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23話《最後までよろしくお願いします。》
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「ハァッ。ハァッ。ハァッ……」
俺は脂汗をダラダラと垂れ流しながら、走り回った犬なんじゃねぇかって舌を出したまま、荒くて激しい息を繰り返す。
こんなにしっかり力を使うなんて初めてで、ガチマジンコのしんどみヤバみ。うっかりしたら吐き気通り越してゲロ吐きそうだ。こ、こんなことならちゃんとあいつらと力の練習しときゃよかった……!みんな……!元素術はマジメに学ぼう……!りょうお兄さんとの約束だ……ッ!!
「──ああ、クソっ!!じゃあどうすりゃいいんだ!どうすりゃ、オマエは満足なんだ!?」
「へ……っ?」
……だが俺がこの一度きり、限界を越え、もうこれで終わってもいい……ッ!と尚力を行使しようとしたその瞬間──。バシンッ!と光が弾けて、俺の使っていた術が一気に部屋から霧散した。ヒヒーン!その向こうには相変わらずガンギレしたマナ先生がそこに居る。
しかし……吐き捨てるようなその言葉には、紛うことなきマナ先生の迷いが表れていた。頭を掻き毟って、もどかしそうに、俺を睨みつける視線。
「このままオマエに好き勝手ブッ壊されて強制的に終わりにされたんじゃ、キングにこっちを託された俺の立つ瀬がねぇ……ッ。それなら、テメェの言い分を聞いてやろうって言ってんだ!」
「……。…………。………………。」
それは、言うならば……マナ先生にとってもプライドのようなモンだったんだろう。
俺と同じように、マナ先生にも譲れないモンがある。しゃんちゃんから望まれた、この世界での役割や仕事っていう、絶対に譲れないモンが。
しかし、それでも……いや、だからこそ。マナ先生は俺の魂の叫びを聞いてくれた。同じ立場。同じ位置。それを、理解しているからこそ。俺の必死な咆哮が、マナ先生へと響き、届いたのだ。
つまり……これは……殴って友情を深め合う系の激アツ親友確変フラグ!!!!
うおおおぉぉ!ここはエターニアじゃねぇ!!!!夕暮れ!!土手の!!!河川敷だァァァァァ!!!!!!
俺はドドドドド!とマナ先生にダッシュで近づいて、タックルよろしくその細いお腰に両手を回してしがみつく。
「うおおおおおぉぉッ!!!!アチィィィィィィィ!!!!!!!!アチィよォ、マナ先生ェェェーーーーーーーー!!!!!!!」
「叫ぶなうるせェ引っ付くなッ!ちょっと甘やかしゃすぐ尻尾振りやがってこッの野郎……ッ。オラ、オマエはどうしたいんだよ!そのために俺らは、どうすりゃいい!」
「おげぇッ!」
全力で顔を手で引き剥がされながら、同じ質問を繰り返される。どうしたいか。どうすりゃいい。それは、マナ先生が……そしてしゃんちゃんが俺へ協力してくれるって意味なんだろう。このままだと首がもげて地縛霊になりそうだったので、俺はおとなしく引き下がってマナ先生へのアンサーソングを全身全霊で伝える。
「とっ、とりあえず……世界を保ってちょ!その、崩壊っての……強制リセットっての!?食い止めといてっ!?」
そう……それはシンプル・イズ・ザ・ベストなアンサー。
強制リセット──阻止!!!
正直マナ先生がどこまでできるのかなんてわからんし、俺自身もなにをどうしたらいいのかわかんねぇ部分が多すぎて、自分でもどうかしてるぜ!ってレベルのざっくり適当な願望しか示せねぇ。
だがそれはそれとして、この内容は俺の本心でしかないの事実だ。
今の俺の望みは実際それだけ。この世界を保ってほしい。この世界が壊れないでほしい。とにかくそれだけでも守られりゃ、ここにいるやつらは消えることがない。
ああ、そうだ。
俺が望むのは、そんだけ。
ゆえになにも悪びれることなく堂々と宣言すると、やはりマナ先生は盛大にキレ散らかした。
「なんで無理難題をそうジュース買ってきてみたいなノリで言うんだよオマエはよッ!」
「おっほぉッ!ソレソレ!そのキレのいいツッコミこそマナ先生ッ!おほっ♡ちゅきっ♡」
「キモイんだよボケッ!!!!!」
なんの躊躇もない罵詈雑言も、俺にとっては協力者のカワイイカワイイ文句に過ぎない。キモいのは通常運転……。むしろその程度でこの望みが叶うなら安いもんだ。
「でも俺がしてほしいことなんて、マジでそれだけだから。この世界が消えないでほしい。知っちまった想いは守りたい。それだけなんだって!」
「……フン。まぁ、実際こっちもそれぐらいしか手立てがねェからな。判った、俺が伝えておく。出来る範囲で……キングが対応して下さるだろ」
「おおっ、サンクス!んん~……ッ。まにゃ先生のしゃんちゃんへの忠誠。なんか。スッゴク。イイネ……ッ♡♡♡」
「ねっとり声でしみじみすんな。テメェにはテメェのやることがあるんだろ。こんなトコで油売ってていいのかよ」
「よくねぇ!いや、ホント、そっちはお願いしますっ!俺、ギリチョンまで全力がんばるから!だから……そっちは、ヨロシクお願い、しますっ!」
「おう。精々足掻けよ、人間」
「おうよっ!にんげん!がんばりまーすっ!」
マナ先生に送り出されて、俺はダッと医療舎から飛び出す。人間!っつってキャラの味方するって先生に啖呵切っちまったわけだし、にんげんとしてやるしかねぇ。よぉし!とりあえず尻出すかっ!一等賞っ!
……それこそまだマナ先生が居たら激しいツッコミをしてくれそうなことを考えながら、俺はウンディーネのところへ急ぐ。今話すならやっぱりあいつかなって思ったからだ。
俺の想いを知らせてくれた、あいつの想いを叶えたい。
こっちだって今も変わらず、俺ん中じゃシンプル・イズ・ザ・ベストな願望だ。
だから俺は世界とあいつらを賭けた天秤の中。
どっちも総取りになるようにと、サラマンダー樣お墨付きの面の皮の厚さで。神殿まで全力ダッシュで、走り出した。
・
・
・
「はぁ、クッソ。なにが世界を保ってちょ、だっつうの……ふざけやがって……」
大きく溜息をついて、深く椅子へ持たれ掛かるマナ。好き勝手に振る舞い、好き勝手に宣ったりょうのせいで無駄な気力や体力を使い、既に疲労困憊だ。
「──ハハッ。馬鹿じゃねぇのか、本当、アイツは」
だが呆れていた顔は次第に緩み、その肩は可笑しそうに揺れてゆく。抑えられなかったのだ。あんなにも傍若無人に、身勝手に、人間としての我儘をキャラクターのために行使するりょうが。可笑しくて。面白くて。そして、清々しくて……たまらなかった。
「キング。大変なことになっちまいましたね?」
天を見上げ、虚空に向かって呟くマナ。
しかしその表情に、既に迷いはなく。
ひとつの枷を取り払ったように、晴れやかに微笑んでいた。
【EX‥TIPS】
・今回マナは開発しゃんから依頼される形でりょうへ説明を行ったが(開発しゃんがはじめへ既に説明を行っていたことを鑑み、情報の足並みを揃えるためである)、大分とばっちりなことになった。
・マナの能力は元素術を完全に相殺する屈指の能力。だが組まれているプログラムを打ち消すメタ的なものであり、元素を媒介にした術ではない。
俺は脂汗をダラダラと垂れ流しながら、走り回った犬なんじゃねぇかって舌を出したまま、荒くて激しい息を繰り返す。
こんなにしっかり力を使うなんて初めてで、ガチマジンコのしんどみヤバみ。うっかりしたら吐き気通り越してゲロ吐きそうだ。こ、こんなことならちゃんとあいつらと力の練習しときゃよかった……!みんな……!元素術はマジメに学ぼう……!りょうお兄さんとの約束だ……ッ!!
「──ああ、クソっ!!じゃあどうすりゃいいんだ!どうすりゃ、オマエは満足なんだ!?」
「へ……っ?」
……だが俺がこの一度きり、限界を越え、もうこれで終わってもいい……ッ!と尚力を行使しようとしたその瞬間──。バシンッ!と光が弾けて、俺の使っていた術が一気に部屋から霧散した。ヒヒーン!その向こうには相変わらずガンギレしたマナ先生がそこに居る。
しかし……吐き捨てるようなその言葉には、紛うことなきマナ先生の迷いが表れていた。頭を掻き毟って、もどかしそうに、俺を睨みつける視線。
「このままオマエに好き勝手ブッ壊されて強制的に終わりにされたんじゃ、キングにこっちを託された俺の立つ瀬がねぇ……ッ。それなら、テメェの言い分を聞いてやろうって言ってんだ!」
「……。…………。………………。」
それは、言うならば……マナ先生にとってもプライドのようなモンだったんだろう。
俺と同じように、マナ先生にも譲れないモンがある。しゃんちゃんから望まれた、この世界での役割や仕事っていう、絶対に譲れないモンが。
しかし、それでも……いや、だからこそ。マナ先生は俺の魂の叫びを聞いてくれた。同じ立場。同じ位置。それを、理解しているからこそ。俺の必死な咆哮が、マナ先生へと響き、届いたのだ。
つまり……これは……殴って友情を深め合う系の激アツ親友確変フラグ!!!!
うおおおぉぉ!ここはエターニアじゃねぇ!!!!夕暮れ!!土手の!!!河川敷だァァァァァ!!!!!!
俺はドドドドド!とマナ先生にダッシュで近づいて、タックルよろしくその細いお腰に両手を回してしがみつく。
「うおおおおおぉぉッ!!!!アチィィィィィィィ!!!!!!!!アチィよォ、マナ先生ェェェーーーーーーーー!!!!!!!」
「叫ぶなうるせェ引っ付くなッ!ちょっと甘やかしゃすぐ尻尾振りやがってこッの野郎……ッ。オラ、オマエはどうしたいんだよ!そのために俺らは、どうすりゃいい!」
「おげぇッ!」
全力で顔を手で引き剥がされながら、同じ質問を繰り返される。どうしたいか。どうすりゃいい。それは、マナ先生が……そしてしゃんちゃんが俺へ協力してくれるって意味なんだろう。このままだと首がもげて地縛霊になりそうだったので、俺はおとなしく引き下がってマナ先生へのアンサーソングを全身全霊で伝える。
「とっ、とりあえず……世界を保ってちょ!その、崩壊っての……強制リセットっての!?食い止めといてっ!?」
そう……それはシンプル・イズ・ザ・ベストなアンサー。
強制リセット──阻止!!!
正直マナ先生がどこまでできるのかなんてわからんし、俺自身もなにをどうしたらいいのかわかんねぇ部分が多すぎて、自分でもどうかしてるぜ!ってレベルのざっくり適当な願望しか示せねぇ。
だがそれはそれとして、この内容は俺の本心でしかないの事実だ。
今の俺の望みは実際それだけ。この世界を保ってほしい。この世界が壊れないでほしい。とにかくそれだけでも守られりゃ、ここにいるやつらは消えることがない。
ああ、そうだ。
俺が望むのは、そんだけ。
ゆえになにも悪びれることなく堂々と宣言すると、やはりマナ先生は盛大にキレ散らかした。
「なんで無理難題をそうジュース買ってきてみたいなノリで言うんだよオマエはよッ!」
「おっほぉッ!ソレソレ!そのキレのいいツッコミこそマナ先生ッ!おほっ♡ちゅきっ♡」
「キモイんだよボケッ!!!!!」
なんの躊躇もない罵詈雑言も、俺にとっては協力者のカワイイカワイイ文句に過ぎない。キモいのは通常運転……。むしろその程度でこの望みが叶うなら安いもんだ。
「でも俺がしてほしいことなんて、マジでそれだけだから。この世界が消えないでほしい。知っちまった想いは守りたい。それだけなんだって!」
「……フン。まぁ、実際こっちもそれぐらいしか手立てがねェからな。判った、俺が伝えておく。出来る範囲で……キングが対応して下さるだろ」
「おおっ、サンクス!んん~……ッ。まにゃ先生のしゃんちゃんへの忠誠。なんか。スッゴク。イイネ……ッ♡♡♡」
「ねっとり声でしみじみすんな。テメェにはテメェのやることがあるんだろ。こんなトコで油売ってていいのかよ」
「よくねぇ!いや、ホント、そっちはお願いしますっ!俺、ギリチョンまで全力がんばるから!だから……そっちは、ヨロシクお願い、しますっ!」
「おう。精々足掻けよ、人間」
「おうよっ!にんげん!がんばりまーすっ!」
マナ先生に送り出されて、俺はダッと医療舎から飛び出す。人間!っつってキャラの味方するって先生に啖呵切っちまったわけだし、にんげんとしてやるしかねぇ。よぉし!とりあえず尻出すかっ!一等賞っ!
……それこそまだマナ先生が居たら激しいツッコミをしてくれそうなことを考えながら、俺はウンディーネのところへ急ぐ。今話すならやっぱりあいつかなって思ったからだ。
俺の想いを知らせてくれた、あいつの想いを叶えたい。
こっちだって今も変わらず、俺ん中じゃシンプル・イズ・ザ・ベストな願望だ。
だから俺は世界とあいつらを賭けた天秤の中。
どっちも総取りになるようにと、サラマンダー樣お墨付きの面の皮の厚さで。神殿まで全力ダッシュで、走り出した。
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「はぁ、クッソ。なにが世界を保ってちょ、だっつうの……ふざけやがって……」
大きく溜息をついて、深く椅子へ持たれ掛かるマナ。好き勝手に振る舞い、好き勝手に宣ったりょうのせいで無駄な気力や体力を使い、既に疲労困憊だ。
「──ハハッ。馬鹿じゃねぇのか、本当、アイツは」
だが呆れていた顔は次第に緩み、その肩は可笑しそうに揺れてゆく。抑えられなかったのだ。あんなにも傍若無人に、身勝手に、人間としての我儘をキャラクターのために行使するりょうが。可笑しくて。面白くて。そして、清々しくて……たまらなかった。
「キング。大変なことになっちまいましたね?」
天を見上げ、虚空に向かって呟くマナ。
しかしその表情に、既に迷いはなく。
ひとつの枷を取り払ったように、晴れやかに微笑んでいた。
【EX‥TIPS】
・今回マナは開発しゃんから依頼される形でりょうへ説明を行ったが(開発しゃんがはじめへ既に説明を行っていたことを鑑み、情報の足並みを揃えるためである)、大分とばっちりなことになった。
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