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20話《君と出逢えて良かったです。》
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「とととと、トリップって!?!?」
「そんなこと──出来るのかッ!?」
『うん!どっちにしてもテルっちがエターニアに居ないとシステムとしての『リセット』は行えないし……>< はじめちゃんのデータが見つかったらそれを向こうにトレースして、最初からあーしちゃんがうまいことやってみるつもりだったの』
「むっ、流石はしゃんちゃんだな!そんなことまで可能だとは」
『でも今すぐにってわけじゃなくて、もうちょっと調節が必要だからまだ待っててねっ。今はマナくんに確認をとって貰ってるところだから──えっ!?><』
「ん?」
『な、なんだかトラブってるみたい>< ちょっとまってね><』
そう言って、しゃんちゃんは開発室の椅子の上からパッと消えてしまう。画面を見つめて、残される俺達ふたり。そんな俺のカットソーの裾を、エーテルーフくんがくいくいと引っ張ってくる。
「……はじめ。」
「あっ。えっ。どうしたの?エーテルーフくん」
「……。先に、別れの挨拶をしておこうと思う」
「……えっ!?お……お別れっ!?」
「うむ……いずれエターニアに戻っても、あちらではそれどころではないはずだ。それなら時間がある今の内に……きちんと、話しておきたいと思ってな」
「あっ」
そっと、エーテルーフくんは俺の手をとる。確かめるように指の腹で肌を撫でて。弱い力で……握ってくる。
「はじめ。ボクは……ハジメが好きだった」
「えっ。」
「フフ……それはキミだが、キミじゃない。ボクがエント‥エレメントの中で出逢った、『来訪者』のハジメだ」
「あ、ああ……そうだよね。さっき……言ってた、もんね」
『ハジメ』。
エターニアの中で、来訪者として過ごしてきた俺だけど俺じゃない俺。エーテルーフくんが出逢って、恋をすると決めた相手。こうやって改めてそう言われると、くすぐったいようなさみしいような。なんだか不思議な気持ちになる。
「だが、最初はその区別がつかなかった。ここへ訪れた時に出会ったキミは、確かにハジメだったから。だから……何故ボクの想いに応えてくれないのかと、不満だった」
「あはは……そうだね。まさかエーテルーフくんが、こんな場所まで俺に会いに来てくれるなんて思ってなかったから」
「そうだな。バグがあったとは言え、現実を飛び越えてくるなんて。ボクはボクが思っている以上に、情熱があって、感情があるんだと、気づいた」
「そりゃそうだよ。だって俺に会ってからすぐのエーテルーフくん、すごかったじゃない。りょうのことなんか放っておいて、ちゅーしようとかいちゃいちゃしようとかデートしようとか、わがまま言い放題でさ。俺、何度ひっくり返ってたか……」
「うむ。八回だ」
「数えてる~っ」
こんな時でもマイペースなエーテルーフくんに笑いながら仰け反る。また転がりそうになって、でも今はふざける場面じゃないからやめておいた。俺、りょうと違って空気読んじゃうほうだしさ。
俺の反応に、エーテルーフくんも笑う。綺麗で透明な笑顔。『無垢の結晶』。彼そのままみたいだな、と思う。
「だが……ゲームの中のボク自身は、大切なことに気づいていなかったようだ」
「大切な……こと?」
「ああ。トリップした時点のボクは、今のキミと同じようにまだトゥルーエンドを迎えていないボクだった。現実にも存在するハジメに逢いたいと思ってしまっても、仕方がなかったのかもしれないな」
「……?」
微笑むエーテルーフくんの真意は読めない。俺は彼の言う通り、トリップした時点のエーテルーフくんと同じでまだ彼とのトゥルーエンドを迎えていないからだ。
それを理解している笑顔で、エーテルーフくんは俺を見つめる。
「君も、トゥルーエンドをクリアしたらその意味が判るだろう。トリップをしてここに居るはじめに会っても、仕方のない理由。ゲームの中のハジメと……ボクが、向き合わなければならなかった理由。それを、こんな場所まで来てボクはようやく気づいたんだ」
それは達観していて遥か遠くに居るような笑顔。
ある意味、エーテルーフくんにもっとも似合う笑顔。
でも俺はもういろいろなエーテルーフくんの表情を見てきたから、「それだけ」が彼じゃないってわかる。
「じゃあ……トリップ、してこないほうが良かった?」
「……いいや。ここに来なければ、それさえもボクは知らないままだったろう。こんな短い時間でも。ただキミと話しただけでも。ボクは、この世界がいかにボクの住まう世界と異なるかを知れたんだから」
「エーテルーフくん……」
「……だからこそ。そうまでしてここまで来たこのボクを、ボクは褒めてやりたいと思う。そこまで見境のない情熱だけで、こんな無茶をやってのけたんだから。いや……勿論こんな大事になったことも、巻き込んでしまったりょうにも、はじめにも……きちんと謝罪はしなければならないが」
「ううん。それはもう、大丈夫だよ。なんだかんだ、りょうだって絶対エターニアを楽しんでると思うしさ」
「そうか。そうまで言わせるりょうに会えなかったことだけが残念だ。キミがそこまで好きになった相手を、一目見ておきたかった」
「あ、あはは。うるさくって、失礼なやつだよ。なんか鳴き声みたいなのばっかり上げてるし……変なことばっかり言うしさ」
「む。そうか。それはそれで……気が合うかも知れないな」
「あ~……どうだろう……確かに……なんか……ノリは……合っちゃうかも……」
とにかくわざとふざけるりょうと、とにかく無自覚にふざけるエーテルーフくん。ふざける波長が合えば、誰にも止められることなくふたりで延々ふざけ合っていそうだ。うっ。なんとなく、その姿が想像できる……!
「はじめ。キミも、りょうへきちんと想いを伝えるのだぞ」
「あ……っ。う、うん。りょうが帰ってきたら、ちゃんと、伝えるよ!」
「うまく、行くといいな」
「もしうまくいかなくても、りょうならちゃんとフッてくれると思うな。そういうところは、ハッキリしてるやつだから」
「成程。いい性格だ」
いい性格。その通りだ。いい意味にも悪い意味にもとれるけど、どっちの意味でもその通りだと思う。りょうは肝が据わってる狂人で、どこまでイキっても人に冷たくはなれないロマンチストだ。確かにエーテルーフくんと似ているかも……って。そんなこと言ったら、怒られるかな?
「……はじめ。」
「んっ。なに?」
「色々なことが落ち着いて……りょうがここへ戻ってこれたら。エント‥エレメントを再開して、ゲームの中のボクと一緒にトゥルーエンドを迎えてやってくれ。ゲームの中のボクも、きっとそれを望んでいると思うから」
「あ……。」
真剣な表情。
俺は、願いを託されているんだと、そう思う。
もう別れてしまうからこそ。エーテルーフくんは俺に、俺のデータの中のエーテルーフくんを託そうとしているんだと、そう気づく。
それを断る理由なんかない。俺は、硬く頷く。
「もちろんだよっ!必ず、向こうの君をトゥルーエンドまで連れて行く。これまでみんなのルートを攻略して、それぞれの生き方を知ったんだから。ここまで来て最後まで見届けないなんて、失礼だもん!」
「……ありがとう。そう言ってくれるだけで、ボクは戻ることになんの躊躇もなくなるよ」
それこそなんの躊躇いもなく、エーテルーフくんは澄んだ瞳で俺を見つめる。無垢で。きれいな。俺が彼を好きだと思った。ミステリアスなのに暖かい光を、宿した瞳で。
「──その時、ボクはまたハジメに恋をしよう。キミとの甘い時間を。経験を、体験を。ふたたびキミから、贈られよう」
「──うん。必ず。……約束、するよ」
「ああ、はじめ。……。──ありがとう。」
「……、」
それは現実でも当たり前に存在する、ありふれた感謝のことば。もっとも普遍的で大衆的な、感謝のかたち。だけどその言葉は、不思議と俺の胸に深く鳴り響く。なによりも特別な祝福を受けた言葉のように、俺の中を照らしてゆく。
感謝をそんな風に感じたことなんて一度もなくて。
だけど。それを俺は。忘れることがないように思えた。
それは。
その、言葉は。
エーテルーフくんが、俺へ、届けてくれた……。
──贈り物のようにも、思えたから。
【EX‥TIPS】
・エーテルーフはトリップが行われた時点で「リセバエーテルーフ」にすべての存在が統合されており、現実へトリップしてきた彼は記憶や存在データを鑑みトゥルーエンドクリア後の彼という見解になっている。
──データ参照「開発しゃん」
「そんなこと──出来るのかッ!?」
『うん!どっちにしてもテルっちがエターニアに居ないとシステムとしての『リセット』は行えないし……>< はじめちゃんのデータが見つかったらそれを向こうにトレースして、最初からあーしちゃんがうまいことやってみるつもりだったの』
「むっ、流石はしゃんちゃんだな!そんなことまで可能だとは」
『でも今すぐにってわけじゃなくて、もうちょっと調節が必要だからまだ待っててねっ。今はマナくんに確認をとって貰ってるところだから──えっ!?><』
「ん?」
『な、なんだかトラブってるみたい>< ちょっとまってね><』
そう言って、しゃんちゃんは開発室の椅子の上からパッと消えてしまう。画面を見つめて、残される俺達ふたり。そんな俺のカットソーの裾を、エーテルーフくんがくいくいと引っ張ってくる。
「……はじめ。」
「あっ。えっ。どうしたの?エーテルーフくん」
「……。先に、別れの挨拶をしておこうと思う」
「……えっ!?お……お別れっ!?」
「うむ……いずれエターニアに戻っても、あちらではそれどころではないはずだ。それなら時間がある今の内に……きちんと、話しておきたいと思ってな」
「あっ」
そっと、エーテルーフくんは俺の手をとる。確かめるように指の腹で肌を撫でて。弱い力で……握ってくる。
「はじめ。ボクは……ハジメが好きだった」
「えっ。」
「フフ……それはキミだが、キミじゃない。ボクがエント‥エレメントの中で出逢った、『来訪者』のハジメだ」
「あ、ああ……そうだよね。さっき……言ってた、もんね」
『ハジメ』。
エターニアの中で、来訪者として過ごしてきた俺だけど俺じゃない俺。エーテルーフくんが出逢って、恋をすると決めた相手。こうやって改めてそう言われると、くすぐったいようなさみしいような。なんだか不思議な気持ちになる。
「だが、最初はその区別がつかなかった。ここへ訪れた時に出会ったキミは、確かにハジメだったから。だから……何故ボクの想いに応えてくれないのかと、不満だった」
「あはは……そうだね。まさかエーテルーフくんが、こんな場所まで俺に会いに来てくれるなんて思ってなかったから」
「そうだな。バグがあったとは言え、現実を飛び越えてくるなんて。ボクはボクが思っている以上に、情熱があって、感情があるんだと、気づいた」
「そりゃそうだよ。だって俺に会ってからすぐのエーテルーフくん、すごかったじゃない。りょうのことなんか放っておいて、ちゅーしようとかいちゃいちゃしようとかデートしようとか、わがまま言い放題でさ。俺、何度ひっくり返ってたか……」
「うむ。八回だ」
「数えてる~っ」
こんな時でもマイペースなエーテルーフくんに笑いながら仰け反る。また転がりそうになって、でも今はふざける場面じゃないからやめておいた。俺、りょうと違って空気読んじゃうほうだしさ。
俺の反応に、エーテルーフくんも笑う。綺麗で透明な笑顔。『無垢の結晶』。彼そのままみたいだな、と思う。
「だが……ゲームの中のボク自身は、大切なことに気づいていなかったようだ」
「大切な……こと?」
「ああ。トリップした時点のボクは、今のキミと同じようにまだトゥルーエンドを迎えていないボクだった。現実にも存在するハジメに逢いたいと思ってしまっても、仕方がなかったのかもしれないな」
「……?」
微笑むエーテルーフくんの真意は読めない。俺は彼の言う通り、トリップした時点のエーテルーフくんと同じでまだ彼とのトゥルーエンドを迎えていないからだ。
それを理解している笑顔で、エーテルーフくんは俺を見つめる。
「君も、トゥルーエンドをクリアしたらその意味が判るだろう。トリップをしてここに居るはじめに会っても、仕方のない理由。ゲームの中のハジメと……ボクが、向き合わなければならなかった理由。それを、こんな場所まで来てボクはようやく気づいたんだ」
それは達観していて遥か遠くに居るような笑顔。
ある意味、エーテルーフくんにもっとも似合う笑顔。
でも俺はもういろいろなエーテルーフくんの表情を見てきたから、「それだけ」が彼じゃないってわかる。
「じゃあ……トリップ、してこないほうが良かった?」
「……いいや。ここに来なければ、それさえもボクは知らないままだったろう。こんな短い時間でも。ただキミと話しただけでも。ボクは、この世界がいかにボクの住まう世界と異なるかを知れたんだから」
「エーテルーフくん……」
「……だからこそ。そうまでしてここまで来たこのボクを、ボクは褒めてやりたいと思う。そこまで見境のない情熱だけで、こんな無茶をやってのけたんだから。いや……勿論こんな大事になったことも、巻き込んでしまったりょうにも、はじめにも……きちんと謝罪はしなければならないが」
「ううん。それはもう、大丈夫だよ。なんだかんだ、りょうだって絶対エターニアを楽しんでると思うしさ」
「そうか。そうまで言わせるりょうに会えなかったことだけが残念だ。キミがそこまで好きになった相手を、一目見ておきたかった」
「あ、あはは。うるさくって、失礼なやつだよ。なんか鳴き声みたいなのばっかり上げてるし……変なことばっかり言うしさ」
「む。そうか。それはそれで……気が合うかも知れないな」
「あ~……どうだろう……確かに……なんか……ノリは……合っちゃうかも……」
とにかくわざとふざけるりょうと、とにかく無自覚にふざけるエーテルーフくん。ふざける波長が合えば、誰にも止められることなくふたりで延々ふざけ合っていそうだ。うっ。なんとなく、その姿が想像できる……!
「はじめ。キミも、りょうへきちんと想いを伝えるのだぞ」
「あ……っ。う、うん。りょうが帰ってきたら、ちゃんと、伝えるよ!」
「うまく、行くといいな」
「もしうまくいかなくても、りょうならちゃんとフッてくれると思うな。そういうところは、ハッキリしてるやつだから」
「成程。いい性格だ」
いい性格。その通りだ。いい意味にも悪い意味にもとれるけど、どっちの意味でもその通りだと思う。りょうは肝が据わってる狂人で、どこまでイキっても人に冷たくはなれないロマンチストだ。確かにエーテルーフくんと似ているかも……って。そんなこと言ったら、怒られるかな?
「……はじめ。」
「んっ。なに?」
「色々なことが落ち着いて……りょうがここへ戻ってこれたら。エント‥エレメントを再開して、ゲームの中のボクと一緒にトゥルーエンドを迎えてやってくれ。ゲームの中のボクも、きっとそれを望んでいると思うから」
「あ……。」
真剣な表情。
俺は、願いを託されているんだと、そう思う。
もう別れてしまうからこそ。エーテルーフくんは俺に、俺のデータの中のエーテルーフくんを託そうとしているんだと、そう気づく。
それを断る理由なんかない。俺は、硬く頷く。
「もちろんだよっ!必ず、向こうの君をトゥルーエンドまで連れて行く。これまでみんなのルートを攻略して、それぞれの生き方を知ったんだから。ここまで来て最後まで見届けないなんて、失礼だもん!」
「……ありがとう。そう言ってくれるだけで、ボクは戻ることになんの躊躇もなくなるよ」
それこそなんの躊躇いもなく、エーテルーフくんは澄んだ瞳で俺を見つめる。無垢で。きれいな。俺が彼を好きだと思った。ミステリアスなのに暖かい光を、宿した瞳で。
「──その時、ボクはまたハジメに恋をしよう。キミとの甘い時間を。経験を、体験を。ふたたびキミから、贈られよう」
「──うん。必ず。……約束、するよ」
「ああ、はじめ。……。──ありがとう。」
「……、」
それは現実でも当たり前に存在する、ありふれた感謝のことば。もっとも普遍的で大衆的な、感謝のかたち。だけどその言葉は、不思議と俺の胸に深く鳴り響く。なによりも特別な祝福を受けた言葉のように、俺の中を照らしてゆく。
感謝をそんな風に感じたことなんて一度もなくて。
だけど。それを俺は。忘れることがないように思えた。
それは。
その、言葉は。
エーテルーフくんが、俺へ、届けてくれた……。
──贈り物のようにも、思えたから。
【EX‥TIPS】
・エーテルーフはトリップが行われた時点で「リセバエーテルーフ」にすべての存在が統合されており、現実へトリップしてきた彼は記憶や存在データを鑑みトゥルーエンドクリア後の彼という見解になっている。
──データ参照「開発しゃん」
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