「いや、いや、俺は、その、りょうが、好きなのでぇ……!!><」
しゃんちゃんみたいに語尾に「><」をつけた気分で、俺は今度こそ必死に抵抗する。どんなにみんなが魅力的でも、俺が好きなひとは矢來麻りょうただひとりだ。
それをバタバタと主張しながら……俺はふたりに連れられるまま、蔵書舎の下へ下へと、降りていくのだった。
【TIPS】
・シルフのルートは永年エルフとして生きてきた彼の、孤独や昏さといった彼の裏側の側面と対峙することになる。死別を恐れ恋愛を諦めていた彼の心を癒し、交流を深めてゆく部分が大筋となる。
「は、は、はひ……」
体感的には映画一本分、実際には五分程度で蔵書舎に辿り着いた俺は、頭から湯気を出しながら返事をする。普段の豪快で乱暴な所作からは想像もできないくらい、ゆっくりと丁寧に俺を地面に下ろすサラマンダーさんの仕草はめちゃくちゃ紳士で、これだけでも骨抜きになってしまう威力があった。
「よ、よいしょ……」
「おいおい。大丈夫か?」
よろよろと扉へ向かうと、それも先回りして開かれてしまう。なにからなにまでエスコートされて、完全にエンエレのプレイヤー状態だぁぁ……。
しかし、このまま流され続けていてはダメだ。俺だって、ちゃんと覚悟をもってエターニアへ来た。そのためにもこの先はひとりで進まなきゃいけない。送って貰えたのは時短になってありがたかったけど、ここは、毅然と……!
「あぁっ……だ、だ、大丈夫ですっ。あ、あの。ここから先は。本当に、俺ひとりで……!」
「サラマンダー?君がここに来るなんて珍しい……、──あら?そちらはどなた樣?」
「! し、し、し、シルフさん……ッ!!!!」
でも……そんな俺の決意を阻むように──そこに現れたのは、シルフさん。俺が最初に攻略対象にした、エーテルーフくんの次の推しキャラさんの登場に、俺はわかりやすく固まってしまう。
き、毅然と……!え、え、き、毅然ってなんだっけ……!?!?!?
「おお、シルフ。どうしたんだ、お前こそ」
「ちょっと調べ物があってね。でも今日はノアが居ないからどうしたのかと思ってたのよ」
「ノアはこいつを呼ぶために外へ出てたぞ。丁度俺とこいつが喋ってる時に、ノアが来たんだ」
「えっ、ノアが外に……!?とんでもないことじゃない、それ!それに、ええと……この子は?」
「おう、そうだな。ハジメ。挨拶してやれ」
「わっ!」
まじまじとシルフさんに見つめられて、サラマンダーさんから背中を叩かれて。俺は、ふたりに挟まれながらもぞもぞと口を開く。
「あっ。あっ。ええとっ。り、臨時で二人目の『来訪者』として来た、はじめです……っ。よ、よろしくお願いしますっ」
「まぁ、来訪者様……!?初心で可愛らしい子♡ヨロシクね、ハジメくん♡私はシルフ。風の賢者よ。仲良くしてね♡」
「は、はいっ♡わ、わ、わぁっ!♡♡♡」
挨拶代わりのハグでぎゅうっとされて、さっきまで茹でダコだった俺は、更に蒸されダコになって赤面する。サラマンダーさんも凄かったけど、シルフさんのスキンシップもとんでもないぞぉ……っ!?♡
「それにしても、二人目の来訪者?そんなこと初めてじゃない?」
「だよな。異変のせいで喚ばれてきたらしい。ノアもこいつにその類の仕事を頼んでたようだ」
「ちょ、ちょっと……!それは話さなくていいんですってばっ!」
「仕事……?でもね、私の調べ物も異変についてよ。やっぱりここ最近は異常だもの。まるで世界全体が軋みを上げているみたい」
「そうか。お前も感じてるってことは、かなりヤバいんだな……やっぱ、ここらが潮時か」
「潮時?……ああ、君も諦めてるの、自分の気持ちのこと?」
「そりゃあ足掻けるもんなら足掻きたいけどな。流石にこんな状況じゃ、無理を通すのは憚られる」
「それはそうかもしれないけど……君達のこと、私だって他人事じゃないからね。叶うなら、諦めないで欲しいと思うわよ」
「……」
こ……この会話。ウンディーネさんのこと、だよな?やっぱりシルフさんも勘づいてたんだろうか。それとも、直接相談とかしてたのかな?なんだか会話だけでも、二人が親しいというか、距離感が近いのは感じられるし……。
「とにかく、仕事があるなら私も同行するわよ。異変についてなんて、気になるもの」
「え!?」
「おう、シルフが居るなら心強いな。俺はどうも中に詳しくなくてよ」
「そこは任せて。賢者の生き字引なんて古臭い呼び方をされるくらいには、私、ここに詳しいからね」
「そうか。良かったな、ハジメ!これで迷うこともなくなるぞ」
「ふふ、お兄さんに任せてね、ハジメくん♡背、高いのねぇ♡素敵ねぇ♡」
「えっ。いやっ。ちょっと、ちょっとぉ……っ!」
右にサラマンダーさん、左にシルフさんという一生に一度レベルの贅沢すぎる両手に花状態に、断らなきゃ……断らなきゃ……そう思うものの、俺は最早どうすることもできない。ぐるぐると目を回しながら為す術もなく連れられていると、左耳から、ちいさく声が響いてくる。
「──ハジメくん。ここはね、本当に入り組んでいて迷宮のような場所なの。それに下層へ行くにつれ元素の濃度が濃くなって危険が伴うから、いくら来訪者でも過信は禁物なのよ」
「っ。し、シルフさん……」
「だから、しばらくは案内させて。君にも成すべきことがあるのは分かるわ。でも、頼れる部分は頼ってね。仕事と言うからには、大切なことなんでしょうから」
「……。」
俺のするべきことを見透かしているように、こっそり囁くシルフさん。そ、そうか。強引なように見えて、あえてそういう風に誘導してくれてたのか。さすがシルフさん……!
「それにね、サラマンダーだって悪気があるわけじゃないわ。彼なりにこの異変を危惧して、解決策を探っているんだと思う。勿論、愉しいことを見過ごすわけにはいけない、って理由もあると思うけどね」
「……おい、なにコソコソ話してんだ。聞こえてるぞ」
すると、右側から相変わらずなドスの効いた声。うっ。こっそり話してたつもりだったけど、さすがに近距離だから会話は筒抜けだったかな?それとも、賢者にはそういうのも感じ取る特別な力があったりするのかな。サラマンダーさんはギロリとシルフさんを睨みつけるけど、シルフさん自身は優雅な笑みを絶やさない。
「あら失礼♡でもハジメくん、君のせいで狼狽えてるから、私がフォローしてあげたのよ。大事なことでしょ?」
「ったく、尤もらしいこと言いやがって。人のモン勝手に盗るんじゃねぇよ」
「あら~?別にハジメくんはサラマンダーのモノじゃないでしょ?人を勝手にモノ扱いするなんて失礼ねぇ。ハジメくん、あんな乱暴男じゃなくて、私と仲良くしましょうね♡」
「おいハジメ、こいつに騙されんなよ。欲しいもんは強引にでも手に入れてくる、食虫植物だからな。お前は俺に愛されるのが一番幸せだろ?」
「ひ、ひ、ひぃ……!♡」
俺の両隣で突如開催される美男たちの「俺の取り合い」という夢のような展開に、俺はさっき以上に狼狽えるしかない。しかもサラマンダーさん、さっきまでウンディーネさんのこと真剣な顔で話してたのに、俺に「愛してる」って……さすがに恋多き男すぎるよぉ!
「いや、いや、俺は、その、りょうが、好きなのでぇ……!!><」
しゃんちゃんみたいに語尾に「><」をつけた気分で、俺は今度こそ必死に抵抗する。どんなにみんなが魅力的でも、俺が好きなひとは矢來麻りょうただひとりだ。
それをバタバタと主張しながら……俺はふたりに連れられるまま、蔵書舎の下へ下へと、降りていくのだった。
【TIPS】
・シルフのルートは永年エルフとして生きてきた彼の、孤独や昏さといった彼の裏側の側面と対峙することになる。死別を恐れ恋愛を諦めていた彼の心を癒し、交流を深めてゆく部分が大筋となる。
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