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25話《こんな再会聞いてにゃいです。》
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「どぉぉぉいッ!ウンディーネぇぇぇぇ!!!!」
ドドドドド!!!!と先程の勢い衰えることなく俺はウンディーネの元へとひた走る。元素術の使い過ぎで身体はバッキバキであるが、最早形振り構ってはいられない。元からなにも形振り構っていないことなど気にしねぇっ!
ウンディーネの名前を絶叫しながら走り、祈りの噴水を抜ける──その時ッ!!噴水に腰掛けて、俯いているウンディーネの姿が目に入った。おっしゃぁ!ちょうどいいトコにっ!
「オイオイオイっ!お外でお散歩ですかッ!健康的だねッ!どしたッ!オイッ!ウンディーネ……、──ゲエェェッ!?」
ズカズカと近づいて、その肩をぐいっと掴む……しかし。そこで、俺は息を呑んでしまった。何故ならそのご本人が、見開かれた目からぼろぼろと真珠のような涙を流していたからだ。厳しくも優しいツンツン男、されど美形のメガネ男子の流す清らかであり切実さを感じる太陽の下の涙に、俺も思わず言葉を失くす。こいつが泣いてるとこなんて、見たことない。専用のルートだって……こんな姿は、見たことなかった。
「ッ。りょ、リョウ……っ」
「お、お、お、オイ。ど、どしたのっ?す、すげぇ……ッ。な、泣いてるけどっ!?」
「な……何でもありません……っ」
「い、いやいや!?なんでもなくはねぇでしょうよぉ!?そんな泣いといて!?」
「ほ、本当に、何でも、ないのです。それより……もう、私のことは大丈夫です。リョウは……貴方自身が元の世界に戻ることだけを、考えて下さい」
「は……はあぁぁ……ッ!?」
いきなり突きつけられる拒絶発言。あまりに突然すぎてなにがなんだかわからない。
オイオイ……オイオイオイ!マナ先生と和解したかと思ったら今度はコッチか!?さすがにハード過ぎんだろ!?そんなこと面と向かって言われたらさすがの俺だってショックだぞ!?
いや、だが、ここに来てこの発言……どう考えてもサラマンダー様絡みだなッ!?!?
「オイウンディーネっ!サラマンダー様にナニ言われた!?」
「えっ……」
「そういうヤケっぱちな発言するっちゅうことは、あいつになんか言われたんだろォ!?俺にはお見通しですっ!!」
「なっ……!?」
オウオウオウ、ここで逃げても逃さんぞ、俺にはもうキング様しゃんちゃんの協力が得られてんだからなァ……!?とガンを飛ばせば、俺の無言の圧力が通じてしまったのか、小さくウンディーネは深く息をついて首を振る。
「……そう、ですか。ならば……誤魔化しても仕方ありませんね。……そうです。サラから直接、言われました。自分の存在が私を苦しめているのか、と」
「なぁッ!?」
「それを聞いて……私も思ったのです。私達は……想い合っても彼を苦しませるだけなのかもしれない、と」
「な、な、なぁ……!?」
が、が、が、ガーン……!!!
自分の存在が、ウンディーネを苦しめてるぅ……!?
しかも、それでサラマンダー様も苦しんでるぅ……!?
そ、そ、それって俺がサラマンダー様のこと焚き付けたせいかッ!?サラマンダー様から行動したってことは、明らかにそうだよなッ!?おおお……おおおお……俺なりに良かれと思っての行動だったが、こっち方面に転ぶとは……やっちまったァ……!
「ですから……私から彼と離れる決心をしたのです。私も、彼も。共に居ることで、お互いの在り方を歪めてしまうのかもしれないと、以前から感じていましたから。それは私にとって、耐えられないことでしたから……」
「んっ。ん?んん……ッ?」
……いや、でも、それにしちゃ話が飛躍しすぎじゃね?在り方を歪める?
俺はあくまでウンディーネはサラマンダー様が眩しくて、そこに引け目を感じて、自分なりに努力してたんじゃないかって話をしたワケで……サラマンダー様にはそこの認識のギャップがあるんじゃね?って話をしたワケで……それがなんでお互いの存在否定の話になるん……??
「……それだけではありません。最近、目に見えて世界がおかしなことになっています。星や月や空の歪み。海や大地の一部が、不自然に欠けているのも見かけました。それも私の想いが影響しているせいでしょう。元素の歪みによる異変で、自然さえも悲鳴を上げているのです」
「え、ええぇぇ……!?」
ゆ……歪み?欠け?なにそれ、俺ぜんぜんそんなの知らねーぞ!?
もしかしたら、俺には見えないモンもキャラクターの賢者には見えてたりすんのか?えっ?こういうのって逆に俺らみたいな外部のやつらのほうが見えそうだけど、そうじゃねぇの……っ!?
「元から賢者になると決めた時点で、サラと結ばれないことは覚悟していました。今は賢者としての立場や地位に揺るぎない誇りを持っています。ですから……もう、大丈夫です。これからもエーテルーフ様のことに関して、リョウが帰還するための協力は惜しみませんから。私自身のことは、もう……構わないで下さい」
「ちょ、ちょ、えぇ……!?」
頼りなく笑って、それっきり会話を終わらせようとするウンディーネ。そのあからさまなブツ切り加減に、俺は慌ててウンディーネを引き止める。
「いや、いや、いや!ダメダメ!ダメだって!なんか完全に誤解してるって、それェ!ちょ、もっかい!もっかいサラマンダー様と話し合お!?これそのまま終わりにさせたら絶対ダメなヤツだって!」
「っ、ちょ……!止めて下さい!私はもう決意したのです!もう私のことは放っておいてください!」
「う……うおッ!」
噴水の前でギャースカしながら攻防を続ける俺とウンディーネ。しかし既に術の酷使で俺の体力はカラータイマーピコンピコン状態。貧弱ウンディーネ相手でも力が敵わず、その姿はスタコラサッサと遠ざかる。
「オイオイオイッ、冗談じゃねー……っ!!」
あれよあれよとすぐ見えなくなっていく背中を、俺はヘロヘロになりながら必死で追いかける。どんだけ今日はトラブル続きなんだ、脚がロクに動かねぇ。クッソ、これじゃマジで見失っちまう。いやマジ、なんでこんなことになったんだ。なにをどう言ったらこんなに拗れんだよ、サラディネぇ……ッ!!!!
「あ、あれ……っ!?」
最早朦朧とした意識の中でサラディネの円満フラグを探し続け、ゼェゼェと走り続ける健気な俺。しかし祭壇の前まで辿り着いた俺は、そこでウンディーネが立ち止まっているのを見た。
な、なんでこんな場所で都合よく──ハッ!?ま、まさかサラマンダー様ッ!?この最高のタイミングで、また戻ってきてくれたんか!?そんならばまだワンチャンあるっ!?俺と一緒にこのまま畳み掛けてどうにかすれば、まだギリ望みつながる!?
ヒィヒィしながらもなんとかウンディーネの元まで追いつく俺は、膝に手を当てて必死で息を整える。
「おげっ、はぁっ、ハァッ、ちょ、ちょっ、ウンディーネ……っ!サラマンダー様が来てくれたんなら、一旦考え直してって……!マジ、ちょっと、いっかい、落ち着いてって……っ!」
「……?サラマンダー?一体ナニを言っている?」
「へ……っ?」
そこで聞こえたのは見知らぬ声。いや、どこかで待ち望んでいたような……冷たくも豊かな、面白ぇ男の声。全身が波打つ感覚は、俺の中の『祝福』が反応してる証拠。それでも絶え間ないざわめきは、今までに一度も感じたことのない感覚だった。
その違和感に俺は顔を上げる。するとそこには、まっちろけっけな男がふしぎそうな顔をして俺を見つめていた。白の髪。白で統一された服。胸元に無垢の水晶を宿した、この世界の均衡者。
それはここには居なかったはずの、それゆえに俺がこんな自体に陥ったはずの、そのはずの、その相手。
ついに。やっと。このおめめで拝見することのできたその姿に、俺はべらぼうなまでに口をパクパクして、なんでだよぉ!?と絶叫する。
だって。
なにしろ。
なんたって。
そこにいたのは。
「──はああぁっ!?え゙、え゙ッ、エ゙ー゙デル゙ー゙ブぅ゙ぅ゙……っ゙!?!?」
【EX‥TIPS】
・あくまで『来訪者』は異世界の人間という扱いのため、「エターニア」の異変を感知できるのは四賢者とエーテルーフのみ。これも通常のゲーム内で直接把握できるわけではないので、りょうだけが実感した差異となる。
ドドドドド!!!!と先程の勢い衰えることなく俺はウンディーネの元へとひた走る。元素術の使い過ぎで身体はバッキバキであるが、最早形振り構ってはいられない。元からなにも形振り構っていないことなど気にしねぇっ!
ウンディーネの名前を絶叫しながら走り、祈りの噴水を抜ける──その時ッ!!噴水に腰掛けて、俯いているウンディーネの姿が目に入った。おっしゃぁ!ちょうどいいトコにっ!
「オイオイオイっ!お外でお散歩ですかッ!健康的だねッ!どしたッ!オイッ!ウンディーネ……、──ゲエェェッ!?」
ズカズカと近づいて、その肩をぐいっと掴む……しかし。そこで、俺は息を呑んでしまった。何故ならそのご本人が、見開かれた目からぼろぼろと真珠のような涙を流していたからだ。厳しくも優しいツンツン男、されど美形のメガネ男子の流す清らかであり切実さを感じる太陽の下の涙に、俺も思わず言葉を失くす。こいつが泣いてるとこなんて、見たことない。専用のルートだって……こんな姿は、見たことなかった。
「ッ。りょ、リョウ……っ」
「お、お、お、オイ。ど、どしたのっ?す、すげぇ……ッ。な、泣いてるけどっ!?」
「な……何でもありません……っ」
「い、いやいや!?なんでもなくはねぇでしょうよぉ!?そんな泣いといて!?」
「ほ、本当に、何でも、ないのです。それより……もう、私のことは大丈夫です。リョウは……貴方自身が元の世界に戻ることだけを、考えて下さい」
「は……はあぁぁ……ッ!?」
いきなり突きつけられる拒絶発言。あまりに突然すぎてなにがなんだかわからない。
オイオイ……オイオイオイ!マナ先生と和解したかと思ったら今度はコッチか!?さすがにハード過ぎんだろ!?そんなこと面と向かって言われたらさすがの俺だってショックだぞ!?
いや、だが、ここに来てこの発言……どう考えてもサラマンダー様絡みだなッ!?!?
「オイウンディーネっ!サラマンダー様にナニ言われた!?」
「えっ……」
「そういうヤケっぱちな発言するっちゅうことは、あいつになんか言われたんだろォ!?俺にはお見通しですっ!!」
「なっ……!?」
オウオウオウ、ここで逃げても逃さんぞ、俺にはもうキング様しゃんちゃんの協力が得られてんだからなァ……!?とガンを飛ばせば、俺の無言の圧力が通じてしまったのか、小さくウンディーネは深く息をついて首を振る。
「……そう、ですか。ならば……誤魔化しても仕方ありませんね。……そうです。サラから直接、言われました。自分の存在が私を苦しめているのか、と」
「なぁッ!?」
「それを聞いて……私も思ったのです。私達は……想い合っても彼を苦しませるだけなのかもしれない、と」
「な、な、なぁ……!?」
が、が、が、ガーン……!!!
自分の存在が、ウンディーネを苦しめてるぅ……!?
しかも、それでサラマンダー様も苦しんでるぅ……!?
そ、そ、それって俺がサラマンダー様のこと焚き付けたせいかッ!?サラマンダー様から行動したってことは、明らかにそうだよなッ!?おおお……おおおお……俺なりに良かれと思っての行動だったが、こっち方面に転ぶとは……やっちまったァ……!
「ですから……私から彼と離れる決心をしたのです。私も、彼も。共に居ることで、お互いの在り方を歪めてしまうのかもしれないと、以前から感じていましたから。それは私にとって、耐えられないことでしたから……」
「んっ。ん?んん……ッ?」
……いや、でも、それにしちゃ話が飛躍しすぎじゃね?在り方を歪める?
俺はあくまでウンディーネはサラマンダー様が眩しくて、そこに引け目を感じて、自分なりに努力してたんじゃないかって話をしたワケで……サラマンダー様にはそこの認識のギャップがあるんじゃね?って話をしたワケで……それがなんでお互いの存在否定の話になるん……??
「……それだけではありません。最近、目に見えて世界がおかしなことになっています。星や月や空の歪み。海や大地の一部が、不自然に欠けているのも見かけました。それも私の想いが影響しているせいでしょう。元素の歪みによる異変で、自然さえも悲鳴を上げているのです」
「え、ええぇぇ……!?」
ゆ……歪み?欠け?なにそれ、俺ぜんぜんそんなの知らねーぞ!?
もしかしたら、俺には見えないモンもキャラクターの賢者には見えてたりすんのか?えっ?こういうのって逆に俺らみたいな外部のやつらのほうが見えそうだけど、そうじゃねぇの……っ!?
「元から賢者になると決めた時点で、サラと結ばれないことは覚悟していました。今は賢者としての立場や地位に揺るぎない誇りを持っています。ですから……もう、大丈夫です。これからもエーテルーフ様のことに関して、リョウが帰還するための協力は惜しみませんから。私自身のことは、もう……構わないで下さい」
「ちょ、ちょ、えぇ……!?」
頼りなく笑って、それっきり会話を終わらせようとするウンディーネ。そのあからさまなブツ切り加減に、俺は慌ててウンディーネを引き止める。
「いや、いや、いや!ダメダメ!ダメだって!なんか完全に誤解してるって、それェ!ちょ、もっかい!もっかいサラマンダー様と話し合お!?これそのまま終わりにさせたら絶対ダメなヤツだって!」
「っ、ちょ……!止めて下さい!私はもう決意したのです!もう私のことは放っておいてください!」
「う……うおッ!」
噴水の前でギャースカしながら攻防を続ける俺とウンディーネ。しかし既に術の酷使で俺の体力はカラータイマーピコンピコン状態。貧弱ウンディーネ相手でも力が敵わず、その姿はスタコラサッサと遠ざかる。
「オイオイオイッ、冗談じゃねー……っ!!」
あれよあれよとすぐ見えなくなっていく背中を、俺はヘロヘロになりながら必死で追いかける。どんだけ今日はトラブル続きなんだ、脚がロクに動かねぇ。クッソ、これじゃマジで見失っちまう。いやマジ、なんでこんなことになったんだ。なにをどう言ったらこんなに拗れんだよ、サラディネぇ……ッ!!!!
「あ、あれ……っ!?」
最早朦朧とした意識の中でサラディネの円満フラグを探し続け、ゼェゼェと走り続ける健気な俺。しかし祭壇の前まで辿り着いた俺は、そこでウンディーネが立ち止まっているのを見た。
な、なんでこんな場所で都合よく──ハッ!?ま、まさかサラマンダー様ッ!?この最高のタイミングで、また戻ってきてくれたんか!?そんならばまだワンチャンあるっ!?俺と一緒にこのまま畳み掛けてどうにかすれば、まだギリ望みつながる!?
ヒィヒィしながらもなんとかウンディーネの元まで追いつく俺は、膝に手を当てて必死で息を整える。
「おげっ、はぁっ、ハァッ、ちょ、ちょっ、ウンディーネ……っ!サラマンダー様が来てくれたんなら、一旦考え直してって……!マジ、ちょっと、いっかい、落ち着いてって……っ!」
「……?サラマンダー?一体ナニを言っている?」
「へ……っ?」
そこで聞こえたのは見知らぬ声。いや、どこかで待ち望んでいたような……冷たくも豊かな、面白ぇ男の声。全身が波打つ感覚は、俺の中の『祝福』が反応してる証拠。それでも絶え間ないざわめきは、今までに一度も感じたことのない感覚だった。
その違和感に俺は顔を上げる。するとそこには、まっちろけっけな男がふしぎそうな顔をして俺を見つめていた。白の髪。白で統一された服。胸元に無垢の水晶を宿した、この世界の均衡者。
それはここには居なかったはずの、それゆえに俺がこんな自体に陥ったはずの、そのはずの、その相手。
ついに。やっと。このおめめで拝見することのできたその姿に、俺はべらぼうなまでに口をパクパクして、なんでだよぉ!?と絶叫する。
だって。
なにしろ。
なんたって。
そこにいたのは。
「──はああぁっ!?え゙、え゙ッ、エ゙ー゙デル゙ー゙ブぅ゙ぅ゙……っ゙!?!?」
【EX‥TIPS】
・あくまで『来訪者』は異世界の人間という扱いのため、「エターニア」の異変を感知できるのは四賢者とエーテルーフのみ。これも通常のゲーム内で直接把握できるわけではないので、りょうだけが実感した差異となる。
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